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子宮頸がん

執筆者:

Pedro T. Ramirez

, MD, The University of Texas MD Anderson Cancer Center;


Gloria Salvo

, MD, MD Anderson Cancer Center

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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子宮頸がんは子宮頸部(子宮の下部)に発生します。

  • 子宮頸がんは通常、性交時に感染するヒトパピローマウイルス(HPV)による感染症の結果として発生します。

  • 子宮頸がんは不定期の性器出血(不正出血)を引き起こすことがありますが、がんが大きくなるか広がるまで何の症状もみられない場合もあります。

  • 通常は子宮頸部細胞診で異常が見つかり、その場合は生検を行います。

  • 定期的に子宮頸部細胞診を受け、ヒトパピローマウイルスのワクチン接種を受けることで子宮頸がんの予防に役立ちます。

  • 治療では手術でがんを切除するのが通常で、多くは周辺組織も切除しますが、腫瘍が大きい場合は、放射線療法や化学療法を併用することもよくあります。

女性生殖器のがんの概要を参照のこと。)

子宮頸部は子宮の下部の細くなっている部分で、腟につながっています。

子宮頸がんは、米国では婦人科がんの中で3番目に多く、若い女性に多くみられます。診断時の平均年齢は約50歳ですが、20歳前後の若い女性にみられることもあります。

子宮頸がんの約80~85%は扁平上皮がんで、これは子宮頸部を覆っている、皮膚の細胞に似た平らな扁平上皮細胞から発生するがんです。これ以外の子宮頸がんのほとんどは、腺細胞から発生する腺がんです。

子宮頸がんが発生する過程では、まず子宮頸部表面の正常な細胞に緩やかな進行性の変化が生じます。それらの変化は異形成または子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)と呼ばれ、がんになる前の状態(前がん病変)とみなされます。つまり、治療しないでいると、がんに変化する可能性があり、数年かかってがん化する場合もあります。CINは軽度(CIN 1)、中等度(CIN 2)、高度 (CIN 3)に分類されます。

子宮頸がんは、子宮頸部の表面に発生し、表面下に深く広がっていきます。子宮頸がんは以下のように広がります。

  • 腟をはじめとする近くの組織に直接広がる

  • 子宮頸部に網の目のように張り巡らされている多数のリンパ管を介して別の部位に転移する

  • 血流を介して広がる(まれ)

原因

子宮頸がんの最も一般的な原因は、性交時に感染するヒトパピローマウイルス(HPV)です。このウイルスは尖圭コンジローマ(性器疣贅)も引き起こします。

子宮頸がん発生の危険因子には以下のものがあります。

  • 初めての性交時の年齢が低い

  • 複数のセックスパートナーがいる

  • 喫煙者

  • 免疫機能の低下(がんやエイズなどの病気または化学療法薬やコルチコステロイドなどの薬剤の影響による)

初めて性交を経験した年齢が若いほど、また過去のセックスパートナーの数が多いほど、子宮頸がんのリスクが高くなります。

症状

通常、前がん病変(がんになる前の状態)では症状がみられません。早期の子宮頸がんでは症状がないことがあります。

通常、子宮頸がんの最初の症状は異常な性器出血で、多くは性交後に生じます。月経期以外の時期に少量の性器出血または多量の出血がみられたり、月経が通常より重くなる場合もあります。がんが大きくなると出血を起こしやすくなり、悪臭のあるおりものや骨盤部の痛みを引き起こすこともあります。

がんが広範囲に及ぶと、腰痛や脚のむくみが起こることがあります。尿路の閉塞を起こすこともあり、治療せずにいると腎不全を起こして死に至ることがあります。

診断

  • 子宮頸部細胞診(パパニコロウ検査)

  • 生検

子宮頸部細胞診などを定期的に行うことで、子宮頸がんを早期に発見できます。子宮頸部細胞診は、まだ症状がみられないケースも含めて子宮頸がんの最大80%を正確に検出できます。子宮頸部細胞診で異形成を検出することもできます。異形成がある場合は3~4カ月後に再検査を受ける必要があります。異形成は治療できるため、がんの予防に役立ちます。

生検

内診で子宮頸部に腫瘍やびらん(ただれ)などの異常な領域がみられる場合や、子宮頸部細胞診で異形成やがんが見つかった場合は、生検を行います。通常は、双眼の拡大鏡が付いた機器(コルポスコープ)を腟から挿入して子宮頸部を観察し、生検に適した部位を特定します。

2種類の生検が行われます。

  • パンチ生検:コルポスコープで観察して決めた部位から組織の小片を採取します。

  • 子宮頸部擦過細胞診:子宮頸部の内側の見えない部分から組織をこすり取ります。

生検の際には痛みはほとんどなく、出血量もわずかです。通常はこの2種類の生検で、病理医が診断を下すのに十分な組織が得られます。

これらの方法で診断を確定できない場合は、子宮頸部の組織をより大きく円錐形に切除します(円錐切除)。通常は、高周波電流の流れる細いループ状のワイヤーを使用するループ電気メス切除法(LEEP法)で行います。代わりにレーザーが使用されることもあります。どちらの方法も局所麻酔だけですみ、外来の処置室などで行うことができます。電気を使わずにメスを使用する場合もありますが、その場合には、手術室で麻酔をかけて行う必要があります。

子宮頸がんの病期診断

子宮頸がんと診断されたら、その正確な大きさと位置(病期)を判定します。そのために、まず内診と胸部X線を行います。次に、がんが近くの組織や離れた部位に広がっていないかを調べるため、通常、CT検査、MRI検査、またはCT検査とPET(陽電子放出断層撮影)検査を組み合わせて行います。これらが利用できない場合、医師は特定の臓器を調べるため、膀胱鏡検査(膀胱)、S状結腸内視鏡検査(結腸)、排泄性尿路造影検査(尿路)などの他の検査を行うこともあります。

病期は、I期(早期がん)からIV期(進行がん)に分類されます。病期分類は、がんの大きさや体内での広がりに基づきます。

  • I期:がんが子宮頸部に限局している。

  • II期:がんが腟上部など子宮頸部外に広がっているが、骨盤内(内性器、膀胱、および直腸がある部分)にとどまっている。

  • III期:がんの骨盤内全体もしくは腟の下部に広がっている、および/または尿管の閉塞もしくは腎臓の機能障害を引き起こしている。

  • IV期:がんが骨盤外および/または膀胱もしくは直腸に広がっている、または離れた臓器に転移している。

予後(経過の見通し)

予後は子宮頸がんの病期によって異なります。診断と治療から5年後に生存している人の割合は、以下の通りです。

  • I期:80~90%

  • II期:60~75%

  • III期:30~40%

  • IV期:15%以下

がんが再発する場合、通常は診断と治療から2年以内に再発します。

知っていますか?

  • 子宮頸部細胞診の導入により、子宮頸がんによる死亡数は50%以上減少しました。

  • すべての女性が子宮頸部細胞診を定期的に受ければ、このがんによる死亡数をほぼゼロにすることも可能といわれています。

  • ヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンの接種が子宮頸がんの予防に役立ちます。

予防

スクリーニング検査

子宮頸がんのスクリーニングには以下の2種類の検査が用いられます。

  • 子宮頸部細胞診:子宮頸部からの細胞を顕微鏡で検査し、がん化しているものや異常なものがないか調べる。異常な細胞は、治療をしないとがんに進行する可能性があります(前がん状態の細胞)。

  • HPV検査:子宮頸部のサンプルを検査し、HPVの有無を調べる。

子宮頸部細胞診の導入以降、子宮頸がんによる死亡数は50%以上減少しました。

スクリーニング検査を受ける頻度は、主に女性の年齢と前回の検査結果によって変わります。女性に子宮頸がんの危険因子がなく、過去に検査結果が異常であったことがなければ、以下のように検査を受けます。

  • 21~30歳:子宮頸部細胞診を通常3年毎(HPV検査は一般に推奨されない)

  • 30~65歳:子宮頸部細胞診だけを受けている場合は3年毎、子宮頸部細胞診とHPVの検査を受けている場合は5年毎(子宮頸がんの危険因子がある女性ではより頻繁に検査を行う)

  • 65歳以降:過去10年間の検査結果が正常であれば、以降検査しない

子宮頸がんあるいは異形成の既往がある人は、少なくとも年に1回は検査を受けるべきです。

子宮頸部細胞診の結果が異常であったことがなく、がん以外の理由で子宮を摘出した場合、子宮頸部細胞診やHPV検査を受ける必要はありません。

すべての女性が子宮頸部細胞診を定期的に受ければ、このがんによる死亡数をほぼゼロにすることも可能といわれています。しかし、米国では多くの女性が定期的に検査を受けていません。また、子宮頸がんの患者の多くは、10年以上子宮頸部細胞診を受けていなかった女性です。

ヒトパピローマウイルスワクチン

HPVワクチンは、大半の子宮頸がん(と尖圭コンジローマや肛門、腟、陰茎、咽頭、食道などのがん)を引き起こす種類のHPVを標的としています。このワクチンは子宮頸がんを始めとするがん予防に役立ちますが、治療効果はありません。

医師は女児と男児が11歳または12歳のときに接種を受けることを推奨していますが、小児は9歳から受けることができます。

性的に活動的になる前のワクチン接種が最も有効ですが、すでに女児や女性が性交渉を開始している場合でも接種を受けるべきです。

15歳未満では、6~12カ月の間隔を空けてワクチンを2回接種します。2回目の接種が初回接種後5カ月以内に行われた場合、2回目の接種から最短でも4カ月空けて3回目の接種を行います。

15歳以上では、ワクチン接種は3回行います。1回目の接種から2カ月後に2回目の接種を行います。1回目の接種から、6カ月後に最後の接種を行います。

コンドーム

性交時にコンドームを正しく使うことがHPVの感染予防に役立つ可能性があります。ただし、感染しうる部位をコンドームですべて覆うことはできないため、コンドームでHPV感染を完全に防御することはできません。

治療

  • がんの病期により手術、放射線療法、および/または化学療法

子宮頸がんの治療は、がんの病期によって異なります。手術、放射線療法、化学療法などがあります。

前がん病変およびI期の初期の子宮頸がん

前がん状態の子宮頸部細胞(子宮頸部上皮内腫瘍、CIN)と子宮頸部の表面だけに限局している子宮頸がん(I期の初期)には、同様の治療が行われます。円錐切除を行う際にループ電気メス切除法(LEEP)やレーザー、あるいはメスで子宮頸部の一部を切除して、がんを完全に取り除くことができます。これらの方法では治療後も子どもを産むことができます。

がんが再発する可能性があるため、最初の1年間は3カ月に1回、それ以降は6カ月に1回、診察と子宮頸部細胞診を受けるように医師は助言します。

まれに、子宮の摘出(子宮摘出術)が必要になります。

I期の後期~II期の初期の子宮頸がん

早期のがんが子宮頸部の表面を越えて広がっている場合(I期の後期)、治療は一般的に以下を行います。

  • 子宮に加えて周辺組織(腟の上部を含む)と靱帯(広汎子宮全摘出術)および近くのリンパ節の摘出

骨盤内に進展するか広がり始めている場合(II期の初期)、治療は一般的に以下のいずれかを行います。

  • 放射線療法および化学療法

  • 広汎子宮全摘出術と近くのリンパ節の摘出

それぞれの治療で約85~90%の女性が治癒します。卵巣は、がんが広がる(転移する)可能性が高いかどうかによって、切除する場合があります。手術時に卵巣が正常にみえ、女性が若い場合、卵巣は摘出されません。

手術中にがんが子宮頸部以外に広がっていることが分かった場合には、子宮摘出術は行わず、放射線療法が推奨されます。

II期の後期~IV期の初期の子宮頸がん

子宮頸がんが骨盤内でさらに広がっている場合や、他の臓器に広がっている場合は、以下の治療が適しています。

  • 放射線療法およびシスプラチンを含む化学療法の併用

リンパ節に転移があるかどうかを判定し、放射線の照射部位を決定するために、腹腔鏡検査や手術を行うこともあります。がんを小さくし、近くのリンパ節に広がっている可能性のあるがんを治療するため、外部照射(体外から骨盤部に放射線を照射する方法)が行われます。その後、放射線を放出する機器(小線源)を子宮頸管内に入れ、がんを破壊します(密封小線源治療と呼ばれる内照射療法の一種)。

多くの場合腫瘍が放射線療法によるダメージを受けやすくするために、放射線療法と併せて化学療法を行います。

放射線療法の後に骨盤内にがんが残っている場合は、骨盤内臓器の一部または全部を切除する手術(骨盤除臓術と呼ばれます)を勧められることがあります。対象となる臓器には、生殖器(腟、子宮、卵管、および卵巣)、膀胱、尿道、直腸、および肛門が含まれます。どの臓器を切除するかや、すべてを切除するかどうかは、がんの位置、患者の解剖学的構造、手術後の目標など、多くの要因によって異なります。尿(人工膀胱造設術)と便(人工肛門造設術— 人工肛門造設術について理解する)を排出するため、腹部に固定した開口部を作り、そこを通して排泄物を体外に出し、バッグに貯められるようにします。この手術の後には、通常はいくらかの出血、分泌物、強い圧痛や痛みが数日続きます。一般的な入院期間は3~5日です。感染症、切開部の傷が開く、腸閉塞、瘻孔(臓器と臓器の間に異常な通路ができること)などの合併症が起こる可能性があります。この手術により、最大で40%の人が治癒します。

子宮頸がんが広範囲に広がっている場合と再発した場合

主な治療は以下を行います。

  • 化学療法(通常はパクリタキセル+シスプラチンまたはノギテカンの併用)

しかし、化学療法によってがんの縮小や転移の抑制といった効果が得られる人の割合は15~25%にすぎず、これらの効果も通常は一時的なものにすぎません。別の薬剤(いくつかの種類のがんの治療に使用されるモノクローナル抗体であるベバシズマブ)を追加することにより、生存期間が数カ月延びる可能性があります。

センチネルリンパ節郭清術

センチネルリンパ節はがん細胞が広がる可能性が高い最初のリンパ節です( センチネルリンパ節とは)。センチネルリンパ節は複数存在する場合があります。これらのリンパ節は、がんの広がりを最初に警告するリンパ節であることから、センチネルリンパ節と呼ばれます(「センチネル」とは見張りという意味です)。

センチネルリンパ節郭清術では、センチネルリンパ節を特定し(マッピングと呼ばれる)、切除し、検査してがん細胞が存在するかどうか判定します。

センチネルリンパ節を特定するには、青もしくは緑の色素または放射性物質を子宮頸部の腫瘍に近い位置に注入します。これらの物質が通過する経路により、子宮頸部から最初にたどり着く骨盤部のリンパ節(複数の場合もあります)を特定できます。そして手術中に、青または緑色をしているか放射線(手持ち式の装置で検出)を発しているリンパ節がないか調べます。医師はこれらのリンパ節を切除し、検査室に送ってがんがないかを調べます。センチネルリンパ節にがん細胞が検出されなかった場合は、それ以上リンパ節を切除することはありません(異常にみえるものがある場合を除く)。

センチネルリンパ節郭清術は、切除する必要のあるリンパ節を、ときに1つのみにまで限定するのに役立ちます。リンパ節の切除によって、しばしば組織に体液が貯留し慢性的なむくみ(リンパ浮腫)を起こしたり、神経が損傷するなどの問題が生じます。

妊娠と子宮頸がん

広汎子宮全摘出術、化学療法、または放射線療法による治療により、妊娠したり、満期まで妊娠を継続したりすることが通常、不可能になります。しかし、生殖補助医療が進歩し、これらの治療後に子どもを産むことができる可能性が出てきました。出産が可能となることが自分にとって重要であれば、患者は主治医に相談し、これらの治療のリスクおよび必要性や、治療後に妊娠して子どもをもてる可能性について、できるだけ多くの情報を得るべきです。

I期の後期の子宮頸がんがある女性で、将来妊娠・出産をしたいと希望する場合は、広汎子宮頸部摘出術(妊よう性を温存する治療)と呼ばれる別のがん治療が行われることがあります。この方法では子宮頸部、子宮頸部に隣接する組織、腟上部、骨盤部のリンパ節を切除します。これらの組織を切除するために以下のいずれかの方法が用いられます。

  • 腹部を切開する(開腹手術)

  • 柔軟性のある観察用の細い管状の機器(腹腔鏡)をへそのすぐ下を小さく切開部して挿入し、器具を腹腔鏡に通して、ときにロボットによる支援下で手術を行う(腹腔鏡下手術)

  • 腟から組織を切除する(腟式手術)

子宮と腟の下部を再びつなぎ合わせるため、手術後も妊娠が可能です。ただし、分娩は帝王切開で行う必要があります。この治療を受けた女性の約50~70%が妊娠します。

早期の子宮頸がんであれば、子宮頸部摘出術は多くの患者で広汎子宮頸部摘出術と同程度に効果があると考えられています。このがんは約5~10%の女性で再発します。

合併症

放射線療法では、膀胱や直腸に刺激感が生じることがあります。その結果、後になって腸が閉塞したり、膀胱や直腸がダメージを受けることがあります。また、通常は卵巣の機能も停止し、腟が狭くなることもあります。

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