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外耳炎(急性)

執筆者:

Bradley W. Kesser

, MD,

  • Professor, Department of Otolaryngology - Head and Neck Surgery
  • University of Virginia School of Medicine

最終査読/改訂年月 2016年 9月
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外耳炎は,典型的には細菌(Pseudomonasが最も一般的)により引き起こされる外耳道の急性感染症である。症状としては,疼痛,分泌物漏出,外耳道が腫れて塞がっている場合の難聴などがあり,耳介を動かすと疼痛が生じる。診断は視診に基づく。治療は,外耳道の感染組織などの除去および外用薬(抗菌薬,コルチコステロイド,および酢酸またはそれらの併用など)による。

外耳炎は,限局性の外耳道膿瘍または外耳道全体のびまん性感染症(急性のびまん性外耳炎)として現れることもある。後者はしばしばスイマーズイヤーと呼ばれる;外耳道への水の浸入と綿棒の使用の組合せが,主要な危険因子である。悪性外耳道炎は,Pseudomonasによる重度の側頭骨の骨髄炎であり,通常は高齢者,糖尿病患者,および易感染性患者に生じる。

病因

通常,急性のびまん性外耳炎は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa),Proteus vulgaris,黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus,),大腸菌(Escherichia coli)などの細菌により引き起こされる。外耳道真菌症は,典型的には黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)またはCandida albicansによって起こるが,あまり一般的でない。通常,外耳道膿瘍は黄色ブドウ球菌(S. aureus )(および近年ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌[S. aureus])により引き起こされる。

素因となる状況としては以下のものがある:

  • 綿棒またはその他の物による耳掃除によって引き起こされた,外耳道の不慮の外傷

  • アレルギー

  • 乾癬

  • 湿疹

  • 脂漏性皮膚炎

  • 外耳道の酸性度低下(おそらくは水が繰り返し入ったことによる)

  • 刺激物質(例,ヘアスプレー,毛髪用染料)

綿棒で外耳道の掃除を試みた場合,外耳道の傷つきやすい皮膚に微小な擦過傷(これが細菌の侵入口となる)が生じる恐れがあり,また落屑または耳垢が外耳道の奥の方へ押し込まれる恐れがある。こうして蓄積された物質は水を吸収する傾向があり,その結果,皮膚がふやけて細菌感染のきっかけとなる。

症状と徴候

患者には疼痛および耳漏がみられる。ときに,外耳道が腫れたり膿性貯留物で満たされると,悪臭のある耳漏および難聴が生じる。耳介の牽引や耳珠の圧迫に伴う鋭い圧痛がある。耳鏡検査には痛みを伴い,実施は困難である。外耳道は赤く腫脹し,湿った膿性貯留物の散在が認められる。

外耳道真菌症は疼痛よりもそう痒が強く,患者は耳の閉塞感も訴える。通常,黒色アスペルギルス(A. niger)によって引き起こされる外耳道真菌症では,綿状の物質(真菌の菌糸)に囲まれた灰黒色点または黄点(真菌の分生子柄)が現れる。C. albicansによって起こる感染では,視認可能な真菌はみられないが,通常,粘度のある乳白色の滲出液がみられる。

外耳道膿瘍は重度の疼痛を引き起こし,血膿性の物質を排出することがある。外耳道膿瘍は限局的な紅斑性の腫脹(吹き出物)として現れる。

診断

  • 臨床的評価

診断は視診に基づく。大量の耳漏がある場合は,外耳炎と鼓膜穿孔を伴う急性化膿性中耳炎の鑑別が難しいことがある;耳介を牽引することで誘発される痛みは,外耳炎を示唆しうる。真菌感染症は外観または培養で診断する。

治療

  • 感染組織などの除去

  • 酢酸およびコルチコステロイドの外用

  • ときに抗菌薬の外用

軽度および中等度の急性外耳炎では,抗菌薬およびコルチコステロイドの外用が効果的である。まず,十分な照明下で吸引または乾いた綿棒を用いて,落屑や貯留物を愛護的かつ完全に外耳道から取り除くべきである。水による外耳道の洗浄は推奨されない。

軽度の外耳炎は,2%酢酸で外耳道のpHを変えることにより,およびヒドロコルチゾンの点耳で炎症を緩和することにより治療しうる;これらは5滴ずつ1日3回,7日間投与する。

中等度の外耳炎では,ネオマイシン/ポリミキシン,シプロフロキサシン,オフロキサシンなどの抗菌薬の溶液または懸濁液の追加が必要である。外耳道の炎症が比較的重度な場合は,外耳道に耳用ガーゼ芯を入れ,1日4回,ブロー液(5%酢酸アルミニウム)または外用抗菌薬を染み込ませる処置を行うべきである。ガーゼ芯は,外耳道が著しく腫脹している場合,点耳薬を外耳道のさらに奥へ向かわせるのに役立つ。ガーゼ芯を24~72時間留置すると(または自然に抜け落ちることもある),外耳道への直接注入が可能となるほどに腫脹が治まる場合がある。

重度の外耳炎または外耳道を越えて広がる蜂窩織炎が存在する場合,セファレキシン500mg,経口にて1日4回を10日間,またはシプロフロキサシン500mg,経口にて1日2回を10日間などの抗菌薬の全身投与が必要なことがある。最初の24~48時間は,鎮痛薬(NSAIDまたは経口オピオイドなど)が必要な場合がある。

外耳道真菌症では,外耳道を完全に清拭し,抗真菌剤(例,ゲンチアナバイオレット,クレジルアセテート[cresylate acetate],ナイスタチン,クロトリマゾール,または酢酸とイソプロピルアルコールの併用も可)の溶液を用いる必要がある。しかし,鼓膜が穿孔している場合,これらの溶液は内耳に重度の疼痛または損傷を引き起こす恐れがあるため,使用すべきではない。清拭と治療を繰り返す必要がある場合もある。

外耳炎および外耳道真菌症のいずれについても,耳の乾燥を保つ予防策(例,シャワーキャップの着用,水泳の回避)が強く推奨される。

外耳道膿瘍は,明らかに目立つ場合には切開排膿すべきである。しかしながら,患者を早期に診察した場合,切開にはほとんど意味がない。外用抗菌薬は無効である;ブドウ球菌に効果的な抗菌薬を経口投与すべきである。疼痛緩和のために,オキシコドンとアセトアミノフェンの併用などの鎮痛薬が必要な場合がある。乾熱療法(dry heat)も痛みを和らげ,治癒を早めることができる。

パール&ピットフォール

  • 水泳直後に消毒用アルコールと酢を等量混合したものを数滴投与することが(鼓膜が無傷であれば),スイマーズイヤーの予防に役立つ場合がある(また外耳道真菌症に対する優れた治療にもなる)。

予防

外耳炎は,水泳直後に消毒用アルコールと酢を等量混合したものを数滴投与することで(鼓膜が無傷であれば),しばしば予防できる。アルコールは水の除去に役立ち,酢は外耳道のpHを変化させる。外耳道内の綿棒またはその他の器具の使用は避けるよう強く指導すべきである。

要点

  • 急性外耳炎は通常,細菌性(pseudomonasによる)であり,真菌が原因であることは比較的まれである;真菌の場合は,そう痒が比較的強く,疼痛が比較的弱い。

  • 耳介を牽引した際に重度の疼痛があれば,急性外耳炎が示唆される。

  • 慎重な直接視診下で,吸引または乾いた綿棒により,落屑および貯留物を愛護的に外耳道から取り除く。

  • 耳洗浄をしてはならない。

  • 軽症例では,酢酸とヒドロコルチゾンの点耳薬を使用する。

  • 比較的重症例では,感染組織などの除去および抗菌薬の外用が重要である(外耳道に腫脹があればガーゼ芯を使用する);ときに,抗菌薬の全身投与を行う。

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