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知的能力障害

執筆者:

Stephen Brian Sulkes

, MD, Golisano Children’s Hospital at Strong, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2018年 8月
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知的能力障害(一般に知的障害とも呼ばれます)とは、出生時や乳児期の初期から知能の働きが明らかに標準以下であり、正常な日常生活動作を行う能力が限られている状態です。

  • 知的能力障害は、遺伝的な場合もあれば、脳の発達に影響を与える病気の結果として起こる場合もあります。

  • 知的能力障害がある小児のほとんどでは、就学前まで目立った症状が現れません。

  • 診断は正式な検査の結果に基づいて下されます。

  • 適切な出生前ケアを受けると、小児に知的能力障害が生じるリスクが低下します。

  • 多くの専門家の支援、治療、および特別な教育により、小児が獲得できる機能を最大限に高めることができます。

以前用いられてきた精神遅滞という用語には、好ましくない社会的先入観や偏見があるため、医療従事者は知的能力障害という用語に変更しました。

知的能力障害は肺炎やレンサ球菌咽頭炎のような特定の病気ではなく、精神障害 小児における精神障害の概要 うつ病や不安症、摂食障害などのいくつかの重大な精神障害(精神の病気)は、しばしば小児期や青年期に発症します。統合失調症は、一般的には青年期中期から成人初期(30歳代半ばまで)の間のどの時期でも発症します。 なかには自閉症など、小児期に限って発症する病気もあります。 わずかな例外を除けば、精神障害の症状は、どんな小児でも経験する悲しみ、怒り... さらに読む でもありません。知的能力障害があると知能の働きが大幅に標準を下回り、日常生活の様々な行動(日常生活動作)のうち、2つ以上に関する対処能力(適応能力)が、継続的な支援を必要とするほど限定されます。適応能力は、次のようないくつかの領域に分類されます。

  • 概念化領域:記憶、読み書き、数学の能力

  • 社会的領域:他者の考えや感情に対する気づき、対人関係能力、社会的判断

  • 実際的領域:個人的ケア(身の回りの世話)、(仕事や学校での)課題の取り組み方、お金の管理、健康と安全

知的能力障害の程度は様々であり、軽度から最重度に分類されます。基本的に、障害は知的機能が低いこと(典型的には標準的な知能検査により測定されます)によって起きたものですが、生活面への影響は多くの場合、その人が必要とする支援の程度によって決まります。例えば、知能検査で軽度の障害しかない人でも、広範囲の支援が必要なほど適応能力が低いことがあります。

支援は次のように分類されます。

  • 一時的:必要に応じて行われる支援

  • 限定的:障害者作業所でのデイプログラムなどの支援

  • 長期的:毎日継続して行われる支援

  • 全面的支援:広汎なケアを行う介護施設などで行われているような、日常生活動作全般に対する高度な支援

知能指数(IQ)検査の点数のみに基づけば、全人口の約3%に知的能力障害があることになります。しかし、支援の必要度に基づけば、重大な精神的(認知的)機能障害があるとされるのは約1%にすぎなくなります。

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原因

知的能力障害の原因となる病気や環境的条件には様々なものがあります。一部の原因は遺伝性です。妊娠前や妊娠時に生じる原因もあれば、妊娠中、分娩中、出生後に生じる原因もあります。最も一般的な要因は、脳の成長と発達が何らかの原因によって障害を受けることです。遺伝学の最近の進歩、特に染色体分析技術の進歩があっても、多くの場合は、知的能力障害の具体的な原因を特定できません。

妊娠前または妊娠時に生じる原因としては以下のものがあります。

妊娠中に生じる原因としては以下のものがあります。

分娩時に生じる原因としては以下のものがあります。

出生後に生じる原因としては以下のものがあります。

症状

知的能力障害がある小児は、出生時や出生直後に明らかな異常を呈する場合があります。こうした異常には、身体的異常や神経学的異常があります。顔貌の異常、頭が異常に大きかったり小さかったりすること、手や足の奇形など、様々な形で現れることがあります。外見上はまったく正常であっても、けいれん、嗜眠、嘔吐、尿の匂いの異常、哺乳不良、発育不良など、健康に深刻な問題があることを示す徴候が現れる小児もいます。重い知的能力障害のある小児は、生後1年における運動能力の発達が遅れ、寝返りをうつ、座る、立つなどの動作ができるようになるのが遅くなります。

しかし知的能力障害がある小児のほとんどでは、幼稚園や保育所に行く年齢になるまで目立った症状が現れません。知的能力障害の程度が重いほど、症状が明らかになるのが早くなります。多くの場合、親が最初に気づく徴候は言葉の発達の遅れです。知的能力障害がある小児は、単語を話し始めたり、単語をつなぎ合わせて使ったり、完全な文を話したりする時期が遅れます。認知障害や言語能力の不足から、社会性の発達が遅れることもあります。知的能力障害がある小児は、自分で着替えたり自分でご飯を食べたりするようになるまでに、時間がかかることがあります。小児が小学校や幼稚園、保育所に通うようになって、年齢相応の振る舞いができないことが分かるまで、認知障害の可能性を考えない親もいます。

知的能力障害がある小児では、他の小児と比べて、怒りを爆発させたり、かんしゃくを起こしたり、攻撃的な行動や自傷行為をとったりするといった行動面での問題を抱えている傾向がやや大きくなります。こうした行動が多くみられるのは、コミュニケーション能力や衝動を抑える能力に障害があるために、特定の状況に対する欲求不満が悪化する場合です。年長児は、だまされやすくつけ込まれやすいことがあり、また、ささいな犯罪に引きずり込まれることもあります。

知的能力障害がある人の約20~35%には、精神障害もみられます(重複診断)。特に不安やうつ病が多く、これらは、自分が周りの小児と違うことに気づいた場合や、障害のために中傷や虐待を受けた場合に、とりわけ多くなります。

診断

  • 発達と知能の評価

  • 神経系の画像検査

  • 遺伝子検査

多くの小児は、小児神経科医、発達小児科医、臨床心理士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、特別教育専門の教師、ソーシャルワーカー、看護師などで構成される専門家チームによる評価を受けます。

医師は知的能力障害の疑いがある小児に検査を行い、知能検査を行ったり原因を探ったりします。たとえ小児の知的障害の原因が回復できない場合でも、知的能力障害を生じさせた病気を特定できれば、医師は小児のその後の経過を予測し、能力がこれ以上失われないよう予防手段を講じ、小児の機能水準を向上させる介入計画を立てることができる場合があります。また、次の子どもが知的能力障害をもつリスクについて、親にカウンセリングを行うことができます。

スクリーニング

親が軽度の発達障害に気づかないことがあるため、医師は、小児健診の際に定期的に発達スクリーニング検査を行います。医師は「年齢・発達段階質問票(Ages and Stages Questionnaires)」や「小児発達評価(Child Development Inventories)」などの簡単な質問票を用いた検査を行って、小児の認知能力、言語能力、運動能力を素早く評価します。医師が小児の機能水準を判定しやすくなるように、親が「親による発達状況評価(PEDS:Parents' Evaluation of Developmental Status)」への記入を行うことがあります。このようなスクリーニング検査の結果が、年齢水準よりも明らかに下回った小児には、正式な検査を行います。

正式な検査

正式な検査は以下の3つの要素から構成されています。

  • 親との面接

  • 小児の観察

  • 小児の能力を同年齢の多くの小児の点数と比べる検査(基準準拠検査)

「スタンフォード・ビネー知能検査」や「ウェクスラー式児童知能検査」などの検査によって知能を測定します。「バインランド適応行動評価尺度」などの検査は、コミュニケーション能力、日常生活技能、社会的能力、運動技能を評価します。一般にこのような正式な検査では、小児の知能と社会的能力を、同年齢の小児と正確に比較することができます。しかし、文化的背景が異なる小児、非英語圏の家庭の小児、社会経済的最下層出身の小児の場合には、こうした検査結果が悪くなりがちです。このため知的能力障害の診断に際しては、検査結果とともに、親から情報を手に入れ、小児を直接観察することによって、総合的に判断しなければなりません。知的能力障害の診断が妥当なのは、知能と適応能力の両方が標準を著しく下回る場合だけです。

原因の特定

知的能力障害を伴う病気が疑われる身体の異常やその他の症状がみられる新生児には、しばしば臨床検査を行って代謝性疾患や遺伝性疾患があるかどうかを調べる必要があります。

情動障害や学習障害も知的能力障害と混同されます。長期にわたり普通の愛情と関心をことごとく奪われていた小児( 小児に対するネグレクトと虐待の概要 小児に対するネグレクトと虐待の概要 小児に対するネグレクトとは、小児の成長に欠かせないものを与えないことです。小児虐待とは、小児に危害を加えることです。 小児に対するネグレクトや虐待のリスクを上昇させる要因として、貧困、薬物やアルコールの乱用、精神障害、片親による育児などがあります。 ネグレクトや虐待の被害を受けた小児は、疲れていたり、空腹であったり、不潔であったり、身体的... さらに読む 小児に対するネグレクトと虐待の概要 )は、知的能力障害があるようにみえることがあります。お座りや歩き始めること(粗大運動能力)が遅い小児や、ものをうまく使い始めること(微細運動能力)が遅い小児は、知的能力障害なのではなく、神経に障害がある場合もあります。

予後(経過の見通し)

知的能力障害は、重篤な身体障害を伴うことがあります。このため個々の状態に応じて、知的能力障害をもつ人の余命が短くなることがあります。概して、認知障害が重度であると同時に、身体障害が重度であればあるほど、余命は短くなる傾向にあります。しかし、軽度の知的能力障害をもつ人の余命は一般の余命とほぼ同じであり、どのような知的能力障害の場合であれ、医療のおかげで長期的な健康管理が可能になっています。 知的能力障害をもつ人の多くは、自立が可能で、一人で生活し、適切な支援があれば仕事についてうまくやっていくことができます。

予防

予防は、環境的な要因や遺伝性疾患、感染症、偶発的なけがに対して行います。

胎児性アルコール症候群 妊娠中のアルコール 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。先天異常の約2~3%は、病気や症状の治療に使... さらに読む は、知的能力障害の原因として非常に多いものですが、完全に予防できます。マーチ・オブ・ダイムス(米国の小児麻痺救済募金運動)やその他の団体は、知的能力障害の予防に関心を抱いており、妊娠中の飲酒がいかに深刻なダメージを与えるかという警告を女性に伝えることについて、多大な努力を行っています。

家族に遺伝性疾患の患者がいる場合や、遺伝性疾患をもつ小児が他にもいる場合、とりわけフェニルケトン尿症 フェニルケトン尿症(PKU) フェニルケトン尿症は、アミノ酸代謝異常症であり、フェニルアラニンというアミノ酸を生まれつき正常に分解できない乳児に起こります。脳に有害なフェニルアラニンが血液中に蓄積します。フェニルケトン尿症は、この病気を引き起こす欠陥のある遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。 フェニルケトン尿症は、フェニルアラニンをチロシンに変換するのに必要な酵素が欠損しているために起こります。... さらに読む テイ-サックス病 テイ-サックス病およびサンドホフ病 テイ-サックス病とサンドホフ病は、スフィンゴリピドーシスと呼ばれる一種のライソゾーム病であり、ガングリオシドが脳の組織内に蓄積することで起こります。これらの病気の患者は、若年で死亡します。これらの病気を引き起こす欠陥のある遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。 テイ-サックス病とサンドホフ病は、ガングリオシドを分解するのに必要な酵素が欠損しているために起こります。... さらに読む 脆弱X症候群 脆弱X症候群 脆弱X症候群は、X染色体の異常の1つで、知的障害と行動面の問題が現れます。 染色体は、細胞の中にあってDNAや多くの遺伝子が格納されている構造体です。遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパクの設計情報が記録された領域で、物質としてはDNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は 遺伝子と染色体)。遺伝子には、体がどのように機能するかを定めた詳細な指示が記録されています。... さらに読む などの知的能力障害を伴う病気をもつ小児がいる場合は、医師が遺伝子検査を勧めることがあります。遺伝性疾患の原因となる遺伝子が特定されると、遺伝性疾患をもつ子どもが生まれるリスクについて、遺伝カウンセラーが親にカウンセリングを行うことができます。

妊娠の予定がある女性は、必須の予防接種 予防接種の概要 予防接種(ワクチン接種)を行うことで、特定の細菌やウイルスが原因で起こる病気に対する体の抵抗力を高めることができます。免疫(特定の細菌やウイルスによって引き起こされる病気から自らを守る体に備わった能力)は、細菌やウイルスにさらされることで自然に生じる場合と、予防接種を受けることで人為的に得られる場合があります。ある病気に対して免疫ができる... さらに読む を受けるべきです。特に、風疹 予防 風疹は感染力の強いウイルス感染症で、関節痛や発疹などの軽い症状が出ます。 風疹の原因はウイルスです。妊娠中の母親が風疹に感染すると新生児に重い先天異常が起きます。 典型的な症状としては、リンパ節の腫れ、口蓋(こうがい)に出るバラ色の斑点、特徴的な発疹などがあります。 診断は症状に基づいて下されます。 定期予防接種で予防できます。 さらに読む 予防 の予防接種は必ず済ませておかなければなりません。 風疹 風疹 風疹は感染力の強いウイルス感染症で、関節痛や発疹などの軽い症状が出ます。 風疹の原因はウイルスです。妊娠中の母親が風疹に感染すると新生児に重い先天異常が起きます。 典型的な症状としては、リンパ節の腫れ、口蓋(こうがい)に出るバラ色の斑点、特徴的な発疹などがあります。 診断は症状に基づいて下されます。 定期予防接種で予防できます。 さらに読む 風疹 ヒト免疫不全ウイルス ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 (HIV)など、胎児に害を与える可能性のある感染症のリスクがある女性は、妊娠前に検査を受ける必要があります。

妊娠中に超音波検査 超音波検査 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。 こうした遺伝子検査は侵襲的で、胎児への一定のリスクを伴います。 (遺伝性疾患の概要も参照のこと。) さらに読む 羊水穿刺 羊水穿刺 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。 こうした遺伝子検査は侵襲的で、胎児への一定のリスクを伴います。 (遺伝性疾患の概要も参照のこと。) さらに読む 絨毛採取 絨毛採取 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。 こうした遺伝子検査は侵襲的で、胎児への一定のリスクを伴います。 (遺伝性疾患の概要も参照のこと。) さらに読む 、様々な血液検査などの特定の検査を行うと、知的能力障害が生じることが多い状態を発見できます。ダウン症候群 ダウン症候群(21トリソミー) ダウン症候群は、余分な21番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 ダウン症候群は、21番染色体が余分に複製されることで発生します。 ダウン症候群の小児では、発育の遅れ、精神発達の遅れ、特異的な頭部と顔貌、しばしば低身長がみられます。 出生前の段階では、ダウン症候群は超音波検査や母親の血液検査の結果から疑われ、絨毛採取や羊水穿刺という検査で確定されます。... さらに読む ダウン症候群(21トリソミー) の子どもが生まれるリスクの高い女性、特に35歳以上の女性や、代謝性疾患の患者が家族にいる女性に対しては、多くの場合、羊水穿刺や絨毛採取が行われます。

神経管閉鎖不全 神経管閉鎖不全と二分脊椎 神経管閉鎖不全は脳、脊椎、脊髄に生じる先天異常の一種です。 神経管閉鎖不全により、神経損傷、学習障害、麻痺、死亡が起こることがあります。 血液検査、羊水検査、超音波検査の結果に基づいて出生前から診断できます。 母親が妊娠前と第1トリメスター(訳注:日本の妊娠初期にほぼ相当)に葉酸を摂取することが、これらの異常の予防に役立つ可能性があります。 神経管の欠損部を閉鎖するための手術が必要です。 さらに読む 、ダウン症候群、その他の異常に対するスクリーニング検査には、母親のアルファ-フェトプロテイン 第2トリメスターのスクリーニング 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。 こうした遺伝子検査は侵襲的で、胎児への一定のリスクを伴います。 (遺伝性疾患の概要も参照のこと。) さらに読む の血中濃度を測定する検査が役立ちます。非侵襲的出生前検査(NIPT)では、母体の血液中に少量だけ含まれる胎児のDNAを検出し、それを利用して21トリソミー(ダウン症候群 ダウン症候群(21トリソミー) ダウン症候群は、余分な21番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 ダウン症候群は、21番染色体が余分に複製されることで発生します。 ダウン症候群の小児では、発育の遅れ、精神発達の遅れ、特異的な頭部と顔貌、しばしば低身長がみられます。 出生前の段階では、ダウン症候群は超音波検査や母親の血液検査の結果から疑われ、絨毛採取や羊水穿刺という検査で確定されます。... さらに読む ダウン症候群(21トリソミー) )、13トリソミー 13トリソミー 13トリソミーは、余分な13番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、重度の知的障害と様々な身体的異常がみられます。 13トリソミーは、13番染色体が余分に複製されることで発生します。 この症候群の乳児は、典型的には体格が小さく、しばしば脳、眼、顔面、心臓に重大な異常がみられます。 診断を確定するための検査は、出生前でも出生後にも行えます。 13トリソミーに治療法はありません。 さらに読む 13トリソミー 18トリソミー 18トリソミー 18トリソミーは、余分な18番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 18トリソミーは、18番染色体が余分に複製されることで発生します。 この症候群の乳児は、典型的には体格が小さく、多くの身体的異常と内臓の機能障害がみられます。 診断を確定するための検査は、出生前でも出生後にも行えます。 18トリソミーには治療法がありません。 さらに読む 18トリソミー 、その他特定の染色体異常など、胎児の遺伝性疾患を診断します。

水頭症 水頭症 水頭症とは、脳内の正常な空間(脳室)や、脳を覆う組織の内側の層および中間の層の間(くも膜下腔)に液体が過剰にたまった状態です。過剰に貯まった液体によって、通常は頭囲の拡大と発達異常が生じます。 脳内の正常な空間(脳室)にある液体が排出されないと水頭症が起こります。 この液体の蓄積には、先天異常、脳内出血、脳腫瘍などの多くの原因があります。 典型的な症状としては、頭の異常な拡大や発達異常などがあります。... さらに読む 水頭症 や重度のRh式血液型不適合 Rh式血液型不適合 Rh式血液型不適合は、母体がRhマイナスで胎児がRhプラスの場合に起こります。 Rh式血液型不適合により胎児の赤血球が破壊されうるため、重症の貧血が起こることがあります。 胎児が貧血を起こしていないかどうかを調べるため、定期的に検査を行います。 貧血が疑われる場合には胎児に輸血が行われます。 胎児に問題が起こらないよう、妊娠28週頃、大量出血が生じた後、分娩後、および特定の処置を行った後に、血液型がRhマイナスの妊婦にRh抗体を注射しま... さらに読む などの一部の病気は、妊娠中に治療できる場合があります。しかし、治療できない病気がほとんどです。早期に胎児の異常が分かることで可能になるのは、親が心の準備をしたり、中絶を検討したりすることだけです。

治療

  • 集学的支持療法

知的能力障害の小児にとって最善なのは、多職種で構成されたチームによるケアを受けることです。このようなチームには、次のような職種が含まれます。

  • かかりつけ医

  • ソーシャルワーカー

  • 言語療法士

  • 作業療法士

  • 理学療法士

  • 神経科医または発達を専門とする小児科医

  • 心理士

  • 栄養士

  • 教師

  • 整形外科医

必要であれば他の専門家もチームの一員になります。知的能力障害の疑いが生じたら、できるだけ早期に、専門家チームは家族とともにその小児に合わせた包括的な療育プログラムを作成します。小児の親や兄弟姉妹に対しても精神的な支援が必要です。カウンセリングが必要になる場合もあります。家族全員が療育計画に関与するようにします。

どのような支援が必要であるかを決めるにあたっては、その小児が得意なことと苦手なことのすべてについて考慮しなくてはなりません。身体障害、性格面での問題、精神障害、対人能力などの要素をすべて考慮します。知的能力障害に加えてうつ病などの精神障害を伴っている小児の場合には、適切な薬を知的能力障害のないうつ病の小児への投与量とほぼ同用量で投与することがあります。しかし、薬物療法に並行して行動療法や環境の変化を行わないと、たいていの場合は効果がありません。

知的能力障害の小児はみな、特別な教育から大きな利益を得られます。米国個別障害者教育法(Individuals with Disabilities Education Act:IDEA)は、公立学校に対して、知的能力障害やその他の発達障害がある小児と青年に適切な教育を無償で提供することを義務づけています。教育は極力制限がなく、可能な限り包括的な環境で行わなくてはなりません。つまり、障害のある小児が障害のない小児と交流する機会や、その地域にある施設などの資源を同等に使う機会を、あらゆる場面で与えられる教育環境です。

知っていますか?

  • 米国個別障害者教育法(IDEA)は公立学校に対し、知的能力障害やその他の発達障害がある小児と青年に、適切な教育を無償で提供することを義務づけています。

通常、知的能力障害のある小児にとって最善なのは、自宅で生活することです。しかし、特に小児の障害が重く複雑な場合には、自宅でこのような小児のケアが十分できないことがあります。小児がどこで生活するかを決めるのは難しく、家族と支援チームが様々な点に関して話し合う必要があります。重い障害をもつ小児と自宅で生活するためにはきめ細やかなケアが必要であり、親によってはこれができない場合もあります。家族に心理的支援が必要なことがあります。ソーシャルワーカーは、家族が支援サービスを利用できるようにします。デイケア施設やレスパイトケア施設などを利用したり、家政婦や保育士などの助けを得たりすることもできます。知的能力障害のある成人はたいてい地域社会が提供する施設で生活していますが、こうした施設では、各人の必要に応じたサービスを受けたり、仕事や娯楽に参加したりする機会も提供されます。

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