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その他の原発性脱髄疾患

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神経線維を絶縁する組織

脳の内外のほとんどの神経線維は、脂肪(リポタンパク)でできた何層もの組織(ミエリンといいます)に包まれています。それらの層は髄鞘と呼ばれる組織を形成しています。髄鞘は電線を包む絶縁体のような役割を果たしていて、この働きによって、神経信号(電気インパルス)が神経線維に沿って速くかつ正確に伝えられます。髄鞘が損傷すると(脱髄といいます)、信号が神経を正常に伝わらなくなります。

神経線維を絶縁する組織

ときに、ウイルスへの感染後あるいはウイルスに対するワクチンの接種後に原発性脱髄疾患が発生することがあります。おそらく、ウイルスもしくは別の物質が何らかの形で免疫系を刺激することで、免疫系が自己の組織を攻撃するようになる現象(自己免疫反応 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がしばしば使用されます。 さらに読む )が関与していると考えられています。自己免疫反応の結果として炎症が起こり、髄鞘とその下の神経線維が損傷を受けます。

急性散在性脳脊髄炎

急性散在性脳脊髄炎は通常、ウイルス感染の後に起こります。急性散在性脳脊髄炎は、ウイルスが引き金となって起きた免疫反応により自己の組織が攻撃されることによると考えられています。米国では、特定の型のインフルエンザ インフルエンザ(流感) インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる肺と気道のウイルス感染症です。感染すると、発熱、鼻水、のどの痛み、せき、頭痛、筋肉痛、全身のだるさ(けん怠感)が生じます。 ウイルスは、感染者のせきやくしゃみで飛散した飛沫を吸い込んだり、感染者の鼻の分泌物に直接触れたりすることで感染します。 まず悪寒が生じ、続いて発熱、筋肉痛、頭痛、のどの痛み、せき、鼻水、全身のだるさが生じます。... さらに読む A型肝炎 A型肝炎(急性) A型急性肝炎は、A型肝炎ウイルスを原因とし、持続期間が6カ月未満の肝臓の炎症です。 A型肝炎は、通常、感染した人の便で汚染されたものを摂取したときに感染します。 A型肝炎は、年長児と成人ではウイルス性肝炎の典型的な症状(食欲不振、全身のだるさ、黄疸など)を引き起こしますが、幼児では症状が起こらないことがあります。 A型肝炎の診断は、血液検査の結果に基づいて下されます。 すべての小児のほか、感染にさらされたり、重い合併症が発生したりする可... さらに読む B型肝炎 B型肝炎(急性) B型急性肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因とし、持続期間が数週間から最大で6カ月の肝臓の炎症です。 B型肝炎は、違法薬物の注射を目的として滅菌していない針を共用した場合にみられるように、感染した人の血液などの体液と接触することで感染します。 B型肝炎はウイルス性肝炎の典型的な症状(食欲不振、全身のだるさ、黄疸など)を引き起こし、劇症肝炎と呼ばれる重症の肝炎も生じることがあります。... さらに読む エンテロウイルス感染症 エンテロウイルス感染症の概要 エンテロウイルス感染症は、体の多くの部分を侵し、また数種類の異なるエンテロウイルスのいずれもが原因となる可能性があります。 エンテロウイルス感染症は、様々な種類のウイルスによって引き起こされます。 エンテロウイルス感染症の症状は、発熱、頭痛、呼吸器疾患、のどの痛みなどで、ときに口の痛みや発疹がみられることもあります。... さらに読む エンテロウイルス感染症の概要 エプスタイン-バーウイルス感染症 伝染性単核球症 エプスタイン-バーウイルスは、伝染性単核球症をはじめ、いくつかの病気を引き起こします。 このウイルスはキスを介して広がります。 症状は様々ですが、最も多いのは極度の疲労感、発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れです。 血液検査を行って診断を確定します。 アセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は発熱と痛みを和らげます。 さらに読む 伝染性単核球症 ヒト免疫不全ウイルス ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 (HIV)感染症などが主な原因です。小児に対する予防接種が普及する以前は、麻疹(はしか) 麻疹(はしか) 麻疹は非常に感染力の強いウイルス感染症で、様々な症状と特徴的な発疹が現れます。 麻疹の原因はウイルスです。 症状としては、発熱、鼻水、頻発する空せき、目の充血、かゆみを伴う赤い発疹などがみられます。 診断は、典型的な症状と特徴的な発疹に基づいて下されます。 ほとんどの小児が回復しますが、まれに麻疹により死亡したり脳に損傷が生じたりすることもあります。 さらに読む 麻疹(はしか) 水痘 水痘(水ぼうそう) 水痘とは、水痘帯状疱疹ウイルスによる、感染力が非常に強いウイルス感染症で、かゆみのある特徴的な発疹が現れます。発疹は小さな斑点で、盛り上がったり、水疱(水ぶくれ)を形成したり、かさぶたができたりします。 水痘はほとんどが小児に起こりますが、水痘ワクチンのおかげで発生数は大幅に減少しています。 発疹が現れる前に、軽い頭痛、中等度の発熱、食欲低下、全身のだるさがみられます。 診断は症状(特に発疹)に基づいて下されます。... さらに読む 風疹 風疹 風疹は感染力の強いウイルス感染症で、関節痛や発疹などの軽い症状が出ます。 風疹の原因はウイルスです。妊娠中の母親が風疹に感染すると新生児に重い先天異常が起きます。 典型的な症状としては、リンパ節の腫れ、口蓋(こうがい)に出るバラ色の斑点、特徴的な発疹などがあります。 診断は症状に基づいて下されます。 定期予防接種で予防できます。 さらに読む 風疹 も一般的な原因でした。

典型的には、ウイルス感染による病気が始まってから1~3週間後に炎症が発生します。

症状

急性散在性脳脊髄炎の症状は急速に現れます。まず、発熱、頭痛、吐き気、嘔吐、疲労感が現れます。重症の場合、けいれん発作や昏睡を引き起こす可能性があります。

片眼または両眼の視力が障害されます。筋力が低下したり、協調運動障害が起きたりして、歩行が困難になることがあります。麻痺が起こることもあります。体の一部で感覚が失われ、しびれを感じることがあります。精神機能(思考、判断、学習など)に影響が現れることもあります。

大半の人は数日以内に回復し、6カ月以内にほとんどの人が完全またはほぼ完全に回復します。残りの人では、障害が一生残ることがあります。筋力低下が持続し、体の各領域でしびれが残る可能性があります。視力や精神機能は回復しないことがあります。

診断

  • 医師による評価

急性散在性脳脊髄炎の診断は、症状と身体診察の結果に基づいて下せることがあります。MRI検査を行うこともあります。

治療

  • コルチコステロイド

  • 免疫グロブリン製剤または血漿交換

急性散在性脳脊髄炎はコルチコステロイドの静脈内投与で治療できます。

副腎白質ジストロフィーと副腎脊髄ニューロパチー

副腎白質ジストロフィー X連鎖性副腎白質ジストロフィー ペルオキシソーム病は、ペルオキシソームがないか、体内でうまく機能しないときに発生する遺伝性代謝疾患の総称です。遺伝性疾患は、これらの病気を引き起こす欠陥のある遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。 ペルオキシソームとは、細胞内のごく小さな構造物です。これは、いわば細胞の臓器のようなもので、オルガネラと呼ばれます。ペルオキシソームには、カタラーゼやペルオキシダーゼなどの酵素と呼ばれる化学物質が含まれています。これらの化学物質... さらに読む 副腎脊髄ニューロパチー ペルオキシソーム病は、ペルオキシソームがないか、体内でうまく機能しないときに発生する遺伝性代謝疾患の総称です。遺伝性疾患は、これらの病気を引き起こす欠陥のある遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。 ペルオキシソームとは、細胞内のごく小さな構造物です。これは、いわば細胞の臓器のようなもので、オルガネラと呼ばれます。ペルオキシソームには、カタラーゼやペルオキシダーゼなどの酵素と呼ばれる化学物質が含まれています。これらの化学物質... さらに読む は、まれな遺伝性代謝疾患です。これらの病気では、脂肪がうまく分解されません。こうして脂肪が主に脳、脊髄、副腎に蓄積します。脳では、蓄積した脂肪が神経の脱髄を引き起こします。

副腎白質ジストロフィーは男児(通常は4~8歳)が発症する病気です。青年期または若年成人期に発症して、ゆっくり進行する比較的軽症のタイプもあります。

副腎脊髄ニューロパチーは軽症の病型です。20代または30代の男性で発症します。

これらの病気では、広範囲の神経で脱髄 脱髄疾患の概要 脳の内外のほとんどの神経線維は、脂肪(リポタンパク)でできた何層もの組織(ミエリンといいます)に包まれています。それらの層は髄鞘(ずいしょう)と呼ばれる組織を形成しています。髄鞘は電線を包む絶縁体のような役割を果たしていて、この働きによって、神経信号(電気インパルス)が神経線維に沿って速くかつ正確に伝えられます。髄鞘が損傷すると、信号が神... さらに読む が起こり、副腎機能障害 副腎の病気 人間の体には2つの副腎があり、それぞれ左右の腎臓の上部に位置しています。それぞれの副腎には以下の2つの部分があります。 髄質:副腎内部は、アドレナリン(エピネフリン)などのホルモンを分泌し、血圧、心拍数、発汗など、交感神経系によっても調節される身体活動の制御に影響を与えます。 皮質:副腎の外側の部分は、コルチコステロイド(コルチゾールなど... さらに読む が生じます。その結果、男児に行動面の問題や聴覚および視覚の異常が生じます。最終的には、精神機能の低下や、けい縮(協調のとれていない筋肉の不随意な収縮)、失明が起こります。副腎白質ジストロフィーの男児の中には、完全な身体障害をきたし、診断から2~3年後に死亡することもあります。副腎脊髄ニューロパチーの成人ではまず、脚の筋力低下とこわばりに気づくか、尿失禁また便失禁がみられるようなるか、勃起障害が起こります。

副腎白質ジストロフィーまたは副腎脊髄ニューロパチーの診断は、遺伝子検査によって確定されます。

どちらの病気も、根本的な治療法は知られていません。オレイン酸トリグリセリドとエルカ酸トリグリセリドを成分とするサプリメント(「ロレンツォオイル」という名称で知られています)が役立つ可能性がありますが、さらなる研究が必要です。病変が(脳ではなく)副腎にある場合、副腎ホルモンによる治療で命を救える可能性があります。脳が侵されている場合は、現在では多くの専門家が幹細胞移植 幹細胞移植 幹細胞は未分化の細胞で、分裂しながら、より分化した他の細胞に変わっていきます。幹細胞は以下のものから採取することができます。 生まれてすぐの新生児の臍帯血(母親が提供) 骨髄(骨髄移植) 血液 手技による体への負担が少なく、正常な血球数への回復が早いため、骨髄よりも血液からの採取が好まれます。通常、臍帯血からの幹細胞は小児のみに使用されます。これは、臍帯血には成人に使用できるほど十分な量の幹細胞が含まれていないためです。 さらに読む を推奨しています。

レーベル遺伝性視神経症

レーベル遺伝性視神経症は、男性により多くみられます。通常、15~35歳の間に症状が始まります。この病気は母親を介して遺伝し、異常な遺伝子はミトコンドリア(細胞にエネルギーを供給する小器官)内にあると考えられています。

片眼または両眼で視野がかすむことがあります。ただし、片方の眼に症状が起きると、もう片方の眼でも数週間または数カ月以内に症状が現れ始めます。やがて見え方の鮮明さ(視力)と色覚が低下します。

レーベル遺伝性視神経症に対して確立された治療法はありません。ただし、イデベノンとユビキノンという薬剤がレーベル遺伝性視神経症患者の視力を改善する可能性を示唆した科学的証拠がありますが、視神経に生じてしまった損傷を元に戻すことはできません。

飲酒量の制限と禁煙が助けになる可能性があります。アルコールとタバコは、レーベル遺伝性視神経症の原因遺伝子が存在するミトコンドリアに影響を及ぼす可能性があります。

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