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エンテロウイルス感染症の概要

執筆者:

Brenda L. Tesini

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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本ページのリソース

エンテロウイルス感染症は、体の多くの部分を侵し、また数種類の異なるエンテロウイルスのいずれもが原因となる可能性があります。

  • エンテロウイルス感染症は、様々な種類のウイルスによって引き起こされます。

  • エンテロウイルス感染症の症状は、発熱、頭痛、呼吸器疾患、のどの痛みなどで、ときに口の痛みや発疹がみられることもあります。

  • 診断は症状および皮膚と口の診察結果に基づいて下されます。

  • エンテロウイルス感染症の治療では、症状を軽減することが目標になります。

エンテロウイルスには、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルスなどの多数の株が含まれます。米国では毎年、主として夏と秋に、これらのウイルスによって1000万~3000万人が病気にかかります。エンテロウイルス感染症は非常に感染力が強く、一般的には1つの地域で大勢に感染し、ときに大流行となることもあります。最も多くみられるのは小児の感染です。

感染経路

エンテロウイルスは様々な経路で広がります(感染します)。この種のウイルスは以下により広がります。

  • 感染者の便で汚染された食べものや水を飲み込むこと

  • 汚染された物の表面に触れた後、その手で口を触ること

  • 空気中の汚染された飛沫を吸い込むこと

感染者の唾液や、くしゃみやせきをしたときに飛び散った飛沫によって、物の表面が汚染されることがあります。

症状

通常は免疫系の働きで感染が阻止され、症状はほとんど現れませんが、一部の人では、かぜに似た上気道の症状がみられます。少数の人はウイルス性肺炎を発症します。

ときに、エンテロウイルスが免疫系に打ち勝って生き残り、血流に入って発熱、頭痛、のどの痛みのほか、ときに嘔吐と下痢が生じることがあります。このような症状をよく夏かぜ(英語では「夏のインフルエンザ」)と呼びますが、実際はインフルエンザではありません。

また、エンテロウイルスの一部の株では、かゆみを伴わない発疹が全身の皮膚に出たり、口内炎ができたりすることもあります。エンテロウイルス感染症として圧倒的に多いのはこのタイプです。まれに、エンテロウイルスがこの段階からさらに進んで、特定の臓器を侵すことがあります。感染する臓器は様々で、病気の症状と程度は臓器毎に異なります。

診断

  • 医師による評価

エンテロウイルス感染症を診断するためには、発疹やただれを診察します。また血液検査を行ったり、のど、便、脳脊髄液(髄液)から採取したサンプルを検査室に送って、培養や検査を行ったりすることもあります。

治療

  • 症状の緩和

根本的な治療法はありませんが、エンテロウイルス感染症の治療では、症状を軽減することが目標になります。

エンテロウイルス感染症は、通常は完全に治りますが、心臓や中枢神経系の感染症はまれに死に至ることがあります。

エンテロウイルスが原因の病気

以下の病気は、ほとんどの場合エンテロウイルスによって引き起こされます。

無菌性髄膜炎、脳炎、心筋心膜炎、出血性結膜炎などの他の病気は、エンテロウイルスや他の微生物が原因で起こる可能性があります。

無菌性髄膜炎

髄膜炎とは、髄膜(脳と脊髄を覆う組織層)とくも膜下腔(髄膜と髄膜の間の空間)の炎症のことです。無菌性髄膜炎とは、髄膜炎の典型的な原因菌以外の原因によって生じる髄膜炎のことです。この病気は乳児と小児で最も多くみられます。

エンテロウイルスが原因の無菌性髄膜炎では、発疹が起こることはまれです。無菌性髄膜炎では、発熱、重度の頭痛、嘔吐、項部硬直、光に対する過敏性が起きます。小児では、まれにウイルス性脳感染症(脳炎)が起きることもあります。

脳炎

脳炎とは脳の炎症で、症状として発熱、嘔吐、頭痛、混乱、筋力低下、けいれん、昏睡を引き起こすことがあります。

エンテロウイルスD68

エンテロウイルスD68は小児の呼吸器の病気を引き起こし、通常はかぜ(感冒)と似た病気が起こります。症状は鼻水、せき、全体的な体調不良で、発熱はあったとしても微熱であるのが一般的です。一部の小児、特に喘息がある小児では、喘鳴や呼吸困難など、より重篤な症状が引き起こされます。成人も感染する可能性がありますが、症状がほとんど、またはまったくない傾向にあります。

2014年にエンテロウイルスD68を原因とする重度の感染症が増加しました。感染した小児の一部では、重度の呼吸困難がみられました。さらに、脊髄が侵され、それにより片方の腕や脚で筋力低下や麻痺が起きた小児もいて、数人が死亡しました。エンテロウイルス感染症がこれらの合併症の主な原因であったのか、単に別の病気をもっていた小児でエンテロウイルスが認められただけなのかは、明らかではありません。

流行性胸痛症(ボルンホルム病)

流行性胸痛症は小児で多くみられます。流行性胸痛症は、胸部の筋肉を侵し、重度の痛みを引き起こし(下胸部または上腹部の片側が多い)、呼吸がしづらくなります。流行性胸痛症でよくみられる他の症状としては、発熱のほか、しばしば頭痛とのどの痛みがあります。

症状は通常2~4日で軽減しますが、数日後に再発し、数週間にわたって持続したり再発したりすることがあります。

出血性結膜炎

出血性結膜炎では、眼の炎症が起こります。まぶたが急速に腫れます。眼の白い部分を覆う透明な膜(結膜)の下で出血が起き、眼が充血する場合があります。この感染症は、瞳孔の前を覆う透明な曲面の層(角膜)にも及ぶことがあり、眼の痛み、涙、明るい光を見た際の痛みが起こります。どのエンテロウイルスが原因であるかによって、まれに脚の短期間の筋力低下または麻痺が起こることがあります。

通常は1~2週間で回復します。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、乳児と小児で最もよくみられます。小児では、突然の発熱、のどの痛み、頭痛、食欲減退のほか、頸部痛がよくみられます。乳児では嘔吐がある場合もあります。病気が始まってから2日間以内に、口とのどの内側に灰色の膨らみが発生します。この膨らみは痛みを伴うただれとなり、1~7日で治ります。これはエンテロウイルスによる病気で、英語では「Herpangina」と書きますが、英語で「herpesvirus」と書くヘルペスウイルスによる感染症や、英語で「angina」と書く心臓の病気である狭心症とは、英語のスペルこそ似ていますが、まったく関係がありません。

新生児の感染症

ときに、分娩時に母親から新生児にエンテロウイルスが伝播します。通常、感染した新生児では、出生から数日後に敗血症に似た重度の全身性の病気が突然起こります。発熱、強い眠気、出血がみられ、ウイルスが多くの臓器や組織に損傷を与えて、多臓器不全(心不全など)を引き起こす可能性があります。

新生児は数週間以内に回復することもありますが、死亡することもあります(特に心不全やその他の重度の臓器障害がある場合)。

心筋心膜炎

心筋心膜炎は、心筋(心臓の筋肉)や心膜(心臓の外側を覆っている膜)に炎症が起きた状態です。

この心臓の感染症は、いずれの年齢でも起こりますが、ほとんどは20~39歳で発症します。胸痛、不整脈心不全がみられることがあり、突然死に至る場合もあります。通常は完全に回復しますが、一部の人では拡張型心筋症と呼ばれる心臓の病気を発症します。

出生時からこの病気がある新生児(新生児心筋炎)では、発熱と心不全がみられます。心不全により、呼吸困難と哺乳不良がみられます。多くの乳児が死亡します。

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