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特発性肺線維症

執筆者:

Joyce Lee

, MD, MAS, University of Colorado School of Medicine

レビュー/改訂 2021年 6月
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特発性肺線維症は、特発性間質性肺炎の中で最も多くみられます。

  • 特発性肺線維症になりやすい人は、主に50歳以上の男性で、通常は喫煙歴がある場合です。

  • 症状には、せき、呼吸困難、疲労感などがあります。

  • 治療は、呼吸リハビリテーション、肺移植、ピルフェニドンやニンテダニブなどの薬剤により行います。

特発性肺線維症では、肺が進行性に線維化しますが、原因は不明です。複数の人が罹患している家族もあるため、遺伝的な要素があると考えられています。特発性肺線維症の一部の患者では、特定の遺伝子変異が確認されています。

特発性肺線維症の症状

主な症状は運動時の息切れ、せき、持久力の低下などで、これらが知らないうちに現れ始めます。ほとんどの場合、症状は約6カ月から数年かけて悪化していきます。

病気が進行するにつれて、血液中の酸素レベルが低下し、皮膚の色が青っぽくなったり(チアノーゼ)、指先が太くなってばち状になったりすること(図「 ばち状指を見分ける ばち状指を見分ける ばち状指を見分ける 」を参照)があります。心臓に負担がかかると、右心室が拡大して、やがて右 心不全 心不全 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む 心不全 に陥ることもあります。医師には聴診器を通して、しばしばパチパチという肺の音が聞こえます。

特発性肺線維症の診断

  • 胸部CT検査

  • ときに肺生検

胸部X線検査では肺の損傷が、主に両肺の下側によくみられます。CT検査では、肺の損傷と厚い瘢痕がより詳細に見えます。 肺機能検査 肺機能検査 肺機能検査では、肺にためることができる空気の量、肺から空気を出し入れする能力、肺に酸素を取り込む能力を測定します。 肺機能検査は、肺疾患の具体的な原因を突き止めるというより、一般的なタイプや重症度を調べるのに適していますが、 喘息や 慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの特定の病気を診断するために使用されることもあります。 ( 肺疾患に関する病歴聴取と身体診察および 呼吸器系も参照のこと。)... さらに読む 肺機能検査 では、肺に吸い込める空気の量が、正常値を下回っていることが明らかになります。採取した血液のサンプル(動脈血ガス検査 動脈血ガス分析とパルスオキシメトリー 動脈血ガス分析とパルスオキシメトリーは、血液中の酸素の量を測定するもので、肺の機能を調べるのに役立ちます。動脈血ガス分析は侵襲的で、血液サンプルを必要とし、特定の時点での情報が得られます。パルスオキシメトリーは侵襲的ではありません。この検査では指につけたセンサーを用います。血期中の酸素の量を連続して測定することができます。 ( 肺疾患に関する病歴聴取と身体診察も参照のこと。)... さらに読む を参照)を分析するか、オキシメーターを用いると、普通の速度で歩く程度の最低限の運動をしているだけでも血液中の酸素レベルの低下が認められ、病気が進行するとともに安静時でもこれがみられるようになります。

血液検査で診断を確定することはできませんが、同じようなパターンの炎症や瘢痕化を生じうる別の病気を調べる検査の一環として行われます。例えば、特定の自己免疫疾患ではないことを調べるために、血液検査を行うことがあります。

特発性肺線維症の治療

  • ピルフェニドンまたはニンテダニブ

  • 呼吸リハビリテーション

  • 症状に対する治療

ほとんどの場合、病状は悪化していきます。平均すると、診断後の生存期間は約3~5年です。なかには診断後5年以上生存する人もいます。少数ながら数カ月以内に死亡する人もいます。

ピルフェニドンとニンテダニブは、肺機能の低下を遅らせるとされています。臨床試験で他の薬物療法が研究されています。

ほかにも、症状の緩和のために以下のような治療が行われます。

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