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急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症)

執筆者:

Ranya N. Sweis

, MD, MS, Northwestern University Feinberg School of Medicine;


Arif Jivan

, MD, PhD, Northwestern University Feinberg School of Medicine

最終査読/改訂年月 2020年 7月
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急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞)ことによって起こります。閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。心臓発作とは、血液供給がなくなることにより心臓の組織が壊死する病気です。

  • 急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。

  • 急性冠症候群が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、アスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。

  • 病院では心電図検査と血液中の物質を測定する検査により、急性冠症候群かどうかを診断します。

  • 治療法は症候群の種類によって変わりますが、通常は閉塞が起きた部位の血流を増やす処置が行われます。

米国では、毎年90万人以上の人が心臓発作または心臓突然死を起こしています。また、急性冠症候群により毎年約40万人が死亡しています。そのほぼ全員に基礎疾患として冠動脈の病気がみられ、約3分の2が男性です。

原因

心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする 冠動脈 心臓への血液供給 心血管系は心臓と 血管から構成され、循環器系とも呼ばれます。心臓は 血液を肺に送り出した後、肺で酸素を豊富に取り込んだ血液を、今度は全身に送り出します。血液はその中を循環しながら、酸素と栄養分を全身の組織に送り届けてから、老廃物(二酸化炭素など)を回収して組織から運び出す働きを担っています。... さらに読む です。急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがり、心筋の一部への血液供給が大きく減少または遮断されることで起こります。組織への血液供給がなくなることを虚血といいます。血液供給が2~3分以上にわたって大きく減少するか遮断されると、心臓の組織が壊死してしまいます。心筋梗塞とも呼ばれる心臓発作は、虚血により心臓の組織が壊死する病気です。

冠動脈閉塞の最も一般的な原因は血栓(血液のかたまり)です(冠動脈疾患の概要 冠動脈疾患(CAD)の概要 冠動脈疾患とは、心臓の筋肉(心筋)への血液供給が部分的または完全に遮断されることで起きる病気です。 心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする 冠動脈です。この血管が狭くなる冠動脈疾患では、血流が遮断されて、... さらに読む 冠動脈疾患(CAD)の概要 も参照)。動脈は通常、 コレステロールなどの脂肪性物質(アテローム)が動脈の壁に蓄積している 動脈硬化 アテローム性動脈硬化とは、太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気です。 アテローム性動脈硬化は、動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによって引き起こされます。... さらに読む 動脈硬化 ことで、すでにいくらか狭くなっています。アテロームが破裂したりちぎれたりすると、そこから血小板の粘着性を高める物質が放出され、結果として血栓ができやすくなります。約3分の2の人では、血栓は1日前後で自然に溶解しますが、通常はそれまでの間に、心臓の一部に損傷が起きてしまいます。

まれですが、心臓内で形成された血栓が剥がれて心臓から流れ出し、冠動脈に詰まることで心臓発作が起こることもあります。冠動脈のけいれんのために血流が遮断されることで心臓発作が起きる場合もまれにあります。そのようなけいれんは、コカインなどの薬物によって起きることもあります。ときに原因不明の場合もあります。

分類

急性冠症候群は以下に基づいて分類されます。

  • 損傷した心臓から血液中に放出される物質(心筋マーカー)の有無

  • 症状

  • 心電図検査の結果

急性冠症候群の種類によって治療法が異なるため、この分類は重要です。分類は不安定狭心症と2種類の心臓発作で構成されています。

知っていますか?

  • 心臓発作を起こす人の約3分の1では、胸痛がみられません。

症状

急性冠症候群は、どの種類でも症状が似ているため、通常は症状だけから種類を判断することはできません。

不安定狭心症の症状は、通常の 狭心症 症状 狭心症とは、心臓の筋肉(心筋)に供給される酸素が不足するために胸部に一時的な痛みや圧迫感が起きる病気です。 狭心症の人では通常、胸骨の後ろの部分に不快感や圧迫感がみられます。 典型的には狭心症は運動時に発生し、安静にしていると回復します。 狭心症の診断は、症状と心電図検査および画像検査の結果に基づいて下されます。 治療法には、硝酸薬、ベータ遮断薬、カルシウム拮抗薬の投与や、経皮的冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス術などがあります。 さらに読む と同じで、典型的には胸骨の後ろの部分に断続的な圧迫感や痛みがみられます。この感覚を経験した人は、しばしば痛みというより不快感や押しつぶされるような感覚と表現します。また、不快感が肩、腕の内側、背中、のど、あご、歯などに広がることもあります。ただし、不安定狭心症の人では、症状のパターンが変化します。狭心症の症状がより頻繁に起きたり、より重度であったりするほか、安静時や軽い運動の後に発症します。心臓発作を起こした人の約3人に2人は、発症の数日ないし数週間前に不安定狭心症、息切れ、または疲労感を経験しています。このような胸部の痛みや不快感のパターンの変化は、心臓発作の発生で頂点に達します。

通常、心臓発作で最も特徴的な症状は、胸の中央から背中、あご、左腕にかけて広がる痛みです。比較的まれですが、痛みが右腕に広がることもあります。これらの部位で痛みが起こっていて、胸痛はまったく起こらない場合もあります。心臓発作の痛みは狭心症の痛みと似ていますが、より激しく、長く続き、安静にしてもニトログリセリンを使用しても軽減しません。まれに、腹部に痛みを感じることもあり、特にげっぷをすると痛みが部分的または一時的に軽減する場合があるため、消化不良と誤解される可能性もあります。理由は不明ですが、女性ではしばしば、心臓の問題であるのに、そのように診断されにくい、さまざまな症状がみられます。

心臓発作を起こす人の約3分の1では、胸痛がみられません。このような例は、女性、白人以外の人、75歳以上の人、 心不全 心不全(HF) 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む 心不全(HF) 糖尿病 糖尿病 糖尿病は、体がインスリンを十分に産生しないかインスリンに正常に反応しないため、血中の糖分の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇くほか、減量しようとしていなくても体重が減少することがあります。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む のある人、 脳卒中 脳卒中の概要 脳卒中は、脳に向かう動脈が詰まったり破裂したりして、血流の途絶により脳組織の一部が壊死し(脳梗塞)、突然症状が現れる病気です。 脳卒中のほとんどは虚血性(通常は動脈の閉塞によるもの)ですが、出血性(動脈の破裂によるもの)もあります。 一過性脳虚血発作は虚血性脳卒中と似ていますが、虚血性脳卒中と異なり、恒久的な脳損傷が起こらず、症状は1時間... さらに読む を起こしたことのある人で多くみられます。

その他の症状として、気が遠くなる、失神、突然の激しい発汗、吐き気、息切れ、動悸(大きな心拍が自覚される症状)などがあります。

心臓発作の発生中は落ち着かなくなり、発汗や不安、破滅が迫っている感覚などが起こります。唇、手、足がわずかに青白くなることもあります。

高齢者では、まれな症状がみられることもあります。多くの場合、最も明らかな症状は息切れです。胃の不調や脳卒中に似た症状がみられることもあります。高齢者では見当識障害もみられることもあります。それでも、高齢者の約3分の2では若い人と同じように胸痛がみられます。高齢者、特に女性では、自分が病気であると認識したり救急車を呼んだりするまでの時間が若い人と比べて長くなることが多くなります。

このように多様な症状が起こるにもかかわらず、心臓発作を起こした人の5人に1人は、軽い症状がみられるだけか、まったく症状がみられません。このように症状を伴わない心臓発作は、定期的に心電図検査を行っていないと見つからないこともあります。

心臓発作の最初の数時間は、心雑音などの異常な心音が聴診器で聞こえることがあります。

合併症

心臓発作を起こした人には 合併症 急性冠症候群の合併症 心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする 冠動脈です。 急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがり、心筋の一部への血液供給が大きく減少または遮断されることで起こります。組織への血液供給がなくなることを虚血といいます。血液供給が2~3分以上にわたって大きく減少するか遮断されると、心臓の組織が壊死してしまいます。心筋梗塞とも呼ばれる心臓発作は、虚血により心臓の組織が壊死... さらに読む が生じることがあり、それが長期間続くこともあります。急性冠症候群の合併症は、心筋の損傷の程度によって異なり、それは冠動脈の閉塞がある部位や閉塞の持続時間に直接影響を受けます。閉塞が広範囲の心筋に影響を及ぼすと、心臓は効果的に動くことができなくなり、心臓が拡大してときに 心不全 心不全(HF) 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む 心不全(HF) に至ります。閉塞によって心臓の電気刺激伝導系への血流が遮断されると、心拍のリズムに影響が及ぶことがあり、ときに 不整脈 不整脈の概要 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む 不整脈の概要 や突然死(心停止 心停止 心停止とは人が死ぬときに生じる状態です。心停止になると、心臓から、内臓、脳、組織に血液と酸素が送り出されなくなります。心停止が起こって数分以内であれば、ときに蘇生する可能性があります。しかし、時間が経過するほど蘇生する可能性は低くなり、助かったとしても脳に障害が残る可能性が高くなります。 心停止が5分を超えて続くと脳に障害が残る可能性が高くなり、8分を超えると死亡する可能性が高まります。そのため、心停止の場合、一刻も早く救命処置を始める... さらに読む 心停止 )を招きます。

診断

  • 心電図検査

  • 血液検査

35歳以上の男性または40歳以上の女性が 胸の痛み 胸痛 胸痛は非常によくみられる症状です。鋭い痛みと鈍い痛みがありますが、胸に病気がある人が使う表現は、不快感、締めつけられる感じ、圧迫感、ガスがたまった感じ、焼けつくような痛み、うずくような痛みなどです。ときに、背部、首、顎、上腹部、腕などにも痛みが生じることがあります。胸痛の原因によっては、吐き気、せき、呼吸困難などの他の症状が現れることもあります。 胸痛が場合によっては生命を脅かす病気の徴候であることは多くの人がよく理解しており、わずかな... さらに読む を訴えた場合、医師は通常、急性冠症候群の可能性を考えます。しかし、同様の痛みを引き起こす病気はほかにもあり、例えば、 肺炎 肺炎の概要 肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に発生する感染症です。 肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つです。 重篤な慢性の病気が他にある患者において、肺炎はしばしば最終的な死因となります。 肺炎の種類によっては、ワクチンの接種によって予防できます。 米国では、毎年約200~300万人が肺炎を発症し、そのうち約6万人が死亡していま... さらに読む 肺炎の概要 肺塞栓症 肺塞栓症 肺塞栓症は、血液のかたまり(血栓)や、まれに他の固形物が血液の流れに乗って肺の動脈(肺動脈)に運ばれ、そこをふさいでしまう(塞栓)病気です。 肺塞栓症は、一般に血栓によって発生しますが、別の物質が塞栓を形成して動脈をふさぐこともあります。 肺塞栓症の症状は様々ですが、一般に息切れなどがみられます。... さらに読む (血栓で肺動脈が詰まった状態)、 心膜炎 急性心膜炎 急性心膜炎は、心膜(心臓を包んでいる柔軟な2層の袋状の膜)の炎症が突然発生する病態で、しばしば痛みを伴い、フィブリン、赤血球、白血球などの血液成分や体液が心膜腔に貯留します。 心膜炎は、感染症や心膜に炎症を起こす病気が原因で発生します。 よくみられる症状は発熱と鋭い胸の痛みで、その胸痛は姿勢や動きによって変化し、まれに心臓発作に似ることがあります。 診断は症状に基づき、また、まれに聴診で特徴的な心音を確認することによって下されます。... さらに読む 肋骨骨折 肋骨骨折 肋骨骨折とは、胸部を取り囲む骨にひびが入ったり骨が折れたりすることです。 肋骨骨折は重度の痛みを引き起こし、特に深呼吸したときに痛みがひどくなります。 通常は胸部X線検査が行われます。 痛み止めを投与され、肺の病気を予防するために約1時間に1回、せきまたは深呼吸をするように言われます。 ( 胸部損傷に関する序も参照のこと。) さらに読む 肋骨骨折 食道けいれん 食道けいれん 食道けいれんは、ぜん動(波のように進む筋肉のリズミカルな収縮)が障害される病気です。 この病気の原因は分かっていません。 症状としては、胸痛や嚥下困難などがあります。 診断は食道造影検査と内圧検査の結果に基づいて下されます。 治療法としては、カルシウム拮抗薬の投与、ボツリヌス毒素の注射のほか、ときに手術などを行います。 さらに読む 消化不良 消化不良 消化不良では、上腹部の痛みや不快感が生じます。その感覚は、ガスがたまった感じ、膨満感、差し込むようなまたは焼けつくような痛みと表現されることもあります。膨満感は、少量の食事後に発生したり(早期満腹感)、通常量の食事の後に過度に生じたり(食後の膨満感)することもあれば、食事に関連しないこともあります。重度の腹部不快感について詳しくは、 急性腹痛を参照してください。 消化不良は通常、漠然とした軽度の不快感であるため、長期にわたって発生する(... さらに読む 、外傷後または運動後の胸の筋肉の圧痛などがあります。

心電図検査

心電図検査 心電図検査 心電図検査は心臓の電気刺激を増幅して記録する検査法で、手早く簡単に行える痛みのない方法です。この記録は心電図と呼ばれ、以下に関する情報が得られます。 心臓の1回1回の拍動を引き起こしている、ペースメーカーとしての部分(洞房結節、洞結節) 心臓の神経伝導経路 心拍数や心拍リズム 心電図では、心臓が拡大していること(通常の原因は 高血圧)や、心臓に血液を供給する冠動脈の1つが閉塞しているために心臓に十分な酸素が行き届いていないことが示される... さらに読む 心電図検査 は、急性冠症候群が疑われる場合の診断で最も重要となる最初の検査です。この検査では、心臓の拍動を引き起こしている電気刺激の信号がグラフで表示されます。多くの場合、これにより心臓発作が起きているかどうかを直ちに判定できます。医師は心電図で検出された異常を参考にして、必要な治療の種類を判断します。また心電図の異常から、心筋の損傷部位も推測できます。過去に心臓病を起こしたことのある人は、それにより心電図に変化が生じる可能性があるため、新たに生じた心筋の損傷を検出するのが難しくなる場合があります。このような人は、急性冠症候群の症状が起きたときに医師が以前の心電図と最新の心電図を比較できるように、以前の心電図のコピーを持ち歩くべきです。数時間空けて2~3回心電図を記録してもまったく異常がみられなければ、医師は心臓発作の可能性は低いと考えます。

心筋マーカー

心筋マーカーと呼ばれる特定の物質の血中濃度を測定することも、急性冠症候群の診断に役立ちます。それらの物質は、正常時には心筋内にとどまっていて、心筋が損傷または壊死した場合のみ血液中に放出されます。最も一般的に測定されるのは、心筋タンパク質の一種であるトロポニンIおよびトロポニンTと、酵素の一種であるCK-MB(クレアチンキナーゼの心筋型サブユニット)です。これらの血中濃度は心臓発作後6時間以内に上昇し、数日間はそのままの状態が続きます。心筋マーカー値は通常、入院時とその後24時間にわたって6~12時間毎に測定します。

その他の検査

心電図検査と心筋マーカーの測定を行っても十分な情報が得られない場合は、 心エコー検査 心エコー検査とその他の超音波検査 超音波検査では、周波数の高い超音波を内部の構造に当てて跳ね返ってきた反射波を利用して動画を生成します。この検査ではX線を使いません。心臓の超音波検査(心エコー検査)は、優れた画像が得られることに加えて、以下の理由から、心疾患の診断に最もよく用いられる検査法の1つになっています。 非侵襲的である 害がない 比較的安価である 広く利用できる さらに読む 心エコー検査とその他の超音波検査 核医学検査 心臓の核医学検査 核医学検査では、微量の放射性物質(トレーサー)を静脈に注射します。核医学検査の際に受ける放射線の量はごくわずかです。トレーサーはガンマ線を放出し、これをガンマカメラという特殊なカメラで検出します。得られた情報をコンピュータで解析し、組織に取り込まれた放射性物質の量の違いを示した画像を生成します。 心臓の核医学検査は、原因不明の 胸痛を診断する際に特に有用です。冠動脈が狭窄している場合、核医学検査を行って、その狭窄が心臓の血液供給と機能に... さらに読む が行われます。心エコー検査では、左心室(心臓のうち全身に血液を送り出す部分)の壁の一部で動きが悪くなっていることが分かります。これは心臓発作による損傷を疑わせる所見です。

入院中や入院直後に他の検査を行うこともあります。それらの検査は、追加の治療を行う必要があるかどうか、心臓にさらなる問題が起こりそうかどうかを判断するために行われます。例えば、 ホルター心電計 ホルター心電計による心電図の連続記録 ホルター心電計による心電図の連続記録 を装着してもらい、心臓の電気的活動を24時間記録することがあります。この検査では、症状を伴わない心筋虚血(血液供給が不十分になった状態)や不整脈を発見することができます。退院前または退院直後に行う 運動負荷試験 負荷試験 心臓に(運動や心拍を速く強くする薬剤で)負荷をかけると、 冠動脈疾患を特定しやすくなります。冠動脈疾患では、心筋に血液を供給する冠動脈の血流が、部分的に、または完全に遮断されます。冠動脈の一部だけがふさがっている場合、安静時には心臓に十分な量の血液が供給されていても、心臓が激しく働いているときには供給が不足することがあります。したがって、運動中に心臓の検査を行うことで、冠動脈疾患の特定に役立ちます。... さらに読む 負荷試験 (運動中に行う心電図を測定する検査)では、心臓発作後の回復程度と虚血状態の有無を確認できます。これらの検査で不整脈や虚血が認められた場合は、 薬物療法 冠動脈疾患の薬物療法 心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする 冠動脈です。この血管が狭くなる 冠動脈疾患では、血流が遮断されて、 胸痛(狭心症)や 急性冠症候群が発生します( 冠動脈疾患の概要も参照)。 急性冠症候群では、冠動脈が突然ふさがることで、心筋の一部への血液供給が大きく減少または遮断されます。組織への血液供給がなくなることを虚血といいます。血液供給が2~3分以上にわたっ... さらに読む が推奨されます。それでも虚血が残る場合は、心臓への血流を回復させるための 経皮的冠動脈インターベンション 経皮的冠動脈インターベンション 冠動脈疾患とは、心臓の筋肉(心筋)への血液供給が部分的または完全に遮断されることで起きる病気です。 心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする 冠動脈です。この血管が狭くなる冠動脈疾患では、血流が遮断されて、... さらに読む 経皮的冠動脈インターベンション または 冠動脈バイパス術 冠動脈バイパス術 冠動脈疾患とは、心臓の筋肉(心筋)への血液供給が部分的または完全に遮断されることで起きる病気です。 心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする 冠動脈です。この血管が狭くなる冠動脈疾患では、血流が遮断されて、... さらに読む 冠動脈バイパス術 の可能性を評価するために、 冠動脈造影検査 心臓カテーテル検査と冠動脈造影検査 心臓カテーテル検査と冠 動脈造影検査は、手術を行わずに心臓とそこに血液を供給する血管(冠動脈)を調べることができる低侵襲検査です。通常、これらの検査は、 非侵襲的な検査では十分な情報が得られない場合や、非侵襲的な検査では心臓や血管の問題が示唆されない場合、患者の症状から心臓や冠動脈の問題が強く疑われる場合に行われます。これらの検査の利点の1つとしては、検査中に 冠動脈疾患など様々な病気の治療も行えることがあります。... さらに読む 心臓カテーテル検査と冠動脈造影検査 を行うことが推奨されます。

予後(経過の見通し)

不安定狭心症を発症した人の多くは、約3カ月以内に心臓発作を起こします。

心臓発作を起こしている人にとって最も危険な時期は、最初の数時間と病院に行く前です。心臓発作を起こした人の最大20~30%がこの間に死亡するため、心臓発作を起こしていると疑われる人は直ちに医師の診察を受けることが重要です。心臓発作(心筋梗塞)後に2~3日間生き延びることができた場合は、大半の患者では完全な回復を期待できますが、約10%の患者は1年以内に死亡します。死亡のほとんどは発作後3~4カ月以内に起きており、特に狭心症、心室由来の 不整脈 不整脈の概要 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む 不整脈の概要 (心室性不整脈)、 心不全 心不全(HF) 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む 心不全(HF) が持続している人で多くみられます。心臓発作後に心臓が大きくなった場合は、正常の大きさを保っている場合と比べて、治療後の予後(経過の見通し)が悪くなります。

高齢者では、心臓発作後の死亡率と心不全などの合併症の発生率が高くなります。小柄な人は大柄な人よりも予後が悪くなる傾向がありますが、平均すると男性より女性の方が心臓発作後の予後が悪いという事実は、このことで説明できます。また、女性は心臓発作の発生時点で男性より年齢が高く、より重篤な病気を患っているという傾向もみられます。さらに、女性では心臓発作が起きてから病院に行くまでの待機時間が男性に比べて長いという傾向もあります。

知っていますか?

  • 心臓発作による死亡の半数は、症状が現れてから3~4時間以内に起きています。

予防

心臓発作を起こしたことがある人には、小児用アスピリン1錠か、成人用アスピリン半錠または1錠を連日服用することが推奨されます。アスピリンは血小板による血栓の形成を予防するため、死亡リスクと心臓発作の再発リスクが15~30%低下します。アスピリンにアレルギーがある人は、代わりにクロピドグレルを使用することができます。

50歳以上で、心臓発作を起こしたことがなく、 危険因子 危険因子 冠動脈疾患とは、心臓の筋肉(心筋)への血液供給が部分的または完全に遮断されることで起きる病気です。 心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする 冠動脈です。この血管が狭くなる冠動脈疾患では、血流が遮断されて、... さらに読む 危険因子 が2つ以上ある人にも、心臓発作や脳卒中を予防するため低用量のアスピリンを毎日服用することが一般的に推奨されてきました。しかし、アスピリンはときに 消化管出血 消化管出血 口から肛門までの消化管のいずれの部分でも、出血が起こることがあります。出血は肉眼で容易に見える場合(顕性)もあれば、量が少なすぎて見えない場合(潜在性)もあります。潜在性の出血(潜血)は、特別な化学物質を用いた便サンプルの検査でのみ検出されます。 嘔吐物中に血液がみられる場合(吐血)があり、この場合上部消化管(通常は食道、胃または小腸の最... さらに読む 消化管出血 などの合併症を引き起こすことがあり、最近の科学的証拠からは、こうした合併症が心臓発作を起こしたことがない人にアスピリンがもたらしうる便益を相殺してしまう可能性が示唆されています。医師は、個々の患者に対してそのリスクと便益を比較検討する手助けをします。

通常はベータ遮断薬(メトプロロールなど)も処方され、この種の薬には死亡リスクを約25%低下させる効果があります。心臓発作が重度であるほどベータ遮断薬の効果は高くなりますが、一部の人は副作用(喘鳴[ぜんめい]、疲労、 勃起障害 勃起障害(ED) 勃起障害(ED)とは、性交を行うのに十分な勃起を達成または持続できないことです。 ( 男性の性機能障害の概要も参照のこと。) どんな男性でもときに勃起に至らない問題を抱えることがあり、そのような問題の発生は正常なことと考えられています。勃起障害(ED)は男性が次のような場合に起こります。 一切勃起できない 短い間勃起するが性交には十分な時間ではない さらに読む 、腕や脚の冷えなど)に耐えられないため、すべての人が恩恵を受けられるわけではありません。

脂質低下薬は心臓発作後の死亡リスクを低下させます。心臓発作や脳卒中を起こしたことがなくても、リスクが高い人(特に糖尿病で肥満の人)には、脂質低下薬が有効となる場合があります。

カプトプリル、エナラプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、リシノプリル、ラミプリルなどのアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬も心臓発作後にしばしば処方される薬です。これらの薬には死亡と心不全の発生を予防する効果があり、重度の心臓発作を起こしたことがある人や心不全になりつつある人で特に有効です。

生活習慣を変える必要もあります。低脂肪食をとるようにし、運動の量を増やすべきです。高血圧や糖尿病のある人は、これらの病気をコントロールすべきです。タバコを吸う人は禁煙するべきです。

治療

  • 薬剤

  • 閉塞した動脈の再開通またはバイパス

  • 生活習慣の改善

急性冠症候群には緊急の治療が必要です。心臓発作による死亡の半数は、症状が現れてから3~4時間以内に起きています。治療の開始が早ければ早いほど、生存の可能性が高くなります。急性冠症候群を思わせる症状が現れたら、速やかに救急車を呼ぶべきです。訓練を受けた救急隊員が搭乗した救急車で速やかに救急病院まで搬送されれば、助かる可能性が高くなります。かかりつけ医や家族、友人、隣人などに連絡しようとするのは、時間を無駄にするだけで危険です。

知っていますか?

  • 心臓発作を疑わせる症状のある人は、訓練を受けた救急隊員が搭乗した救急車で速やかに救急病院まで搬送されれば、助かる可能性があります。かかりつけ医や家族、友人、隣人などに連絡しようとするのは、時間を無駄にするだけで危険です。

心臓発作を起こした疑いがある人は、通常は心血管疾患集中治療室(CCU)のある病院に搬送されて入院することになります。そこでは心拍リズム、血圧、血液中の酸素の量を細かくモニタリングし、心臓にどの程度の損傷が起きたかを評価します。CCUに勤務している看護師は、心臓病の患者をケアし、緊急事態に対処できるように特別な訓練を受けています。

鼻カニューレやフェイスマスクを使って酸素を吸入させることもしばしばあります。心臓に多くの酸素を供給することで、心臓の組織の損傷を最小限にとどめることができます。

最初の数日間に 合併症 急性冠症候群の合併症 心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする 冠動脈です。 急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがり、心筋の一部への血液供給が大きく減少または遮断されることで起こります。組織への血液供給がなくなることを虚血といいます。血液供給が2~3分以上にわたって大きく減少するか遮断されると、心臓の組織が壊死してしまいます。心筋梗塞とも呼ばれる心臓発作は、虚血により心臓の組織が壊死... さらに読む が起きなければ、たいていの場合、それから数日で無事に退院できます。 不整脈 不整脈の概要 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む 不整脈の概要 などの合併症が起きた場合や、もはや心臓が十分な血液を送り出せなくなっている(心不全 心不全(HF) 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む 心不全(HF) )場合は、入院が長期化する可能性があります。

薬物療法

心臓発作の治療の初期段階で最も重要なことは、閉塞した動脈の血流を回復できるように、迅速に医療機関を受診することです。心臓発作が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、直ちにアスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。自宅にアスピリンがなく、救急隊員も投与しなかった場合は、病院に到着した直後に投与されます。アスピリンは冠動脈内の血栓を小さくする作用があるため、生存の可能性が高くなります。アスピリンにアレルギーがある人には、代わりにクロピドグレル、チクロピジン、またはチカグレロルを使用することができます。アスピリンとクロピドグレル/チクロピジン/チカグレロルの両方を投与する場合もあります。

血栓の形成を防ぐ薬、不安を軽減する薬、心臓のサイズを小さくする薬が投与されることもあります。心臓発作から回復した後も、しばらくこれらの薬剤の服用が必要になる場合があります心臓発作の最中と収束後には、心臓への負荷を減らす薬が使用されます。

心臓の負担を減らすことも組織の損傷を抑えることにつながるため、ベータ遮断薬を使って心拍を遅くします。心拍数を減らすことで心臓の負担が減り、組織に損傷が起きる範囲を狭めます。

ほとんどの場合、さらなる血栓の形成を予防するために、ヘパリンなどの抗凝固薬も投与されます。

ほとんどの患者にニトログリセリンが投与されますが、この薬は心臓にかかる負担を減らし、動脈を拡張することで痛みを軽減します。通常は、まず舌下投与(錠剤を舌の下に置いて口の中で溶かす投与方法)で使用し、続いて静脈内に投与します。ときに、ニトログリセリンが使用できない場合や効果がない場合は、不快感や不安感を軽減するためにモルヒネを投与します。

動脈を開通させる治療

閉塞した冠動脈を開通させるタイミングと方法は、急性冠症候群の種類と、どれくらい早く病院に到着したかによって決まります。閉塞した冠動脈を開通させる治療には、いくつかの方法があります。

ST上昇型心筋梗塞を起こした人では、直ちに冠動脈の閉塞を解除することで心臓の組織の救済につながり、生存の可能性が高まります。医師は患者が病院に到着してから90分以内に閉塞の解除を試みます。閉塞の解除が早ければ早いほど経過は良好になり、解除の方法はおそらくタイミングほど重要ではありません。

経皮的冠動脈インターベンションを90分以内に行えない場合は、血栓溶解薬(血栓を溶かす薬—表「 冠動脈疾患の治療に用いられる薬剤 冠動脈疾患の治療に用いられる薬剤* 冠動脈疾患の治療に用いられる薬剤* 」を参照)が静脈内に投与されます。血栓溶解薬には、ストレプトキナーゼ(streptokinase)、テネクテプラーゼ(tecnecteplase、TNK-tPA)、アルテプラーゼ、レテプラーゼ(reteplase)などがあります。これらの薬は直ちに投与するのが望ましいですが、3時間以内であれば高い効果が得られ、病院到着後12時間以内ならある程度の効果が期待できます。特別な訓練を受けた救命救急士が血栓溶解薬を病院到着前に投与する地域もあります。血栓溶解薬の投与を受けた人の大半は、その後も退院までに経皮的冠動脈インターベンションを受ける必要があります。

血栓溶解薬は出血を引き起こすことがあるため、消化管出血がある人、重度の高血圧の人、最近脳卒中を起こした人、心臓発作を起こす前の1カ月間に手術を受けた人には投与できません。これらの条件に当てはまらなければ、高齢者でも安全に血栓溶解薬を使用できます。

非ST上昇型心筋梗塞または不安定狭心症を起こした人では、通常は緊急の経皮的冠動脈インターベンションも血栓溶解薬も有効ではありません。しかし、通常は入院初日か翌日に経皮的冠動脈インターベンションが行われます。症状が悪化した場合や特定の合併症が起きた場合は、より早期に経皮的冠動脈インターベンションを行う場合もあります。

患者によっては、経皮的冠動脈インターベンションや血栓溶解薬の代わりに、急性冠症候群の発症中に 冠動脈バイパス術 冠動脈バイパス術 冠動脈疾患とは、心臓の筋肉(心筋)への血液供給が部分的または完全に遮断されることで起きる病気です。 心筋は酸素を豊富に含んだ血液を絶えず必要とします。その血液を心臓に送る血管は、大動脈が心臓から出たところで枝分かれする 冠動脈です。この血管が狭くなる冠動脈疾患では、血流が遮断されて、... さらに読む 冠動脈バイパス術 (CABG)を行う場合もあります。例えば、血栓溶解薬を使用できない人(出血性疾患[出血が起きやすくなる病気]がある人、最近脳卒中を起こした人、大きな手術を受けたばかりの人など)には、冠動脈バイパス術が行われることがあります。また、冠動脈疾患が重症であるために経皮的冠動脈インターベンションを行えない場合(例えば、多くの領域で閉塞が起きている場合、心臓の機能が低下している場合、特に糖尿病もみられる場合)にも、冠動脈バイパス術が行われることがあります。

一般的な対策

体を動かすこと、精神的ストレス、興奮は心臓の負担になるため、心臓発作を起こした後は、数日は静かな部屋で安静に過ごすようにします。見舞いは通常、家族とごく親しい友人までに制限します。ストレスにならない番組であれば、テレビを視聴してもよいでしょう。

便秘のためにいきまなくても済むように、便を軟らかくする薬や現在を使用することもあります。排尿ができない場合や、尿量の変化を正確に知る必要がある場合は、尿道カテーテルを使用します。

ひどく神経質な人は心臓に負担がかかるため、軽い抗不安薬(例えば、ロラゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤)が処方されることもあります。急性冠症候群の発症後によくみられる軽い抑うつや病気の否認に対処するには、自分の感情について医師や看護師、ソーシャルワーカー、家族、友人などと話をするように促します。一部の人では抗うつ薬が必要になります。

退院

心臓発作の合併症が起きず、経皮的冠動脈インターベンションが成功した場合は、通常は2~4日ほど入院した後に退院できますが、より長い入院が必要になる場合もあります。

リハビリテーション

回復には 心臓リハビリテーション 心疾患に対するリハビリテーション 心臓リハビリテーションは、心臓発作を起こして間もない人、心不全や冠動脈疾患を最近発症した人、心臓手術を受けた人に有用です。このリハビリテーションの目標は、心臓機能の障害という制約の範囲内で、最低限、日常生活の基本動作を1人で行える力を維持あるいは取り戻すことです。( リハビリテーションの概要も参照のこと。) 2~3日以上ベッドで寝ていると筋肉や心臓が弱くなり(デコンディショニング)、... さらに読む が重要で、入院中から開始します。2~3日以上ベッドで安静にしていると、体を動かさないことで筋力や心臓の機能が低下する(身体的デコンディショニング)ほか、ときに抑うつや無力感につながることもあります。心臓発作を起こした人では、合併症がなければ、1日目から、いすに座る、手伝ってもらいながら体を動かす、いす型の室内用便器を使用する、本を読むなどのリハビリテーションを開始します。2日目または3日目には、歩いてトイレに行くようにし、負担にならない程度の運動を行い、その後は日毎に活発に動けるようにしていきます。経過が良好であれば、通常は6週間以内に普段の生活に戻ることができます。その人の年齢と心臓の健康状態に合わせた定期的な運動プログラムに参加することが有益です。

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