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巨人症および先端巨大症

執筆者:

Ian M. Chapman

, MBBS, PhD, University of Adelaide, Royal Adelaide Hospital

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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甲状腺の概要も参照のこと。)

成長ホルモンが過剰につくられると、極端な発育を招きます。この状態は、小児では巨人症、成人では先端巨大症(末端肥大症)と呼ばれます。

  • 成長ホルモンが過剰につくられるのは、ほとんどの場合、がんではない(良性の)下垂体腫瘍が原因です。

  • 小児では身長が異常に伸び、成人では身長が伸びない代わりに骨が変形します。

  • よくみられる症状に心不全、脱力、視覚障害があります。

  • 診断は、血液検査や頭蓋および手の画像検査に基づいて下されます。

  • 原因を調べるために、頭部のCT(コンピュータ断層撮影)検査またはMRI(磁気共鳴画像)検査が行われます。

  • 手術、放射線療法、薬物療法を組み合わせて、成長ホルモンの過剰分泌の治療が行われます。

甲状腺の概要も参照のこと。)

成長ホルモンは、下垂体の前葉でつくられます。成長ホルモンは骨格、筋肉、その他多くの器官の成長を促進します。成長ホルモンが過剰につくられると、これらの組織のすべてで異常に活発な成長が起こります。成長ホルモンが過剰につくられるのは、ほとんどの場合、がんではない良性の下垂体腫瘍(腺腫)が原因です。膵臓(すいぞう)や肺にまれに発生する特定の腫瘍がホルモンを分泌し、それが下垂体を刺激して過剰に成長ホルモンがつくられた結果、同様の症状が起こることもあります。

症状

小児期で骨の成長版(骨の先端部分で、骨が成長するところ)が閉じる前に成長ホルモンが過剰につくられると、巨人症と呼ばれる病態になります。長管骨がどんどん伸びて、身長が異常に伸び、手足も長くなります。さらに思春期の遅れや性器の発育不良がみられることがあります。

多くの場合、成長ホルモンの過剰分泌は骨の成長が止まって長い年月が経過した30~50歳で発生します。このように成人で成長ホルモンが増加しても、骨の長さは伸びませんが、先端巨大症の原因となり、骨は伸びる代わりに変形します。変化はゆっくり起こるため、通常は何年もの間気がつきません。

知っていますか?

  • 先端巨大症の女性は、授乳中でなくても乳汁が出ることがあります。

先端巨大症の人は特有の顔立ちになり、手足は肥大します。より大きいサイズの指輪、手袋、靴、帽子が必要になります。あごの骨(下顎骨[かがくこつ])の成長過剰であごが突き出ます(顎前突症[がくぜんとつしょう])。声帯(喉頭[こうとう])の軟骨が厚くなるため声は太く、かすれます。肋骨(ろっこつ)が肥厚すると、樽のように胸板が厚くなります。関節痛がよくみられます。長年経過してから手足の変形性関節症になることがあります。

巨人症と先端巨大症では、舌が肥大して溝ができます。体毛は硬く濃い色になり、皮膚の肥厚に伴い増加します。皮膚の皮脂腺や汗腺が拡大し、大量発汗と不快な体臭がみられます。

通常は心臓が拡大し、機能が著しく損なわれて心不全を起こすこともあります。

ときには肥大した組織が神経を圧迫し、腕や脚に不快な感触や脱力感が生じます。眼から脳へ情報を伝える神経も圧迫されることがあり、視覚障害、特に視野の外側が損なわれます。脳が圧迫されると重度の頭痛が生じることがあります。

先端巨大症の女性のほとんどは月経周期が不規則になります。関連して起こるプロラクチンの増加のために、授乳中でなくても乳汁が分泌されることがあります(乳汁漏出症)。先端巨大症の男性の約3分の1が勃起障害になります。

糖尿病高血圧睡眠時無呼吸症候群、特定の(特に大腸の)腫瘍を発症しやすくなり、これらの腫瘍はがん化することもあります。無治療の場合、先端巨大症患者の余命は短くなります。

診断

  • 血液検査

  • 画像検査

小児では、初めのうちは急激な成長が異常にみえないことがありますが、やがて極端な成長による異常がはっきりしてきます。

成人の場合、過剰な成長ホルモンによる変化はゆっくりであるため、先端巨大症はしばしば最初の症状が現れてから何年も経過するまで診断されません。経時的に撮影された画像(数年にわたる検査画像)が診断に役立つことがあります。

頭部の画像検査では骨の肥厚と副鼻腔の拡大がみられます。また、手のX線画像では指先の骨の肥厚と骨の周辺組織に腫れがみられます。

血糖値と血圧は高くなることがあります。

下垂体の異常な増殖を調べるために、通常はCTまたはMRI検査が行われます。先端巨大症は診断された時点ですでに発生から数年が経過していることが多いため、これらの検査では大半の患者に腫瘍が見つかります。

血液検査で、成長ホルモンと インスリン様成長因子1(IGF-1)とも高い値が示されれば診断が確定されます。成長ホルモンは短時間に一気に分泌され、先端巨大症でなくても成長ホルモンの量は劇的に変動するため、1回の検査で血液中の成長ホルモン値が高かったとしても、それだけでは診断を確定できません。成長ホルモン濃度を抑える物質を投与しても、正常な抑制が起こらないことを確認しなければなりません。投与される物質で、最も一般的なものはブドウ糖です(経口ブドウ糖負荷試験)。この試験は、臨床的特徴から先端巨大症が明らかな場合、IGF-1値が高い場合、またはCT検査やMRI検査で下垂体に腫瘍がみられる場合、必要ありません。

治療

  • 手術

  • 放射線療法

  • 薬物療法

成長ホルモンの分泌過剰を止めたり減らしたりすることは簡単ではありません。医師は、手術、放射線療法、薬物療法を組み合わせて使用する必要があります。

手術

現在のところ、腫瘍による先端巨大症に対しては、経験豊富な外科医による下垂体腫瘍の切除手術が最良の初期治療とされています。手術によってすぐに腫瘍は小さくなり、成長ホルモンの分泌が減少し、しかもほとんどの場合、他の下垂体ホルモンの低下は起こりません。

しかし残念なことに、多くの場合、腫瘍は発見時にはすでに大きくなっていて、手術だけでは通常治りません。その場合、放射線療法がフォローアップ治療として行われます。この治療法は、特に手術後もかなりの大きさの腫瘍が残って先端巨大症が持続する場合に行われます。

放射線療法

放射線療法では超高圧照射が行われますが、これは手術よりも損傷が少なくて済みます。ただし、この治療法は十分に効果が現れるまでに数年かかることがあり、正常な組織も影響を受けて、後に他の下垂体ホルモンの欠乏が現れることがあります。治療効果を早く得るため、そして正常な下垂体組織を残すために、定位放射線手術などのより照射範囲を限定した放射線療法が試されています。

薬物療法でも成長ホルモンの量を減らせます。最も効果的なのは、成長ホルモンの生産と分泌を遮断するホルモンである、ソマトスタチン系の薬剤です。これらの薬剤にはオクトレオチドのほか、1カ月に1回程度の投与で済む新しい長時間作用型の関連薬などがあります。これらの薬は、使用し続けている限り、多くの人で先端巨大症を制御する効果があります(治癒するわけではありません)。この方法は注射による投与に限られ、しかも高価です。将来的にはもっと長時間効果が持続し、容易に利用できるようになるでしょう。

ときに、ブロモクリプチンやその他の関連薬がある程度有益なこともありますが、オクトレオチドほど効果的ではありません。現在では、ペグビソマントなど数種類の新しい成長ホルモン受容体拮抗薬が開発され、ソマトスタチン系の薬が効かない人の治療に有用です。

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