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終末期の治療選択肢

執筆者:

Elizabeth L. Cobbs

, MD, George Washington University;


Karen Blackstone

, MD, George Washington University;


Joanne Lynn

, MD, MA, MS, Altarum Institute

最終査読/改訂年月 2017年 8月
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量と質の対立

治療の選択肢には多くの場合、余命が短くなるおそれがあるが快適な状態を保つ治療を受けるか、わずかでも余命を延ばすために不快で自由が損なわれる積極的な治療を試みるか、という決断が含まれます。例えば、重度の肺疾患で死期が近づいている場合は、人工呼吸器(呼吸を補助する装置)を使用することで余命を延ばすことができます。しかし、ほとんどの人は人工呼吸器の装着を非常に不快に感じ、たびたび強い鎮静を望みます。

死にゆく患者とその家族の中には、ごくわずかな時間しか得られなくても、延命の可能性がある治療は何でも受けたいと思う人もいるでしょう。しかし、こうした治療はしばしばその副作用によって患者の最期の数日間を犠牲にし、意味のある時間を奪ってしまいます。さらに、不快感をもたらし、大きな費用が発生して、家族を悩ませます。多くの場合、死期が近づくにつれ、ケアの中心は患者の苦しみを取り除く緩和処置へとシフトしていき、その人生を讃える機会がもたれるようになります。患者がこうした決断をするとき、あるいは患者のためにこうした決断が下されるときには、人生観、価値観、信仰といった問題がより重要になります。

栄養チューブ

栄養と水をチューブを介して送る方法(人工栄養と輸液)は、通常は死期を迎えた人の快適さを向上させることはなく({blank} 食欲不振)、余命を有意に延ばす効果もありません。栄養チューブは不快感を引き起こす場合があり、死を早めることさえあります。栄養チューブの副作用には、肺炎、体液の貯留による腫れ(浮腫)、痛みなどがあります。この処置を望まない場合は、事前指示書で禁止するか、実際にチューブによる経管栄養が行われる場面で拒否することができます。

衰弱している患者や極度に消耗している患者は、何も食べずに最小限の水分補給だけで数週間生き延びる場合があります。家族の方は、水分補給を中止してもすぐに患者が死亡するわけではないこと、また、患者が単に水分を欲しがらないときや口から水分を飲めないときに水分補給を中止しても、普通は死期が早まらないことを理解する必要があります。

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知っておきたい各種サービス

  • 在宅ケア(訪問看護、訪問介護、訪問入浴)は、プロの介護者が医学的指導のもとに、患者の自宅で行うケアです。介護者が薬の投与を手助けしたり、患者の状態を評価するほか、入浴などの個人的なサービスも行います。

  • ホスピスケアは、死期を迎えた患者の症状の緩和に重点を置いたケアで、死期を迎えた人とその家族の情緒的な面、スピリチュアルな面、社会的な面で支えとなります。ケアは患者の自宅やホスピス施設、または介護施設などで行われます。ホスピス型のケアは一部の病院でも提供されています。ホスピスケアの対象となる患者は、通常、余命が6カ月未満と考えられる人です。

  • 介護施設でのケアは、認可を受けた施設で看護師やサポートワーカーにより行われる居住型のケアです。

  • レスパイトケアとは、家族や介護者が旅行をしたり、休息をとったり、行事に参加したりすることを可能にするために、自宅、介護施設、またはホスピス施設で行われる一時的なケアのことです。ケア提供システムや予算により、数日あるいは数週間にわたって利用できます。

  • ボランティア団体は、病人やその家族に対し、様々な金銭的支援やサポートを提供します。こうした団体は通常、特定の病気を対象としています。

蘇生

心臓や呼吸が停止した人を救命する試み(蘇生)には、胸骨の圧迫や人工呼吸、薬物投与、電気ショックを行う方法などがあります。病院で行われる治療の中では唯一、事前の特別な指示(蘇生処置拒否[DNR]指示)がない限り、自動的に行われる処置です。蘇生処置は、事前ケア計画によって、つまり正式な事前指示書や、患者(または患者が決定できない状態であれば医療上の決定権を委任された近親者)と医師との合意によって拒否することができます。この決定がなされた後、医師は必要な指示を患者の診療記録に記入します。

蘇生に成功しても心臓が止まる前の状態に戻るだけであるため、死に瀕し、もはや心臓停止を待つだけの患者には有益ではありません。そうした状態の人は蘇生処置にまったくといっていいほど反応しません。ごくまれにわずかな期間だけ生き返る人もいますが、完全に意識が戻ることはほとんどありません。

蘇生をしないという決定は、まもなくの死が予想される人ならほとんどが納得できることで、家族が重圧を感じることはありません。

最期を迎える場所

死期が近づいた患者と家族が、病院ではなく、慣れ親しんだ自宅の受容的な環境で過ごしたいと思う場合もあります。自宅で療養している人の場合は、死の到来を示す症状がみられても救急車を呼ばないよう、すべての介護者に伝えておく必要があります({blank} 死が近づいたとき)。入院している人の場合は、病院のスタッフと家族が協力して、患者が自宅で快適さを保つために必要な治療(薬の投与や病院用ベッドの準備など)をすべて受けられるように手配します。病院で最期を迎えることを選ぶ人やそれが避けられない人の場合は、患者の望まない治療についての決定を文書化することが特に重要です。

決定内容の周知

決断を迫られる状況が来る前に、終末期ケアに対する要望について十分に話し合っておきましょう。病気が進行すると患者は自身の望みを説明できなくなることが多いため、早めに話し合うことが非常に重要です。事前に患者から明確な指示がなかった場合、家族はしばしば延命治療の中止をためらいます。こうした終末期ケアに関する要望を事前に決定するプロセスは事前ケア計画と呼ばれ、法的に有効な事前指示書として示すことができます。

また、昨今、進行した病気の患者に対し、心肺蘇生(心肺機能の回復を目的とする緊急処置)に加えて様々な緊急の延命治療を行うプログラムを施行する州や地域が増加しています。このようなプログラムは、主に生命維持治療に関する医師指示書(POLST)と呼ばれます。POLSTによって、緊急事態において救急隊員は何をすべきかが分かるため、通常は勧められています。

しかし、たとえ書面がなくても、患者と家族、医療従事者の間で最適なケアの過程が話し合われていれば、その後患者がケアの内容を指示できなくなった場合に十分な指針として利用できますし、まったく話し合われなかったときよりは、はるかに望ましい結果となるでしょう。

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