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その他の原発性脱髄疾患

執筆者:

Michael C. Levin

, MD, College of Medicine, University of Saskatchewan

医学的にレビューされた 2020年 2月
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神経線維を絶縁する組織

脳の内外のほとんどの神経線維は、脂肪(リポタンパク質)でできた何層もの組織(ミエリンといいます)に包まれています。それらの層は髄鞘と呼ばれる組織を形成しています。髄鞘は電気ケーブルを包んでいる絶縁体のような役割を果たしていて、この働きによって、神経信号(電気インパルス)が神経線維に沿って速くかつ正確に伝えられます。髄鞘が損傷すると(脱髄といいます)、信号が神経を正常に伝わらなくなります。

神経線維しんけいせんいを絶縁ぜつえんしている組織そしき

ときに、ウイルスへの感染後あるいはウイルスに対するワクチンの接種後に原発性脱髄疾患が発生することがあります。おそらく、ウイルスもしくは別の物質が何らかの形で免疫系を刺激することで、免疫系が自己の組織を攻撃するようになる現象(自己免疫反応 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がしばしば使用されます。 さらに読む )が関与していると考えられています。自己免疫反応の結果として炎症が起こり、髄鞘とその下の神経線維が損傷を受けます。

急性散在性脳脊髄炎

急性散在性脳脊髄炎は通常、ウイルス感染の後に起こります。急性散在性脳脊髄炎は、ウイルスが引き金となって起きた免疫反応により自己の組織が攻撃されることによると考えられています。米国では、特定の型の インフルエンザ インフルエンザ (流感) インフルエンザは、インフルエンザウイルスによるはい気道きどうの ウイルス感染症かんせんしょうです。感染かんせんすると、発熱はつねつ鼻水はなみず、のどの さらに読む A型肝炎 A型肝炎 A型急性肝炎は、A型肝炎ウイルスを原因とし、持続期間が6カ月未満の肝臓の炎症です。 A型肝炎は、通常、感染した人の便で汚染されたものを摂取したときに感染します。 A型肝炎は、年長児と成人ではウイルス性肝炎の典型的な症状(食欲不振、全身のけん怠感、黄疸など)を引き起こしますが、幼児では症状が起こらないことがあります。 A型肝炎の診断は、血液検査の結果に基づいて下されます。 すべての小児のほか、感染にさらされたり、重い合併症が発生したりする... さらに読む B型肝炎 B型肝炎(急性) B型急性肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因とし、持続期間が数週間から最大で6カ月の肝臓の炎症です。 B型肝炎は、違法薬物の注射を目的として滅菌していない針を共用した場合にみられるように、感染した人の血液などの体液と接触することで感染します。 B型肝炎はウイルス性肝炎の典型的な症状(食欲不振、全身のけん怠感、黄疸など)を引き起こし、劇症肝炎と呼ばれる重症の肝炎も生じることがあります。... さらに読む エンテロウイルス感染症 エンテロウイルス感染症の概要 エンテロウイルス感染症は、体の多くの部分を侵し、また数種類の異なるエンテロウイルスのいずれもが原因となる可能性があります。 エンテロウイルス感染症は、様々な種類のウイルスによって引き起こされます。 エンテロウイルス感染症の症状は、発熱、頭痛、呼吸器疾患、のどの痛みなどで、ときに口の痛みや発疹がみられることもあります。... さらに読む エンテロウイルス感染症の概要 エプスタイン-バーウイルス感染症 伝染性単核球症 エプスタイン-バーウイルスは、伝染性単核球症をはじめ、いくつかの病気を引き起こします。 この ウイルスはキスを介して広がります。 症状は様々ですが、最も多いのは極度の疲労感、発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れです。 血液検査を行って診断を確定します。 アセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は発熱と痛みを和らげます。 さらに読む 伝染性単核球症 ヒト免疫不全ウイルス ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 (HIV)感染症などが主な原因です。小児に対する予防接種が普及する以前は、 麻疹(はしか) 麻疹(はしか) 麻疹は非常に感染力の強い ウイルス感染症で、かぜのような様々な症状と特徴的な発疹が現れます。 麻疹の原因はウイルスです。 症状としては、発熱、鼻水、頻発する空せき、目の充血、かゆみを伴う赤い発疹などがみられます。 診断は、典型的な症状と特徴的な発疹に基づいて下されます。 ほとんどの小児が回復しますが、まれに麻疹により死亡したり脳に損傷が生じたりすることもあります。 さらに読む 麻疹(はしか) 水痘 水痘(水ぼうそう) 水痘とは、水痘帯状疱疹ウイルスによる、感染力が非常に強い ウイルス感染症で、かゆみのある特徴的な発疹が現れます。発疹は小さな斑点で、盛り上がったり、水疱(水ぶくれ)を形成したり、かさぶたができたりします。 水痘はほとんどが小児に起こりますが、水痘ワクチンのおかげで発生数は大幅に減少しています。 発疹が現れる前に、軽い頭痛、中等度の発熱、食欲低下、全身のけん怠感がみられます。 診断は症状(特に発疹)に基づいて下されます。... さらに読む 水痘(水ぼうそう) 風疹 風疹 風疹は、典型的には関節痛や発疹などの軽い症状を引き起こす感染力の強いウイルス感染症ですが、妊娠中の母親が風疹に感染すると、新生児に重い先天異常が起きます。 風疹の原因はウイルスです。 典型的な症状としては、リンパ節の腫れ、口蓋(こうがい)に出るバラ色の斑点、特徴的な発疹などがあります。 診断は症状に基づいて下されます。 定期予防接種で予防できます。 さらに読む 風疹 も一般的な原因でした。

典型的には、ウイルス感染による病気が始まってから1~3週間後に炎症が発生します。

症状

急性散在性脳脊髄炎の症状は急速に現れます。まず、発熱、頭痛、吐き気、嘔吐、疲労感が現れます。重症の場合、けいれん発作や昏睡を引き起こす可能性があります。

片眼または両眼の視力が障害されます。筋力が低下したり、協調運動障害が起きたりして、歩行が困難になることがあります。麻痺が起こることもあります。体の一部で感覚が失われ、しびれを感じることがあります。精神機能(思考、判断、学習など)に影響が現れることもあります。

大半の人は数日以内に回復し、6カ月以内にほとんどの人が完全またはほぼ完全に回復します。残りの人では、障害が一生残ることがあります。筋力低下が持続し、体の各領域でしびれが残る可能性があります。視力や精神機能は回復しないことがあります。

診断

  • 医師による評価

急性散在性脳脊髄炎の診断は、症状と身体診察の結果に基づいて下せることがあります。MRI検査を行うこともあります。

治療

  • コルチコステロイド

  • 免疫グロブリン製剤または血漿交換

急性散在性脳脊髄炎はコルチコステロイドの静脈内投与で治療できます。

副腎白質ジストロフィーと副腎脊髄ニューロパチー

副腎白質ジストロフィーは男児(通常は4~8歳)が発症する病気です。青年期または若年成人期に発症して、ゆっくり進行する比較的軽症のタイプもあります。

副腎脊髄ニューロパチーは軽症の病型です。20代または30代の男性で発症します。

これらの病気では、広範囲の神経で 脱髄 脱髄疾患の概要 脳の内外のほとんどの神経線維は、脂肪(リポタンパク質)でできた何層もの組織(ミエリンといいます)に包まれています。それらの層は髄鞘(ずいしょう)と呼ばれる組織を形成しています。髄鞘は電気ケーブルを包んでいる絶縁体のような役割を果たしていて、この働きによって、神経信号(電気インパルス)が神経線維に沿って速くかつ正確に伝えられます。髄鞘が損傷... さらに読む が起こり、 副腎機能障害 副腎の病気 人間の体には2つの副腎があり、それぞれ左右の腎臓の上部に位置しています。これらは 内分泌腺であり、血液中にホルモンを分泌します。それぞれの副腎には以下の2つの部分があります。 髄質:副腎内部は、アドレナリン(エピネフリン)などのホルモンを分泌し、血圧、心拍数、発汗など、交感神経系によっても調節される身体活動の制御に影響を与えます。... さらに読む が生じます。その結果、男児に行動面の問題や聴覚および視覚の異常が生じます。最終的には、精神機能の低下や、けい縮(協調のとれていない筋肉の不随意な収縮)、失明が起こります。副腎白質ジストロフィーの男児の中には、完全な身体障害をきたし、診断から2~3年後に死亡することもあります。副腎脊髄ニューロパチーの成人ではまず、脚の筋力低下とこわばりに気づくか、尿失禁また便失禁がみられるようなるか、勃起障害が起こります。

副腎白質ジストロフィーまたは副腎脊髄ニューロパチーの診断は、遺伝子検査によって確定されます。

どちらの病気も、根本的な治療法は知られていません。オレイン酸トリグリセリドとエルカ酸トリグリセリドを成分とするサプリメント(「ロレンツォオイル」という名称で知られています)が役立つ可能性がありますが、さらなる研究が必要です。

レーベル遺伝性視神経症

レーベル遺伝性視神経症は、男性により多くみられます。通常、15~35歳の間に症状が始まります。この病気は母親を介して遺伝し、異常な遺伝子はミトコンドリア(細胞にエネルギーを供給する小器官)内にあると考えられています。

片眼または両眼で視野がかすむことがあります。ただし、片方の眼に症状が起きると、もう片方の眼でも数週間または数カ月以内に症状が現れ始めます。やがて見え方の鮮明さ(視力)と色覚が低下します。

レーベル遺伝性視神経症に対して確立された治療法はありません。ただし、イデベノンとユビキノンという薬剤がレーベル遺伝性視神経症患者の視力を改善する可能性を示唆した科学的証拠があります。しかし、これらの薬剤も視神経にすでに生じている損傷を元に戻すことはできません。遺伝子治療の研究が行われています。正常な遺伝子を眼に注入する方法が検討されています。

飲酒量の制限と禁煙が助けになる可能性があります。アルコールとタバコは、レーベル遺伝性視神経症を引き起こす異常遺伝子が存在するミトコンドリアに影響を及ぼす可能性があります。

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