Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

読み込んでいます

子宮内避妊器具 (IUD)

執筆者:

Laura Sech

, MD, University of Southern California Keck School of Medicine;


Penina Segall-Gutierrez

, MD, MSc, Keck School of Medicine, University of Southern California;


Emily Silverstein

, MD, University of Southern California Keck School of Medicine;


Daniel R. Mishell, Jr.

, MD, MSc, Keck School of Medicine, University of Southern California

最終査読/改訂年月 2013年 6月
本ページのリソース

米国では5.5%の女性が子宮内避妊器具(IUD)を使用しており,IUDは経口避妊薬と比べて以下の利点があることから,より普及してきている:

  • IUDは効果が非常に高い。

  • IUDは全身作用が最小限である。

  • 避妊の決断が3年,5年,または10年に1回のみでよい。

米国では,現在3種類のIUDが入手可能である。レボノルゲストレル放出IUDには2種類あり,一方は3年間効果が持続し,3年間の累積妊娠率は0.9%である。もう一方は5年間有効で,5年間の累積妊娠率は0.5%である。3つ目は銅付加IUDのT380Aである。効果は10年間持続し,12年間の累積妊娠率が2%未満である( 子宮内避妊器具の比較)。

icon

子宮内避妊器具の比較

特徴

レボノルゲストレル

Copper-T380A

3年用IUD

5年用IUD

効力(普通の使用での1年目の妊娠率)

0.3~0.5%

0.2%

0.8%

可逆性

急速

急速

急速

最長持続期間

3年

5年

10年

出血の変化

不正出血

1年での無月経:6%

不正出血

1年での無月経:20%

月経周期の周期的性質の変化なし

1カ月の平均出血量

5mL

50~80mL

その他の有益性

月経過多,慢性骨盤痛,または子宮内膜症の治療に使用できる

緊急避妊法として用いられることがある

非ホルモン性である

有害作用

最小限:頭痛,少量の性器出血,乳房圧痛,悪心(通常6カ月以内に消失)

3年用IUDと同様

より重度の月経時の痙攣性の痛み(通常NSAIDで緩和)およびより多い経血

主な作用機序

頸管粘液を粘稠にし,受精を防ぐ

3年用IUDと同様

銅イオンを用いて精子に毒性のある無菌性炎症反応を起こすことで,受精を防ぐ

医師は頸部病変の存在が疑われる場合を除いて,IUD挿入前にパパニコロウ(Pap)検査を行う必要はない。頸部病変の存在が疑われる場合,Pap検査または頸部生検を行うべきである。また,IUD挿入前にSTD検査(淋菌感染症およびクラミジア感染)の結果を待つ必要はない。しかしながら,IUD挿入の直前にSTD検査を行うべきであり,結果が陽性であれば適切な抗菌薬で治療すべきである;IUDは挿入したままにする。IUD挿入時に膿性の分泌物がみられる場合は,IUDを挿入せずにSTD検査を行い,検査結果が出る前に抗菌薬による経験的治療を始める。

IUDを挿入する際には可能な限り無菌操作により行う。子宮の位置を同定するために双合診を行うべきであり,子宮を安定させるために,頸部前唇に支持鉗子で把持し,子宮軸を真直ぐにし,IUDを正しく留置できるようにすべきである。IUD挿入前に子宮腔の長さを測定するために,ゾンデまたは子宮内膜吸引用の器具(生検に用いられる)がしばしば使用される。3つのタイプのIUDは挿入方法が異なるため,挿入前に使用するIUDの添付文書を確認すべきである。

大部分の女性はIUDを使うことができる。禁忌としては以下のものがある:

  • 骨盤内感染症(通常は骨盤内炎症性疾患[PID]),STDの疑いを伴う粘液膿性子宮頸管炎,骨盤結核,敗血症性流産,または過去3カ月以内の産褥子宮内膜炎や敗血症

  • 解剖学的異常による子宮腔の変形

  • 血清β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)値の上昇が持続する妊娠性絨毛性疾患(これを支持するデータがないため相対的禁忌)

  • 原因不明の性器出血

  • 既知の子宮頸癌または子宮内膜癌

  • 妊娠

  • レボノルゲストレル放出IUDでは,乳癌またはレボノルゲストレルに対するアレルギー

  • 銅付加IUD T380Aでは,ウィルソン病または銅に対するアレルギー

IUDの禁忌とならない条件としては以下のものがある:

  • IUDは人工妊娠中絶器具でないため,中絶を禁止する信仰(ただし緊急避妊に用いられる銅IUDは胚盤胞の着床を妨げる可能性がある)

  • 骨盤内炎症性疾患,STD,または異所性妊娠の既往

  • エストロゲン含有の避妊薬に対する禁忌(例,静脈血栓塞栓症の既往,35歳以上の女性で15本/日を超える喫煙,前兆のある片頭痛,35歳以上の女性でのあらゆる病型の片頭痛)

  • 母乳栄養

  • 青年期の女性

3年用IUDを使用している女性の6%および5年用IUDを使用している女性の20%で1年以内に性器出血が完全に停止する。銅付加IUD T380Aでは月経血が増え,より重度の痙攣性の痛みが起こることがあり,NSAID(例,イブプロフェン)で緩和できる。この情報がどのタイプのIUDを選択するかの判断に役立つことがあるため,IUD挿入前にこれらの影響について女性に伝えるべきである。

過去1カ月間に避妊なしの性交がなければ,IUDは月経周期のいつでも挿入することができる。

過去7日以内に避妊なしの性交があった場合は,銅付加IUD T380Aを緊急避妊として挿入することがある。この銅付加IUD は女性が望む場合は長期的な避妊のために挿入したままにしておくことができる。月経の再開および妊娠検査陰性により妊娠を確実に除外する;挿入後2~3週間後に妊娠検査を行い,挿入前に意図しない妊娠が起こらなかったことを確認する。

第1または第2トリメスター中の中絶または自然流産の直後,および帝王切開または経腟分娩で胎盤娩出直後に,IUDを挿入することができる。

IUDは子宮体がんのリスクを上昇させることはなく,低下させる可能性がある。

合併症

挿入後1年以内のIUDの平均排出率は通常5%未満である;しかしながらIUDが分娩直後(10分未満)に挿入された場合には排出率が高くなる。挿入後6週間時点で医師はIUDの尾(典型的には外子宮口から3cmのところで切る)を確認することで,正しく留置されていることを確認する。

IUD挿入の約1/1000で子宮穿孔が起こる。穿孔はIUD挿入時に起こる。ときに,IUDの遠位部分だけが貫通する;その後数カ月間で子宮収縮によりIUDが腹腔に押し出される。内診中に尾が見えない場合は,ゾンデや生検器具を用いた子宮腔の探索(妊娠が疑われる場合を除く),および/または超音波検査を行う。IUDを認めない場合はIUDの腹腔内迷入を除外するため,腹部X線撮影を行う。腹腔内のIUDは腸管癒着の原因となることがある。子宮を穿孔したIUDは腹腔鏡にて除去する。

排出または穿孔が疑われる場合は,他の避妊法を用いるべきである。

まれではあるが,挿入時に細菌が子宮腔に入ることにより挿入後1カ月の間に卵管炎(骨盤内炎症性疾患)が起こる;しかしながらこのリスクは低く,ルーチンの予防的抗菌薬投与の適応とはならない。骨盤内炎症性疾患が発生した場合は,抗菌薬を投与すべきである。抗菌薬投与にかかわらず感染が持続する場合を除いて,IUDを抜去する必要はない。IUDの尾により,細菌感染が起きやすくなることはない。挿入後1カ月の間を除いて,IUDが骨盤内炎症性疾患のリスクを上昇させることはない。

IUDは効果的に妊娠を予防するため,IUD使用者では避妊手段を用いない女性に比べ,異所性妊娠の発生率がはるかに低い。しかしながら,IUD挿入中に女性が妊娠した場合,異所性妊娠のリスクが高く,直ちに評価を受けるべきであることを女性に伝えるべきである( 異所性妊娠)。

要点

  • IUDは非常に効果的で,最小限の全身作用のみを有し,選ぶIUDの種類によって,避妊の決断を3,5,10年毎に1度のみ行う。

  • 種類としては,レボノルゲストレル放出IUD(有効性の持続期間は種類に応じて3年間または5年間)や銅付加IUD(有効性の持続期間は10~12年間)などがある。

  • IUD挿入前にPap検査は必要ない。

  • いずれの種類のIUDも月経出血に影響を与えうること(3年用IUDを使用している女性の6%および5年用IUDを使用している女性の20%に1年以内に無月経が起こり,銅付加IUD T380A使用の女性では月経血が増える可能性があり,より重度の痙攣性の痛みが起こることがある)を女性に知らせる。

  • 挿入の6週間後に尾を確認し,IUDが正しく留置されていることを確認する。

  • 内診時に尾を認めない場合は,ゾンデや生検器具で子宮腔を検索し(妊娠が疑われる場合を除いて),必要であれば超音波検査または腹部X線撮影を行って,IUDが腹腔内に迷入していないか調べる。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP