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小児の脳腫瘍の概要

執筆者:

John J. Gregory, Jr.

, MD, Rutgers, New Jersey Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 6月
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症状

頭蓋内部の圧力(頭蓋内圧)の上昇により、脳腫瘍の最初の症状が生じることがあります。腫瘍が脳内の脳脊髄液(髄液)の流れを遮っている場合、または腫瘍が占める領域が大きい場合、頭蓋内圧が上昇することがあります。頭蓋内圧が上昇すると、次のようなことが起こります。

  • 乳児や非常に年少の小児の場合、頭部の拡大(水頭症)

  • 頭痛

  • 吐き気や嘔吐(しばしば小児が目覚めた直後に生じます)

  • 複視などの視覚障害

  • 眼球を上へ向けることができない

  • 気分や意識レベルの変化(このため小児は怒りっぽくなったり、元気がなくなったり、錯乱したり、うとうとしたりします)

腫瘍が発生した脳の部位により、その他の様々な症状が生じます。

診断

  • 画像検査

  • 通常は生検、ときに腫瘍全体を切除する手術

  • ときに腰椎穿刺

医師は症状に基づいて脳腫瘍を疑います。

脳腫瘍の有無を確かめるため、通常、医師は MRI MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるような強力な磁場の中に置かれると、磁場... さらに読む MRI(磁気共鳴画像)検査 などの画像検査を行います。たいていの場合、腫瘍はMRI検査で検出できます。 CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT検査では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度から撮影された一連のX線画像であり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとはcomputed... さらに読む CT(コンピュータ断層撮影)検査 が行われることもあります。MRIまたはCT検査の前に、通常は造影剤が静脈に注射されます。造影剤は画像を鮮明にする物質です。脳腫瘍が疑われる場合、医師は通常、診断を確定するために組織の小片を採取します(生検)。場合によっては、小片を採取する代わりに、手術で腫瘍全体を切除することもあります。

ときに腰椎穿刺( 腰椎穿刺の方法 腰椎穿刺の方法 腰椎穿刺の方法 )が行われ、髄液が採取されて顕微鏡で検査されることもあります。この処置は、腫瘍細胞が髄液中まで広がっていないかどうかを確認する場合や診断がはっきりしない場合に、決まって行われます。

治療

  • 手術による腫瘍の切除

  • 化学療法、放射線療法、またはその両方

  • 髄液の排出

通常、脳腫瘍の治療では手術で腫瘍が切除されます。その後、 化学療法 化学療法 化学療法では、薬を使ってがん細胞を破壊します。正常な細胞は傷つけずに、がん細胞だけを破壊する薬が理想的ですが、大半の薬はそれほど選択的ではありません。その代わりに、一般的には細胞の増殖能力に影響を与える薬を用いることで、正常な細胞よりがん細胞に多くの損傷を与えるよう設計された薬が使用されます。無秩序で急速な増殖ががん細胞の特徴です。しかし正常な細胞も増殖する必要があり、なかには非常に速く増殖するもの(骨髄の細胞や口または腸の粘膜の細胞な... さらに読む 放射線療法 がんに対する放射線療法 放射線は、コバルトなどの放射性物質や、粒子加速器(リニアック)などの特殊な装置から発生する強いエネルギーの一種です。 放射線は、急速に分裂している細胞やDNAの修復に困難がある細胞を優先的に破壊します。がん細胞は正常な細胞より頻繁に分裂し、多くの場合、放射線によって受けた損傷を修復することができません。そのため、がん細胞はほとんどの正常な細胞よりも放射線で破壊されやすい細胞です。ただし、放射線による破壊されやすさはがん細胞によって異なり... さらに読む 、または その両方 がんの併用療法 抗がん剤は、複数の薬を組み合わせて使用する場合に最も効果的です。併用療法の原理は、異なる仕組みで作用する薬を用いることで、治療抵抗性のがん細胞が発生する可能性を減らすというものです。異なる効果をもつ薬を併用する場合は、耐えがたい副作用を伴うことなくそれぞれの薬を最適な用量で使用できます。(がん治療の原則も参照のこと。) 一部のがんでは、がん手術、放射線療法、化学療法または他の抗がん剤を組み合わせるのが最善の方法です。手術と放射線療法では... さらに読む が行われます。小児の脳腫瘍治療に精通した 専門家の医療チーム がん治療の医療チーム 小児におけるがんはまれです。2016年の米国では、15歳未満の小児で新たに発生するがん患者は1万人をわずかに超えると予想されている一方で、成人ではほぼ170万人ががん患者になると予想されています。小児がんの約33%が白血病です。その他のがんには、脳腫瘍、リンパ腫、特定の骨腫瘍(骨肉腫と骨のユーイング肉腫)などがあります。小児がんの約25%... さらに読む が治療計画を作成します。この医療チームには、小児がん専門医(腫瘍医)、小児神経科医、小児神経外科医、放射線腫瘍医など、乳児、小児、青年の介護や治療を専門とする医師が加わります。

腫瘍が髄液の流れを遮っている場合には、腫瘍を手術で切除する前に、細いチューブ(カテーテル)を用いて髄液を外に排出することがあります。局所麻酔または全身麻酔を行った後、頭蓋骨に開けた小さな孔からカテーテルを通して排液を行い、頭蓋内圧を低下させます。カテーテルは頭蓋内圧測定用ゲージにつながれます。数日後、カテーテルは取り外されるか、永久的に留置できる排液チューブ(シャント— 水頭症 水頭症 水頭症とは、脳内の正常な空間(脳室)や、脳を覆う組織の内側の層および中間の層の間(くも膜下腔)に液体が過剰にたまった状態です。過剰に貯まった液体によって、通常は頭囲の拡大と発達異常が生じます。 脳内の正常な空間(脳室)にある液体が排出されないと水頭症が起こります。 この液体の蓄積には、先天異常、脳内出血、脳腫瘍などの多くの原因があります。 典型的な症状としては、頭の異常な拡大や発達異常などがあります。... さらに読む 水頭症 を参照)に取り替えられます。

手術可能な場合には頭蓋骨を開いて、腫瘍が切除されます(開頭術)。脳腫瘍の中には、脳にほとんど、またはまったく損傷を与えずに切除できるものがあります。手術後にMRI検査が行われ、残っている腫瘍があるかどうか、残っていればどのくらい残っているのかが確認されます。

腫瘍が手術で切除できない場合には、通常、追加的な治療が必要になります。5~10歳未満の小児の場合、腫瘍の種類によっては放射線療法が成長と脳の発達に悪影響を与えかねないため、初めに化学療法が行われることがあります。より年長の小児の場合は、必要に応じて放射線療法が行われます。化学療法では重篤な副作用が生じることがあります。

小児がんは比較的まれであるため、脳腫瘍患者の小児では必ず臨床試験( 科学としての医学 科学としての医学 医師たちは、何千年にもわたって人々の治療を行ってきました。医学的治療の最も古い記録は、3500年以上前の古代エジプトのものです。それ以前にも、ヒーラーやシャーマンが病人やけが人に対して薬草などの治療を行っていたようです。一部の単純な骨折や軽いけがに用いられたものなど、いくつかの治療法は実際に効果があるものでした。しかし、ごく最近になるまで... さらに読む )への参加を考慮すべきです。臨床試験では、標準的な治療を受ける小児もいれば、試験中の治療(実験的治療と呼ばれる)を受ける小児もいます。試験中の治療には、新薬を使う治療、既存の薬を新しいやり方で使う治療、新しい手術法や放射線照射法などがあります。しかし、試験的な治療が常に効果的であるとは限りません。副作用や合併症について分からない場合もあります。

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