産褥子宮内膜炎の発生率は主に分娩様式により異なる:
患者の特徴も発生率に影響する。
病因
症状と徴候
診断
分娩後24時間以内の診断は,疼痛,圧痛,および分娩後38℃を超える体温などの臨床所見に基づく。
初めの24時間以降は,連続する2日間に38℃以上の発熱を認める患者で他の原因が明らかでない場合,産褥子宮内膜炎が存在すると推測される。発熱および下腹部症状の他の原因には尿路感染症,創感染,骨盤内の敗血症性血栓性静脈炎,および会陰の感染が含まれる。子宮の圧痛は,帝王切開を受けた患者の創部の圧痛との区別が困難なことが多い。
微熱があり腹痛を認めない患者では,無気肺,乳房緊満または感染,尿路感染症,下肢の血栓性静脈炎など他の潜在的原因について評価する。乳房緊満による発熱は39℃以下にとどまることが多い。微熱が2~3日続いた後体温が急に上昇する場合は,乳房緊満よりも感染が原因と考えられる。
尿検査および尿培養が通常行われる。
子宮内膜の培養は,頸部を通じて採取した検体がほぼ常に腟および頸部の細菌叢に汚染されているため,適応となるのはまれである。ルーチンの抗菌薬レジメンが子宮内膜炎に無効で,他に明らかな感染の原因がない場合のみ子宮内膜の培養を行うべきである;無菌的な腟鏡診を行うことで腟での汚染を避け,検体は好気培養および嫌気培養に供する。
血液培養が適応となるのはまれであり,ルーチンの抗菌薬レジメンが子宮内膜炎に無効な場合か,臨床所見から敗血症が示唆される場合に限られる。
子宮内膜炎の適切な治療にもかかわらずピークの体温が下がる傾向がなく,発熱が48時間を超えて(一部の医師は72時間をカットオフとする)続く場合は,骨盤内膿瘍および骨盤血栓性静脈炎(特に画像検査で膿瘍が明確でない場合)など他の原因を考慮すべきである。通常,CTによる腹部および骨盤の画像検査は膿瘍に感度が高いが,骨盤血栓性静脈炎については血栓が大きい場合のみ検出できる。画像検査でどちらにも異常がみられない場合には,通常は除外診断である骨盤血栓性静脈炎を推定し,典型的に治療としてヘパリンの試験的投与が開始される。治療への反応で診断が確定する。