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肝臓の線維化

執筆者:

Jesse M. Civan

, MD, Thomas Jefferson University Hospital

最終査読/改訂年月 2018年 8月
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本ページのリソース

肝臓に異常に大量の瘢痕組織が形成されることを、線維化といいます。これは、肝臓が損傷した細胞を修復して新しい組織で置き換えようとする過程で生じます。

  • 肝臓に損傷が起きる病態には多くのものがあります。

  • 線維化自体は症状を引き起こしませんが、重度の瘢痕は肝硬変につながり、それが症状を引き起こす可能性があります。

  • 医師は、血液検査と画像検査の結果に基づいて、線維化の診断と重症度の推定を行うことが多いものの、ときに肝生検が必要になることもあります。

  • 治療では、可能であれば基礎にある病態を是正します。

肝臓の線維化と肝硬変の概要も参照のこと。)

肝臓が反復的または持続的に損傷すると、線維化が起こります。たとえ重度でも1回の損傷であれば(急性肝炎で多くの肝細胞が損傷する場合など)、線維化は生じないのが通常です。損傷が繰り返されるか長期間持続すると(慢性肝炎の場合など)、肝細胞による自己修復がうまくいかず、瘢痕組織が生じます。胆管の閉塞が原因である場合には、より急速に線維化が起きる可能性があります。

肝細胞と置き換わった瘢痕組織は、肝細胞と異なり、機能を果たしません。瘢痕組織は、肝臓への血流と肝臓内の血流を妨げて、肝細胞への血液の供給を制限します。十分な血流が届かなければ細胞は死滅し、さらに多くの瘢痕組織が生じます。また、腸から肝臓に向かう静脈(門脈)の血圧が上昇して、門脈圧亢進症と呼ばれる状態になります。

原因が速やかに特定され修復されれば、線維化は改善することがあります。しかし、数カ月から数年にわたって損傷が継続したり繰り返されたりすると、線維化した組織は永久に元に戻りません。肝臓全体に帯状の瘢痕組織が形成され、肝臓の内部構造が破壊されて、肝臓の再生能力や機能が損なわれる可能性があります。このような重度の瘢痕は肝硬変と呼ばれます。

原因

様々な病気や薬は、肝臓を繰り返しまたは継続的に損傷して、それにより線維化を引き起こすことがあります(表「肝臓の線維化を引き起こす主な病態と薬剤」を参照)。

米国における最も一般的な原因は以下のものです。

非アルコール性脂肪肝は通常、過体重の人、糖尿病または前糖尿病の人、脂肪(脂質)とコレステロールの血中濃度が高い人で発生します。こうした脂肪性肝疾患につながる危険因子の組合せは、しばしばメタボリックシンドロームと呼ばれます。近年の米国では、非アルコール性脂肪肝につながるメタボリックシンドロームがますます増えてきています。世界的には、B型肝炎(表「肝炎ウイルス」を参照)が原因として一般的です。線維化の原因が分からないこともあります。

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肝臓の線維化を引き起こす主な病態と薬剤

種類

備考

特定の遺伝性代謝疾患

アルファ1‐アンチトリプシン欠乏症

体内での食物の吸収、分解、処理(代謝)に影響を及ぼす。食べたものが正常に分解されず、その成分が様々な臓器(肝臓など)に蓄積して損傷を引き起こすことがある。

感染症

B型またはC型慢性肝炎などのウイルス感染症

一部の感染症は、肝臓を含む全身のほぼすべての臓器に影響を及ぼす可能性がある。主に肝臓に影響を及ぼすものある(肝炎など)。

自己免疫疾患

体が自身の組織を攻撃する(自己免疫反応)。

原発性胆汁性胆管炎と原発性硬化性胆管炎では、胆管が炎症を起こし、瘢痕化して閉塞する。

肝臓に入る血流や肝臓から出る血流に影響を及ぼす病気

バッド-キアリ症候群(肝臓から出る血流が血栓により遮断される)

門脈血栓症(肝臓に向かう太い静脈が血栓で閉塞すること)

肝中心静脈閉塞症(肝臓の細い静脈の閉塞)

血液が肝臓から出られなくなり、肝臓が腫大する。

肝細胞が十分な血液を受け取ることができないと、肝細胞は死滅して瘢痕組織で置き換わる。

類洞閉塞症候群(肝中心静脈閉塞症)は、ピロリジジンアルカロイドによって引き起こされることがある。これらの物質は、ブッシュ(ルイボス)茶のような特定のハーブ製品に含まれており、健康上のメリットを期待して摂取されることがある。

アルコール

アミオダロン

クロルプロマジン

コルチコステロイド

イソニアジド

メトトレキサート

メチルドパ

オキシフェニサチン

トルブタミド

ほとんどの薬は肝臓で処理される必要がある。一部の薬には肝臓に有害な作用がある。

その他の病気

先天性肝線維症

非アルコール性脂肪肝(脂肪肝炎)

先天性肝線維症では、主に肝臓、胆嚢、腎臓に損傷が生じ、肝臓の線維化やその他の症状がみられる。この病気は出生時からみられる。

非アルコール性脂肪肝では、脂肪が肝臓に蓄積して線維化が生じる。この病気はメタボリックシンドロームの患者に起こりやすい。

症状

線維化そのものは症状を引き起こしませんが、線維化の原因となった病気による症状がみられることがあります。また、線維化が進行すると、肝硬変に至ることがあります。肝硬変は、症状を伴う合併症(門脈圧亢進症など)を引き起こします。

診断

  • 医師による評価

  • ときに血液検査、画像検査、またはその両方

  • ときに肝生検

線維化の原因になる病気がある場合、患者が線維化を引き起こす薬を服用している場合、または通常の血液検査(肝機能検査)で肝臓の損傷や機能不全が示された場合、医師は線維化を疑います。診断を確定するための検査を行い、線維化があれば、さらにその重症度を判定するための検査を行います。これらの検査として、一般的な画像検査、血液検査、肝生検のほか、ときに肝臓の硬さを判定する特殊な画像検査などが行われます。

画像検査(超音波検査、CT検査、MRI検査など)では、早期の線維化や進行が中程度の線維化は検出できません。しかし、これらの検査によって、肝硬変や門脈圧亢進症に伴って生じる可能性のある異常(脾臓の腫大静脈瘤など)を検出できる場合があります。

特定の血液検査を組み合わせることで、2段階の線維化を区別できます。

  • 線維化がない、または軽度の線維化

  • 中等度から重度の線維化

これらの検査では、線維化の程度が中等度か重度かを区別することはできません。線維化の重症度は、慢性ウイルス性肝炎の人の予後を判断する上で参考になります。

肝生検は、線維化を検出して程度(線維化の量)を判定し、その原因疾患を特定する上で最も信頼できる方法です。生検は、しばしば診断がはっきりしないときに行われます。また、線維化が肝硬変に進行しているかどうか(例えば、C型肝炎の患者で)を判定するためにも行われます。肝生検は侵襲的な(体に負担をかける)検査であり、合併症を引き起こす可能性があるため、医師はまず血液検査を行い、その結果から中等度または重度の線維化があると疑われる場合にのみ肝生検を行います。近年の医師たちは、生検に代わる非侵襲的な方法として、専用の特殊な画像検査にますます頼るようになっています。

特殊な画像検査により、肝臓がどのくらい硬くなっているかを判定することができます。肝組織が硬ければ硬いほど、より重度の線維化である可能性が高くなります。これらの検査(超音波エラストグラフィー、磁気共鳴エラストグラフィー、音響放射力撮影[acoustic radiation force impulse imaging])では、腹部に超音波を照射することで、肝組織の硬さを判定します。肝生検とは異なり、これらの検査は侵襲的ではないため、いくつかの利点があります。超音波エラストグラフィーと磁気共鳴エラストグラフィーは、C型肝炎患者での線維化の診断に用いられています。さらに、これらの検査法は脂肪性肝疾患の患者にも用いられます。従来の超音波検査は極端な過体重の人(脂肪性肝疾患のリスクが高いです)では信頼できない可能性がありますが、肥満者でも高い信頼性で超音波エラストグラフィーを行うための専用のアタッチメントが使用できるようになっています。

治療

医師は、原因の治療に重点を置きます。その結果、肝臓のさらなる瘢痕化がしばしば止まったり遅れたりするだけでなく、ときには状態が改善することもあります。そのような治療には以下のものがあります。

瘢痕組織の形成を効果的かつ安全に阻止できる薬剤はありません。しかし、線維化を抑えられる可能性がある薬剤の研究が進められています。シリマリンは、マリアアザミ(ミルクシスル)と呼ばれる薬用ハーブに含まれる強力な抗酸化物質で、ときに線維化の治療を目的として使用されます。安全とみられていますが(ただし、C型肝炎の治療に用いられる特定の薬と併用する場合を除く)、有効ではないようです。コーヒーの摂取に、肝臓を線維化から保護する効果がある可能性があります。

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