液体で満たされた内耳(迷路)は複雑な構造で、次の2つの主要部分から構成されています。
聴覚器官(蝸牛[かぎゅう])
平衡器官(前庭系[ぜんていけい])
蝸牛および前庭系は、第8 脳神経 脳神経の概要 脳神経は12対の神経で構成され、脳から直接出て頭部、頸部、体幹の様々な部位へと伸びています。脳神経には、特殊な感覚(視覚、聴覚、味覚など)を担うものと、顔の筋肉を制御したり腺を調節したりするものがあります。脳神経は、それぞれの位置に応じて、脳の前から後ろに向かって番号と名前が付けられています。... さらに読む (内耳神経)で脳につながっています。この神経の1枝である聴神経は、音の信号を脳に伝え、もう一方の枝は平衡感覚に関わる信号を脳に伝えています。
(難聴 難聴 世界中で約5億人(世界人口のほぼ8%)が難聴を抱えています。米国では、人口の15%以上に日常のコミュニケーションに影響を及ぼすある程度の難聴があり、最も一般的な感覚障害となっています。発生率は年齢とともに上昇します。永続的な難聴がある18歳以下の小児は2%未満ですが、 乳児期と幼児期の難聴は、言語と社会性の発達に支障をきたすことがあります... さらに読む も参照のこと。)
耳の内部の構造
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蝸牛
蝸牛はカタツムリの殻のような渦巻き形の中空の器官で、液体で満たされています。蝸牛の中にはコルチ器があり、その一部は有毛細胞(聴細胞)と呼ばれる特殊な細胞がおよそ2万個集まってできています。有毛細胞には、細い毛のような小突起(線毛)があり、液体の中へ伸びています。音の振動が耳の中に伝わり、鼓膜から中耳にある3つの小さな一連の骨(耳小骨)に伝達されます。耳小骨は内耳の卵円窓につながっています。卵円窓が動くと、液体と線毛が振動します。線毛が振動すると、有毛細胞から神経を伝って信号が脳へと送られます。脳はこの神経信号を音として解釈します。
アブミ骨筋反射による防御機能には、中耳にある小さな筋肉が収縮することによって耳小骨が動く量を減らす働きがありますが、この機能があるにもかかわらず、大きな騒音によって有毛細胞が傷ついたり破壊されたりすることがあります。有毛細胞は一度破壊されると再生することはありません。大きな騒音に継続的にさらされると、損傷が進み、やがて 難聴 難聴 世界中で約5億人(世界人口のほぼ8%)が難聴を抱えています。米国では、人口の15%以上に日常のコミュニケーションに影響を及ぼすある程度の難聴があり、最も一般的な感覚障害となっています。発生率は年齢とともに上昇します。永続的な難聴がある18歳以下の小児は2%未満ですが、 乳児期と幼児期の難聴は、言語と社会性の発達に支障をきたすことがあります... さらに読む や、頻繁に耳鳴り(耳鳴 耳鳴り 耳鳴り(耳鳴[じめい])とは、周囲の音ではなく、耳の中で発生している雑音です。耳鳴りは症状であり、特定の病気ではありません。非常によくみられ、程度の差はありますが、10~15%の人が経験します。 耳鳴りの人に聞こえる雑音には、ジー、キーン、ザー、ヒュー、シューなどがあり、 難聴を伴うことがよくあります。その都度異なることがある複雑な音が聞... さらに読む )が起こります。
前庭系
前庭系は、球形嚢と卵形嚢という液体で満たされた2つの袋と、半規管という同じく液体で満たされた3つの管で構成されています。これらの袋と管は、頭の位置と動きについての情報を集めています。その情報を脳が利用して、体のバランスの維持に役立てています。
球形嚢と卵形嚢は前庭に位置し、頭の直線的な動き、すなわち加速を認識する前後の動きや重力を認識する上下の動きを感じる細胞が含まれています。
半規管は、液体で満たされた3つの管が互いに直角に交差した構造をしていて、頭部の回転を感じ取ります。頭を回転させると、半規管の中の液体が動きます。頭が動く方向に応じて、いずれか1つの管の液体が他の2つより大きく動きます。半規管の中には有毛細胞があり、この液体の動きに反応します。有毛細胞は神経インパルスという信号を発生させ、その信号によって頭がどの方向に動いているかという情報が脳に伝わり、それを基に体のバランスを保つのに適切な動作を行うことができます。
半規管は、上気道感染や他の一時的または永続的な病気によって機能が障害されることがあり、その場合、平衡感覚が失われたり、回転性めまい(動いたり回転したりしているような感覚)が発生したりすることがあります。
内耳の病気
内耳の病気によって以下に影響が及ぶ可能性があります。
聴覚
平衡感覚
聴覚と平衡感覚の両方
内耳の病気には以下のものがあります。