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潰瘍性大腸炎

執筆者:

Aaron E. Walfish

, MD, Mount Sinai Medical Center;


Rafael Antonio Ching Companioni

, MD, Icahn School of Medicine, Elmhurst Hospital Center

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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潰瘍性大腸炎とは、大腸に炎症が起こり、潰瘍が形成される慢性炎症性腸疾患で、出血性の下痢や腹部のけいれん痛、発熱を伴う発作が起きます。潰瘍性大腸炎がない人と比べて、結腸がんの長期リスクが高まります。

  • この病気の正確な原因は分かっていません。

  • 発作時の典型的な症状は、腹部のけいれん痛、便意の切迫、下痢(血性下痢が典型的)などです。

  • 診断は、S状結腸内視鏡検査か、ときに大腸内視鏡検査の結果に基づいて下されます。

  • 長期にわたって潰瘍性大腸炎がある人では結腸がんが生じることがあります。

  • 治療は、炎症を抑え、症状を軽減し、失われた水分と栄養素を補うことを目的として行われます。

炎症性腸疾患[IBD]の概要も参照のこと。)

どの年齢からでも起こりますが、通常は30歳未満で始まり、通常は14~24歳で発症します。少数ですが、50~70歳で初めて発作が起きる人もいます。

潰瘍性大腸炎は通常は直腸から始まります(潰瘍性直腸炎)。直腸にとどまることもあれば、時間の経過につれて結腸全体に広がることもあります。一部の患者では、すぐに大腸の大部分が侵されます。

潰瘍性大腸炎では、通常は大腸壁全層が侵されることはなく、小腸に及ぶこともほとんどありません。腸の患部には浅い潰瘍がみられます。クローン病と異なり、潰瘍性大腸炎で瘻孔(ろうこう)や膿瘍(のうよう)は起こりません。

潰瘍性大腸炎の原因ははっきりと分かっていませんが、遺伝と腸の過剰な免疫反応が関与していると考えられています。喫煙は、クローン病の発生と周期的な再発に関与しているとみられていますが、潰瘍性大腸炎のリスクを低下させると考えられています。ただし喫煙は様々な健康上の問題を起こす原因となるため、潰瘍性大腸炎のリスクを減らすために喫煙することは軽率です。

症状

潰瘍性大腸炎の症状は再発します。再発は突然に起きて重症化することがあり、典型的には、粘液と血液を含む激しい下痢、高熱、腹痛のほか、ときに腹膜炎(腹腔の内側を覆う膜の炎症)がみられます。このような発作の間は、体調が非常に悪化します。再発は徐々に始まることが多く、便意が切迫するようになり、下腹部に軽いけいれん痛が起こり、便には目に見えるほどの血と粘液が混じります。再発は数日から数週間にわたって続き、またいつでも再発する可能性があります。

潰瘍性大腸炎が直腸とS状結腸に限定されている場合、便は正常か硬く乾燥している状態になります。しかし、排便中または排便と排便の間に、大量の赤血球と白血球を含む粘液が直腸から分泌されます。発熱などの軽度の全身症状は、みられる場合もみられない場合もあります。

潰瘍性大腸炎がさらに大腸の上の方へ広がると、便は軟らかくなり、排便が1日に10回を超えることもあります。多くの場合、腹部の重度のけいれん痛や不快感と、便意の切迫に伴う痛みのあるけいれんが生じます。夜間も症状は緩和しません。便が水っぽくなったり、粘液が混じったりすることがあります。便の内容がほぼ血液と膿だけになることがよくあります。発熱や食欲不振、体重減少が起こることもあります。

合併症

潰瘍性大腸炎の主な合併症としては以下のものがあります。

  • 出血

  • 劇症大腸炎(中毒性大腸炎)

  • 結腸がん

出血は最もよくみられる合併症で、しばしば鉄欠乏性貧血を引き起こします。

劇症大腸炎中毒性大腸炎とも呼ばれる)は特に重症の合併症です。潰瘍性大腸炎患者のほぼ10%で、最初の発作が急速に進行して非常に重症になり、大量の出血や結腸の破裂(穿孔[せんこう])、広範囲の感染が発生します。腸壁の神経と筋肉が損傷すると、イレウス(腸壁の正常な収縮運動が一時的に止まる状態)を起こすため、腸の内容物が前に進まなくなります。腹部の拡大(膨隆)が起こります。

劇症大腸炎が悪化するにつれ、大腸の筋緊張が失われ、数日以内、ときにはわずか数時間で大腸が拡張し始めます(この状態はときに中毒性巨大結腸症と呼ばれます)。この合併症は、高熱と腹痛を引き起こす場合があります。ときに大腸に穿孔がみられ、そうなると腹膜炎を起こします。腹部のX線検査では、腸の拡張や、腸の麻痺した部分の腸壁内にガスが存在していることが明らかになることがあります。

結腸がんは、広範な大腸炎がみられる患者で潰瘍性大腸炎が発症してから約7年で、より多くみられるようになります。結腸がんのリスクは、潰瘍性大腸炎が大腸全体に及んでいる場合に最も高く、罹病期間が長いほど高くなります。発病から20年後で約7~10%の患者にがんが発生し、35年後には30%もの患者にがんが発生します。広範な潰瘍性大腸炎の患者では、発病から8~10年目以降、毎年およそ100~200人に1人の割合でがんが発見されます。一方、炎症性腸疾患と胆管の炎症(原発性硬化性胆管炎)が両方みられる場合には、大腸炎の診断が下された時点から結腸がんのリスクが高まります。

潰瘍性大腸炎の期間が8~10年を超えるか原発性硬化性胆管炎がある場合は、大腸内視鏡検査(観察用の柔軟な管状の機器を用いた大腸の検査)を毎年または2年に1回は受けるよう勧められます。大腸内視鏡検査の際に、がんの早期徴候(異形成)を検出するために、大腸の各所から組織のサンプルを採取して顕微鏡で調べます。こうした組織の採取と検査は生検と呼ばれます。色素内視鏡検査という新しいタイプの大腸内視鏡検査では、内視鏡検査の際に色素を注入することで、がん(悪性)の領域や前がん性の領域を強調して、生検を行う領域を特定するのを容易にします。

その他の合併症が、クローン病の場合と同じように起こることがあります。潰瘍性大腸炎の消化管症状が再発すると、以下の症状も起こることがあります。

潰瘍性大腸炎の消化管症状が再発していない時期でも、腸の病状とはまったく無関係に、以下のような合併症が起こることがあります。

潰瘍性大腸炎では、軽微な肝機能障害がみられるのが一般的ですが、肝疾患の症状が現れるのは軽症から重症を含めても約1~3%に過ぎません。重症の肝疾患としては、肝臓の炎症(慢性活動性肝炎)や、胆管が狭くなり最終的には閉塞する胆管の炎症(原発性硬化性胆管炎)、肝臓の機能的な組織の瘢痕化(はんこんか)(肝硬変)などがあります。潰瘍性大腸炎による腸の症状が現れる何年も前に胆管の炎症が起こることがあります。この炎症は胆管がんのリスクを大幅に高め、また結腸がんのリスクの急上昇とも関連があると考えられています。

診断

  • 便検査

  • S状結腸内視鏡検査

  • 血液検査

  • 画像検査

けいれん痛や強い便意切迫を伴う血性下痢を繰り返す人では潰瘍性大腸炎が疑われ、特に関節炎や肝臓障害など他の合併症があったり同様の発作が出たことがある場合に疑われます。

医師は便を調べて寄生虫がないか調べるとともに、細菌感染がないことを確認します。

S状結腸内視鏡検査(観察用の柔軟な管状の機器を用いたS状結腸の検査)によって潰瘍性大腸炎の診断が確定できます。この検査では、直接観察して炎症の重症度を判定すること、培養検査用の粘液や便のサンプルを採取すること、顕微鏡で調べるために患部の組織サンプルを採取すること(生検)も可能です。症状がない時期でも、腸全体の見た目が正常であることはまれで、組織サンプルを採取して顕微鏡で調べると、通常は慢性的な炎症が認められます。大腸内視鏡検査は通常必要ありませんが、S状結腸内視鏡検査では届かない位置に炎症が広がっている場合には必要になることがあります。

血液検査では診断は確定しませんが、貧血や、白血球数の増加(炎症を伴ってみられます)、アルブミン(血液中のタンパク質)濃度の低下、赤血球沈降速度(赤沈値)やC反応性タンパク値の上昇が明らかになることがあり、これらも炎症が活発になっていることを意味します。肝臓の機能を調べる検査も行うことがあります。

下部消化管造影検査(バリウムを肛門から大腸に注入した後にX線撮影を行う検査)では、重症度と病変の広がりを判断できますが、再発時など、病状が活動性の状況では穿孔の原因になるリスクがあるため行われません。他の腹部X線検査を行うこともあります。

潰瘍性大腸炎の再発時の症状と重度の症状

医師は典型的な症状が再発した場合に診察しますが、必ずしも検査を行うわけではありません。症状の発生頻度が通常より高い場合や、症状の持続期間が長い場合は、S状結腸内視鏡または大腸内視鏡検査や血液検査(血算)を行います。感染や寄生虫の寄生がいないか調べるために、他の検査を行うこともあります。

症状が重い場合は入院してもらいます。X線検査を行って、腸の拡張や穿孔がないか調べます。

予後(経過の見通し)

潰瘍性大腸炎は通常は慢性で、再発と寛解(かんかい、症状がない期間)を繰り返します。約10%の患者では最初の発作が急速に進行し、重篤な合併症が起きます。別の10%は1回の発作の後に完全に回復します。それ以外の人では、ある程度の再発がみられます。

潰瘍性直腸炎の場合は予後が最もよくなります。重度の合併症の可能性が低くなります。しかし、約20~30%の人では最終的に潰瘍性直腸炎が大腸に広がり、潰瘍性大腸炎となります。直腸炎が広がっていない人では手術が必要になることはまれで、がんの発生率も高くなく、余命も正常です。

結腸がん

潰瘍性大腸炎に起因する結腸がん患者の長期生存率は約50%です。早期の段階で診断され、結腸をすぐに切除した場合、ほとんどの人が助かります。

治療

  • 食事管理とロペラミド

  • アミノサリチル酸系薬剤

  • コルチコステロイド

  • 免疫調節薬

  • 生物製剤

  • ときに手術

潰瘍性大腸炎の治療は、炎症を抑え、症状を軽減し、失われた水分と栄養素を補うことを目的として行われます。

具体的な治療法は症状の重症度によって異なります。

潰瘍性大腸炎の一般的な管理

便中への持続的な出血によって起こる貧血は、鉄のサプリメントで改善できます。

通常、大腸に腫れがある場合は、炎症を起こした大腸粘膜の損傷を軽減するために食事を低繊維食(特にナッツ類、トウモロコシの皮、生の果物、野菜を避ける)にする必要があります。

食事から乳製品を除くことで症状が軽減する場合があり、試してみる価値はありますが、効果がみられなければ続ける必要はありません。

潰瘍性大腸炎のすべての患者は、カルシウムとビタミンDのサプリメントを摂取するべきです。

比較的軽度の下痢に対しては、少量のロペラミドを服用します。より激しい下痢には、高用量のロペラミドが必要になることがあります。しかし重症のケースでは、劇症大腸炎のリスクがあるため、医師はこうした下痢止め薬を服用している人を注意深くモニタリングする必要があります。

基本的な健康維持対策、特に予防接種とがんのスクリーニングが重要です。

アミノサリチル酸系薬剤

アミノサリチル酸系薬剤は、炎症性腸疾患によって生じた炎症の治療に用いられる薬剤です。サラゾスルファピリジン、オルサラジン(olsalazine)、メサラジン、バルサラジド(balsalazide)などはアミノサリチル酸系の薬剤で、潰瘍性大腸炎の炎症を軽減し、症状の再発を予防するために使用されます。これらの薬は内服(経口投与)するのが通常ですが、メサラジンは浣腸や坐薬(直腸内投与)としても使用できます。経口投与でも直腸内投与でも、これらの薬は、軽度または活動性が中等度の潰瘍性大腸炎の治療には最大でも中程度の効果しかありませんが、症状の再発予防(寛解状態の維持)により効果的です。

コルチコステロイド

入院していない中等症の患者では、通常はプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドが経口投与されます。かなり高用量のプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)を服用することで、しばしば劇的な寛解が得られます。プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)で潰瘍性大腸炎の炎症がコントロールされた後に、改善を維持するためにサラゾスルファピリジンやオルサラジン(olsalazine)、メサラジン、免疫調節薬生物製剤がしばしば投与されます。プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)は徐々に用量を減らしていき、最終的には投与が中止されます。

ブデソニドも使用されることがある別のコルチコステロイドです。プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)よりも副作用が少ないですが、効果が現れるのに比較的時間がかかり、一般的には比較的病状が軽い場合に使用されます。

コルチコステロイドによる治療が長引くと、ほぼ必ず副作用が現れます( コルチコステロイドの使用法と副作用)。

軽度または中等度の潰瘍性大腸炎が大腸の左側(下行結腸)と直腸に限定されている場合は、コルチコステロイドやメサラジンの浣腸または坐薬の投与が役立つことがあります。コルチコステロイドによる治療は、数週間かけて用量を減らして徐々に中止します。

重症化した場合は、入院して、コルチコステロイドの静脈内投与と輸液を受けます。その場合もメサラジンの投与は続けることがあります。大量の下血がみられる場合は輸血が必要になることがあります。

免疫調節薬

免疫調節薬は、免疫系の働きを調節して、その活動を弱める薬です。アザチオプリンやメルカプトプリンなどの薬が、これらの薬を使用しなければ長期のコルチコステロイドによる治療が必要な潰瘍性大腸炎患者で寛解を維持するために使われています。この免疫調節薬は免疫系の重要な構成要素であるT細胞の作用を阻害します。しかしこれらの薬は作用するのが遅く、1~3カ月間は効果がみられないことがあります。また、医師が注意深くモニタリングしなければならない重篤な副作用を起こす可能性があります。

シクロスポリンは、重度の再発を起こしてコルチコステロイドで効果が得られない場合に投与されています。このような場合のほとんどは、最初はシクロスポリンで効果が得られますが、一部の人は最終的に手術が必要になります。

タクロリムスは経口投与されます。この薬は、アザチオプリンやメルカプトプリンによる治療を開始しても潰瘍性大腸炎の管理が困難な場合の短期治療として使用されています。タクロリムスは寛解状態の維持に役立つ可能性があります。

生物製剤

インフリキシマブは、腫瘍壊死因子に対するモノクローナル抗体に由来する薬(腫瘍壊死因子阻害薬またはTNF阻害薬と呼ばれます)で、静脈内投与され、一部の潰瘍性大腸炎患者に有益です。この薬はコルチコステロイドで効果が得られない患者や、他の免疫調節薬を適切に使っても、コルチコステロイドの用量を減らすと必ず症状が出る患者に投与されることがあります。インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブは、潰瘍性大腸炎の治療が難しい場合と、コルチコステロイドに依存している患者に有益です。

インフリキシマブによって起こる副作用としては、すでに起きていてコントロールされていない細菌感染症の悪化、結核やB型肝炎の再活性化、ある種のがんのリスク上昇などがあります。点滴中に発熱、悪寒、吐き気、頭痛、かゆみ、発疹などの反応(インフュージョンリアクション)が起こる場合もあります。インフリキシマブやその他のTNF阻害薬(アダリムマブやゴリムマブなど)による治療を開始する前には、結核とB型肝炎ウイルスの感染がないか調べる検査を受ける必要があります。

ベドリズマブは、中等度から重度の潰瘍性大腸炎患者でTNF阻害薬や他の免疫調節薬が効かなかった場合や、患者がそれらの薬剤に耐えられない場合のための薬剤です。最も重篤な副作用は、感染症にかかりやすくなることです。ベドリズマブには、近縁の薬であるナタリズマブの使用に伴って進行性多巣性白質脳症(PML)という重篤な脳の感染症が報告されているため、理論上この感染症のリスクがあります。

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潰瘍性大腸炎による腸の炎症を軽減する薬

薬剤

主な副作用

備考

アミノサリチル酸系

  • サラゾスルファピリジン

よくみられる:吐き気、頭痛、めまい、疲労、発熱、発疹、男性で回復可能な不妊症

まれ:肝臓の炎症(肝炎)、膵臓の炎症(膵炎)、肺の炎症(肺炎)、溶血性貧血

腹痛、めまい、疲労は用量に応じて生じる。

肝炎と膵炎は用量と関係なく生じる。

  • バルサラジド(balsalazide

  • メサラジン

  • オルサラジン(olsalazine

よくみられる:発熱、発疹

まれ:膵炎、心膜の炎症(心膜炎)、肺炎

オルサラジン(olsalazine)で水様性下痢

サラゾスルファピリジンでみられる副作用の大半は、他のアミノサリチル酸系薬剤のいずれでもみられるが、その頻度ははるかに少ない。

コルチコステロイド

プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)

糖尿病、高血圧、白内障、骨粗しょう症(骨密度の低下)、皮膚が薄くなる、精神的な問題、急性精神病、気分の変動、感染症、にきび、過剰な体毛(多毛症)、月経不順、胃炎、消化性潰瘍

糖尿病と高血圧は、他の危険因子をもつ人では起こる可能性がより高い。

ブデソニド

糖尿病、高血圧、白内障、骨粗しょう症

ブデソニドはプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)と同じ副作用を起こすが、程度は軽い。

ヒドロコルチゾン(浣腸またはフォーム剤)

この薬の一部は体に吸収されるが、長く使用を続けても、重篤な副作用が生じることはほとんどない(プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]などのコルチコステロイドとは異なる)。

ヒドロコルチゾンの浣腸またはフォーム剤は、主に患部が直腸または直腸に近い大腸の潰瘍性大腸炎向けである。

免疫調節薬

  • アザチオプリン

  • メルカプトプリン

食欲不振、吐き気、嘔吐、全身のだるさ、感染症、がん、アレルギー反応、膵炎、白血球数の減少、骨髄抑制、肝機能障害

通常は用量に応じて生じる副作用には、骨髄抑制と肝機能障害がある。

一定間隔での血液のモニタリングが必要。

シクロスポリン

高血圧、吐き気、嘔吐、下痢、腎不全、振戦、感染症、けいれん発作、神経障害、リンパ腫(リンパ系のがん)の発生

使用が長期化すると副作用が生じやすくなる。

タクロリムス

シクロスポリンと同様

この薬はシクロスポリンと非常に近い関係にあり、いくつかの副作用を共有する。

生物製剤

インフリキシマブ

インフュージョンリアクション、感染症、がん、腹痛、肝機能障害、白血球数の減少

インフュージョンリアクションとは、注入中にすぐに生じる可能性がある副作用(発熱、悪寒、吐き気、頭痛、かゆみ、発疹、じんま疹、血圧低下、呼吸困難など)のことをいう。

治療を開始する前に結核とB型肝炎のスクリーニング検査を受ける必要がある。

アダリムマブ

注射部位の痛みやかゆみ、頭痛、感染症、がん、過敏反応

副作用はインフリキシマブと同様であるが、アダリムマブは皮下組織に注射(皮下投与)されるため、インフュージョンリアクションを起こさない。

注射部位に生じる過敏反応としては、痛み、発疹、かゆみ、じんま疹などがある。より重度の過敏反応が起きる可能性もある。

ゴリムマブ

皮下投与の場合に注射部位の痛みやかゆみ、感染症、がん

副作用はインフリキシマブと同様である。皮下投与の場合、インフュージョンリアクションは起きない。注射部位に生じる過敏反応としては、痛み、発疹、かゆみ、じんま疹などがある。より重度の過敏反応が起きる可能性もある。

ベドリズマブ

感染症、過敏反応、かぜ(感冒)

理論上、進行性多巣性白質脳症(PML)のリスクがある。

症状の重症度

直腸炎の場合と患部が結腸の直腸近くの部分にある場合は、メサラジン浣腸を行います。メサラジンで効果がないか、メサラジンの副作用に耐えられない場合は、コルチコステロイドやブデソニドの浣腸を行います。

症状が中等度または患部が広範な場合は、メサラジン浣腸に加えてメサラジンを服用します。重度の症状がある場合およびメサラジンを使用しても症状がなくならない場合は、通常はプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドを服用します。かなり高用量のプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)を服用することで、しばしば劇的な寛解が得られます。プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)で潰瘍性大腸炎の炎症がコントロールされた後には、改善を維持するためにサラゾスルファピリジン、オルサラジン(olsalazine)、またはメサラジンを投与します。コルチコステロイドによる治療が長引くとほぼ必ず副作用が現れるため、プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)は徐々に用量を減らしていき、最終的には投与を中止します。

プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)を減量すると症状が再発する場合は、免疫調節薬(アザチオプリンやメルカプトプリン)を投与することがあります。さらに、一部の人ではインフリキシマブやアダリムマブ、またはゴリムマブが有益です。これらの薬は、アザチオプリン、メルカプトプリン、コルチコステロイドで症状がコントロールできない場合や、コルチコステロイドに依存している場合に、投与されます。

大腸炎が重度の場合は、入院して、高用量のコルチコステロイドの静脈内投与と輸液を受けます。メサラジンの投与は続けられる場合があります。大量の下血がみられる場合は輸血が必要になることがあります。これらの治療で3~7日以内に効果がみられない場合、シクロスポリンやインフリキシマブを静脈内投与したり、手術が必要になったりすることがあります。

劇症大腸炎(中毒性大腸炎)

症状が突然現れたり、急速に現れたり、激しい痛みを伴う場合や、中毒性巨大結腸症がみられる場合は入院します。すべての下痢止め薬の使用を中止し、口からの食事と薬の経口投与をやめるとともに、鼻から胃または小腸へとチューブを挿入して、胃や小腸から内容物を吸引して除去します。水分と電解質、および高用量のコルチコステロイドまたはシクロスポリンが静脈内投与されます。抗菌薬も投与されます。医師は感染や穿孔の徴候がないか注意深く患者をモニタリングします。24~48時間で状態が改善しない場合は、直ちに手術で大腸のすべてまたはほとんどを切除する必要があります。

維持療法

症状が再発しないように(つまり、寛解を維持するために)、メサラジンの服用や浣腸を永久的に続けます。この維持療法を中止すると、しばしば病気が再発するためです。メサラジンの経口投与と直腸内投与を併用する治療は、片方のみの治療法より著しく効果的であることが研究で示唆されています。

コルチコステロイドの使用が中止できない場合は、免疫調節薬(アザチオプリンまたはメルカプトプリン)またはTNF阻害薬(インフリキシマブ、アダリムマブ、またはゴリムマブ)を投与するか、これらを併用して投与します。病状の管理が難しい場合には、ベドリズマブを投与することもあります。

手術

潰瘍性大腸炎が広範に生じている患者のうち、約30%で手術が必要になります。大量出血、穿孔、または劇症大腸炎を伴って生命を脅かす発作が突然起きた場合には、緊急手術が必要になります。

たとえ手術を行う緊急の理由がない場合でも、ときに手術が必要になります。そのような状況としては、生活に支障をきたしているか常に高用量のコルチコステロイドを必要とする慢性の大腸炎、がん、小児の大腸の狭窄または発育遅延などがあります。

大腸、直腸、肛門をすべて切除する手術(大腸全摘術)により、潰瘍性大腸炎は永久的に治癒し、期待余命が正常レベルまで回復し、結腸がんのリスクもなくなります。しかし、直腸と肛門を切除するため、永久的な回腸瘻造設術が必要になります。回腸瘻造設術では、小腸の最後部(回腸)の端を腹壁につくった開口部(ストーマ)から体外に出します。回腸瘻造設術を受けた場合、出てくる便を集めるために開口部を覆うビニールの袋(腸瘻バッグ)を常に身につけなければなりません。以前はこうした治癒を得る代償として回腸瘻造設術が必要でしたが、

現在では様々な代替手段が利用でき、その最も一般的な例が回腸嚢肛門吻合術を伴う大腸切除術(IPAA)と呼ばれる手術です。この手術では、大腸と大部分の直腸を切除し、小腸から小さな貯蔵部(嚢)を形成して、それを肛門のすぐ上の直腸残存部につなぎます。肛門の筋肉(肛門括約筋)は切除しないため、この手術では患者自身が排便を調節する機能(禁制)を維持できます。しかし、直腸の組織が少量残る可能性があるため、がんのリスクは大きく減少するものの完全にはなくなりません。IPAAでよくみられる合併症として、貯蔵部の炎症(回腸嚢炎[かいちょうのうえん])があります。回腸嚢炎の治療には、抗菌薬を使用します。大半の回腸嚢炎は薬剤でコントロールできますが、一部の患者ではそれができません。そのような場合は、問題を是正するために回腸瘻をつくる手術を行います。

潰瘍性直腸炎では、手術が必要になることはまれで、余命も正常です。それでも一部には、症状の治療が非常に困難になるケースがあります。

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