エンテロウイルスには、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルスなどの多数の株が含まれます。米国では毎年、主として夏と秋に、これらのウイルスによって1000万~3000万人が病気にかかります。エンテロウイルス感染症は非常に感染力が強く、一般的には1つの地域で大勢に感染し、ときに大流行となることもあります。最も多くみられるのは小児の感染です。
感染経路
症状
診断
治療
エンテロウイルスが原因の病気
以下の病気は、ほとんどの場合エンテロウイルスによって引き起こされます。
無菌性髄膜炎、脳炎、心筋心膜炎、出血性結膜炎などの他の病気は、エンテロウイルスや他の微生物が原因で起こる可能性があります。
無菌性髄膜炎
脳炎
脳炎とは脳の炎症で、症状として発熱、嘔吐、頭痛、混乱、筋力低下、けいれん、昏睡を引き起こすことがあります。
エンテロウイルスD68
エンテロウイルスD68は小児の呼吸器の病気を引き起こし、通常はかぜ(感冒)と似た病気が起こります。症状は鼻水、せき、全体的な体調不良で、発熱はあったとしても微熱であるのが一般的です。一部の小児、特に喘息がある小児では、喘鳴や呼吸困難など、より重篤な症状が引き起こされます。成人も感染する可能性がありますが、症状がほとんど、またはまったくない傾向にあります。
2014年にエンテロウイルスD68を原因とする重度の感染症が増加しました。感染した小児の一部では、重度の呼吸困難がみられました。さらに、脊髄が侵され、それにより片方の腕や脚で筋力低下や麻痺が起きた小児もいて、数人が死亡しました。エンテロウイルス感染症がこれらの合併症の主な原因であったのか、単に別の病気をもっていた小児でエンテロウイルスが認められただけなのかは、明らかではありません。