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肝臓の線維化

執筆者:

Jesse M. Civan

, MD, Thomas Jefferson University Hospital

最終査読/改訂年月 2018年 8月
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肝臓に異常に大量の瘢痕組織が形成されることを、線維化といいます。これは、肝臓が損傷した細胞を修復して新しい組織で置き換えようとする過程で生じます。

肝臓が反復的または持続的に損傷すると、線維化が起こります。たとえ重度でも1回の損傷であれば( 急性肝炎 急性ウイルス性肝炎の概要 急性ウイルス性肝炎は、5種類の肝炎ウイルスのいずれかの感染によって肝臓に炎症が起きる病気です。多くの場合、炎症は突然始まり数週間続きます。 症状は、何もみられない場合から重症の場合まであります。 感染すると、食欲不振、吐き気、嘔吐、発熱、右上腹部の痛み、黄疸などの症状がみられます。 医師は身体診察と検査用の採血を行います。 ワクチンはA型、B型、E型の肝炎を予防できます。 さらに読む で多くの肝細胞が損傷する場合など)、線維化は生じないのが通常です。損傷が繰り返されるか長期間持続すると( 慢性肝炎 慢性肝炎の概要 慢性肝炎は、肝臓の炎症が最低6カ月以上持続する病気です。 一般的な原因としては、B型およびC型肝炎ウイルス、特定の薬などがあります。 多くの場合は無症状ですが、全身のだるさ、食欲不振、疲労などの漠然とした症状がみられることもあります。 慢性肝炎の結果、門脈圧亢進症と肝不全を伴う肝硬変が生じることがあります。 さらに読む の場合など)、肝細胞による自己修復がうまくいかず、瘢痕組織が生じます。 胆管の閉塞 胆嚢と胆管の病気の概要 胆汁は、緑がかった黄色の粘り気のある液体で、肝臓で作られます。胆汁はコレステロール、脂肪、脂溶性ビタミンを腸から吸収しやすい形に変えることで、消化を補助します。また、特定の老廃物(主にビリルビンと過剰なコレステロール)や薬の副産物を体外に排出する働きもあります。 胆道は複数の細い管で構成され、胆汁はそれらの管を通って肝臓から胆嚢へ、さらに... さらに読む 胆嚢と胆管の病気の概要 が原因である場合には、より急速に線維化が起きる可能性があります。

肝細胞と置き換わった瘢痕組織は、肝細胞と異なり、機能を果たしません。瘢痕組織は、肝臓への血流と肝臓内の血流を妨げて、肝細胞への血液の供給を制限します。十分な血流が届かなければ細胞は死滅し、さらに多くの瘢痕組織が生じます。また、腸から肝臓に向かう静脈(門脈)の血圧が上昇して、 門脈圧亢進症 門脈圧亢進症 門脈圧亢進症は、門脈(腸から肝臓に向かう太い静脈)とその分枝の血圧が異常に高くなる病気です。 欧米諸国で最も一般的な原因は、肝硬変(瘢痕化により肝臓の構造が歪み、機能が損なわれること)です。 門脈圧亢進症は、腹部の膨隆(腹水)、腹部の不快感、錯乱、消化管での出血につながります。 医師は、症状および身体診察の結果、ときには超音波検査、CT検査、MRI検査、または肝生検の結果に基づいて診断を下します。... さらに読む と呼ばれる状態になります。

原因が速やかに特定され修復されれば、線維化は改善することがあります。しかし、数カ月から数年にわたって損傷が継続したり繰り返されたりすると、線維化した組織は永久に元に戻りません。肝臓全体に帯状の瘢痕組織が形成され、肝臓の内部構造が破壊されて、肝臓の再生能力や機能が損なわれる可能性があります。このような重度の瘢痕は 肝硬変 肝硬変 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的なアルコール乱用、慢性ウイルス性肝炎、飲酒によらない脂肪肝です。 食欲不振、体重減少、疲労、全身のだるさなどの症状が現れます。 腹部への体液の貯留(腹水)、消化管の出血、脳機能の異常など、多くの重篤な合併症が起こる可能性が... さらに読む 肝硬変 と呼ばれます。

原因

様々な病気や薬は、肝臓を繰り返しまたは継続的に損傷して、それにより線維化を引き起こすことがあります(表「 肝臓の線維化を引き起こす主な病態と薬剤 肝臓の線維化を引き起こす主な病態と薬剤 肝臓の線維化を引き起こす主な病態と薬剤 」を参照)。

米国における最も一般的な原因は以下のものです。

非アルコール性脂肪肝は通常、 過体重 肥満 肥満とは、体重が過剰な状態です。 複数の要因が組み合わさって肥満に影響を及ぼします。複数の要因が組み合わさった結果、体に必要な量よりも多くのカロリーを摂取することになります。 そうした要因には、運動不足、食事、遺伝子、生活習慣、民族的背景、社会経済的背景、ある種の化学物質への曝露、特定の病気、特定の薬の使用などがあります。... さらに読む 肥満 の人、 糖尿病 糖尿病 糖尿病は体が必要とするインスリンを十分に産生しないため、血糖(ブドウ糖)値が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇き、減量しようとしていないのに体重が減少します。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む または前糖尿病の人、 脂肪(脂質)とコレステロールの血中濃度が高い コレステロールと脂質の病気の概要 血液中にみられる重要な脂肪(脂質)には以下のものがあります。 コレステロール 中性脂肪(トリグリセリド) コレステロールは、細胞膜や脳と神経の細胞に必須の成分であるほか、脂肪と脂溶性ビタミンの吸収を助ける胆汁にも不可欠な物質です。体はコレステロールを使って、エストロゲン、テストステロン、コルチゾールなどの様々なホルモンやビタミンDをつくり... さらに読む 人で発生します。こうした脂肪性肝疾患につながる危険因子の組合せは、しばしば メタボリックシンドローム メタボリックシンドローム メタボリックシンドロームは、腹部脂肪の過剰による大きいウエスト周囲長、高血圧、インスリンの作用への反応低下(インスリン抵抗性)または糖尿病、血液中のコレステロールなどの脂肪の異常な値(脂質異常症)を特徴とします。 腹部脂肪の過剰は高血圧、冠動脈疾患、2型糖尿病のリスクを高めます。 メタボリックシンドロームの診断には、医師はウエスト周囲長、血圧、空腹時血糖値、脂肪(脂質)値を測定します。... さらに読む と呼ばれます。近年の米国では、非アルコール性脂肪肝につながるメタボリックシンドロームがますます増えてきています。世界的には、B型肝炎(表「 肝炎ウイルス 肝炎ウイルス 肝炎ウイルス 」を参照)が原因として一般的です。線維化の原因が分からないこともあります。

症状

線維化そのものは症状を引き起こしませんが、線維化の原因となった病気による症状がみられることがあります。また、線維化が進行すると、 肝硬変 肝硬変 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的なアルコール乱用、慢性ウイルス性肝炎、飲酒によらない脂肪肝です。 食欲不振、体重減少、疲労、全身のだるさなどの症状が現れます。 腹部への体液の貯留(腹水)、消化管の出血、脳機能の異常など、多くの重篤な合併症が起こる可能性が... さらに読む 肝硬変 に至ることがあります。肝硬変は、症状を伴う合併症( 門脈圧亢進症 症状 門脈圧亢進症は、門脈(腸から肝臓に向かう太い静脈)とその分枝の血圧が異常に高くなる病気です。 欧米諸国で最も一般的な原因は、肝硬変(瘢痕化により肝臓の構造が歪み、機能が損なわれること)です。 門脈圧亢進症は、腹部の膨隆(腹水)、腹部の不快感、錯乱、消化管での出血につながります。 医師は、症状および身体診察の結果、ときには超音波検査、CT検査、MRI検査、または肝生検の結果に基づいて診断を下します。... さらに読む など)を引き起こします。

診断

  • 医師による評価

  • ときに血液検査、画像検査、またはその両方

  • ときに肝生検

線維化の原因になる病気がある場合、患者が線維化を引き起こす薬を服用している場合、または通常の血液検査( 肝機能検査 肝機能検査 肝機能検査という名称から誤解されることもありますが、これは肝臓の代謝や胆汁分泌の機能を調べる検査ではなく、実際には肝臓の炎症や肝臓の損傷を検出する検査です( 肝臓の機能)。このような炎症や損傷は、肝臓の実際の機能に影響が現れる前から生じている可能性があります。肝機能検査は血液検査として行われますが、これは肝疾患の有無をスクリーニングし(例えば、献血された血液に肝炎があるかを調べる)、肝疾患の重症度や進行度と治療に対する反応を評価するため... さらに読む )で肝臓の損傷や機能不全が示された場合、医師は線維化を疑います。診断を確定するための検査を行い、線維化があれば、さらにその重症度を判定するための検査を行います。これらの検査として、一般的な画像検査、血液検査、肝生検のほか、ときに肝臓の硬さを判定する特殊な画像検査などが行われます。

画像検査 肝臓と胆嚢の画像検査 肝臓、胆嚢、胆管の画像検査には、超音波検査、核医学検査、CT検査、MRI検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査、経皮経肝胆道造影、術中胆道造影、単純X線検査などがあります。 超音波検査では、音波を利用して肝臓や胆嚢、胆管を画像化します。経腹超音波検査は、肝硬変(肝臓の重度の瘢痕化)や脂肪肝(肝臓に過剰な脂肪が蓄積している状態)など肝臓全体を一様に侵す異常よりも、腫瘍など肝臓の特定の部分だけを侵す構造的な異常の検出に優れています。これは、胆... さらに読む (超音波検査、CT検査、MRI検査など)では、早期の線維化や進行が中程度の線維化は検出できません。しかし、これらの検査によって、肝硬変や門脈圧亢進症に伴って生じる可能性のある異常( 脾臓の腫大 脾腫(脾臓の腫大) 脾腫自体は病気ではありませんが、その原因になっている病気があります。脾腫を引き起こす可能性がある病気はたくさんあります。 感染症、貧血、がんといった多くの病気が脾腫を引き起こすことがあります。 通常、特有の症状がみられることはありませんが、左上の腹部や背中に膨満感や痛みが現れることがあります。 一般には、触診で脾腫を判定できますが、超音波検査などの画像検査を行って、脾臓の大きさを測定することもあります。... さらに読む 静脈瘤 門脈圧亢進症 門脈圧亢進症は、門脈(腸から肝臓に向かう太い静脈)とその分枝の血圧が異常に高くなる病気です。 欧米諸国で最も一般的な原因は、肝硬変(瘢痕化により肝臓の構造が歪み、機能が損なわれること)です。 門脈圧亢進症は、腹部の膨隆(腹水)、腹部の不快感、錯乱、消化管での出血につながります。 医師は、症状および身体診察の結果、ときには超音波検査、CT検査、MRI検査、または肝生検の結果に基づいて診断を下します。... さらに読む など)を検出できる場合があります。

特定の血液検査を組み合わせることで、2段階の線維化を区別できます。

  • 線維化がない、または軽度の線維化

  • 中等度から重度の線維化

これらの検査では、線維化の程度が中等度か重度かを区別することはできません。線維化の重症度は、慢性ウイルス性肝炎の人の予後を判断する上で参考になります。

肝生検 肝生検 肝臓の組織サンプルは、試験開腹中に採取することもありますが、多くの場合、皮膚から肝臓に中空の針を刺す方法で採取します。このタイプの生検は、経皮的肝生検と呼ばれます。また、経静脈的肝生検と呼ばれる生検の方法もあります。 肝生検では、他の検査で得られない肝臓の情報を検出することができます。肝生検は、肝臓の過剰な脂肪(脂肪肝)、慢性的な肝臓の炎症(慢性肝炎)、ウィルソン病(銅が過剰に蓄積する病気)やヘモクロマトーシス(鉄が過剰に蓄積する病気)... さらに読む は、線維化を検出して程度(線維化の量)を判定し、その原因疾患を特定する上で最も信頼できる方法です。生検は、しばしば診断がはっきりしないときに行われます。また、線維化が 肝硬変 肝硬変 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的なアルコール乱用、慢性ウイルス性肝炎、飲酒によらない脂肪肝です。 食欲不振、体重減少、疲労、全身のだるさなどの症状が現れます。 腹部への体液の貯留(腹水)、消化管の出血、脳機能の異常など、多くの重篤な合併症が起こる可能性が... さらに読む 肝硬変 に進行しているかどうか(例えば、C型肝炎の患者で)を判定するためにも行われます。肝生検は侵襲的な(体に負担をかける)検査であり、合併症を引き起こす可能性があるため、医師はまず血液検査を行い、その結果から中等度または重度の線維化があると疑われる場合にのみ肝生検を行います。近年の医師たちは、生検に代わる非侵襲的な方法として、専用の特殊な画像検査にますます頼るようになっています。

特殊な画像検査により、肝臓がどのくらい硬くなっているかを判定することができます。肝組織が硬ければ硬いほど、より重度の線維化である可能性が高くなります。これらの検査(超音波エラストグラフィー、磁気共鳴エラストグラフィー、音響放射力撮影[acoustic radiation force impulse imaging])では、腹部に超音波を照射することで、肝組織の硬さを判定します。肝生検とは異なり、これらの検査は侵襲的ではないため、いくつかの利点があります。超音波エラストグラフィーと磁気共鳴エラストグラフィーは、C型肝炎患者での線維化の診断に用いられています。さらに、これらの検査法は脂肪性肝疾患の患者にも用いられます。従来の超音波検査は極端な過体重の人( 脂肪性肝疾患 脂肪肝 脂肪肝は、肝細胞の内部に中性脂肪(トリグリセリド)が過剰に蓄積した状態です。 脂肪肝の患者には、疲労や腹部の軽い不快感が生じることがありますが、それ以外の症状はみられません。 診断を確定するため、また損傷の原因と範囲を特定するために肝生検が必要になることがあります。 医師は、メタボリックシンドロームや過度の飲酒など、脂肪肝の原因をコントロールするか取り除くことに重点を置きます。... さらに読む のリスクが高いです)では信頼できない可能性がありますが、肥満者でも高い信頼性で超音波エラストグラフィーを行うための専用のアタッチメントが使用できるようになっています。

治療

医師は、原因の治療に重点を置きます。その結果、肝臓のさらなる瘢痕化がしばしば止まったり遅れたりするだけでなく、ときには状態が改善することもあります。そのような治療には以下のものがあります。

瘢痕組織の形成を効果的かつ安全に阻止できる薬剤はありません。しかし、線維化を抑えられる可能性がある薬剤の研究が進められています。シリマリンは、 マリアアザミ(ミルクシスル) マリアアザミ(ミルクシスル) 主な有効成分はシリマリンで、とげだらけの葉をもち、紫色の花が咲くこの植物の種の中に存在します。 (薬用ハーブと機能性食品の概要も参照のこと。) マリアアザミ(ミルクシスル)はウイルス、有害物質(アルコールやタマゴテングタケの毒素など)、特定の薬剤(アセトアミノフェンなど)から肝臓を保護するといわれています。このため、マリアアザミはキノコ中毒や他の肝臓病(肝硬変やC型肝炎など)の予防や治療を目的として摂取されます。適切な試験デザインによる... さらに読む と呼ばれる薬用ハーブに含まれる強力な抗酸化物質で、ときに線維化の治療を目的として使用されます。安全とみられていますが(ただし、C型肝炎の治療に用いられる特定の薬と併用する場合を除く)、有効ではないようです。コーヒーの摂取に、肝臓を線維化から保護する効果がある可能性があります。

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