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若年性特発性関節炎 (JIA)

執筆者:

Jay Mehta

, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania;


Frank Pessler

, MD, PhD, Hannover, Germany

最終査読/改訂年月 2018年 4月
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若年性特発性関節炎は、16歳までに発症して、関節の炎症が持続するか再発を繰り返す、相互に関連する一群の小児疾患です。

  • 若年性特発性関節炎の特定の型では、発熱、発疹、リンパ節の腫れが生じることがあり、心臓に影響が現れることもあります。

  • 診断は、この病気を確定する単独の検査法がないため、小児の症状と身体診察の結果に基づいて下されます。

  • 炎症を軽減し、痛みを治療するための薬が投与されます。

  • 柔軟運動などの理学療法が、関節の動きをよくする助けになります。

若年性特発性関節炎(JIA)は、関節の炎症(関節炎)を特徴とする、一連のまれな病気です。JIAでは他の器官や結合組織にも影響が出ることがあります。JIAは成人の関節リウマチと共通点はありますが、同じものではありません。

JIAの原因は分かっていません。JIAは遺伝性の病気とは考えられていませんが、遺伝的な要因によって発症の可能性が高くなる可能性があります。

分類

この病気にはいくつか型があります。それぞれの型に異なる特徴がありますが、共通した特徴ももっています。医師の診察と臨床検査の結果によって型が判定されます。型には以下のものがあります。

  • 少関節型JIA

  • 多関節型JIA(リウマトイド因子は陰性の場合も陽性の場合もある)

  • 付着部炎関連関節炎

  • 乾癬性JIA

  • 分類不能JIA

  • 全身型JIA

最初に診断された時点では1つの型がみられ、ときに病気の経過の中で別の型を発症することもあります。

少関節型JIAは、最も多くみられる型で、通常は年少の女児に発生します。この型では、発症してから最初の6カ月の間に、4つかそれ以下の関節で症状が現れます。膝の関節が最も症状が出やすい部位です。

多関節型JIAは2番目に多くみられる型で、小児期後期に発生します。この型では、5つ以上の関節に症状が現れます。この型はさらに、リウマトイド因子陰性と陽性の2種類に分かれます。リウマトイド因子は血液中にみられる抗体です。リウマトイド因子の値は関節リウマチの人で高くなるほか、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス多発性筋炎全身性強皮症)のある人でも高くなります。リウマトイド因子陽性の小児では、血液中にリウマトイド因子という抗体が存在します。リウマトイド因子陽性型は、一般的には青年期の女子に発生し、成人の関節リウマチに似ています。これらの型ではいずれも、体の両側の同じ関節に関節炎が生じ(例えば、両膝や両手)、多くの場合、手や足の小さい関節に炎症が起こります。

付着部炎関連関節炎は、関節炎と付着部炎(腱や靱帯が骨に付着する部分の、痛む炎症)を伴うものです。より年長の男児で多くみられ、その場合、脊椎にも強直性脊椎炎反応性関節炎などの症状が現れることがあります(脊椎関節炎)。この関節炎は下半身の関節に起こる傾向があります。

乾癬性JIAは通常、幼い女児に起こりますが、年長の男児や女児にも起こります。皮膚の病気である乾癬がみられるか、または両親や兄弟姉妹に乾癬の家族歴がみられます。

分類不能JIAは、小児がどの型の基準も満たさないか、複数の型の基準を満たす場合に診断されます。

全身型JIA(スチル病)では、発熱、発疹、リンパ節の腫れ、心臓や肺の周囲の炎症など、関節以外の部位の症状が関節炎に伴って生じます。

症状

若年性特発性関節炎(JIA)は関節に症状を引き起こし、ときに眼、皮膚、またはその両方に症状が出ることがあります。

関節症状は、どの型のJIAでも起こります。起床時に関節がこわばることがあります。多くの場合、関節が腫れて熱をもちます。その後、関節が痛くなることもありますが、腫れの大きさから予想されるよりも痛みが軽い場合があります。関節を動かすと痛みが強くなることがあります。子どもは歩くのをいやがったり、足を引きずることがあります。治療しないと、関節の痛みが何年も続きます。しかし、痛みがまったくない場合もあります。

付着部炎によって、骨盤、寛骨、脊椎、膝蓋骨、すねの膝のすぐ下、アキレス腱、足の裏に圧痛が生じることがあります。

眼の炎症がどの型でも起こることがありますが、少関節型JIAで最も多くみられ、全身型JIAではまれです。炎症は、典型的には眼の虹彩に生じます(虹彩毛様体炎)。JIAにおける虹彩毛様体炎は、ときに視野のかすみが生じたり瞳孔の形が不整形になることがありますが、通常は症状(痛みや充血)を引き起こしません。ただし、虹彩毛様体炎を治療しなければ、瘢痕形成、白内障、緑内障のほか、永久的な視力障害につながることがあります。まれに、付着部炎関連関節炎の患者に眼の充血と痛み、光に対する過敏がみられます。

皮膚の異常は、主に乾癬性JIAと全身性JIAで発生します。乾癬性JIAの患者では、皮膚には乾癬に似した荒れた領域がみられ、手足の指が腫れ、爪に点状のへこみがみられることがあります。全身型JIAの患者ではときに、平坦でピンク色またはサーモン色で中心部は色のない発疹が一時的に生じ、主に体幹、太もも、上腕にみられます。しばしば夕方に発熱を伴って数時間現れるこの発疹は、毎回同じ位置にできるわけではありません。

全身型JIAでは、関節以外の部位に発熱と炎症が起こります。全身型JIAの小児では、一般的には関節の痛みや腫れが現れる前に高熱や発疹がよく現れます。熱は上がったり下がったりして、たいていは2週間以上続きます。体温は、通常は午後や夕方に最も高くなり(しばしば39℃以上になる)、その後急速に正常な体温に戻ります。小児は熱があると、疲労を感じて怒りっぽくなることがあります。肝臓、脾臓、リンパ節が腫れることがあります。ときには、炎症が心臓を覆っている膜(心膜炎)または肺を覆っている膜(胸膜炎)に発生して、胸が痛むこともあります。この炎症により、心臓や肺、その他の臓器の周りに液体がたまることもあります。

JIAの合併症

どの型のJIAでも、体の成長が阻害されることがあります。治療をしないと、関節が変形することがあります。JIAによってあごの成長が妨げられると、あごが小さくなることがあります(小顎症)。長期にわたる(慢性の)関節炎により、やがてその関節に変形や永続的な損傷が生じることがあります。

診断

  • 医師による評価

  • 血液検査

JIAの診断は、小児の症状と身体診察の結果に基づいて下されます。

JIAを確定する単独の検査法はありませんが、その型の判別にはいくつかの血液検査が役立ちます。血液検査では、リウマトイド因子、抗核抗体、抗環状シトルリン化ペプチド抗体のほか、HLA-B27と呼ばれる特定の抗体を調べます(これらは関節リウマチや関連する自己免疫疾患の人でみられることがあります)。JIA患者の小児の多くでは、血液中にリウマトイド因子も抗核抗体もみられません。

JIAの小児で、血液中に抗核抗体がみられる場合は、虹彩毛様体炎が発生するリスクが高くなります。虹彩毛様体炎では、眼の炎症がすでに生じている場合でさえ何の症状も起きないことがあるため、患者は症状の有無にかかわらず、眼科医による虹彩毛様体炎の検査を年に数回受けなければなりません。少関節型JIAまたは多関節型JIAの小児で、血液中に抗核抗体がみられる場合は、3カ月毎に眼の診察を受ける必要があります。少関節型JIAまたは多関節型JIAの小児で、血液中に抗核抗体がみられない場合は、6カ月毎に眼の診察を受ける必要があります。全身型JIAの小児は、1年に1回、眼の診察を受ける必要があります。

骨や関節の特徴的な変化がないか調べるために、X線検査が行われることがあります。

予後(経過の見通し)

治療を受ければ、患者の50~70%で寛解(症状のない期間)が得られます。リウマトイド因子陽性多関節型JIAの小児は、予後があまりよくありません。早期に治療を受ければ、ほとんどの小児が正常な身体機能に改善します。

治療

  • 疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)

  • 非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)

  • ときにコルチコステロイド

若年性特発性関節炎(JIA)の治療はどの型でも同様に行われ、痛みや炎症を抑えるために使用される薬は、成人の関節炎(関節リウマチの治療を参照)と同じものが使用されます。 一般的には、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が症状を軽減するために用いられ、これは付着部炎関連関節炎に対して最も有用です。ただし、NSAIDは症状の緩和を助けますが、関節疾患の進行を止めるわけではありません。

疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)と呼ばれる、特定の関節炎治療薬によって、JIAの進行を遅らせることができ、治療の結果が大幅に改善しています。DMARDには、メトトレキサート、エタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブ(腫瘍壊死因子アルファという炎症に関与するタンパク質を阻害する)のほか、アナキンラ(anakinra)やカナキヌマブ(インターロイキン1という炎症に関与するタンパク質を阻害する)などがあります。メトトレキサートには副作用として骨髄抑制(白血球、赤血球、血小板の産生が減少する)や肝毒性があるため、この薬を使用する小児には、定期的な血液検査が必要です。多関節型JIAまたは全身型JIAの小児には、トシリズマブ(インターロイキン6を阻害する)が投与されます。別のDMARDであるサラゾスルファピリジンがときに用いられ、特に脊椎関節炎を発症している可能性がある小児に対して投与されます。しばしば全身型JIAは、インターロイキン1の作用を阻害する治療法がよく効きます。

コルチコステロイドを患部の関節に直接注入することもあります。コルチコステロイドの全身投与(例えばプレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]の経口投与)に関しては、避ける試みがなされていますが、重度の全身型JIAでは必要となる可能性があります。コルチコステロイドが必要な場合は、できるだけ低用量を使用して、成長遅滞、骨粗しょう症(骨がもろくなる)、白内障、骨壊死(骨組織の壊死)など、長期的な合併症が起きる可能性を減らします。

虹彩毛様体炎に対しては、まず炎症を抑えるコルチコステロイドの点眼薬で治療を行います。この治療で不十分な場合は、メトトレキサートがよく使用され、必要であれば腫瘍壊死因子の作用を阻害する薬も用いられます。瞳孔を広げる(散瞳させる)点眼薬も、永続的な眼の損傷を防ぐのに役立ちます。眼に損傷が生じた場合は、眼科手術が必要になることもあります。

成人の関節リウマチと同じように、小児にも非薬物療法が行われます。例えば、理学療法、柔軟運動が筋力や関節機能の維持に役立ちます。

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