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慢性腹痛と反復性腹痛

執筆者:

Norton J. Greenberger

, MD, Brigham and Women's Hospital

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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慢性の腹痛は、3カ月以上持続する痛みです。常に痛みがある場合(慢性)もあれば、痛みが現れたり消えたりする場合(反復性)もあります。慢性腹痛は通常は小児にみられ、5歳以降に現れます。5~16歳の約10~15%(特に8~12歳)に慢性または反復性の腹痛がみられます。男児と比べ女児にやや多いようです。成人の約2%(主に女性)に慢性腹痛がみられます。

慢性腹痛がある場合、原因に応じて他の症状がみられることもあります。

原因

通常は、腹痛が3カ月以上持続する時点までに医師による評価を受けており、腹痛を引き起こす典型的な病気( 急性腹痛 急性腹痛 腹痛はよく起こりますが、多くの場合軽度です。しかし、強い腹痛が急に起きた場合は、ほとんどが重大な問題であることを示しています。このような腹痛は、手術が必要なことを示す唯一の徴候であるかもしれず、速やかに診察を受ける必要があります。乳幼児や高齢者、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者、免疫系を抑制する作用のある薬を使用中の患者では、腹痛には特に注意が必要です。高齢者では同じ病気の若い成人よりも腹痛が弱いことがあり、病状が重篤な場合でも腹痛... さらに読む )はすでに特定されています。この時点までに評価が行われていて原因が特定されていない場合、具体的な身体の病気が認められる人は約10%に過ぎません( 慢性腹痛の身体的原因と特徴 慢性腹痛の身体的原因と特徴 慢性の腹痛は、3カ月以上持続する痛みです。常に痛みがある場合(慢性)もあれば、痛みが現れたり消えたりする場合(反復性)もあります。慢性腹痛は通常は小児にみられ、5歳以降に現れます。5~16歳の約10~15%(特に8~12歳)に慢性または反復性の腹痛がみられます。男児と比べ女児にやや多いようです。成人の約2%(主に女性)に慢性腹痛がみられます。 慢性腹痛がある場合、原因に応じて他の症状がみられることもあります。... さらに読む )。残りの90%は、いわゆる機能性の腹痛です。

機能性疼痛は、実際の痛みが6カ月以上持続するもので、具体的な体の病気(消化性潰瘍 消化性潰瘍 消化性潰瘍(かいよう)とは、胃や十二指腸の内面が胃酸や消化液で侵食されて、円形やだ円形の傷ができた状態をいいます。 消化性潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染や、胃や十二指腸の粘膜を衰弱させる薬によって生じることがあります。 潰瘍による不快感が生じたり消えたりしますが、この不快感は食べることで胃酸が分泌されるために食後に起こる傾向があります。... さらに読む 消化性潰瘍 など)の証拠が認められなくても発生します。また、身体機能(月経、排便、食事など)、薬、毒性物質とは関連していません。機能性疼痛は重症化することがあり、一般的に生活に支障が生じます。この痛みの正確な原因は不明です。しかし、ほとんどの人にとって苦にならない感覚(消化管の正常な動きなど)に対して消化管の神経が過敏になることがあります。遺伝的要因、生活面でのストレス、性格、社会的状況、または基礎にある精神障害(うつ病や不安など)は、すべて機能性疼痛の一因になる可能性があります。小児における慢性腹痛は、注意を引きたい場合(兄弟姉妹が生まれた場合や家族の引っ越しがあった場合など)、就学開始のストレス、乳糖不耐症、またはときに小児虐待に関連することがあります。

一般的な身体的原因

小児で最も一般的な原因は以下のものです。

若い成人で一般的な原因としては以下のものがあります。

成人では、がん( 胃がん ヘリコバクター・ピロリの感染は胃がんの危険因子です。 漠然とした腹部の不快感、体重減少、筋力低下が典型的な症状の一部です。 診断としては内視鏡検査や生検などを行います。 胃がんは早期に他の部位に転移する傾向があるため、生存率は低くなっています。 がんを摘出したり、症状を緩和するために手術が行われます。 さらに読む 胃がん がん、膵臓 膵臓がん 膵臓がんの危険因子としては、喫煙、慢性膵炎、男性であること、黒人であることがあるほか、長期の糖尿病も危険因子である可能性があります。 典型的な症状は、腹痛、体重減少、黄疸、嘔吐などです。 診断法はCT検査、超音波内視鏡検査、またはMRI検査です。 膵臓がんは通常、死に至ります。 がんが転移していなければ、手術で治癒する可能性があります。 さらに読む がん、結腸 大腸がん 大腸がんのリスクは、家族歴や食事に関する一部の要因(低繊維、高脂肪)によって高まります。 典型的な症状としては、排便時の出血、疲労、筋力低下などがあります。 50歳以上の人ではスクリーニング検査が重要です。 診断を下すために大腸内視鏡検査がよく行われます。 早期に発見された場合に最も高い治癒の可能性があります。 さらに読む 大腸がん がん、卵巣がん 卵巣がん 卵巣がんでは、病巣が大きくなるか、範囲が広がるまで、症状がみられないことがあります。 卵巣がんの疑いがある場合は、血液検査、超音波検査、MRI検査、CT検査などを行います。 通常は、左右の卵巣および卵管と子宮を切除します。 多くの場合、手術後に化学療法が必要になります。 (女性生殖器のがんの概要を参照のこと。) さらに読む など)がより一般的になります。さらに、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、子宮内膜症 子宮内膜症 子宮内膜症では、正常な状態では子宮内膜(子宮の内側を覆っている層)にしか存在しない組織(子宮内膜組織)が子宮以外の場所で認められます。 子宮内膜組織が子宮以外の場所に出現する理由は分かっていません。 子宮内膜症は妊よう性(妊娠のしやすさ)を低下させたり、痛み(特に月経前、月経中、性交時)を生じさせたりすることがありますが、何の症状も引き起... さらに読む 子宮内膜症 などの病気がある女性が更年期 閉経 閉経とは、月経が永久に停止し、妊よう性がなくなることです。 閉経前後の数年間は、エストロゲン濃度が大きく変動して月経が不規則になり、ホットフラッシュ(ほてり)などの症状が起こります。 閉経後は骨密度が低下します。 女性に1年間月経がなければ閉経と診断されますが、確認するため血液検査を行うこともあります。... さらに読む 閉経 になると、腹部症状が増加します。

評価

医師はまず、痛みが機能性疼痛なのか、病気、薬、または毒性物質により生じたものかに注目します。これを区別することは困難な場合があります。しかし、警戒すべき徴候がみられる場合は、機能性疼痛の可能性は低くなります(まったくないわけではありません)。

警戒すべき徴候

受診のタイミング

慢性腹痛のある患者に警戒すべき徴候が現れた場合、直ちに医師の診察を受ける必要がありますが、警戒すべき徴候が食欲不振、黄疸、または腫れだけの場合は例外です。食欲不振、黄疸、もしくは腫れがみられる場合、または悪化する痛みが持続する場合は、数日中から1週間以内に医師の診察を受ける必要があります。これらの警戒すべき徴候がみられる場合、身体的原因の可能性が非常に高くなります。警戒すべき徴候がみられない場合は、頃合いを見て医師の診察を受ける必要はありますが、数日程度の遅れは問題になりません。

医師が行うこと

医師は、痛みが和らいだり、強くなったりする活動(食事、排尿、排便など)について特に質問します。乳糖不耐症が多くみられる(特に黒人)ことから、腹痛やその他の消化器系の不調が乳製品を食べたり飲んだりした後に発生するかどうかが重要です。医師は、他の症状(嘔吐、下痢、便秘など)、食事、腹部に及ぶ手術、使用している薬、腹痛に対して受けた検査や治療についても尋ねます。腹痛を起こす病気がある家族がいるかどうかも重要です。

身体診察では、特に腹部を中心に、圧痛がある場所、腫瘤または臓器腫大がないか確認します。通常は、直腸診が行われ、便に血が混じっていないか調べます。女性では内診が行われます。医師は、皮膚が黄色くなっていないか(黄疸)、脚に発疹や腫れがないかに注意します。

患者は、初回来院からフォローアップの来院までに、痛み、排便、食事、痛みのきっかけと思われる活動、試みた治療、治療の効果に関する情報を記録するよう指示されることがよくあります。

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検査

通常は、医師が特定の検査を行います。この検査には、尿検査 尿検査と尿培養検査 尿検査は、検尿とも呼ばれ、腎疾患や尿路疾患の評価で必要になる場合があります。通常、尿のサンプルは中間尿採取法など、雑菌が混入しない方法(無菌法)で採取されます。例えば、汚染のないきれいな尿サンプルを採取する方法として、カテーテルを尿道から膀胱まで挿入する方法もあります。 尿培養は、採取した尿のサンプルに含まれる細菌を検査室で増殖させる検査で、尿路感染症を診断する際に行われます。尿培養は通常の尿検査には含まれません。尿サンプルの採取には、... さらに読む 尿検査と尿培養検査 血算 血算 医師は、症状と身体診察の結果に基づいて血液疾患の診断に役立つ検査を選択します。症状が認められず、別の理由で臨床検査を実施した際に、血液疾患が発見されることがあります。例えば、定期的な健診の一部として実施した血算により貧血が明らかになることがあります。血液疾患が疑われる場合は、具体的な診断を行うために、血算やその他の検査を行う必要があります。 最も多く行われる血液検査は、血算(CBC)です。血算では、血液中のすべての血球成分(赤血球、白血... さらに読む 、肝臓と膵臓の機能を調べる血液検査などがあります。通常は患者が50歳以上の場合に、大腸内視鏡検査 内視鏡検査 内視鏡検査とは、柔軟な管状の機器(内視鏡)を用いて体内の構造物を観察する検査です。チューブを介して器具を通すことができるため、内視鏡は多くの病気の治療にも使うことができます。口から挿入する内視鏡検査では、食道(食道鏡検査)、胃(胃鏡検査)、小腸の一部(上部消化管内視鏡検査)が観察できます。肛門から挿入する内視鏡検査では、直腸(肛門鏡検査)、大腸下部と直腸と肛門(S状結腸内視鏡検査)、大腸全体と直腸と肛門(大腸内視鏡検査)が観察できます。... さらに読む も推奨されます。患者が50歳未満の場合に腹部のCT検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT検査では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度から撮影された一連のX線画像であり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとはcomputed... さらに読む CT(コンピュータ断層撮影)検査 を推奨する医師もいますが、特定の症状が現れるまで待つ医師もいます。病歴聴取と身体診察の結果に応じて、他の検査が行われます( 慢性腹痛の身体的原因と特徴 慢性腹痛の身体的原因と特徴 慢性の腹痛は、3カ月以上持続する痛みです。常に痛みがある場合(慢性)もあれば、痛みが現れたり消えたりする場合(反復性)もあります。慢性腹痛は通常は小児にみられ、5歳以降に現れます。5~16歳の約10~15%(特に8~12歳)に慢性または反復性の腹痛がみられます。男児と比べ女児にやや多いようです。成人の約2%(主に女性)に慢性腹痛がみられます。 慢性腹痛がある場合、原因に応じて他の症状がみられることもあります。... さらに読む )。

いずれかの検査結果が異常な場合、新たな症状が現れた場合、または診察中に新たな異常が検出された場合は、追加の検査が行われます。

治療

腹痛の治療法は原因によって異なります。例えば、乳糖不耐症の場合、乳糖を含まない(ミルクとその他の乳製品を除去した)食事が役立つことがあります。便秘の場合は、数日間にわたり下剤を使用し、食事の食物繊維を増やすことが役立つ可能性があります。

機能性疼痛

機能性疼痛の治療は、通常の日常生活に戻れるよう支援すること、また不快感を和らげることに重点を置いて行われます。通常は、複数の方法を組み合わせて治療が行われます。最善の組合せを決定するには、数回の来院が必要になる場合があります。医師はしばしば、患者の都合に応じてフォローアップのための来院を計画します。来院は問題が解消してから十分な時間が経過するまで続けます。

機能性疼痛の診断が下されると、痛みは現実のものであるものの、深刻な原因はなく、心理的な要因(ストレス、不安、抑うつなど)が痛みの引き金になったり、痛みを悪化させたりすることを医師は強調します。詳しい検査を行っても症状の身体的原因が明らかにならなかった場合、医師は検査を繰り返すことを避けようとします。

機能性の慢性腹痛を治癒させる治療法はありませんが、役に立つ手段が多く利用できます。そのような手段は、医師と患者、その家族の間の信頼と相互理解に基づく人間関係をベースとしています。医師は、臨床検査などの検査結果から患者が危険な状態にないと示されていることを説明します。医師は、仕事、学校、社会的活動への参加を勧めます。このような活動により状態が悪化することはなく、独立性や自立心が高まります。日常生活をしなくなると、生活により症状を抑制するのではなく、むしろ症状により生活が左右されるリスクがあります。

医師は、痛みの緩和にアセトアミノフェンまたはその他の強くない鎮痛薬を推奨することがあります。食物繊維の多い食事や食物繊維のサプリメントも役に立つ可能性があります。多くの薬が試験的に使用されていて、成功の程度は様々です。そうした薬としては、消化管の筋れん縮を軽減したり止めたりする薬(鎮けい薬)やハッカ油などがあります。

ストレスや不安の原因は、可能なかぎり少なくします。親やその他の家族は、痛みに注意しすぎることで、痛みを強くしないようにすべきです。不安感や抑うつが続き、それが痛みに関係しているとみられる場合、医師は抗うつ薬や不安を軽減する薬を処方することがあります。リラクゼーション訓練、バイオフィードバック法、催眠法などの行動を変えるのに役立つ治療法も不安の軽減に役立ち、より痛みに耐えられるようになる場合があります。

小児では、親による支援が不可欠です。親は、子どもが自立するように促し、子どもに当然の責任(特に学校への出席)を果たさせるように指導されます。子どもが活動を避けることを許すと、実際には子どもの不安が増す場合もあります。親は、子どもの自立や責任ある行動を褒めてご褒美を与えることで、日常生活での痛みの管理を手助けすることができます。例えば、子どもとの特別な時間や特別な外出を計画することで、子どもにご褒美を与えることができます。学校の職員を関わらせることも役立つ可能性があります。登校した日も保健室で少し休んでから15~30分後に授業に戻ることができるように、取り決めることができます。養護教諭は、ときに小児が親に電話することを許可してもよく、この場合、親は子どもが学校に残るよう励ますべきです。

要点

  • 通常、慢性または反復性の腹痛は機能性疼痛です。

  • 直ちに医師の診察を受ける必要がある症状には、高熱、食欲不振、体重減少、目が覚めるほどの痛み、血便、血尿、黄疸、重度の吐き気と嘔吐、嚥下困難、脚や腹部の腫れがあります。

  • 通常は血液検査と尿検査が行われ、痛みの原因となる病気がないか調べます。

  • 異常な検査結果、警戒すべき徴候、または特定の病気の症状が認められた場合にのみ、追加の検査が必要です。

  • 機能性疼痛に対する治療としては、ストレスや不安を最小限に抑えることの習得、通常の日常生活への参加、痛みの緩和(強くない鎮痛薬で)、ときに不安を軽減するための薬の服用や行動変容療法の使用、または食事の変更を行います。

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