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腎静脈血栓症

執筆者:

Zhiwei Zhang

, MD, Loma Linda University

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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腎静脈血栓症とは、血栓によって腎静脈(腎臓を出た血液が通過する血管)が詰まってしまう病気です。

  • 血栓により腎臓が損傷を受ける可能性があります。

  • 血栓が急激に発生する場合を除けば、症状はごく軽微なものとなります。

  • 診断は、MRアンギオグラフィー検査、ドプラ超音波検査、またはCT血管造影検査の結果に基づいて下されます。

  • 治療には、抗凝固薬、血栓を溶かす薬(血栓溶解薬)、血栓の除去などが用いられます。

腎臓の血管の病気の概要も参照のこと。)

成人における腎静脈血栓症の最も一般的な原因は以下のものです。

  • ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群では、大量のタンパク質が尿中に流出し、そのため血液が血栓を形成する傾向が促進されます。

また腎静脈血栓症は、腎臓のがんや他の状態(腫瘍など)によって腎静脈や下大静脈(腎静脈の血液が流れ込む血管)が圧迫されることで発生する場合もあります。そのほかに考えられる原因としては、血液凝固障害(凝固亢進状態)、血管炎全身性エリテマトーデス、腎臓を侵した鎌状赤血球症糖尿病、経口避妊薬の使用、けが、コカインの乱用があるほか、まれに遊走性血栓性静脈炎(全身の様々な静脈で次々に血栓が発生する病気)の可能性もあります。

症状

腎静脈血栓症の大半は成人に発生します。成人の場合、発症と進行はともに緩やかで、何の症状も認められないのが通常です。腎静脈の壁にできた血栓の一部が剥がれ、それが肺まで移動して血管に詰まる肺塞栓症が発生することで、偶然この病気が発見される場合もあります。肺塞栓症では、胸に突然痛みが生じ(この痛みは呼吸により強まります)、同時に息切れもみられます。作られる尿の量が減少する場合もあります。

一方、小児患者の大半と成人患者の少数では、発症と進行ともに突然生じるのが通常で、痛みが最初の症状となる場合が多く、典型的には背中の肋骨の下の方や腰の辺りに生じます。発熱、吐き気、嘔吐、尿量の減少、血尿などもみられます。

診断

  • 血液と尿の検査

  • 画像検査

血液検査により、体内の老廃物を処理して排泄する腎臓の能力が低下している証拠が認められることがあります(腎不全)。通常の尿検査も行います。

腎静脈血栓症の診断には、磁気共鳴(MR)血管造影検査、ドプラ超音波検査、CT血管造影検査が用いられます( 尿路の画像検査)。MRアンギオグラフィー検査とCT血管造影検査は非常に正確で、またカテーテルを体の深部の動脈や静脈まで挿入する必要がありません。超音波検査は、正確性でやや劣るものの、非常に安全な検査法です。閉塞が突然発生した場合は、超音波検査で腎臓の腫大を確認できます。またドプラ超音波検査により、腎静脈内の血流が途絶えていることを確認できる場合があります。造影剤を動脈や深部静脈に注入して下大静脈または腎静脈のX線画像を撮影する検査(静脈造影検査)が最も正確ですが、検査時の操作によって剥がれた血栓の一部が血流に乗って塞栓を起こすことにより、合併症が発生する可能性があります。

治療

  • 基礎疾患の治療

  • 血栓を予防または溶解する薬

  • まれに手術

原因になっている病気を治療します。主な治療法は抗凝固薬の投与であり、これにより、さらなる血栓の形成を予防します。その結果、通常は腎機能を改善できるとともに、肺塞栓症のリスクを減らすこともできます。ときに、静脈内にカテーテルを挿入して血栓を溶かす薬(血栓溶解薬)を投与する場合や、血栓を除去する手術(血栓除去術)を行う場合もあります。これらの新しい治療法は、広く普及してきてはいるものの、決まって使用されるまでには至っていません。まれに、腎静脈内の血栓を取り除く手術が行われることもあります。腎臓の摘出手術はめったに行われず、高血圧などの別の合併症が発生した場合に限って行われています。

予後(経過の見通し)は、血栓症の原因、合併症の有無、腎臓の損傷の程度によって変わってきます。腎静脈血栓症自体が原因で死亡することはまれであり、死亡の多くは致死的な基礎疾患や合併症(肺塞栓症など)によるものです。腎機能への影響は、損傷を受けた腎臓が片方か両方か、血流の回復の程度、閉塞が起こる前の腎機能の状態などによって異なります。

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