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動脈硬化

執筆者:

George Thanassoulis

, MD, MSc, McGill University;


Mehdi Afshar

, MD, University of Toronto

最終査読/改訂年月 2017年 8月
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アテローム性動脈硬化とは、太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気です。

  • アテローム性動脈硬化は、動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによって引き起こされます。

  • こうした損傷をもたらす要因としては、高血圧、タバコの煙、糖尿病、高い血中コレステロール値など、様々なものがあります。

  • アテローム性動脈硬化による血管の閉塞は、心臓発作や脳卒中の一般的な原因の1つになっています。

  • 多くの場合、最初の症状は、組織への必要量の酸素供給が血流によって維持できなくなったときに起こる痛みや筋肉のけいれんです。

  • アテローム性動脈硬化を予防するには、禁煙、食習慣の改善、定期的な運動、血圧、コレステロール値、糖尿病の維持管理などに努める必要があります。

  • アテローム性動脈硬化が進行して、心臓発作や脳卒中など生命を脅かす合併症が発生した場合は、緊急の治療が必要になります。

米国や他のほとんどの先進国では、アテローム性動脈硬化は病気や死亡の主要な原因になっています。2015年には、全世界で1500万人が心血管疾患、主に冠動脈疾患(心臓に血液を供給する動脈に生じるアテローム性動脈硬化)と脳卒中 (脳に血液を送る動脈にアテローム性動脈硬化が起きて生じる病態— 脳への血液供給)で死亡し、アテローム性動脈硬化が世界における死因の第1位になりました。

アテローム性動脈硬化は、脳、心臓、腎臓などの生命維持に欠かせない臓器や脚にある太い動脈や中型の動脈に発生することがあります。動脈の壁が厚くなって弾力性が低下する病気を総称して動脈硬化と呼びますが、その中でアテローム性動脈硬化は、最も重要で、かつ最もよくみられる病態です。

動脈硬化

動脈が硬くなることを意味する「動脈硬化」は、動脈の壁が厚くなって弾力性が低下するいくつかの病気を総称する用語です。具体的には以下の3種類があります。

  • アテローム性動脈硬化

  • 細動脈硬化

  • メンケベルグ型動脈硬化

このうち最もよくみられるアテローム性動脈硬化は、主に脂肪でできた沈着物であるプラークが関連した動脈硬化です。太い動脈と中型の動脈に生じます。

細動脈硬化は、細動脈、つまり細い動脈に起こる動脈硬化です。主に細動脈の壁の内側の層と中間の層に異常が生じます。細動脈の壁が厚くなり、内腔が狭くなります。その結果、その細動脈から血液が供給されている臓器に十分な量の血液が送られなくなります。この病気が生じやすい臓器は腎臓です。この病気は主に高血圧や糖尿病のある人にみられます。これらの病気が片方でもあると、細動脈の壁にストレスがかかり、結果として壁が厚くなります。

メンケベルグ型動脈硬化は、細い動脈と中型の動脈に起こります。動脈の壁の中にカルシウムが蓄積して壁が硬くなりますが、内腔は狭くなりません。この病気は基本的に無害で、通常は50歳以上の男女に生じます。

アテローム性動脈硬化の原因

アテローム性動脈硬化の発生過程は複雑ですが、様々な機構によって繰り返し生じる内皮(動脈の内側を覆っている層)の小さな損傷が主な要因であると考えられています。そのような機構としては、以下のものがあります。

  • 血流の乱れによる物理的なストレス(動脈が分岐する部分で起き、特に高血圧患者で多い)

  • 免疫系が関与する炎症によるストレス(喫煙者などでみられる)

  • 血流中の化学的な異常(コレステロールの増加糖尿病でみられる高血糖など)

一部の細菌またはウイルス(肺炎クラミジア Chlamydia pneumoniaeやサイトメガロウイルスなど)による感染も内皮(動脈の内側を覆っている層)の炎症を助長し、アテローム性動脈硬化を引き起こす可能性があります。

プラークの形成

アテローム性動脈硬化は、損傷を受けた動脈の壁から、特定の種類の白血球(単球およびT細胞)をその動脈の壁に引き寄せる化学物質が放出されることで始まります。それらの白血球はその動脈の壁の中に侵入し、そこで泡沫細胞という細胞に変化して、コレステロールやその他の脂肪性物質を内部に蓄えるようになり、それにより動脈の壁の中で平滑筋細胞が増殖するようになります。やがて、脂肪性の物質を豊富に含んだ泡沫細胞が蓄積していきます。それらの細胞によって線維状の膜に覆われた沈着物(アテロームやプラークと呼ばれます)が形成され、それらは動脈の内側を覆う膜の中でまだら状に蓄積されていきます。時間が経過するにつれて、プラーク内にカルシウムが蓄積します。プラークは、太い動脈や中型の動脈の全域にわたって形成されますが、通常は動脈が分岐している部分から始まります。

アテローム性動脈硬化が起こる過程

動脈の壁はいくつかの層で構成されています。内側の層(内皮)は通常滑らかで無傷です。この内層が傷ついたり異常を起こしたりすることで、アテローム性動脈硬化が始まります。まず、単球およびT細胞と呼ばれる白血球が活性化され、血流から動脈の内皮を通り抜けて、動脈の壁の内部に侵入します。内皮に入った単球は、泡沫細胞(主にコレステロールなど脂肪性の物質を蓄える細胞)へと変化します。

やがて、平滑筋細胞が動脈の壁の中間の層から内側の層へと移動し、そこで増殖します。結合組織や弾性組織を構成する物質も、細胞の断片、コレステロールの結晶、カルシウムなどとともに、そこに蓄積していきます。脂肪を多く含む細胞、平滑筋細胞、その他の物質で構成されるこの蓄積物は、まだら状にたまっていき、アテロームあるいはアテローム性プラークと呼ばれる沈着物を形成します。一部のプラークは、大きくなるにつれて動脈の壁を肥厚させ、動脈の内側に突き出ていくことがあります。それによって動脈の内腔が狭くなったり、ふさがったりすると、血流の減少や遮断が起きます。それ以外のプラークは、動脈を大きくふさぎはしませんが、破裂することによって、動脈を突然ふさぐことになる血栓の形成につながることがあります。

アテローム性動脈硬化が起こる過程
アテローム性動脈硬化が起こる過程

プラークの破裂

アテロームは動脈の中で大きくなり、次第に動脈の内腔を狭めていきます。アテローム性動脈硬化によって動脈が狭くなると、その動脈から供給を受けている組織には十分な量の血液と酸素が送られなくなります。プラークは動脈の壁の中で大きくなることもあり、その場合は血流を妨げません。どの種類のプラークも破裂(破綻)する可能性があり、そうなると内部の物質が血流中に放出され、その物質は血栓の形成を誘発します。形成された血栓によって動脈内の血流が完全に遮断されることがあり、心臓発作脳卒中の主な原因になります。それらの血栓が崩れてできる断片が血流に乗って移動し、それが体内の別の場所で動脈を詰まらせることもあります。同様に、アテロームの一部が崩れてできる断片が血流に乗って移動し、それが別の部位の動脈を詰まらせることもあります。

アテローム性動脈硬化の危険因子

アテローム性動脈硬化の危険因子の一部は是正することができます( 冠動脈疾患(CAD)の概要 : 予防)。

是正できる危険因子としては、以下のものがあります。

  • 喫煙

  • 血中コレステロール高値

  • 高血圧

  • 糖尿病

  • 肥満

  • 運動不足

  • 野菜と果物の摂取不足

是正できない危険因子としては、以下のものがあります。

  • 比較的若年でのアテローム性動脈硬化の家族歴(すなわち、近親者にこの病気を55歳未満で発症した男性または65歳未満で発症した女性が1人でもいる)

  • 加齢

  • 男性であること

血中のC反応性タンパク(炎症性タンパクの一種)高値、アポリポタンパクBやリポタンパク(a)などのコレステロールを構成する成分の高値、心理社会的因子(不安や社会経済的地位の低さなど)など、多くの危険因子について今も研究が続けられています。

喫煙

最も重要で是正可能な危険因子の1つが喫煙です。(嗅ぎタバコや噛みタバコなど、ほかの形態でのタバコの使用もリスクを高めます。)喫煙者に冠動脈疾患など何らかの形態でアテローム性動脈硬化が発生するリスクには、1日の喫煙量との直接的な関係がみられます。1日20本以上のタバコを吸う喫煙者での心臓発作のリスクは、非喫煙者と比較して男性で3倍、女性で6倍に上ります。心疾患のリスクがすでに高まっている人では、特に喫煙は危険です。

喫煙は「善玉」コレステロールと呼ばれる高比重リポタンパク(HDL)の量を減少させ、「悪玉」コレステロールと呼ばれる低比重リポタンパク(LDL)の量を増加させます。また一酸化炭素の血中濃度を上昇させますが、一酸化炭素は動脈の内皮(動脈の内側を覆う層)に損傷が起きるリスクを高めるほか、アテローム性動脈硬化によってすでに狭くなっている動脈を収縮させ、組織に供給される血液の量をさらに減少させます。さらに、喫煙は血小板の粘着性を高めることで血液を固まりやすくさせるため、末梢動脈疾患(心臓や脳へ血液を供給する動脈以外の血管に生じるアテローム性動脈硬化)、冠動脈疾患脳卒中のリスクのほか、冠動脈バイパス手術または他の部位の閉塞した動脈をバイパスする手術で移植した動脈グラフトが閉塞するリスクも高まります。

禁煙した人のリスクは、禁煙までの喫煙期間の長さにかかわらず、喫煙を続けている人の半分になります。また禁煙は、冠動脈バイパス術後や心臓発作後の死亡リスク、末梢動脈疾患がある人の合併症や死亡のリスクを減少させます。禁煙の効果はすぐに現れ、時間の経過とともに大きくなっていきます。

受動喫煙(他者が吸っているタバコの煙を吸い込むこと)もリスクを上昇させます。タバコの煙は避ける必要があります。

知っていますか?

  • 喫煙はアテローム性動脈硬化の重要な危険因子です。

コレステロール値

もう1つの重要で是正可能な危険因子として、LDLコレステロールの高値があります。一部の人では、飽和脂肪を多く含む食事( 脂肪の種類) によってLDLコレステロール値が上昇します。コレステロール値は加齢とともに上昇していき、通常は男性の方が女性より高く、女性でも閉経後は高くなります。一部の遺伝性疾患もコレステロールや他の脂肪性物質の血中濃度を上昇させます。それらの遺伝性疾患をもつ人は、コレステロール値が極端に高く、治療しなければ若いうちに冠動脈疾患で死亡する可能性があります。

薬でLDLコレステロール値を下げると、心臓発作、脳卒中、死亡のリスクが顕著に低下します。脂質低下薬には多くの種類があります( 脂質低下薬)。最もよく使用されるのがスタチン系の薬です。

すべて高コレステロール血症がアテローム性動脈硬化のリスクを高めるわけではありません。HDL(善玉)コレステロール値が高くなると、アテローム性動脈硬化のリスクは低下します。

理想的な数値の範囲は、LDLコレステロールとHDLコレステロールと中性脂肪(トリグリセリド)を含めた総コレステロール値で140~200mg/dL(3.6~5.2mmol/L)です。総コレステロール値が300mg/dL(7.8mmol/L)に近づいてくると、心臓発作のリスクは2倍以上になります。LDLコレステロール値が130mg/dL(3.4mmol/L)未満になり、HDLコレステロール値が40mg/dL(1mmol/L)を超えると、リスクは低下します。糖尿病または動脈硬化性心疾患のある人や、心臓発作、脳卒中、バイパス手術を経験した人など、リスクの高い人では、スタチン系薬剤によりLDLコレステロール値をできるだけ下げるのがよいでしょう。しかし、総コレステロール値やLDLコレステロール値よりも信頼性の高いリスクの指標は、総コレステロール中に占めるHDLコレステロールの割合です。総コレステロール中にHDLコレステロールが占める割合は、25%以上である必要があります。中性脂肪の高値はHDLコレステロールの低値を伴うことが多いですが、中性脂肪値が高いだけでも、アテローム性動脈硬化のリスクがわずかに上昇する可能性があると考えられています。

高血圧

コントロールされていない高血圧は、アテローム性動脈硬化によって引き起こされる心臓発作や脳卒中の危険因子です。心血管疾患のリスクは、血圧が110/75mmHgを超えると上昇し始めます。高くなった血圧を下げることで、リスクは明らかに低下します。通常は血圧を140/90mmHg未満にすることを目指しますが、糖尿病や腎疾患がある人など、心血管疾患のリスクが高い人では多くの場合、130/80mmHg未満を目標にします。

糖尿病

糖尿病がある人では、眼や神経、腎臓などの細い動脈に影響を及ぼす病気が生じやすく、それにより視力障害、神経の損傷(神経障害)、慢性腎臓病が起きやすくなっています。糖尿病患者では、太い動脈にアテローム性動脈硬化が発生しやすい傾向もあります。糖尿病ではない人と比べて、アテローム性動脈硬化は、より低年齢でより広範囲に発生しやすい傾向があります。アテローム性動脈硬化の発生リスクは、糖尿病のある人では2~6倍高く、女性では特にその傾向が強くなります。糖尿病の女性は、そうでない女性と異なり、閉経前でもアテローム性動脈硬化を発症しやすくなっています。糖尿病の人は過去に心臓発作を起こした人と同レベルの死亡リスクがありますので、医師は通常、糖尿病の人には他の危険因子(コレステロール高値や高血圧など)を綿密にコントロールするように指導します。

肥満

肥満、特に腹部肥満は、冠動脈疾患(心臓に血液を供給する動脈のアテローム性動脈硬化)のリスクを増大させます。腹部肥満はアテローム性動脈硬化の他の危険因子、すなわち高血圧、2型糖尿病、コレステロール高値のリスクも増大させます。これらのリスクは、いずれも減量によって低下します。

運動不足

運動不足は冠動脈疾患の発生リスクを増大させるとみられており、定期的な運動は、たとえ中程度の運動量でも、リスクを減らし、死亡率を低下させるという多くの研究結果が報告されています。さらに運動には、血圧の低下、コレステロール値の低下、体重の減少、 インスリン抵抗性の低下により、アテローム性動脈硬化の他の危険因子を是正する効果もあります。

食事

定期的な野菜と果物の摂取によって冠動脈疾患のリスクが低下することを示す科学的根拠が十分に得られています。ただし、果物や野菜に含まれている物質(ファイトケミカル)のおかげで有益な効果が得られるのか、あるいは果物や野菜を多く食べる人は飽和脂肪の摂取量が少なく、食物繊維とビタミンを摂取する可能性が高いからなのかは、明らかではありません。しかし、赤や紫のブドウ、赤ワイン、紅茶、黒ビールなどに含まれるフラボノイドと呼ばれるファイトケミカルは、特に予防効果が高いようです。フランス人はアメリカ人よりも喫煙量が多く脂肪の摂取量も多いにもかかわらず、冠動脈疾患の発生率が比較的低いのは、赤ワイン中のフラボノイド濃度が高いためであると説明されることがあります。しかし、フラボノイドを豊富に含む食事や、そのような食事の代わりにサプリメントを摂取することがアテローム性動脈硬化の予防になると結論付けた研究結果はありません。

特定の野菜は食物繊維を多く含んでおり、それらを摂取することで、総コレステロール値の低下や血糖値と インスリン濃度の低下が得られる可能性があります。ただし、過剰な食物繊維は特定のミネラルやビタミンの吸収を阻害します。一般に、ファイトケミカルやビタミンが豊富な食品には、食物繊維も豊富に含まれています。

脂肪は食事に必要不可欠な要素です。脂肪の量を減らすことが健康的な食事に重要という考え方は、脂肪の種類も重要であることから、部分的にしか正しくありません。脂肪には主に次のような種類があります。

  • 飽和脂肪とトランス脂肪酸

  • 不飽和脂肪(多価不飽和脂肪と一価不飽和脂肪— 脂肪の種類

脂肪は、室温で軟らかい(または液体状の)ものもあれば固いものもあります。油や一部のマーガリンなどの軟らかい脂肪は、多価不飽和脂肪と一価不飽和脂肪を多く含む傾向があります。バターやショートニングなどの固い脂肪は、飽和脂肪およびトランス脂肪酸を多く含む傾向があります。飽和脂肪とトランス脂肪酸は、アテローム性動脈硬化を引き起こしやすい脂肪です。そのため、食事に含まれる飽和脂肪とトランス脂肪酸の量をなるべく抑え、代わりに一価不飽和脂肪と多価不飽和脂肪を含む食品を選ぶようにすべきです。飽和脂肪とトランス脂肪酸は、赤身肉、多くのファストフードやジャンクフード、全脂肪乳製品(チーズ、バター、クリームなど)、固い(スティック状)マーガリンなどに含まれます。しかし、天然のトランス脂肪酸の危険性についてはまだよく分かっていません。一価不飽和脂肪は、キャノーラ油やオリーブ油、トランス脂肪酸を含まない軟らかいマーガリン、ナッツ類、オリーブなどに含まれます。多価不飽和脂肪は、ナッツ類、種子、油、マヨネーズなどに含まれます。

オメガ3とオメガ6の2種類の多価不飽和脂肪は、健康的な食事に不可欠です。オメガ3脂肪は、サケなどの脂身の多い魚、オメガ3脂肪を多く含む卵、キャノーラ油、クルミなどに含まれます。オメガ6脂肪は、一部のナッツ類や種、ベニバナ油、ヒマワリ油、コーン油などに含まれます。

健康的な食事により、アテローム性動脈硬化のリスクを低下させることができます。しかし、食事に加えてビタミン、ファイトケミカル、微量元素、コエンザイムQ10などのサプリメントを摂取することがリスク低減の助けになるかどうかは、あまり明らかではありません。

飲酒

適度な量の飲酒習慣がある人では、過度の飲酒をする人やまったくお酒を飲まない人よりも、冠動脈疾患のリスクが低くなるとみられています。アルコールはHDLコレステロール(善玉コレステロール)の血中濃度を上昇させ、血栓や炎症のリスクを低下させ、細胞活動の副産物から体を保護するのに役立ちます。しかし、適度な量(基準飲酒量で男性は週14ドリンク、女性は週9ドリンク)を超える飲酒は、重大な健康問題を引き起こして、死亡リスクを増加させる可能性があります。飲酒量が多い人は量を減らすべきです。飲酒の習慣がない人がこれから飲酒を始めることは勧められません。

高ホモシステイン血症(ホモシステインの血中濃度の上昇)

遺伝性疾患などが原因で血液中のホモシステイン(アミノ酸の一種)の濃度が非常に高い人は、若いうちに冠動脈疾患を発症するリスクが高くなっています。しかし、なぜ高ホモシステイン血症がアテローム性動脈硬化と関連しているのかは、よく分かっていません。ホモシステインの血中濃度を下げる薬を使用しても、死亡リスクは低下しないとみられています。

アテローム性動脈硬化の症状

症状は以下によって異なります。

  • 侵された動脈がある部位

  • 動脈が徐々に狭くなったのか、突然閉塞したのか

徐々に狭くなった場合の症状

徐々に狭くなった場合、アテローム性動脈硬化では通常、動脈の内腔が70%を超えて狭くなるまで症状はみられません。

動脈が狭くなることで最初に現れる症状は、組織への必要量の酸素供給が維持できなくなったときに生じる痛みや筋肉のけいれんです。例えば、運動中には、心臓への酸素供給が不足することで、胸に痛みや不快感が生じることがあります。この胸痛(狭心症)は、運動をやめると数分後に消失します。歩いている最中に、脚の筋肉への酸素供給が不足するために脚の筋けいれんを感じることもあります(間欠性跛行)。片側または両側の腎臓に血液を供給する動脈が狭くなると、腎不全や危険な高血圧が起こります。

突然閉塞した場合の症状

心臓に血液を供給する動脈(冠動脈)が突然閉塞すると、心臓発作が起こります。脳へ血液を供給する動脈が閉塞すると、脳卒中が生じます。脚の動脈の閉塞は、つま先、足、脚の壊疽につながります。

アテローム性動脈硬化の診断

  • アテローム性動脈硬化の危険因子を探すための血液検査

  • 危険なプラークがないか探すための画像検査

アテローム性動脈硬化を診断するための手順は、症状の有無によって異なります。

症状がみられる場合

動脈の閉塞を疑わせる症状がみられる場合には、閉塞の位置や程度を調べる検査を行います。影響を受けていると考えられる臓器に応じて、異なる検査を行います。例えば、心臓の動脈の閉塞が疑われる場合は、典型的には心電図検査心筋マーカー(心臓の損傷を示す物質)の血液検査のほか、ときに負荷試験心臓カテーテル検査を行います。

1つの臓器でアテローム性動脈硬化が起きている人では、他の動脈にも動脈硬化がみられることが少なくありません。そのため、例えば脚の1つの動脈で動脈硬化による閉塞が認められた場合には、通常は心臓などの他の動脈に閉塞がないか調べる検査を行います。

また動脈硬化による閉塞がみられる人では、特定の危険因子を調べる検査も行います。例えば、血糖値、コレステロール値、中性脂肪値などを測定します。これらの検査は通常、成人を対象とした年1回の定期健診でも行われています。

動脈内の一部のプラークは、他のプラークと比べて破綻して血栓の形成を誘発する可能性が高いため、このような危険なプラークを探す検査を行うこともあります。決定的な検査はありませんが、CT血管造影、心臓カテーテル検査中の血管内超音波検査(動脈内に挿入したカテーテルの先端に取り付けた超音波プローブを使用する検査)、冠動脈造影、その他いくつかの画像検査と血液検査が用いられます。

症状がみられない場合(スクリーニング)

アテローム性動脈硬化の危険因子はあるものの、症状はみられない人では、通常、血糖値、血中コレステロール、血中トリグリセリドを測定するために血液検査を行います。これらの検査は通常、成人を対象とした年1回の定期健診でも行われています。

予防の一環として、危険因子はあるものの症状はみられない人に対して動脈硬化による閉塞がないか調べる画像検査を勧める医師もいます。そのような検査としては、心臓の電子線CT、頸動脈(首の動脈)の超音波検査などがあります。CT検査は、冠動脈内の硬くなった(石灰化した)プラークの検出にも使用されます。頸動脈の超音波検査では、アテローム性動脈硬化を疑わせる動脈の壁の肥厚を検出できます。しかし多くの医師は、より簡単に把握できる患者毎の危険因子に基づいたアドバイスが、これらの検査によって変わることはまれだと考えています。

アテローム性動脈硬化の予防と治療

  • 生活習慣の改善により合併症のリスクを低下させる

  • ときに薬剤

アテローム性動脈硬化を予防するには、以下を行う必要があります。

糖尿病の人は、血糖値の厳格なコントロールを維持しなければなりません。

アテローム性動脈硬化のリスクが高い人は、特定の薬の服用も有益になる場合があります。有用な薬としては、スタチン系薬剤(コレステロール値が正常またはわずかに高い場合でも)、アスピリン、その他の抗血小板薬などがあります。

高血圧や糖尿病の治療で使用される薬の一部も、アテローム性動脈硬化のリスクを低下させるのに役立ちます。

アテローム性動脈硬化の合併症の治療

合併症が発生するほどにアテローム性動脈硬化が重症化している場合は、合併症そのものも治療する必要があります。合併症としては以下のものがあります。

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