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フェニルケトン尿症(PKU)

執筆者:

Matt Demczko

, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2018年 2月
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フェニルケトン尿症は、アミノ酸代謝異常症であり、フェニルアラニンというアミノ酸を生まれつき正常に分解できない乳児に起こります。脳に有害なフェニルアラニンが血液中に蓄積します。フェニルケトン尿症は、この病気を引き起こす欠陥のある遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。

  • フェニルケトン尿症は、フェニルアラニンをチロシンに変換するのに必要な酵素が欠損しているために起こります。

  • 症状は知的障害、けいれん発作、吐き気、嘔吐、湿疹様の発疹、ネズミまたはカビのような体臭などです。

  • 診断は血液検査の結果に基づいて下されます。

  • 診断および治療が早期に行われれば、小児は正常に発達します。

  • フェニルアラニン制限食を厳格に守ることで正常の発育と発達が可能です。

フェニルケトン尿症(PKU)は、アミノ酸であるフェニルアラニンの蓄積を特徴とする病気ですが、フェニルアラニンは必須アミノ酸(体内で作ることができず、食事から摂取しなければならないアミノ酸)の1つです。正常であれば過剰なフェニルアラニンは、別のアミノ酸であるチロシンとなって体外に排出されます。しかしフェニルアラニンをチロシンに変換する酵素(フェニルアラニン水酸化酵素)が欠損していると、脳に有害なフェニルアラニンが血液中にたまり、知的障害を引き起こします。

遺伝性代謝疾患の概要も参照のこと。)

症状

フェニルケトン尿症の新生児にすぐに症状が出ることはほとんどありませんが、ときには眠りがちで、乳をあまり飲まないことがあります。フェニルアラニンが血液中に蓄積するにつれて、症状は数カ月かけて徐々に現れます。 治療をしなければ生後2~3年で知的障害をきたし、やがて重症になります。ほかにも次のような症状があります。

  • けいれん発作

  • 吐き気と嘔吐

  • 湿疹様の発疹

  • 家族より明るい肌、眼、髪の色

  • 攻撃的行動または自傷行為

  • 多動性

  • ときに精神症状

フェニルケトン尿症の小児は、治療を受けないと体からネズミまたはカビのような匂いが発生します。これは、汗や尿にフェニルアラニンの代謝産物であるフェニル酢酸が含まれているためです。

診断

  • 新生児スクリーニング検査

  • 出生前スクリーニング検査

フェニルケトン尿症は通常、新生児スクリーニング検査で診断されます。

フェニルケトン尿症はどの人種にもみられます。フェニルケトン尿症の家族歴があり、この病気を発症している家族のDNAが手に入るなら、出生前スクリーニング検査として羊水穿刺絨毛採取により採取した胎児のDNA(遺伝子の構成要素)を分析し、胎児がこの病気にかかっているかどうかを診断できます。

フェニルケトン尿症にかかっている小児の親と兄弟姉妹は、この病気を起こす遺伝子をもっているか調べる検査を受けることができます。両親がそろってキャリアである場合は、その子どもは4分の1の確率でこの病気になります。 キャリアとは、ある病気の原因となる異常遺伝子をもっているものの、その病気の症状が現れておらず、その病気を示す証拠が認められない人のことです。

予後(経過の見通し)

生後数日以内に治療を受けた小児は、フェニルケトン尿症の症状や合併症を発症しません。十分なフェニルアラニン制限食を早くから適切に維持できると正常な発達が可能となります。しかし、非常に厳しい食事制限を続けなければ、学校生活を送ることが困難になるでしょう。2~3歳を過ぎてからでも、食事制限を始めれば、極端な多動やけいれん発作を抑えることができますし、最終的な知能指数(IQ)の値も上がる可能性があります。しかし、それ以前に起きていた知的障害を回復させることはできません。しかし最近、新生児スクリーニングの施行以前に生まれた、知的障害のある成人のフェニルケトン尿症患者の機能が、制限食を取り入れることで改善する場合があることが明らかになっています。

フェニルアラニン制限食は一生続ける必要があり、中止すると知能が低下し、神経学的異常や精神症状が発生します。

妊娠中にフェニルケトン尿症の管理が不十分な(つまり、フェニルアラニン濃度が高い)母親から生まれた小児は、頭が異常に小さかったり(小頭症)発達に問題がみられたりするリスクが高くなります。この状態を母性フェニルケトン尿症といいます。

予防と治療

  • フェニルアラニン制限食

知的障害を防ぐため、生後2~3週目からフェニルアラニンの摂取制限を始めますが、生存するためにはフェニルアラニンがある程度必要であるため、完全に食事から除去するわけではありません。天然のタンパク源はすべて、フェニルケトン尿症の小児にとっては過剰なフェニルアラニンを含んでいるため、この病気の小児は肉や牛乳などのタンパク質を含む普通の食べものを摂取することができません。こうした食べものの代わりに、フェニルアラニンを含まない特別に作られたいろいろな加工食品を摂取しなければなりません。果物や野菜などの低タンパクの自然食品と、限られた量ではありますが特定の穀物のシリアルを食べることはできます。フェニルアラニン除去ミルクなどの特殊な栄養製品も利用できます。これらの特殊な製品の例としてXPhe製品(乳児にはPKU Anamix®、年長の小児にはXP Maxamaid®やXP Maxamum®)、Phenex®-1やPhenex®-2、Phenyl-Free® 1やPhenyl-Free® 2、pku 1、pku 2、pku 3、PhenylAde®(様々な種類があります)、PKU Lophlex LQ®、Phlexy-10®などがあります。

妊娠を計画しているフェニルケトン尿症の女性は、推奨される食事療法に従い、フェニルケトン尿症を管理する必要があります。

医師は、アミノ酸であるチロシンのサプリメントとサプロプテリンという薬剤を処方することがあります。この薬剤を服用すると、フェニルアラニンに耐性がつきます。

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