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肥大型心筋症

執筆者:

Thomas D. Stamos

, MD, University of Illinois at Chicago

最終査読/改訂年月 2017年 8月
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概要
本ページのリソース

肥大型心筋症とは、心室(心臓の下側にある2つの部屋)の壁が厚くなって(肥大)硬くなる一群の心疾患です。

  • ほとんどの肥大型心筋症は、親から受け継がれた遺伝的な異常によって引き起こされます。

  • 失神、胸痛、息切れ、動悸(不規則な心拍の自覚)が生じます。

  • 医師は身体所見からこの病気を疑いますが、診断の確定には心エコー検査またはMRI検査が用いられます。

  • 心臓の収縮力を低下させる薬を投与します。

心筋症という用語は、ある病気が心筋に直接影響を及ぼしている場合に使用されます。高血圧や心臓弁弁膜症(大動脈弁狭窄症など)といったのその他の病気でも、最終的に心室の肥大と心不全が起きることがあります。しかし、このような病気によって引き起こされる心筋の異常は心筋症とはみなされません。

原因

ほぼすべての肥大型心筋症は、以下によって引き起こされます。

  • 自然発生した遺伝子変異または親から受け継がれた遺伝子異常

ごくまれに、先端巨大症 巨人症および先端巨大症 (甲状腺の概要も参照のこと。) 成長ホルモンが過剰につくられると、極端な発育を招きます。この状態は、小児では巨人症、成人では先端巨大症(末端肥大症)と呼ばれます。 成長ホルモンが過剰につくられるのは、ほとんどの場合、がんではない(良性の)下垂体腫瘍が原因です。 小児では身長が異常に伸び、成人では身長が伸びない代わりに骨が変形します。 よくみられる症状に心不全、脱力、視覚障害があります。 さらに読む 巨人症および先端巨大症 (通常は下垂体の良性腫瘍によって成長ホルモンが過剰に分泌されて起きる病気)、褐色細胞腫 褐色細胞腫 褐色細胞腫は副腎のクロム親和性細胞に由来する腫瘍で、高血圧やその他の症状を引き起こす強力なホルモンのカテコールアミンが過剰につくられる病気です。 高血圧が最も重大な症状ですが、激しい動悸、大量発汗、立ちくらみ、速い呼吸、重度の頭痛や、そのほかにも多くの症状がみられることがあります。 医師はカテコールアミンまたは体がカテコールアミンを分解するときにつくられる産物の血中濃度を測定するとともに、画像検査を行って腫瘍を探します。... さらに読む アドレナリンというホルモンを過剰に分泌する主要)、神経線維腫症 神経線維腫症 神経線維腫症は一群の遺伝性疾患の総称で、皮膚の下などの体の部分に、軟らかく肥厚した神経組織(神経線維腫)が増殖し、しばしばコーヒーミルク色の平らな斑点(カフェオレ斑)が皮膚にできます。 皮膚の下にできる腫瘍とカフェオレ斑に加え、骨の異常、協調運動障害、脱力、感覚異常、聴覚障害、視覚障害がみられることもあります。... さらに読む 神経線維腫症 (軟らかい肉質の神経組織が皮膚の下やその他の部位で多数増殖する遺伝性疾患)などの病気によって、遺伝性ではない肥大型心筋症が発生する場合もあります。

合併症

肥厚して硬くなっているために心室の壁が十分に弛緩できず、そのため心腔に十分な量の血液が流れ込まなくなります。心臓が速く拍動する際(運動中など)には、心腔に血液が流れ込む時間がさらに短くなるため、この問題はより重大になります。心臓に血液が十分に流れ込まないことから、毎回の拍動で全身に送り出される血液の量が減少します。ときに、厚くなった心臓の壁によって心臓から流れ出る血流も妨げられます。この状態は閉塞性肥大型心筋症と呼ばれます。

症状

症状は非常に多彩ですが、通常は20~40歳で発症します。症状はまず活動時にみられるようになり、具体的には以下のものがあります。

  • 失神

  • 胸痛

  • 息切れ

  • 動悸(不規則な心拍の自覚)

失神は通常、警戒すべき症状を伴わずに突然起こります。この病気では、失神やさらには突然死が最初の徴候になることすらあります。

診断

  • 心エコー検査、MRI検査、またはこの両方

肥大型心筋症は通常、症状と身体診察、心電図検査、胸部X線検査の結果から疑われます。聴診器で聴こえる心音および心雑音が診断に役立つことがあります。

肥大型心筋症は通常は遺伝子変異が原因であるため、遺伝子検査も行われることがあります。

予後(経過の見通し)

肥大型心筋症の成人患者は1年間に約1%が死亡します。肥大型心筋症の小児患者は、死亡する可能性が成人より高くなっています。

死亡のリスクがより高いことを示唆するその他の要因として、以下のものがあります。

  • 突然死の家族歴

  • 原因不明の失神

  • 速く異常な心拍リズムの出現

  • 運動中にみられる血圧の異常な変化

  • 心筋の重度の肥厚

  • 特徴的なMRI所見

死亡は突然みられるのが通常で、死因は不整脈と推定されます。慢性心不全による死亡はあまりみられません。

この病気は50%の確率で子どもに遺伝することから、この病気を遺伝により受け継いだことを知った人の一部は、家族計画を立てる際に遺伝カウンセリングを希望します。また、この遺伝性疾患を患っている人の家族が遺伝子検査を検討する場合もあります。

治療

  • ベータ遮断薬やカルシウム拮抗薬などの薬

  • ときに、血流を改善するための処置

  • ときに、植込み型除細動器

可能であれば、肥大型心筋症の原因となっている病態に対する治療を行います。

肥大型心筋症の治療では、心臓の拍動と拍動の間に心臓に血液が流れ込む際の抵抗を軽減することが主な目的となります。

肥大型心筋症の治療薬

主な治療法は、ベータ遮断薬とベラパミルというカルシウム拮抗薬を単独または併用で投与することです。どちらも心筋の収縮力を低下させます。その結果、心臓により多くの血液が流れ込むようになるとともに、厚くなった心筋によって血流が遮断されていた場合には、心臓から血液が流出しやすくなります。また、ベータ遮断薬とベラパミルは心拍を遅くするため、心臓に血液が流れ込む時間が長くなります。心臓の収縮力を弱めるジソピラミドという薬を使用する場合もあります。

ときに、不整脈を治療するためにアミオダロンが使用されます。

心筋切除術

厚くなった心筋の一部を切除する手術(心筋切除術)によって心臓から出る血流を改善できますが、この手術は薬物療法で症状が改善しなかった場合にのみ行われます。心筋切除術によって症状は軽減する可能性がありますが、死亡のリスクは低下しません。心筋切除術の実施経験が豊富な病院で行われた場合、長期的にみて非常に良好な結果が得られます。

アルコールアブレーション

特定の人には、心臓から出る血流を改善するためにアルコールアブレーション(アルコールを注射することで心筋の一部分を限定的に破壊する処置)が行われることがあり、心臓カテーテル検査 心臓カテーテル検査と冠動脈造影検査 心臓カテーテル検査と冠動脈造影検査は、手術を行わずに心臓とそこに血液を供給する血管(冠動脈)を調べる方法で、やや侵襲的な検査です。通常、これらの検査は、非侵襲的な検査では十分な情報が得られない場合や、非侵襲的な検査では心臓や血管の問題が示唆されない場合、患者の症状から心臓や冠動脈の問題が強く疑われる場合に行われます。これらの検査の利点の1つとしては、検査中に冠動脈疾患など様々な病気の治療も行えることがあります。... さらに読む 心臓カテーテル検査と冠動脈造影検査 中に行うことができるため、実施されるケースが増えてきています。心臓カテーテル検査は、心臓内にカテーテルを通して行う体に負担をかける方法ですが、外科手術と比べるとリスクが低くなります。

植込み型除細動器

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