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心臓と血管の病気に関する病歴聴取と身体診察

執筆者:

Michael J. Shea

, MD, Michigan Medicine at the University of Michigan

最終査読/改訂年月 2017年 10月
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病歴聴取と身体診察の結果から、心臓や血管の病気が疑われ、その正確な診断を下すために追加の検査が必要になることがあります。

病歴聴取

医師が「病歴を聴取」をするというのは、医師が患者に質問して、何が問題であるか「話」をしてもらうことです。医師はまず、症状について質問します。 胸痛 胸痛 胸痛は非常によくみられる症状です。鋭い痛みと鈍い痛みがありますが、胸に病気がある人が使う表現は、不快感、締めつけられる感じ、圧迫感、ガスがたまった感じ、焼けつくような痛み、うずくような痛みなどです。ときに、背部、首、顎、上腹部、腕などにも痛みが生じることがあります。胸痛の原因によっては、吐き気、せき、呼吸困難などの他の症状が現れることもあります。 胸痛が場合によっては生命を脅かす病気の徴候であることは多くの人がよく理解しており、わずかな... さらに読む 息切れ 息切れ 息切れ(医師は呼吸困難と呼びます)とは、息がしにくくなる不快な感覚のことです。息切れをどのように感じ、それをどのように表現するかは、原因によって異なります。 通常、運動をしているときや、標高が高い所では呼吸が速く深くなりますが、それで不快になることはまずありません。肺の病気であれ他の病気であれ、多くの病気では、安静時でも呼吸数が増加します。例えば、熱があると、一般に呼吸が速くなります。... さらに読む 動悸 動悸 動悸とは、心臓の拍動が自覚される症状です。心臓が強く脈打ったり、ふるえたり、激しく鼓動したり、脈が飛んだりするように感じられることがあります。動悸の原因によっては、胸の不快感や息切れなど、ほかの症状が生じることもあります。 動悸はよくみられる症状です。動悸が不快な警告のように感じられることもありますが、動悸が生命を脅かす心疾患の徴候であることはまれです。動悸は心疾患のない多くの人でも起こります。... さらに読む (心拍が速いか不規則だと感じること)、 失神 失神 ふらつき(失神寸前の状態)とは、気を失いそうな感覚のことです。 失神(気絶)は、突然生じる短時間の意識の消失で、地面に倒れたり椅子の上で崩れ落ちたりした後、意識が回復します。失神中は動かず、ぐったりとした状態で、通常は脚と腕が冷たく、脈は弱く、呼吸が浅くなります。 失神前にふらつきやめまいを感じる人もいます。また、吐き気、発汗、かすみ目または視野狭窄、唇や指先のチクチク感、胸痛、動悸が起こる人もいます。あまり多くありませんが、警告すべき... さらに読む めまいやふらつき 立ちくらみ 一部の人、特に高齢者では、上体を起こしたり、立ち上がったりすると、血圧が極度に低下することがあります(起立性低血圧や体位性低血圧と呼ばれます)。立ち上がると(特にベッドで寝ていた後や長時間にわたって座っていた後に)数秒間から数分間にわたって気が遠くなる、ふらつき、めまい、混乱、かすみ目などの症状が起こり、横になるとそれらの症状は速やかに消失します。しかし、なかには転倒や失神、また極めてまれですが短時間のけいれんが起こる場合もあります。こ... さらに読む 、脚、足首、足、または腹部の 腫れ むくみ むくみ(浮腫)は、組織内の体液の量が過剰になることによって起こります。その体液は主に水が占めています。 むくみは、広い範囲に及ぶこともあれば、腕や脚の全体または一部分でとどまることもあります。むくみは脚の膝より下の部分に起こることが多いですが、長期にわたってベッドで寝ていなければならない人(長期の床上安静)では、ときに殿部や性器、太ももの背面にむくみが起きることがあります。常に片側を下にして横向きに寝る女性では、下側にくる乳房にむくみが... さらに読む むくみ (浮腫)などがある場合、心臓の病気が疑われます。

そのほか、より全身的な症状、例えば発熱、脱力、疲労感、食欲不振、全身のだるさや不快感(けん怠感)がある場合も、心臓の病気が疑われることがあります。痛み、しびれ、強い痛みを伴う脚のけいれんがあれば、腕、脚、体幹の動脈(心臓に血液を供給する血管以外)の 末梢動脈疾患 末梢動脈疾患の概要 末梢動脈疾患とは、体幹、腕、脚の動脈の血流が減少する病気です。 末梢動脈疾患という用語は、たいていの場合、動脈硬化による脚の動脈の血流不足を指して用いられます。しかし、脚以外の動脈、例えば腕でも起こることがあり、また、別の原因によることもあります。脳へ血液を供給する動脈の病気は、脳血管疾患として末梢動脈疾患とは分けて考えられています。また... さらに読む 末梢動脈疾患の概要 が疑われます。

次に、医師は以下のことについて質問します。

身体診察

身体診察では、医師は以下の点について調べることがあります。

  • 体重と全体的な外観

  • バイタルサイン(体温、呼吸数、血圧など)

  • 首の静脈

  • 心臓と肺の音

  • 脈拍

  • 脚と足首を調べてむくみの徴候がないか確認する

  • 皮膚

心臓の病気を示す可能性のある、蒼白、発汗、眠気がないか調べます。心臓の病気が影響を与えることがある、全体的な気分や体調についても注意を払います。

皮膚の色について評価を行いますが、これは、青白い色や青みがかった色、紫がかった色(チアノーゼ)があれば、赤血球の値が低いこと( 貧血 貧血の概要 貧血とは、赤血球の数やヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球中のタンパク質)の量が少ない状態をいいます。 赤血球には、肺から酸素を運び、全身の組織に届けることを可能にしているヘモグロビンというタンパク質が含まれています。赤血球数が減少したり、赤血球中のヘモグロビンの量が少なくなったりすると、血液は酸素を十分に供給できなくなります。組織に酸素が十分... さらに読む )や血流が不十分なことが疑われるためです。そうした所見があれば、肺の病気や 心不全 心不全 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む 心不全 、様々な循環の問題のために、血液から皮膚に十分な酸素が届いていないことが疑われます。

脈拍を、首、わきの下、肘、手首、腹部、鼠径部(そけいぶ)、膝、足首、足で測り、血流が十分かどうか、体の左右で差がないかを調べます。異常があれば、心臓や血管の病気が疑われることがあります。

首の静脈の視診は、患者を寝かせた状態から上半身を45度起こした状態で行います。この部位の静脈で視診を行うのは、それらの静脈が右心房(全身から戻ってきた血液が流れ込む心臓の上部にある空間)と直接つながっているため、心臓の右側部分に入っていく血液の量や圧力の指標になるからです。

医師は、皮下組織に体液がたまったことによる腫れ(浮腫)がないか、足首や脚、ときには腰の皮膚を指で押して確認します。

眼の診察を行いますが、これは、眼の内側の表面にある光を感じる膜(網膜)が、静脈や動脈を直接観察できる唯一の部位であるためです。 検眼鏡 眼底検査 眼に何らかの症状が出た場合は、医師の診察を受けるべきです。 しかし、眼の病気の中には、初期段階では症状がほとんどまたはまったくないものもあります。したがって、症状がなくても、眼科医やオプトメトリストによる定期的な検査を1~2年に1回程度(眼の状態によってはもう少し頻繁に)受けるべきです。眼科医とは、眼の病気の評価と(手術を含む)治療を専門... さらに読む を使用して、網膜の血管を観察します。 高血圧 高血圧 高血圧とは、動脈内の圧力が恒常的に高くなった状態のことです。 高血圧の原因は不明のことも多いですが、腎臓の基礎疾患や内分泌疾患によって起こる場合もあります。 肥満、体を動かさない生活習慣、ストレス、喫煙、過度の飲酒、食事での過剰な塩分摂取などはすべて、遺伝的に高血圧になりやすい人の高血圧の発症に何らかの形で関与しています。... さらに読む 糖尿病 糖尿病 糖尿病は体が必要とするインスリンを十分に産生しないため、血糖(ブドウ糖)値が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇き、減量しようとしていないのに体重が減少します。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む 動脈硬化 動脈硬化 アテローム性動脈硬化とは、太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気です。 アテローム性動脈硬化は、動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによって引き起こされます。... さらに読む 動脈硬化 、心臓弁の細菌感染症( 心内膜炎 感染性心内膜炎 感染性心内膜炎は、心臓の内側を覆っている組織(心内膜)に生じる感染症で、通常は心臓弁にも感染が及びます。 感染性心内膜炎は、血流に入った細菌が損傷のある心臓弁に到達して、そこに付着することで発生します。 急性細菌性心内膜炎では通常、高熱、頻脈(心拍数の上昇)、疲労、そして広範囲にわたる急激な心臓弁の損傷が突然もたらされます。... さらに読む 感染性心内膜炎 )などがある患者の多くで、網膜の異常を直接見ることができます。

医師は胸部を観察し、呼吸数や胸の動きが正常かどうか調べます。指で胸をたたく(打診する)ことで、肺が空気で満たされた正常な状態か、体液がたまった異常な状態か判断します。また打診は、心膜(心臓を包んでいる袋状の膜)や胸膜(肺を覆っている膜)の中に体液がたまっているかどうかを判断するのにも役立ちます。

聴診器を使用して、呼吸音を聞きます。バチバチといった音(捻髪音[ねんぱつおん])が聞かれる場合は、心不全によって肺の中に体液がたまっていることが示唆されます。

患者の胸に手を当てることで触診を行い、拍動が最も強い部位と、心臓の大きさが分かります。1拍毎の心収縮の性質と強さも判断できます。ときに、血管内や心房と心室の間で異常な血流の乱れが生じた場合、指先や手のひらで感じられるような振戦と呼ばれる振動が起こります。

聴診器で心音を聞くと(聴診)、心臓の弁の開閉によって生じる特有の音が聞こえます。心臓弁や心臓の構造に異常があると血流の乱れが生じ、心雑音と呼ばれる特徴的な音が聞こえます。血流の乱れは、狭くなった弁や逆流が起きている弁を血液が通過するときに発生するのが典型的です。しかし、すべての心疾患で心雑音が生じるわけではなく、心雑音があれば必ず心疾患があるというわけでもありません。例えば、妊娠した女性では、正常でも血流が増加するため、通常は心雑音が聞かれます。乳児や小児でも無害な心雑音がよく聞かれますが、これは心臓の構造が小さく、そこを通る血流が速いためです。高齢者では、血管壁や弁などの組織が徐々に硬くなるため、重篤な心疾患がなくても、血流の乱れが生じることがあります。また、異常な弁が開くときにクリック音や開放音が聞こえることもあります。心不全の患者では、心音が1~2回余分に聞こえることで、疾走するウマの足音に似た奔馬調律(ほんばちょうりつ)というパターンがよく聞かれます。

肝臓の腫大の有無を確認するため、腹部の触診を行います。肝臓の腫大があれば、心臓に通じる主な静脈に血液がたまっていることが疑われます。体液がたまって腹部が腫れていると、心不全が疑われます。医師は腹部をやさしく押して脈を調べ、腹部大動脈の太さを確認します。

自由行動下血圧モニタリング

診察室で測った血圧があまりにも高すぎる場合など、高血圧の診断に疑問が生じた場合、24時間記録できる血圧計を使用する場合があります。この血圧計は腰に装着する小型の電池式の装置で、腕に巻いたカフとつながっています。この装置は、24時間または48時間にわたって昼夜を問わず繰り返し血圧を測定し、結果を記録します。この記録から、高血圧の有無とその重症度を判断することができます。

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