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真性多血症

(原発性赤血球増多症)

執筆者:

Jane Liesveld

, MD, James P. Wilmot Cancer Institute, University of Rochester Medical Center;


Patrick Reagan

, MD, University of Rochester Medical

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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真性多血症とは、骨髄増殖性疾患の一種で、骨髄中の造血細胞の異常によって全種類の血液の細胞が過剰生産される病気です。

  • 原因は不明です。

  • 疲労感や脱力感を覚えたり、ふらつきや息切れを感じたりすることがあり、血栓に起因する症状が現れることもあります。

  • 診断には血液検査を行います。

  • 瀉血(しゃけつ)という処置を行って、過剰な赤血球を抜き取り、場合によってはアスピリンを服用し、ときに他の薬を使用します。

真性多血症では、赤血球が多くなって血液の量が増えて粘性が強くなり、細い血管を通過しにくくなります。

真性多血症は、成人10万人に約2人が発症します。診断時の平均年齢は60歳ですが、40歳未満の若い人に発症することもあります。女性より男性に多くみられますが、若い患者を除いてその違いはわずかです。

原因

95%を超える患者で、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)と呼ばれる遺伝子に突然変異がみられます。この突然変異により血液の細胞の生産が過剰になります。

最近、真性多血症の一部の患者でカルレティキュリン遺伝子(CALR)などの遺伝子にさらなる突然変異が発見されています。これらの突然変異によって、JAK2キナーゼのが持続的に活性化することで赤血球の過剰生産が起こります。

症状

一般に、症状は何年も現れません。初期症状には以下のものがあります。

  • 脱力感

  • 疲労感

  • 頭痛

  • ふらつき

  • 息切れ

  • 寝汗

  • シャワーや入浴後のかゆみ

視界がゆがんで見えることがあり、盲点が生じたり、閃光が見えたりすることもあります(眼性片頭痛)。

消化管や歯ぐきから出血したり、小さな傷から予想以上に出血したりすることがあります。

特に顔などの皮膚に赤みが出ることもあります。体中にかゆみが出る場合があり、特に風呂やシャワーの後に多く発生します。手足に発赤や灼熱感が現れることがあります。はるかにまれですが、骨の痛みを感じることもあります。

ときに血栓が最初の症状を引き起こすことがあります。真性多血症での赤血球の増加によって、血が濃くなり、正常時よりも血栓ができやすくなります。血栓は、腕、脚(深部静脈血栓症 深部静脈血栓症 深部静脈血栓症は、深部静脈に血栓(血液のかたまり)が形成される病気で、通常は脚で発生します。 血栓は、静脈の損傷や血液の凝固を引き起こす病気により形成される場合や、何らかの原因で心臓に戻る血流が遅くなることで形成される場合があります。 血栓によって、脚や腕の腫れが生じることがあります。 血栓が剥がれて血流に乗り、肺に到達すると、肺塞栓症を引き起こします。 深部静脈血栓症を発見するために、ドプラ超音波検査や血液検査を行います。 さらに読む 深部静脈血栓症 を引き起こす)、心臓(心臓発作 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞)ことによって起こります。閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。 急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。 急性冠症候群が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、アスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。 病院では心電図検査と血液中の物質を測定する検査により、急性冠症候群かどうかを診断します。... さらに読む 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) を引き起こす)、脳(脳卒中 脳卒中の概要 脳卒中は、脳に向かう動脈が詰まったり破裂したりして、血流の途絶により脳組織の一部が壊死し(脳梗塞)、突然症状が現れる病気です。 脳卒中のほとんどは虚血性(通常は動脈の閉塞によるもの)ですが、出血性(動脈の破裂によるもの)もあります。 一過性脳虚血発作は虚血性脳卒中と似ていますが、虚血性脳卒中と異なり、恒久的な脳損傷が起こらず、症状は1時間... さらに読む を引き起こす)、肺などの血管のほとんどどこにでもできる可能性があります。肝臓から流れ出る血液を運ぶ血管が血栓によりふさがれることもあり(バッド-キアリ症候群 バッド-キアリ症候群 バッド-キアリ症候群は、肝臓からの血流を完全にまたは部分的に遮断する血栓によって引き起こされます。閉塞は、肝臓(肝静脈)から下大静脈に向かう大小の静脈のどこにでも起こる可能性があります。 無症状の場合もありますが、疲労、腹痛、吐き気、黄疸などがみられる場合もあります。 腹部に体液が貯留し、脾臓が腫大することがあるほか、ときには食道で重度の出血が起こります。 ドプラ超音波検査では、静脈が狭くなっている部分やふさがっている部分を検出できます... さらに読む )、これは特に若い女性によくみられます。

血小板(細胞に似た血液中の粒子で血液凝固を助ける)の数が増加する人もいます(血小板血症 原発性血小板血症 血小板血症とは、血小板が過剰に作られ、血液の凝固や出血にかかわる異常が生じる病気です。 手や足に灼熱感や発赤、チクチクした痛みを感じたり、指先が冷たく感じたりすることがあります。 通常は、血液検査で診断が得られますが、骨髄生検が必要になることもあります。 症状を抑え、血小板の生産量を減らす治療が行われます。 (骨髄増殖性疾患の概要も参照のこと。) さらに読む )。血小板の数が増加すると必ず過剰な血栓を引き起こすと思うかもしれませんが、真性多血症の場合、非常に多くの血小板が凝固系の別の部分に影響を及ぼすことで、実際には出血が起こります。

体内で赤血球が作られるのに伴って、鉄が非常に急速に使い果たされるため、最終的に鉄欠乏症を発症することがあります。

赤血球が過剰になると、胃潰瘍 消化性潰瘍 消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の内面が胃酸や消化液で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。 消化性潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染や、胃や十二指腸の粘膜を衰弱させる薬によって生じることがあります。 潰瘍による不快感が生じたり消えたりしますが、この不快感は食べることで胃酸が分泌されるために食後に起こる傾向があります。... さらに読む 消化性潰瘍 痛風 痛風 痛風は、尿酸の血中濃度が高いこと(高尿酸血症)が原因で、尿酸の結晶が関節に沈着し蓄積する病気です。結晶が蓄積することで、関節とその周辺に痛みのある炎症の発作が起きます。 尿酸結晶が蓄積すると、関節や組織に激しい痛みや炎症が断続的に起こることがあります。 医師は関節から関節液を採取し、尿酸結晶の有無を調べます。... さらに読む 痛風 腎結石 尿路結石 結石は尿路のいずれかの部位で形成される硬い固形物で、痛み、出血、または尿路の感染や閉塞の原因となることがあります。 小さな結石の場合は症状がみられませんが、大きな結石が発生すると、肋骨と腰の間の部分に耐えがたい激痛が生じることがあります。 結石の診断では通常、画像検査と尿検査が行われます。... さらに読む 尿路結石 を伴うことがあります。まれに、真性多血症が白血病 白血病の概要 白血病は、白血球または成熟して白血球になる細胞のがんです。 白血球は骨髄の幹細胞から成長した細胞です。ときには成長がうまくいかずに、染色体の一部の並びが変化してしまうことがあります。こうして異常となった染色体により正常な細胞分裂の制御が失われ、この染色体異常がある細胞が無制限に増殖するようになったり、細胞がアポトーシス(不要になった細胞が... さらに読む に進行することもあります。

診断

  • 通常の血液検査と医師による評価

  • 場合により遺伝子検査とその他の検査

真性多血症は、症状が現れる前でも、他の理由で通常の血算を受けたときに見つかることがあります。ヘモグロビン(赤血球中で酸素を運ぶタンパク質)の量とヘマトクリット値(全血液量に占める赤血球の割合)が異常に高くなります。血小板や白血球も増加することがあります。

ヘマトクリット値が非常に高い場合は、可能性として真性多血症が疑われます。しかし、ヘマトクリット値の結果だけを基に診断を下すことはできません。赤血球量の増加(赤血球増多症)が確認されたら、それが真性多血症なのか、あるいは別の病気による赤血球増多症(二次性赤血球増多症 赤血球増多症 赤血球増多症は、赤血球の生産が増える病気です。 (骨髄増殖性疾患の概要も参照のこと。) 赤血球増多症には以下の種類があります。 原発性:造血細胞の病気が原因です。 二次性:正常な造血細胞による生産の増加を誘発する病気が原因です。 さらに読む )なのかを判別しなければなりません。真性多血症と二次性赤血球増多症の判別には病歴と診察が手がかりになりますが、通常はさらに検査しなければなりません。

通常はJAK 2遺伝子の突然変異がないか調べます。そのような突然変異がみつからない場合は、CALRなどの突然変異を探します。

血液中のエリスロポエチンという、骨髄を刺激して赤血球を作らせるホルモンの量を測定することもあります。エリスロポエチンの値は、真性多血症では極めて低くなりますが、二次性赤血球増多症では正常か、高くなることが多いものの、そうでない場合もあります。

治療

  • 血液を抜き取り(瀉血)、赤血球の数を減らす

  • 必要に応じて血小板の数を減らす薬、合併症を予防する薬、症状を緩和する薬の投与

治療しても、真性多血症は治癒しませんが、病気をコントロールすることによって、血栓形成など合併症のリスクを減らすことはできます。赤血球の数を減らすことが治療の目的になります。通常は、瀉血と呼ばれる処置によって、献血 供血方法 供血(献血)は極めて安全に行われます。(輸血の概要も参照のこと。)全血(つまり、すべての細胞成分を含む血液)として供血する場合は、全体で約1時間かかります。米国では、供血者は17歳以上で体重が約50キログラム以上でなければなりません(訳注:日本では献血の量と種類によりますが16~69歳、男性45キログラム以上、女性40キログラム以上)。さらに、健康状態が良好でなければなりません。脈拍、血圧、体温を測定し、採血して貧血がないか調べます。健... さらに読む のときと同様の方法で血液を抜き取ります。ヘマトクリット値が正常に戻るまで、1日おきに最大約500ccの血液を抜き取ります。その後、ヘマトクリット値を正常に保つために、必要に応じて(例えば、1~3カ月おきに)血液を抜き取ります。

アスピリンは、視覚に影響を及ぼす片頭痛、手足の灼熱痛や発赤など、血小板数の増加に関連する症状の緩和に役立ちます。しかし、アスピリンで真性多血症の血液凝固のリスクが低下することは証明されていません。

瀉血を行うと血小板の数が増加することがあり、血液の細胞の過剰生産を軽減する効果はありません。このため、瀉血を行っても症状が続く場合は、赤血球と血小板の生産を抑える薬が必要になります。そうした場合、JAK2遺伝子の活性を阻害するルキソリチニブや、ヒドロキシカルバミド、インターフェロンアルファ-2b、アナグレリドなどの薬を使用することがあります。実験的治療の臨床試験への参加を考慮することもできます。

症状を抑えるのに役立つ薬もあります。例えば、抗ヒスタミン薬はかゆみの緩和に役立ちます。

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