梅毒の症状は、見かけ上は健康な時期をはさんで、3段階で生じます。
まず患部に痛みのない潰瘍が現れ、第2期では、発疹、発熱、疲労感、頭痛、食欲減退がみられます。
治療しないでいると、第3期には、大動脈、脳、脊髄、その他の臓器が侵されることがあります。
医師は通常、患者に梅毒があることを確認するために2種類の血液検査を行います。
この感染症はペニシリンで根治させることができますが、再び感染する場合があります。
(性感染症の概要 性感染症(STD)の概要 性感染症(性病)とは、例外はあるものの、一般的には性的接触によって人から人に感染する病気のことです。 性感染症を引き起こす病原体の種類としては、細菌、ウイルス、原虫などがあります。 キスや濃厚な体の接触を介して広がる感染症もあります。 感染が体の他の部分に広がり、ときには深刻な結果に至る場合もあります。... さらに読む も参照のこと。)
梅毒にかかった人の大半は男性で、その多くが男性と性行為を行う男性で、その中でも特に ヒト免疫不全ウイルス ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む (HIV)に感染している男性や都市に住む男性によくみられます。2000年に米国で報告された第1期および第2期梅毒は5,979例で、これは1941年に報告が始まって以来最も少ない数でした。しかし、症例数はそれ以降ほぼ毎年増加しており、2018年には35,063例の第1期および第2期梅毒が報告されました。男性と性行為をする男性での症例数は増加の一途をたどっていますが、過去5年間に限れば、女性と性行為をする男性や、セックスパートナーの性別を問わず女性全般でも大幅に増加しています。
特定の条件と活動(危険因子)は梅毒になるリスクを高めます。具体的には以下のものがあります。
HIVに感染している
男性と性行為をする男性である
梅毒にかかっている人は、多くの場合、他の性感染症も患っています。
梅毒は、症状のない時期(潜伏梅毒)をはさんで、3つの段階(第1期、第2期、第3期)で症状を引き起こします。
梅毒の感染経路
第1期と第2期では感染力が高くなります。潜伏期の初期にも他者に感染する可能性があります。
通常は性的接触により感染します。早期梅毒の相手と性交を1回行うことで感染する確率は約3分の1です。細菌は、腟、口などの粘膜や皮膚を通じて体内に侵入します。数時間のうちに付近のリンパ節に達し、その後、血流に乗って全身に広がります。
他の経路で感染することもあります。 妊娠中に胎児に感染 新生児の梅毒 梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌によって引き起こされる感染症です。出生前に感染した乳児には、重篤な問題が現れます。 梅毒は細菌によって引き起こされます。 妊娠中に重篤な合併症が発生することがあります。 新生児は無症状のこともあれば、重篤な症状と合併症を呈することもあります。 診断は一般に新生児と母親の血液検査に基づいて下されます。 さらに読む して、先天異常などの障害が生じることがあります。
ときに、感染した皮膚潰瘍との接触を介して梅毒に感染することがあります。しかし、細菌はヒトの体外では長く生き延びることができないため、梅毒の人が触れた物体(便座やドアノブなど)に触れても、梅毒が広がることはありません。
症状
症状の各段階(第1期、第2期、第3期)は進行性に悪化していきます。
治療しないと、症状もなく何年も長引くことがあり、大動脈(体内で最も太い動脈)や脳の障害を引き起こし、死に至る可能性もあります。 神経梅毒 第3期(または晩期) (脳と脊髄を侵す梅毒)は梅毒のどの段階でも発症する可能性があります。
早期に発見して治療すれば、梅毒は永久的な障害を残すことなく治癒することが可能です。
第1期
特に陰茎、外陰部、腟などの感染部位に、痛みのない下疳(げかん)と呼ばれる潰瘍ができます。下疳が肛門、直腸、唇、舌、のど、子宮頸部、指、その他の部位にできることもあります。通常は1カ所だけですが、ときに複数できることもあります。症状は感染後3~4週間で現れますが、早ければ1週間、遅ければ13週間後に生じることもあります。
下疳は小さな赤い隆起として始まり、すぐに比較的痛みの少ない、硬く隆起した潰瘍になります。出血はなく、触ると硬く感じられます。付近のリンパ節もよく腫れますが、これも痛みは伴いません。下疳には症状がほとんどないことから、女性の約半数、男性では3人に1人は気づきません。直腸や口の下疳は多くが男性に生じ、気づかれないこともよくあります。
下疳は通常3~12週間で治ります。その後、患者は完全に健康になったようにみえます。
第2期
菌が血流に乗って広がり、広い範囲で発疹、リンパ節の腫れが起こり、またあまり多くありませんが他の臓器にも症状を引き起こします。発疹は通常、感染後6~12週間で現れます。この時点でもまだ、感染者の約4分の1に下疳がみられます。一般的にこの発疹は痛くもかゆくもなく、外観は様々です。
他の大半の病気で生じる発疹とは異なり、この発疹はしばしば手のひらや足の裏にできます。発疹はすぐ消えることもあれば、何カ月も続くこともあります。治療をしなくても、発疹はやがて消えますが、数週間、または数カ月経ってから再発することがあります。頭皮に発疹ができると、髪の毛が斑状に抜け落ちて、虫食い状態になります。
口、わきの下、陰部、肛門など、皮膚の湿った部位に扁平コンジローマと呼ばれる上部が平らで滑らかな隆起ができることがあります。痛みのないこれらの増殖物は、梅毒の細菌を多く含んでいて、とても感染性が高いです。表面が破れて、体液がしみ出ることもあります。治るにつれて平たくなり、くすんだピンク色か灰色になります。口の潰瘍は20~30%以上の人にみられます。
第2期梅毒では、発熱、疲労感、食欲不振、体重減少がみられます。
第2期梅毒の約50%の人に全身のリンパ節の腫れが起こり、約10%の人では他の臓器が侵されます。眼に炎症が起きたり、骨や関節に痛みが生じたりすることもあります。また少数の人では、肝臓の感染症(肝炎)によって腹痛と黄疸(おうだん)という皮膚や白眼の部分が黄色くなる症状が起こり、尿の色が濃くなります。脳、内耳、眼に感染したために、頭痛や聴覚、平衡感覚、視覚の障害が生じる人もいます。
潜伏期
第2期の後、しばらく症状のない時期が数年から数十年続きます。この時期、感染症は不活性化(潜伏)状態にあります。しかし、なおも菌は存在しており、梅毒の検査を行えば陽性と判定されます。
梅毒は生涯潜伏状態にとどまる場合があり、一般には、この段階で他の人に伝染することはありません。しかし、潜伏期の初期に皮膚や粘膜に潰瘍が現れることがあります。この潰瘍に触れると感染が広がる場合があります。
潜伏期は前期(初期感染が過去12カ月以内に生じた場合)または後期(初期感染が過去12カ月より以前に生じた場合)に分類されます。
第3期(または晩期)
第3期梅毒は、初期感染から数年~数十年後に、治療を受けていない人の約3分の1に発生します。症状は軽いものから極めて重篤なものまで様々です。
第3期梅毒には主に次の3種類があります。
良性の第3期梅毒
心血管梅毒
神経梅毒
良性の第3期梅毒は通常、最初の感染から3~10年ほど後に起こります。今日ではまれです。ゴム腫と呼ばれる柔らかいゴムのような腫瘤が皮膚、特に頭皮、顔面、体幹の上部、脚にできます。肝臓と骨にもしばしば発生しますが、ほぼすべての臓器に発生する可能性があります。表面が破れて、潰瘍になることがあります。治療しないでいると、ゴム腫が周囲の組織を破壊してしまいます。骨では通常、刺すような深い痛みが生じ、通常は夜間に悪化します。ゴム腫の増殖はゆっくりで、徐々に治り、後に瘢痕(はんこん)が残ります。
心血管梅毒は通常、最初の感染から10~25年ほど後に発症します。この細菌は大動脈など、心臓につながる血管に感染します。以下の症状が現れます。
大動脈の壁が弱くなり、膨らみ(大動脈瘤)が生じる。この大動脈瘤が胸部にある気管などの他の構造を圧迫し、呼吸困難、せき、声がれが生じることがある。
心臓から大動脈につながる弁(大動脈弁)から血液が漏れることがある。
心臓に血液を供給する動脈(冠動脈)が狭くなることがある。
このような問題により胸痛や心不全が生じ、死に至ることもあります。
神経梅毒(脳と脊髄を侵す梅毒)は治療を受けていない梅毒患者の約5%に起こります。次のようなタイプがあります。
無症候型:この病型は、脳と脊髄を覆う組織(髄膜)の軽い感染症で、軽度の髄膜炎を引き起こすことがあります。治療しないでいると、感染した人の5%に頭痛、項部硬直、集中力低下などの症状が現れます。
髄膜血管型:脳や脊髄の動脈に炎症が起き、慢性の髄膜炎が発生します。最初に頭痛と項部硬直が出る場合もあります。めまいを感じたり、集中力や記憶力が低下したり、不眠症になったりすることがあります。視野がかすむこともあります。腕、肩、やがては脚の筋肉が弱くなったり、麻痺したりすることさえあります。排尿や排便のコントロールが困難になることもあります(失禁)。この病型は脳卒中も引き起こします。
進行麻痺型(実質型):このタイプは通常は40代または50代で始まります。まず行動が徐々に変化するという症状が現れます。精神障害または認知症に似た症状がみられることもあります。例えば、自分の衛生状態に無頓着になったり、頻繁に気分が変化したりします。イライラや錯乱が生じたり、集中力や記憶力が低下したりもします。自分を有名人や神、または神秘的な力をもつ存在と思い込む誇大妄想もみられます。口、舌、伸ばした両手や全身に振戦(ふるえ)が出ることがあります。
脊髄ろう型:脊髄の病変が徐々に進行します。この型の梅毒は通常、最初の感染から20~30年後に起こります。症状は徐々に始まり、典型的には背中と脚に刺すような強い痛みが不規則に繰り返し起こります。また、胃や膀胱、直腸、のどに同様の痛みが生じることがあります。歩行が不安定になり、足の感覚が薄れたり異常を感じたりします。たいていの患者は体重が減少し、悲しそうに見えます。視力に問題が起きることもあります。勃起障害がよくみられます。最終的に排尿をコントロールすることが困難になり(失禁)、麻痺が生じることがあります。
その他の症状
梅毒は、どの段階であっても眼や耳に影響を及ぼす可能性があります。
眼の症状には、涙目、かすみ目、眼痛、光への過敏、視力障害などがあります。梅毒が眼に感染すると、神経梅毒を発症するリスクが高まります。
耳に感染すると、雑音が聞こえたり(耳鳴り 耳鳴り 耳鳴り(耳鳴[じめい])とは、周囲の音ではなく、耳の中で発生している雑音です。耳鳴りは症状であり、特定の病気ではありません。非常によくみられ、程度の差はありますが、10~15%の人が経験します。 耳鳴りの人に聞こえる雑音には、ジー、キーン、ザー、ヒュー、シューなどがあり、 難聴を伴うことがよくあります。その都度異なることがある複雑な音が聞こえる人もいます。これらの音は静かな場所で、特に何かに集中しているわけではないときに聞こえやすくなり... さらに読む )、聴力が低下したり、 めまい めまい(Dizziness)と回転性めまい(Vertigo) めまいとは厳密な用語ではなく、以下に挙げるような関連する様々な感覚を表現するためによく使われます。 気が遠くなる(気絶しそうになる感覚) ふらつき 平衡障害(バランスを失ったり不安定になる感覚) 漠然とぼうっとする感覚または頭がくらくらする感覚 さらに読む や眼振(眼球が一方向にすばやく動いてから、それより遅い動きで元の位置に戻ることを繰り返す現象)がみられたりします。
関節が変性することもあります。関節は痛みませんが、腫れて、動きが制限されます。このような状態を、 神経病性関節症 神経病性関節症 神経病性関節症は進行性の関節破壊を原因とし、この関節破壊は、しばしば急速に進行し、患者が痛みを感じず関節の損傷が続くため関節の損傷の初期の徴候に気づかないことによって発生します。 神経病性関節症は、糖尿病や脳卒中など、神経を侵す基礎疾患の結果として起こります。 神経病性関節症は、関節に損傷を与える傷を患者が感じることができないために起こり... さらに読む (シャルコー関節)と呼びます。
診断
血液や潰瘍から採取した体液、髄液のサンプルを用いた検査
典型的な下疳がみられた場合、第1期梅毒が疑われます。手のひらや足の裏に特有の発疹があれば、第2期梅毒が疑われます。梅毒は様々な段階にわたり幅広い症状を引き起こしうるため、医師は、梅毒で起こりうる症状(視力の問題など)がある人を評価するときに梅毒の有無を確認をすることがあります。
診断の確定には臨床検査が必要です。2種類の血液検査を行います。
通常はまず、VDRL(米国性病研究所)試験やRPR(迅速血漿レアギン)試験のようなスクリーニング検査が行われます。これらの検査は、梅毒(トレポネーマ)を引き起こす細菌またはその細菌に反応して作られる抗体を直接検出するものではないため、非トレポネーマ試験と呼ばれます。スクリーニング検査は安価で簡単に行えますが、最初の感染後3~6週間は、梅毒にかかっていても陰性の結果が出ることがあります。このような結果は偽陰性と呼ばれます。スクリーニング検査の結果が陰性であるものの、医師が第1期梅毒を疑っている場合は、6週間後に再検査を行うことがあります。別の病気のために、梅毒ではないのに検査の結果が陽性になる場合もあります(偽陽性)。
スクリーニング検査で出た陽性結果を確定させるために、通常は確定検査を行う必要があります。この血液検査では、梅毒の原因菌に対する特有の反応として作られる抗体を測定します(ときに、トレポネーマ試験と呼ばれます)。確定検査の結果も、最初に感染してから数週間は偽陰性になることがあるため、検査を繰り返さなければならない場合があります。
まずスクリーニング検査を行い、もし陽性であれば、その結果を確定(トレポネーマ)検査によって確認するという方針が従来から採られてきました。しかし、ときにトレポネーマ試験を最初に行うこともあります。その場合、結果が陽性であれば、続いて迅速血漿レアギン試験(スクリーニング検査)を行います。
その検査でも陽性と反対された場合、医師は患者に過去のセックスパートナー、過去の検査結果、過去の治療経験について質問し、その情報をもとにその人が現在梅毒にかかっているのか、過去にかかっていたことがあるのかを判断する場合があります。
治療が成功すれば、スクリーニング検査の結果は徐々に(数カ月から数年かけて)陰性に変わっていく可能性がありますが、確定検査の結果は生涯陽性のままであるのが通常です。
第1期または第2期の梅毒では、暗視野顕微鏡検査によっても診断が可能です。皮膚の潰瘍またはリンパ節から採取した体液を、特殊な機能を備えた光学顕微鏡で調べます。細菌が暗い背景の中で明るく見えるため、特定しやすくなります。
潜伏期の梅毒の診断にも、同じ血液検査(トレポネーマ試験と非トレポネーマ試験)が用いられます。医師はまた、徹底的な身体診察と過去の検査結果の確認を含めた評価に基づいて、早期潜伏梅毒と晩期潜伏梅毒どちらであるのかの判断を試みます。
第3期では、診断は症状と抗体検査の結果に基づいて下されます。症状に応じて他の検査も行います。例えば、胸部X線検査や他の画像検査を行って、大動脈瘤がないか調べます。
神経梅毒が疑われる場合は、病期にかかわらず、 腰椎穿刺 腰椎穿刺 病歴聴取と 神経学的診察によって推定された診断を確定するために、検査が必要になることがあります。 脳波検査は、脳の電気的な活動を波形として計測して、紙に印刷したりコンピュータに記録したりする検査法で、痛みを伴わずに容易に行えます。脳波検査は以下の特定に役立つ可能性があります。 けいれん性疾患 睡眠障害 一部の代謝性疾患や脳の構造的異常 さらに読む を行って髄液を採取し、細菌に対する抗体の有無を調べる必要があります。
梅毒患者は、HIV感染症などの他の性感染症についても検査する必要があります。
予防
治療
ペニシリンの注射
ペニシリンに対するアレルギーがある人には、他の抗菌薬
同時にセックスパートナーの治療を行う
ペニシリンは、第1期、第2期、前期潜伏期の梅毒に最もよく効く抗菌薬で、筋肉内に注射して投与します。
第1期、第2期、早期潜伏梅毒に対しては、長時間作用型ペニシリンを1回投与すれば十分です。
後期潜伏期やある種の第3期梅毒に対しては、1週間の間隔をあけて3回投与します。
眼、内耳、脳が侵されている場合は、ペニシリンの静脈内投与を4時間毎に10~14日間行います。それから、別の剤形のペニシリンが、週に1回、最大3週間にわたり筋肉に注射されます。
ペニシリンアレルギーがある人には、ドキシサイクリン(経口で14日間投与か、ときに28日間)などの他の抗菌薬を投与できます。ドキシサイクリンを使用できない人には、アジスロマイシンを投与することがあります(経口で1回投与)。しかし世界のいくつかの地域では、梅毒の原因菌がアジスロマイシンに対する耐性を獲得しつつあります。ペニシリンに対するアレルギーがある妊婦は、ペニシリンを投与できるよう、入院して ペニシリンに対する過敏性を低下させる療法 アレルゲン免疫療法(脱感作) アレルギー反応(過敏反応)とは、通常は無害な物質に対して免疫系が異常な反応をすることを指します。 通常、アレルギー反応が起こると、くしゃみが起こり、涙目や眼のかゆみ、鼻水、皮膚のかゆみや発疹などが起こります。 アナフィラキシー反応と呼ばれる一部のアレルギー反応は生命を脅かします。... さらに読む を受けます。
セックスパートナーの治療
第1期や第2期はもちろん、早期潜伏梅毒の患者でさえ、他者に感染させる可能性があるため、自分とセックスパートナーの治療が終了するまでは、性的接触を避ける必要があります。
ある人が梅毒と診断された場合、その人のすべてのセックスパートナーに対して梅毒の検査が行われます。次のような状況であればセックスパートナーの治療が行われます。
たとえ検査結果が陰性であっても、診断が行われる前の90日間に感染者と性的接触があった。
診断の90日以上前に感染者との性的接触があったが、その人の検査結果がすぐには分からず、その人が再受診するかどうか分からない。この場合、検査結果が陰性であれば、治療は不要です。検査結果が陽性であれば、治療が行われます。
ヤーリッシュ-ヘルクスハイマー反応
初期段階の梅毒患者の多く、特に第2期の患者では、最初に治療を受けてから6~12時間後にある反応が起こります。この反応は、ヤーリッシュ-ヘルクスハイマー反応と呼ばれ、発熱、頭痛、発汗、悪寒戦慄、また梅毒による潰瘍の一時的悪化が生じます。この反応がペニシリンに対するアレルギー反応と誤解される場合もあります。
この反応による症状は通常は24時間以内に治まり、まれに永続的な障害が生じます。しかしまれに、神経梅毒の人ではけいれん発作や脳卒中が起こります。
治療後
治療後は、菌が検出されなくなるまで定期的に診察と血液検査を行います。
第1期、第2期、潜伏期の梅毒の場合、治療がうまくいけば大半の患者で症状が出なくなります。しかし、第3期梅毒の場合、治療を行っても、脳や大動脈などの臓器にすでに生じた損傷を元に戻すことはできません。このような損傷がある患者では、通常は治療を行っても状態が改善しません。
梅毒患者は治癒しても、梅毒に対する免疫を獲得することはないため、再び感染する可能性があります。
さらなる情報
米国疾病予防管理センター:梅毒(Centers for Disease Control and Prevention: Syphilis)