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食道裂孔ヘルニア

執筆者:

Kristle Lee Lynch

, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が異常に膨らんで横隔膜から突出した状態です。

  • この病気の原因は通常は不明ですが、一般的な要因として年齢、肥満、喫煙があります。

  • 症状が出なかったり、逆流や消化不良などの軽い症状がみられる人もいますが、胸痛、腹部膨満、げっぷ、嚥下(えんげ)困難などの比較的重篤な症状が出る人もいます。

  • 診断は食道造影検査のほか、ときに上部消化管内視鏡検査の結果に基づいて下されます。

  • 治療では、症状の緩和を目標とし、ときに薬が用いられ、まれに手術が行われます。

食道は、のど(咽頭)から胃までをつなぐ中空の管です。

腹部の臓器などが横隔膜(胸腔を腹部と隔てている筋肉の薄い膜)を越えて突出した状態を、横隔膜ヘルニアといいます。横隔膜には、食道裂孔と呼ばれる開口部があり、正常であれば食道が通っています。この開口部を通じて生じる横隔膜ヘルニアを食道裂孔ヘルニアと呼びます。

食道裂孔ヘルニアの原因は通常不明ですが、裂孔で食道と横隔膜の間に付着している帯状の組織が伸びることで発生することがあります。食道裂孔ヘルニアは、50歳以上の人、過体重の人(特に女性)、喫煙者に多くみられます。先天異常( 横隔膜ヘルニア)や損傷が原因となるタイプの横隔膜ヘルニアもあります。

食道裂孔ヘルニアの種類

食道裂孔ヘルニアには、大きく分けて次の2種類があります。

  • 滑脱型食道裂孔ヘルニア(最も多い)

  • 傍食道型食道裂孔ヘルニア

滑脱型食道裂孔ヘルニアでは、食道と胃の接合部が胃の一部とともに横隔膜より上に突出しますが、それらはすべて正常なら横隔膜の下にあるものです。米国では40%以上の人に滑脱型食道裂孔ヘルニアがみられます。年齢とともに頻度が高くなり、60歳以上ではその割合は60%にのぼります。

傍食道型食道裂孔ヘルニアでは、食道と胃の接合部は横隔膜より下の正常な位置にありますが、胃の一部が横隔膜の上に押し出されて食道と並んだ状態になります。

食道裂孔ヘルニアについて理解する

食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が異常に膨らんで横隔膜から突出した状態です。

食道裂孔ヘルニアについて理解する

症状

滑脱型食道裂孔ヘルニアの大半は非常に小さく、ほとんどの人は無症状です。症状がある場合も通常は軽微です。症状は通常、胃食道逆流症に関連したもので、消化不良がみられ、特に食後に横になったときに生じます。しかし、食道裂孔ヘルニアの患者で胃食道逆流症がみられる割合は50%を下回ります。前にかがんだり、力んだり、重い物を持ち上げたりすると症状が悪化し、妊娠中も同様です。

傍食道型食道裂孔ヘルニアは、一般に症状を引き起こしませんが、横隔膜に挟まったり締めつけられることがあり、そうなると血液が流れなくなります。痛みを伴うこの重篤な状態は嵌頓(かんとん)と呼ばれ、緊急手術が必要になります。症状としては、胸痛、腹部膨満、げっぷ、嚥下困難などがあります。

いずれのタイプの食道裂孔ヘルニアでも、まれにヘルニアの内膜からごく微量または大量の出血が起こることがあります。

診断

  • 胸部X線検査

  • 食道造影検査

  • ときに上部消化管内視鏡検査

大きな食道裂孔ヘルニアは、多くの場合、胸部X線検査で確認できます。それ以外では、バリウムという液体状の造影剤を飲んでもらってからX線撮影を行います(食道造影検査)。バリウムによって食道の輪郭が描き出され、異常が見やすくなります。

ヘルニアは上部消化管内視鏡検査でも確認できます。上部消化管内視鏡検査では、内視鏡と呼ばれる柔軟な管状の機器を用いて食道を調べます。

治療

  • 胃酸の逆流を予防または治療するための処置

  • ときにプロトンポンプ阻害薬

  • ときに手術

滑脱型食道裂孔ヘルニアで症状がみられなければ、治療の必要はありません。逆流の症状がみられる場合、胃酸の分泌を減らすプロトンポンプ阻害薬が使用されます( 消化性潰瘍の治療に用いられる薬剤)。他に逆流の治療に役立つ方法として、寝るときに頭の位置を高くする、食事の量を減らす、過剰な体重を減らす、禁煙する、食後に横になったり運動をしたりしない、きつい服を着ないことなどがあります。酸を含む飲みもの(オレンジジュースやコーラなど)、アルコール、コーヒー、特定の食べもの(タマネギ、香辛料の効いたもの、酸性のもの、脂肪分の多いものなど)の摂取をやめたり、制限したりすることが推奨されます。

傍食道型食道裂孔ヘルニアで症状がある場合は、嵌頓を予防するために手術で治す必要があります。手術は、胸部か腹部を小さく切開し、細い器具と小さなビデオカメラを挿入して行われる場合もあれば(胸腔鏡下手術または腹腔鏡下手術)、完全に開腹して行う必要がある場合もあります。

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