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思春期の遅れ

執筆者:

Andrew Calabria

, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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思春期の遅れとは、性的成熟が予想される時期に始まらないことをいいます。

  • 最も一般的には、小児は同年齢の小児と比較して単に発達の開始が遅れているだけで、最終的には正常に発達します。

  • 思春期の遅れは、慢性的な医学的問題、内分泌系の病気、放射線療法や化学療法、摂食障害や過度の運動、遺伝性の病気、腫瘍、ある種の感染症などによって起こることもあります。

  • 典型的な症状としては、男児では精巣が大きくならない、女児では乳房が膨らまない、生理がないなどがあります。

  • 診断は身体診察や様々な臨床検査、そしてX線検査による骨年齢の評価の結果に基づいて下され、必要に応じて染色体検査やMRI検査も行われます。

  • 治療法は原因によって異なりますが、ホルモン補充療法が行われることもあります。

視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモンの分泌が始まると、性的成熟が始まります(思春期)。この信号に下垂体が反応してゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)と呼ばれるホルモンを分泌し、ゴナドトロピンが性腺(男児では精巣、女児では卵巣)の成長を刺激します。性腺は成長すると、 テストステロン(男児)や エストロゲン(女児)などの性ホルモンを分泌します。このホルモンにより第二次性徴が起こり、男児では髭と筋肉、女児では乳房の膨らみがみられ、男女とも陰毛と腋毛が生え、性的欲求(性欲)が生じます。

一方、通常の年齢で性的発達が始まらない場合もあります。

男児では、思春期の遅れがより多くみられます。男児における思春期の遅れは以下のように定義されています。

  • 14歳までに精巣が大きくならない

  • 性器の成長の開始から完了までに5年以上かかる

女児では、思春期の遅れは以下のように定義されています。

  • 13歳までに乳房が膨らみ始めない

  • 乳房が膨らみ始めてから初潮がくるまでに5年以上かかる

  • 16歳になっても月経がない(無月経)

原因

思春期の遅れは、たいていは正常範囲内の遅れで、遺伝的に性的発達が遅れる家系もあると考えられます(体質性の思春期の遅れとも呼ばれる)。このような青年の成長の速度は正常で、性的発達が遅れていることを除けば健康です。成長スパートや思春期が遅れても、いずれ正常に発達します。

糖尿病炎症性腸疾患、腎疾患、嚢胞(のうほう)性線維症貧血などの様々な病気が原因で、性的発達が遅れたり起こらなかったりすることがあります。放射線療法やがんの化学療法を受けたことが原因で、発達が遅れたりみられなかったりする青年もいます。また自己免疫疾患(橋本甲状腺炎アジソン病[原発性副腎皮質機能不全]、および卵巣に直接的な影響を及ぼす一部の病気)により思春期の発来が遅れることもあります。下垂体や視床下部に損傷を与える腫瘍によって、ゴナドトロピンの量が減少したり、このホルモンの分泌が完全に止まったりすることがあります。

男児では、精巣のけが、感染症(ムンプスなど)、精巣のねじれ(精巣捻転症)など、精巣の病気により思春期が遅れることがあります。青年、特に女子は過度な運動や過激なダイエットのために非常に痩せて思春期が遅れることがよくあり、月経がないこともあります(無月経)。

女児のターナー症候群や男児のクラインフェルター症候群などの染色体異常や、その他の遺伝性の病気が、性ホルモンの分泌に影響を与える可能性があります。 このような遺伝性の病気の1つであるカルマン症候群は、ゴナドトロピンの分泌にのみ影響を及ぼします(他のホルモンの分泌には影響しません)。

症状

一般的に、青年は仲間と違うと不安を感じ、特に男児は思春期が遅れることで精神的ストレスや恥ずかしさを感じやすい傾向にあります。女児は仲間より小柄で性的成熟が遅れていても、男児ほどすぐに肩身の狭い思いをすることはありません。

診断

  • 身体診察

  • X線検査による骨年齢の評価

  • 血液検査

  • ときにMRI検査

思春期の遅れを評価する場合は、まず病歴をすべて聴取して身体診察を行い、思春期にみられる発達の状態、栄養状態、成長を調べます。医師はしばしば骨のX線検査を1カ所以上で行い、骨の成熟度をみます(X線検査による骨年齢の評価)。また医師は、慢性疾患の徴候を調べる基本的な臨床検査およびホルモン濃度検査を実施し、さらには染色体分析も行う場合があります。

通常、医師は男児では14歳までに思春期の徴候がみられない場合、女児では12~13歳までに思春期の徴候がみられないか、15~16歳までに月経が始まらない場合に評価を行います。これらの小児が他の点では健康な外見を呈する場合、おそらく体質性の遅発であると考えられます。医師はこのような青年に対して、思春期の開始と正常な進行を確認するために、6カ月毎に評価を繰り返すという判断を下すでしょう。

思春期が顕著に遅れている女児には、原発性無月経の検査を行う必要があります。

磁気共鳴画像(MRI)検査を行って、下垂体に脳腫瘍や構造的異常がないことを確認する場合もあります。

治療

  • 原因の治療

  • ホルモン療法

思春期の遅れに対する治療は原因毎に異なります。もともと患っている病気が思春期の遅れを生じさせている場合には、たいてい元の病気を治療すれば思春期は進んでいきます。

発達がもともと遅い場合には治療の必要はありませんが、発達が遅れていることや始まらないことに青年が大きなストレスに感じている場合には、医師は発達を促す性ホルモンを投与することがあります。治療は男児ではるかに多く実施されます。

14歳になっても思春期の徴候がみられない男児には、テストステロン注射を月1回、4~6カ月間投与することがあります。 テストステロンは投与量が少なければ、思春期を促しつつ男性的な特徴を発達させ(男性化)、それでいて本来到達すべき成人の身長まで伸びる可能性が損なわれることはありません。

女児では、低用量のエストロゲンをピルまたは皮膚パッチ薬で始めることができます。

遺伝性の疾患は治癒させることはできませんが、ホルモン療法により性徴の発達を促すことができるでしょう。

腫瘍の除去には手術が必要な場合があります。このような小児は下垂体機能低下症のリスクがあります。

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