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あざと出血

執筆者:

Joel L. Moake

, MD, Baylor College of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 10月
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けがしたときのあざや出血は正常です。しかし、あざや出血を起こしやすくなる病気があります。ときには、あきらかな原因やけががないのに出血することもあります。体のほぼあらゆる部分で自然に出血することがありますが、鼻や口、消化管に最も多くみられます。血友病では、関節内や筋肉内でしばしば出血がみられます。ほとんどの場合、出血はわずかですが、生命を脅かすほど大量に出血することもあります。ただし、わずかな出血でも、脳に発生すると危険です。

以下のようないくつかの症状から、出血性の病気であることが分かります。

  • 説明のつかない鼻血(鼻出血)

  • 過度または長引く月経出血(過多月経)

  • わずかな傷、採血、小規模の外科処置や歯科処置、歯磨きやデンタルフロス使用の後の長引く出血

  • 皮膚にみられる赤色や紫色の小さな点などの説明のつかない跡(点状出血)、赤色や紫色の斑点(紫斑)、複数のあざ(斑状出血)、拡張して皮膚や粘膜でみえるようになった毛細血管(毛細血管拡張症)

血栓についても参照のこと。)

ときには、別の理由で行った臨床検査で出血しやすいことが明らかになる場合もあります。

原因

損傷を受けた血管からの出血を止めるには、血小板(血液の凝固を助ける血球)、血液凝固因子(ほとんどが肝臓および血管の内面を覆う特定の細胞で産生されるタンパク質)、血管の狭窄(収縮)の3つが必要です。以下のように、これらの要素のいずれかに異常があると、過剰な出血やあざにつながります。

血小板の疾患では、皮膚に赤色や紫色の小さな点が最初にみられます。その後、重度になると、出血がみられます。血液凝固因子が不足すると、通常は出血やあざがみられます。血管の異常では通常、出血ではなく、皮膚に赤色や紫色の斑点がみられます。

老人性紫斑病

最も一般的には、皮膚や血管がもろくなっているために、あざができやすかったり、過度に発生したりします。女性と性別を問わない高齢者により多くみられます。あざは、太もも、殿部、上腕にできやすい傾向にあります。ただし、ほかに過剰出血の症状がみられず、血液検査が正常な場合もあります。この状態は重篤なものではなく、治療の必要はありません。

一般的な原因

総じて、出血しやすくなる原因として最も一般的なものは、以下のものです。

  • 重度の血小板欠乏

  • ヘパリン、ワルファリン、直接型経口抗凝固薬などの凝固を妨げる薬(抗凝固薬)の使用

  • 肝疾患(凝固因子が十分に産生できなくなる)

血小板の欠乏は、骨髄での不十分な血小板産生や血小板の過剰な破壊(例えば、脾腫、特定の薬の使用、感染が原因)に起因することがあります。

血栓ができやすい人では、ヘパリン、ワルファリン、または直接型経口抗凝固薬 (ダビガトラン、アピキサバン、エドキサバン、リバーロキサバンなど)を服用して、その傾向を抑えることができます(薬と血液凝固を参照)。しかし、ときには、このような薬によって凝固能が過度に低下し、出血やあざがみられることがあります。

肝臓は血液凝固因子を産生する主要な部位であり、血液凝固の調節を助けているため、肝疾患(例えば、肝炎肝硬変)がある人は出血しやすい傾向にあります。

あまり一般的でない原因

血友病は、複数ある凝固因子のうちのいずれかが十分に産生できない遺伝性疾患です。通常はわずかな外傷で、筋肉、関節、腹腔の内側などの深部組織に過剰な出血がみられます。脳に出血が生じることもあり、その場合は死に至ることもあります。

特定の疾患では、全身の凝固系が活性化されます。あらゆる場所で血液を凝固させる代わりに、血小板や凝固因子が急速に使い果たされ、出血が生じます。この過程は、播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群(DIC)と呼ばれ、重度の感染症、重傷、分娩や出産、特定のがんなどの多くの状況により誘発されることがあります。播種性血管内凝固症候群は、すでに入院している人によくみられます。注射針による穿刺で過剰な出血を起こし、重大な消化管出血もしばしばみられます。

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過剰出血の主な原因

原因

血小板の疾患

血小板数の減少

脾腫の場合の肝硬変

急速に進行した場合の播種性血管内凝固症候群

血小板破壊を誘発する薬(ヘパリン、キニジン、キニーネ、スルホンアミド系、スルホニル尿素薬、リファンピシンなど)

血小板数の増加(しばしば過剰な凝固を引き起こしますが、過剰な出血を引き起こすこともあります)

血小板機能不全

血小板を機能不全にするおそれのある薬(アスピリンやその他のNSAIDなど)

血液凝固障害

後天性

ヘパリン、ワルファリン、または直接型経口抗凝固薬(ダビガトラン、アピキサバン、エドキサバン、リバーロキサバン)などの抗凝固薬(凝固を妨げる薬)

ゆっくり進行する場合の播種性血管内凝固症候群

遺伝性

血管障害

後天性

遺伝性

結合組織疾患(マルファン症候群など)

HIV = ヒト免疫不全ウイルス;NSAID = 非ステロイド系抗炎症薬

評価

医師は、実際に出血しやすい、または過剰出血の症状がみられるかどうかをまず確定しようとします。そうであれば、考えられる原因を調べます。以下では、どのようなときに医師の診察を受けるべきか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

あざや出血がよくみられる場合は、特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 発汗、筋力低下、気が遠くなる、めまい、吐き気、極端なのどの渇きなど、重篤な失血の症状

  • 妊娠中または最近の出産

  • 発熱、悪寒、下痢、全体的に体調がすぐれないなどの感染の徴候

  • 頭痛や錯乱のほか、脳や神経系に関連する突発的症状

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があり、出血が持続している場合や少量の出血を上回る失血がみられる場合も同様です。警戒すべき徴候はみられないものの、出血しやすい、またはあざができやすいことに気が付いた場合は、主治医に相談すべきです。医師は症状や他の因子に基づいて、どれくらい早く評価すべきか判断します。典型的には、体調が悪いか、肝疾患や特定の薬の使用などの出血の危険因子がある場合または出血性の病気の家族歴がある場合、1~2日以内に診察を受けるべきです。体調は悪くないものの、自然に止まる鼻血が数回みられた場合や、皮膚にあざや斑点ができた場合は、都合のよいときに医師の診察を受けることができます。1週間ほどの遅れが有害になる可能性は低いと考えられます。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問します。次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、ときに出血やあざの原因を推測できますが、一般的には検査が必要です。

頻回の鼻血、歯磨きしたときの歯肉からの出血、せきをしたときの出血(喀血)、尿や便中の出血、黒いタール状の便(黒色便)など、出血の種類について尋ねられます。また、腹痛や下痢(消化管の病気が疑われます)、関節痛(結合組織の病気が疑われます)、無月経やつわり(妊娠が疑われます)など、その他の症状についても尋ねられます。出血のリスクを高めることが知られている薬(アスピリン、インドメタシン、ヘパリン、ワルファリンなど)を服用していないかについても尋ねられます。ワルファリンを服用していて、特に最近用量を増量してから出血しやすくなった場合は、薬が原因である可能性が高くなります。血液凝固の問題を引き起こす可能性が高い、以下のような病態などがないかについても尋ねられます。

アルコール摂取や静注(IV)薬物の使用について尋ねられます。大量飲酒は肝疾患の危険因子であり、静注薬物の使用はHIV感染の危険因子です。

過剰な出血の家族歴がある場合は、遺伝性出血性毛細血管拡張症血友病フォン・ヴィルブランド病などの遺伝性の出血性の病気である可能性が高くなります。ただし、これらの疾患のすべての患者がその疾患の家族歴について知っているとは限りません。

診察では、バイタルサイン(体温、血圧、心拍数)が調べられます。これらの検査から、特に血液量低下や感染といった重篤な疾患の初期徴候が得られることがあります。血圧の低下に伴って心拍数が増加している場合、出血による血液量の減少が疑われます。発熱は感染症を示唆します。

皮膚や粘膜(鼻腔、口腔、腟)が診察され、出血の徴候がないか調べられます。消化管からの出血を調べるには、直腸指診が行われます。深部組織からの出血が疑われることのある動作時の圧痛や局所の腫れなどの徴候も調べられます。頭蓋内出血の場合は、錯乱、項部硬直、神経学的異常(頭痛、視覚障害、脱力など)がみられることがあります。出血の場所から原因のヒントが得られる可能性があります。皮膚や粘膜などの表面的部位からの出血では、血小板や血管の問題が疑われます。一方で、深部組織での出血からは、血液凝固の問題が疑われます。

そのほかにも、原因を絞り込むために役立つ情報があります。腹部の液体貯留(腹水)、脾臓の腫れ(脾腫)、皮膚や眼の黄色化(黄疸)からは、肝疾患による出血が疑われます。妊娠中または最近出産した女性、ショック状態にあったり、重度の感染症による発熱、悪寒、その他の徴候がみられる場合は、播種性血管内凝固症候群のリスクがあります。小児では、発熱や消化器の不調、特に血性下痢から、溶血性尿毒症症候群が疑われます。脚の発疹、関節痛、消化器の不調からは、IgA血管炎が疑われます。

検査

ほとんどの場合、血液検査が必要です。最初に行われる検査には以下のものがあります。

  • 血算(血小板数など、血液サンプルに含まれるすべての血球成分を測定します)

  • 血液塗抹検査(顕微鏡で血液サンプルを観察して、血球に損傷、異常、未成熟がみられないか調べます)

  • プロトロンビン時間(PT)と部分トロンボプラスチン時間(PTT)(血液凝固因子の活性を測定します

このような検査は、スクリーニング検査とみなされます。これらの検査は、血液凝固系が正常かどうかを判定するために実施されます。これらの検査のいずれかで異常が認められた場合は、原因を特定するため、通常はさらに検査が必要です。

HIV感染や肝炎による出血かどうか確定するには、別の血液検査が必要になることがあります。骨髄の病気が疑われる場合は、骨髄生検が行われます。

画像検査は、出血性の病気で、内部出血を検出するためによく実施されます。例えば、重度の頭痛、頭部の外傷、意識障害が認められる場合は、頭部のCT(コンピュータ断層撮影)検査を実施する必要があります。腹痛が認められる場合は、腹部のCT検査が行われます。

治療

あざができやすい、出血しやすい症状に対する具体的な治療は、その原因によって異なります。例えば、がんや感染症の治療、原因になる薬の中止、ビタミン欠乏症に対するビタミンの投与、肝疾患に対するビタミンKの投与または新鮮凍結血漿輸血を行います。

より重篤な出血がみられる場合は、点滴で水分を補給し、ときには輸血を行います。血小板数が非常に少ない場合は、血小板輸血を行います。血液凝固障害では、特定の凝固因子の欠乏症が確認されるまで、凝固因子をすべて含む新鮮凍結血漿が投与されることがあります。欠乏している血液凝固因子が特定されると、その凝固因子の輸血が可能になります。

皮膚や血管がもろいためにあざができやすい場合は治療の必要がありませんが、ときにはアスピリンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の服用を避けるように医師から勧められることがあります。

高齢者での重要事項

高齢者には、あざができやすい傾向があります。加齢に伴い、皮膚が薄くなり、皮膚の下にあって体を防御している脂肪層の一部が失われます。そのため、軽くぶつけても、血管が破れやすく、あざができる可能性が高くなります。また、毛細血管自体の弾力性が失われ、よりもろくなって、あざができやすくなります。高齢者はアスピリン、クロピドグレル、ワルファリンまたは直接型経口抗凝固薬を服用する可能性が高く、これによってあざや出血の可能性も高くなります。

要点

  • 過剰な出血は、自然に生じたり、わずかな傷でみられたりします。

  • 出血は軽微なものから大量出血まであり、脳内に発生すると非常に危険です。

  • 肝疾患、血小板数の低下、特定の薬(特にワルファリン、ヘパリン、アスピリン、NSAID)が一般的な原因です。

  • 播種性血管内凝固症候群はまれですが、重篤な出血原因であり、病気を抱えている場合や入院している場合に最も多く発生します。

  • あざができやすいという症状はよくみられるものであり、体調が良好で、ほかに出血しやすい徴候もみられなければ、懸念される原因になることはまれです。

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