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小児期の予防接種スケジュール

執筆者:

Michael J. Smith

, MD, MSCE, Duke University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2021年 11月
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やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

米国では、ほとんどの医師は米国疾病予防管理センター(CDC—乳児・小児用スケジュール[schedule for infants and children]および年長児・青年用スケジュール[schedule for older children and adolescents]を参照)が推奨している予防接種スケジュールに基づいて予防接種を行っており、このスケジュールは病院の新生児室で行われる B型肝炎ワクチン B型肝炎ワクチン B型肝炎ワクチンは B型肝炎とその合併症( 慢性肝炎、 肝硬変、 肝臓がん)の予防に役立ちます。 一般に、B型肝炎は A型肝炎より重篤で、死に至ることもあります。症状は軽度のこともあれば、重度のこともあります。食欲減退、吐き気、疲労などがみられます。5~10%の患者ではB型肝炎が慢性化し、肝硬変や肝臓がんに進行することがあります。 詳細については、CDCによるB型肝炎ワクチン説明書(Hepatitis... さらに読む の接種から始まります。(小児期の予防接種 小児期の予防接種 ワクチンを接種することで、小児を多くの感染症から守ることができます。ワクチンには、細菌やウイルスの感染力のない成分が入っているか、感染症を引き起こさないように弱毒化された細菌やウイルスがそのまま入っています。ワクチンを接種(通常は注射)すると、体の免疫系が刺激されて、病気に抵抗するようになります。ワクチン接種は、免疫をつけて病気を予防する... さらに読む も参照のこと。)

親は子どもにスケジュールに従って予防接種を受けさせるよう努めるべきです。予防接種のタイミングがかなり遅れると、小児にワクチンで予防しえた深刻な病気にかかるリスクが生じます。

もし予防接種を1回受け損ねた場合は、どのようにスケジュールに追いつくかについて、親は主治医に相談すべきです。予防接種を1回受け損ねたからといって、すべての接種を最初からやり直す必要はありません。

小児に普通のかぜ(感冒)などの軽い感染症による微熱があっても、それを理由に予防接種を遅らせる必要はありません。

一部のワクチンは特別な状況でのみ接種が推奨されています。例えば、小児がそのワクチンで予防できる病気にかかるリスクが高くなっているときなどです。

1回の受診で複数のワクチンの接種を受けることがありますが、1回の接種で済むように数種のワクチンを混合したものもあります。例えば百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ、インフルエンザ菌 Haemophilus influenzae b型ワクチンを1つの注射に混合したワクチンなどです。混合ワクチンにより、必要とされる接種回数は減りますが、それによりワクチンの安全性や有効性が弱まるということはありません。

乳児、小児、青年のための定期予防接種

予防できる感染症から乳児、小児、青年を守るために、推奨されている予防接種スケジュールに従うことが大切です。以下のスケジュールは、米国小児科学会(AAP)および米国疾病予防管理センター(CDC)が推奨しているスケジュール(乳児・小児[出生時からから6歳まで]向けCDCスケジュール[CDC schedule for infants and children [birth through 6 years]]および年長児[7~18歳]向けCDCスケジュール[CDC schedule for older children [7 to 18 years old]]も参照)に基づいています。どのワクチンを何歳で何回接種すべきかを下に示しています(印の数字で示す)。

多くの予防接種には、接種の許容年齢が決められています。小児のかかりつけ医は、小児の健康状態とその他の状況に応じてその子に適した時期を勧めてくれます。小児が受ける予防接種の回数を減らすため、混合ワクチンもよく使われます。小児がスケジュールに従って予防接種を受けていない場合、遅れを取り戻すための接種(キャッチアップ接種)が勧められ、親はその接種について知るために医療機関や保健所に相談するべきです。予防接種後に何らかの副反応がみられた場合は、かかりつけ医に報告する必要があります。

このスケジュールやほかの予防接種スケジュールの詳しい情報については、医師に尋ねるか、米国疾病予防管理センターのワクチンと予防接種のウェブサイトを見てください。

赤あかちゃんと子こどもを対象たいしょうとする定期予防接種ていきよぼうせっしゅ

[b] ロタウイルスワクチン ロタウイルスワクチン ロタウイルスワクチンは、ロタウイルスが引き起こす 胃腸炎とその症状である嘔吐や下痢(長引く場合は脱水や臓器の損傷)を予防するのに役立つ、生ウイルスワクチンです。 ロタウイルスワクチンには2つの製剤があります。どちらも弱毒化された生きたロタウイルスを含有しています。 詳細については、CDCによるロタウイルスワクチン説明書(Rotavirus vaccine information... さらに読む 使用するワクチンにより、2回または3回のワクチン接種が必要です。米国では、一方のワクチンの場合、1回目の接種を生後2カ月、2回目を生後4カ月の時点で行います。米国では、もう一方のワクチンの場合、1回目の接種を生後2カ月、2回目を生後4カ月、3回目を生後6カ月の時点で行います。

[c] インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン インフルエンザ菌 Haemophilus influenzae b型ワクチン インフルエンザ菌 Haemophilus influenzae b型(Hib)ワクチンは、 肺炎や 髄膜炎など、 Hibによる細菌感染症の予防に役立ちます。このような感染症は小児では重篤化することがあります。ワクチンの接種により、小児での重篤なHib感染症の発生率は99%低下しました。このような感染症は、免疫系と脾臓(ひぞう)の機能が正常な成人ではまれです。 数種類のワクチン製剤が利用できます。... さらに読む 使用するワクチンによって、3回または4回のHibワクチンの接種が必要です。米国では、一方のワクチンの場合、1回目の接種を生後2カ月、2回目を生後4カ月、3回目を生後12~15カ月の時点で行います。米国では、もう一方のワクチンの場合、1回目の接種を生後2カ月、2回目を生後4カ月、3回目を生後6カ月、4回目を生後12~15カ月の時点で行います。

[h] インフルエンザワクチン インフルエンザワクチン インフルエンザウイルスワクチンは インフルエンザの予防に役立ちます。米国では、A型とB型の2種類のインフルエンザウイルスが定期的にインフルエンザの季節的流行を引き起こしています。どちらの種類にも、多くのウイルス株が存在します。インフルエンザの大流行を引き起こすウイルス株は毎年変わります。このため、毎年新しいワクチンが必要になります。それぞれの年のワクチンは、研究者が翌年に流行すると予測した3~4種のウイルス株を標的とします。... さらに読む インフルエンザワクチンは、生後6カ月から開始し、すべての小児が毎年受ける必要があります。2種類のワクチンが利用できます。年齢や他の要因に応じて、1回または2回の接種が必要です。ほとんどの小児では、必要な接種は1回のみです。生後6カ月から8歳までの小児で、接種回数が2回未満かインフルエンザの予防接種歴が不明な場合は、4週間以上の間隔を空けて2回接種する必要があります。

[l] ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、 HPVの中でも以下の病態を引き起こす可能性が非常に高い株による感染の予防に役立ちます。 女性の 子宮頸がん、 腟がん、 外陰がん 男性の陰茎がん 男女を問わず、 肛門がん、 のどのがん、 尖圭コンジローマ これらの病気はヒトパピローマウイルスによって引き起こされ、このウイルスは尖圭コンジローマも引き起こします。 さらに読む 定期予防接種は、11~12歳の時点(9歳から開始可能)と、ワクチン未接種かワクチン接種が不十分な26歳までの人に推奨されます(上記のスケジュールには記載されていません)。ヒトパピローマウイルスワクチンは女児および男児に2回または3回接種します。接種回数は初回接種を何歳で受けるかによります。9歳から14歳までに初回接種を受ける場合は、5カ月以上の間隔を空けて2回接種します。15歳以上で初回接種を受ける場合は、3回接種します。初回接種から1カ月以上が経過した後に2回目の接種を行い、3回目を初回接種から5カ月以上が経過した後に行います。

小児におけるCOVID-19のワクチン接種

予防接種スケジュールに記載されているワクチン接種に加えて、米国では現在、特定の年齢層の小児が COVID-19に対するワクチン接種 COVID-19ワクチン 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンは、COVID-19に対する予防効果をもたらします。 COVID-19は、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染によって引き起こされる病気です。現在、COVID-19に対する複数のワクチンが世界中で使用されています(COVID-19ワクチンの最新動向[COVID-19 Vaccine Tracker]を参照)。このトピックについては、米国で現在使用されているワクチンの... さらに読む の対象になっています。ファイザー社・ビオンテック社製のCOVID-19ワクチンBNT162b2(mRNAワクチン)(製品名はコミナティ)には、5~15歳の小児を対象とする緊急使用許可が出されていて、16歳以上の人での使用は通常どおり承認されています。このワクチンは、初回接種として3週間空けて2回接種します(5~11歳の小児での用量は、12歳以上の小児の場合よりも少なくなっています)。また、免疫系に中等度または重度の影響を及ぼす特定の病気がある5歳以上の人には、2回目の接種後28日以上が経過してから追加の初回接種を行うことが、緊急使用許可の下で認められています。免疫不全の状態にある12歳以上の人も、3カ月以上が経過した後に追加接種を行うべきです。(中等度から重度の免疫不全患者に対するCOVID-19ワクチンのガイダンス[Guidance for COVID-19 vaccination for people who are moderately or severely immunocompromised]を参照のこと。)

最初の2回の接種を5カ月以上前にBNT162b2ワクチンで完了した12歳以上のすべての接種者には、追加接種が推奨されています。18歳以上の人は追加接種として複数のCOVID-19ワクチンからいずれかを選択できるのとは異なり、12~17歳の青年に対する追加接種には、現時点でBNT162b2のみが承認されています。

COVID-19ワクチンは、定期予防接種と同時に接種することができます。

COVID-19ワクチンを以前接種した後にアレルギー反応を起こした小児や、COVID-19ワクチンの成分にアレルギーがある小児は、COVID-19ワクチンの接種を受けるべきではありません。

モデルナ社製のCOVID-19ワクチンmRNA-1273(mRNAワクチン)も18歳未満の小児を対象として研究が進められていますが、現在のところ承認も緊急使用許可も受けていません。

小児におけるマラリアの予防接種

2021年10月6日、世界保健機関(WHO)は、サハラ以南アフリカをはじめとする、熱帯熱マラリア原虫 Plasmodium falciparum による マラリア マラリア マラリアは5種のマラリア Plasmodium原虫のいずれかによる赤血球の感染症です。マラリアによって、発熱、悪寒、発汗、脾臓の腫れ、貧血(感染した赤血球が破壊されて生じる)が起こります。 通常、マラリアは感染した雌の蚊が人間を刺すことで広がります。 悪寒とふるえ(悪寒戦慄)に続いて発熱がみられるほか、頭痛、全身の痛み、吐き気、疲労感といった症状が現れることもあります。... さらに読む の感染率が中程度から高い水準にある地域の小児に対して、RTS,S/AS01(RTS,S)マラリアワクチンの広範な使用を推奨すると発表しました。(WHOが感染リスクのある小児に対して画期的マラリアワクチンを推奨[WHO recommends groundbreaking malaria vaccine for children at risk]を参照のこと。)

さらなる情報

役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

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