B型肝炎

執筆者:Margot L. Savoy, MD, MPH, Lewis Katz School of Medicine at Temple University
Reviewed ByEva M. Vivian, PharmD, MS, PhD, University of Wisconsin School of Pharmacy
レビュー/改訂 修正済み 2025年 7月
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B型肝炎ワクチンは、B型肝炎(B型肝炎ウイルスを原因とする肝臓の炎症)とその合併症(慢性肝炎肝硬変肝臓がん)の予防に役立ちます。   

免疫化の基礎知識も参照)

ワクチンの種類

米国では、3種類のB型肝炎ワクチン、3種類のB型肝炎混合ワクチンを接種できます。

米国で使用可能なB型肝炎ワクチンはすべて組み換え型ワクチンです。つまり、B型肝炎ウイルス(タンパク質など)の特定の成分のみを含むワクチンです。         これらのワクチンには、研究室で製造され、他の物質と再結合した無害な種類のB型肝炎ウイルスのタンパク質が含まれています。その後感染した場合に、体内の免疫系はタンパク質を認識し、これと闘うことができるようになります(能動免疫化を参照)。

混合ワクチンは、B型肝炎(HepB)、A型肝炎(HepA)、不活化ポリオウイルス(IPV)、インフルエンザ菌b型(Hib)、およびジフテリア・破傷風・百日咳(DTaP)ワクチンを含有しています。製剤はHepB/HepA、DTaP/HepB/IPV、DTaP/HepB/Hib/IPVの組み合わせです。

B型肝炎ワクチンの用量および推奨

B型肝炎ワクチンはすべて筋肉内に注射します。通常は、2~3回に分けて接種します。すでにこのワクチンを接種した人がB型肝炎ウイルスに接触した場合は、医師はB型肝炎に対する抗体価を測定します。抗体価のレベルが低い場合は、B型肝炎ワクチンを再度接種する必要があります。

このワクチンを接種すべき人

B型肝炎ワクチンは小児期の定期予防接種に組み込まれています。通常、混合ワクチンを3回接種します。1回目は生後すぐ、2回目は生後1~2ヵ月、3回目は生後6~18ヵ月です。出生時に接種を受けなかった乳児は、できる限り早く一連の接種を開始すべきです。(CDC:出生から6歳までに推奨される予防接種、米国、2025年版[Recommended Immunizations for Birth Through 6 Years, United States, 2025]を参照。)

B型肝炎ワクチンの接種を受けたことがない青少年は、11~15歳の間にワクチン接種を受けるべきです(CDC:小児および青年向け遅れを取り戻すための接種スケジュール[Catch-up Immunization Schedule for Children and Adolescents]も参照)。ワクチン製剤に応じて、2回または3回に分けて接種します。

B型肝炎ワクチンは、予防接種を受けたことのない19~59歳のすべての成人に推奨されています。この年齢層のワクチン接種を受けていない成人には,ワクチン製剤に応じて、2、3または4回に分けて接種します(CDC:19歳以上の成人に推奨される予防接種、米国、2025年版[Recommended Immunizations for Adults Aged 19 Years and Older, United States, 2025]も参照)。

このワクチン未接種で感染の危険因子がある以下のすべての60歳以上の成人にも接種が推奨されています。

  • 医療、保護型ケア、または公共の安全に関わる職業など、血液やその他の感染した体液に曝露される可能性のある職業の従事者

  • この感染症が流行している地域に旅行する人

  • 慢性肝疾患のある人(C型肝炎肝硬変脂肪性肝疾患アルコール性肝疾患、自己免疫性肝炎など)または特定の肝酵素の血中濃度が高い人

  • 腎不全があり透析が必要な人

  • 違法薬物を注射している人

  • 過去6ヵ月間に複数の性的パートナーがいた人

  • 性感染症の検査または治療が必要な人

  • 男性同性愛者

  • セックスパートナーや家族がB型肝炎のキャリアである場合

  • HIV感染者の人

  • B型肝炎のリスクが高い人々が滞在する施設(性感染症の人が治療を受ける施設、薬物乱用の予防や乱用者向け治療サービス、皮下投与による違法薬物使用者向けサービス、男性同性愛者向けサービスが提供される施設、血液透析センター、発達障害がある人向けの施設、矯正施設、HIV感染症の人が検査や治療を受ける施設など)で雇用されている、治療を受けている、または居住している人

B型肝炎ワクチンは、B型肝炎の予防を望む場合、リスク因子を持たない60歳以上の成人にも接種することができます。

60歳以上の糖尿病患者については、型肝炎ワクチンの接種について医療従事者と話し合う必要があります。

混合ワクチンは、A型肝炎またはB型肝炎ワクチンのいずれかの接種を必要とし、過去にいずれのワクチンも接種したことがない18歳以上の人に使用することができます。

このワクチンを接種すべきでない人

B型肝炎ワクチンのいずれかの成分またはパン酵母(B型肝炎ワクチンの生産に使用される)に対して、生命を脅かす重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー反応など)を起こしたことがある人は、このワクチンの接種を受けるべきではありません。

一時的な病気がある場合、通常ワクチンは病気が消散してから投与します(CDC:これらのワクチンを接種すべきでない人[Who Should NOT Get Vaccinated With These Vaccines?]も参照)。

B型肝炎ワクチンの副作用

一般的な副作用には、注射部位のヒリヒリとした痛み、発赤、腫れなどがあります。ときに軽度の発熱が現れることがあります。疲労感や頭痛が起こることがあります。

重篤なアレルギー反応が起こることはまれです。

副作用の詳細については、添付文書を参照してください。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いかねることをご了承ください。

  1. 米国疾病予防管理センター(CDC):B型肝炎ワクチン情報提供文書(Hepatitis B vaccine information statement)

  2. 欧州疾病予防管理センター(ECDC):B型肝炎(Hepatitis B):推奨される予防接種(Recommended vaccinations)

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