診断は心電図検査によって下されます。
薬の投与と心室の異常な部分を破壊する処置を行うこともありますが、通常は自動式の植込み型除細動器が必要になります。
(不整脈の概要 不整脈の概要 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む も参照のこと。)
心室頻拍は、 心室期外収縮 心室期外収縮 心室期外収縮とは、心室(心臓の下側にある2つの部屋)で発生した異常な電気刺激によって、正常な拍動が起こる前に心室が活性化され、それにより余分な拍動が生じる病態です。 主な症状として、脈の飛びが感じられます。 診断は心電図検査によって下されます。 ストレス、カフェイン摂取、飲酒など、余分な拍動を誘発する要因を回避することで、十分に治療できます。 ( 不整脈の概要も参照のこと。) さらに読む が連続で起きたものと考えることができます。そのような収縮が2~3回だけ起こり、正常なリズムに戻る場合もあります。30秒以上続く心室頻拍は、持続性心室頻拍と呼ばれます。
持続性心室頻拍は通常、 心臓発作 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞)ことによって起こります。閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。心臓発作とは、血液供給がなくなることにより心臓の組織が壊死する病気です。 急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。 急性冠症候群が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、アスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。... さらに読む 、 心不全 心不全(HF) 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む
、 心筋症 心筋症の概要 心筋症とは、心臓の壁を構成する筋肉の構造と機能が障害される進行性の病気です。 心筋症の主な病型としては、以下の3種類があります。 拡張型心筋症:心室(心臓内部の下側にある2つの部屋)が拡大(拡張)する病型 肥大型心筋症:心室の壁が厚く硬くなる病型 拘束型心筋症:心室の壁が硬くなるものの、必ずしも厚くならない病型 さらに読む
など、心臓に構造的な病気がある人でみられ、高齢者でより多くみられます。ただし、心臓に構造的な病気がない若い人でも、まれに心室頻拍が起きる場合があります。そのような若い人には QT延長症候群 QT延長症候群とトルサード・ド・ポアンツ心室頻拍 トルサード・ド・ポアンツ心室頻拍は特別なタイプの 心室頻拍で、QT延長症候群と呼ばれる心臓の電気的活動の病気がある人で起こります。 ( 不整脈の概要と 心室頻拍も参照のこと。) 一部の患者には生まれつきQT延長症候群があります。その他の患者では、この病気は血清中のカリウム濃度の低下、徐脈(心拍数の異常な低下)、薬剤の使用によって起こります。しばしば抗不整脈薬によってQT延長症候群が引き起こされますが、特定の抗うつ薬、抗ウイルス薬、抗真菌... さらに読む と呼ばれる病気がある可能性があり、この病気は遺伝や特定の薬によって起こります。また、ブルガダ症候群(心臓イオンチャネル病 心臓のイオンチャネル病 心臓のイオンチャネル病は、心臓の電気的活動を制御している細胞のタンパク質に先天的異常があるために、不整脈が発生する病気です。 ( 不整脈の概要も参照のこと。) 心臓のイオンチャネル病がある人の大半では、 心臓発作や 心臓弁膜症などの他の心疾患はありませんが、心臓の細胞膜にある小さな孔(チャネル)の構成や調節を決定する遺伝子に変異があり、不整脈が起こりやすくなっています。 最も一般的なイオンチャネル病では以下のものが生じます。... さらに読む の一種)など、その他のまれな遺伝性の病気によって起こることもあります。
症状
心室頻拍の人には、ほぼ常に動悸(心拍の自覚)がみられます。脱力感、ふらつき、胸の不快感がみられることもあります。
持続性心室頻拍では、心室に血液が十分に取り込まれず、正常な量の血液を送り出せなくなるため、危険な状態に陥ることがあります。その結果、血圧が低下するようになり、続いて 心不全 心不全(HF) 心不全とは、心臓が体の需要を満たせなくなった状態のことで、血流量の減少や静脈または肺での血液の滞留(うっ血)、心臓の機能をさらに弱めたり心臓を硬化させたりする他の変化などを引き起こします。 心不全は心臓の収縮や弛緩が不十分になることで発生しますが、これらの変化は一般的に、心筋が弱ったり硬くなったりすることが原因で起こります。... さらに読む に至ります。持続性心室頻拍はまた、心停止の一種である 心室細動 心室細動 心室細動は、多数の無秩序な電気刺激によって心室(心臓の下側にある2つの部屋)が協調を失い、非常に速くふるえる結果、有効な収縮がみられなくなる不整脈で、死に至る可能性があります。 心室細動を起こした人は、数秒のうちに意識を失い、迅速に治療しなければ死に至ります。 心停止の原因が心室細動であることを確認するには、心電図検査が参考になります。 数分以内に心肺蘇生を開始し、続いて正常な心拍リズムを回復させるために除細動(胸部に電気ショックを与え... さらに読む
に悪化することがあり、その意味でも危険です。心室頻拍は、心拍数が毎分200回程度になってもほとんど症状を引き起こさない場合がありますが、症状がなくても極めて危険です。
診断
治療
正常な心拍リズムを回復させる
発作の予防
緊急の治療
心室頻拍は、症状がみられる場合のほか、症状がみられなくても30秒以上続く場合、治療の対象となります。
症状がみられる場合、特に血圧がかなり低下している場合は、直ちに カルディオバージョン 正常なリズムの回復 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む (心拍リズムを正常に戻すための電気ショック)が必要です。
症状はみられないものの心室頻拍が30秒以上続く場合は、カルディオバージョンまたは薬剤の静脈内投与による治療が必要です。
カルディオバージョンは痛みを伴うため、鎮静が必要になりますが、カルディオバージョンはほぼ常に有効で、痛み以外の副作用はほとんどありません。
薬の使用は不快感を伴いませんが、カルディオバージョンほど不整脈を止める効果が強くないうえ、副作用が起きる可能性が高くなります。一般的に、アミオダロン、リドカイン、プロカインアミドが使用されます(表「 不整脈の治療に用いられる主な薬剤 不整脈の治療に用いられる主な薬剤 」を参照)。
長期の治療
長期的な目標は、単に不整脈を止めるのではなく、突然死を予防することです。心臓に基礎疾患がある人、特に心臓のポンプ機能が低下している患者で心室頻拍が起きている場合は、 植込み型除細動器 正常なリズムの回復 (不整脈を検出して、電気ショックを与えて心拍リズムを正常に戻す小型の機器)がしばしば使用されます。その処置は ペースメーカー ペースメーカー 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む
の埋め込みと同様の方法で行います。
持続性心室頻拍の原因となることの多い心室の小さな異常部分を心電図検査で特定し、特殊な治療法でその部分を破壊することもあります。そのような治療法としては、 カテーテルアブレーション 正常なリズムの回復 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む (心臓内まで挿入したカテーテルで特定の周波数の電磁波[高周波]を照射したり組織を凍結したりする治療法)と開心術があります。