乾癬

執筆者:Shinjita Das, MD MPH, Massachusetts General Hospital
Reviewed ByKaren McKoy, MD, MPH, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2023年 9月 | 修正済み 2023年 12月
v962163_ja
意見 同じトピックページ はこちら

乾癬は,銀白色の鱗屑で覆われた境界明瞭な紅色の丘疹および局面として生じることが最も多い炎症性疾患である。遺伝因子を含めて,複数の因子が寄与する。よくみられる誘因として,外傷,感染,特定の薬剤などがある。症状は通常軽微であるが,軽度から重度のそう痒が生じることがある。整容的な面で重大となることがある。一部の患者は乾癬性関節炎も発症する。診断は病変の外観および分布に基づく。治療法としては,外用療法(例,コルチコステロイド,ビタミンD3誘導体,カルシニューリン阻害薬,タザロテンロフルミラストタピナロフ,皮膚軟化剤,サリチル酸コールタールアンスラリン)や光線療法などのほか,重症例では薬剤の全身投与(例,メトトレキサート,経口レチノイド,シクロスポリン,免疫抑制薬[生物学的製剤または低分子薬])も行われる。

乾癬は,表皮および真皮の炎症を伴って表皮角化細胞の過剰増殖が起こる病態である。

乾癬の推定有病率には集団間で大きなばらつきがあり,皮膚の色が濃い人々では皮膚の色が薄い人々と比べて乾癬が過小報告されている可能性が高い(1)。ある研究では,小児で0~1.4%,成人で0.5~11.4%と報告された(2)。発症年齢には緩やかな二峰性がみられ,16~22歳と57~60歳で最も多くなるが,この疾患はあらゆる年齢で発生する可能性がある。

参考文献

  1. 1.Kaufman BP, Alexis AF: Psoriasis in Skin of Color: Insights into the Epidemiology, Clinical Presentation, Genetics, Quality-of-Life Impact, and Treatment of Psoriasis in Non-White Racial/Ethnic Groups. Am J Clin Dermatol 19(3):405-423, 2018.doi: 10.1007/s40257-017-0332-7

  2. 2.Michalek IM, Loring B, John SM: A systematic review of worldwide epidemiology of psoriasis. J Eur Acad Dermatol Venereol 31(2):205–212, 2017.doi: 10.1111/jdv.13854

乾癬の病因

乾癬の原因は不明であるが,表皮角化細胞の免疫刺激が関与しており,T細胞が中心的な役割を果たすようである。家族歴がよく認められ,特定の遺伝子およびヒト白血球抗原(Cw6,B13,B17)に乾癬との関連が認められている。全ゲノム連鎖解析により,乾癬への感受性を規定する多数の遺伝子座が同定されており,なかでも染色体6p21にあるPSORS1が患者の乾癬に対する感受性を規定する上で最も大きな役割を果たしている。環境因子としての誘因によって,炎症反応とそれに続く角化細胞の過剰増殖が惹起されると考えられている(1)。

よく知られている誘因としては以下のものがある:

  • 損傷(ケブネル現象)

  • サンバーン

  • HIV感染症

  • β溶血性レンサ球菌感染(滴状乾癬を来す)

  • 薬剤(特にβ遮断薬,クロロキン,リチウム,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,インドメタシン,テルビナフィン,インターフェロンα,免疫チェックポイント阻害薬,腫瘍壊死因子阻害薬)

  • 精神的ストレス

  • 飲酒

  • 喫煙

  • 肥満

病因論に関する参考文献

  1. 1.Zhou X, Chen Y, Cui L, et al: Advances in the pathogenesis of psoriasis: From keratinocyte perspective. Cell Death Dis 13(1):81, 2022.doi: 10.1038/s41419-022-04523-3

乾癬の症状と徴候

病変は無症状の場合と,そう痒を伴う場合があり,頭皮,肘関節および膝関節伸側,仙骨部,殿部(殿裂に多い),ならびに性器に好発する。爪,眉毛,腋窩,臍部,および肛門周囲も侵されることがある。

皮膚の色が濃い患者では局面が紫色に見えることがあり,皮膚の色が薄い患者ではピンク色または赤色に見えることがあるが,鱗屑や分布(例,肘伸側,体幹,下肢,および臍周囲)などの重要な特徴は,皮膚の色調を問わず一貫する。

病変が広範となり,これらの皮膚領域の間で進展して融合することもある。

病変は病型によって外観が異なる。

乾癬の臨床像
乾癬の局面
乾癬の局面

乾癬は,典型的には,光沢のある銀色の厚い鱗屑で覆われた局面として出現する。乾癬の局面は,直径が10mmを超える触知可能な隆起病変である。

乾癬は,典型的には,光沢のある銀色の厚い鱗屑で覆われた局面として出現する。乾癬の局面は,直径が10mmを超える触知可能な隆起病変である。

Photo provided by Thomas Habif, MD.

乾癬(局面)
乾癬(局面)

この画像には乾癬局面が写っている。皮膚の色が濃い患者では局面が紫色に見えることがあるが,鱗屑や分布(例,肘伸側,体幹,下肢,および臍周囲)などの重要な特徴は皮膚の色調を問わず一貫する。

この画像には乾癬局面が写っている。皮膚の色が濃い患者では局面が紫色に見えることがあるが,鱗屑や分布(例,肘伸側,体幹,下肢,および臍周囲)などの重要な特徴は皮膚の色調を問わず一貫する。

Image courtesy of Karen McKoy, MD.

乾癬(肘)
乾癬(肘)

この写真には,肘関節伸側面に生じた,銀白色の鱗屑で覆われた紅色局面が写っている。これは尋常性乾癬の典型的な外観である。

この写真には,肘関節伸側面に生じた,銀白色の鱗屑で覆われた紅色局面が写っている。これは尋常性乾癬の典型的な外観である。

SCIENCE PHOTO LIBRARY

乾癬(手指)
乾癬(手指)

この写真には,鱗屑を伴って肥厚した皮膚の紅斑と変色して崩壊した爪が写っている。

この写真には,鱗屑を伴って肥厚した皮膚の紅斑と変色して崩壊した爪が写っている。

DR. HAROUT TANIELIAN/SCIENCE PHOTO LIBRARY

乾癬(頭皮)
乾癬(頭皮)

この写真には,乾癬患者の頭皮にみられた鱗屑を伴う赤い肥厚した皮膚が写っている。

この写真には,乾癬患者の頭皮にみられた鱗屑を伴う赤い肥厚した皮膚が写っている。

DR P.MARAZZI/SCIENCE PHOTO LIBRARY

点状陥凹および変色を来した爪乾癬
点状陥凹および変色を来した爪乾癬

この写真には,乾癬患者にみられた不整な点状陥凹と黄褐色に変色した領域(オイルスポット変色)が写っている。

この写真には,乾癬患者にみられた不整な点状陥凹と黄褐色に変色した領域(オイルスポット変色)が写っている。

© Springer Science+Business Media

爪甲の肥厚および崩壊を来した爪乾癬
爪甲の肥厚および崩壊を来した爪乾癬

左の写真には,肥厚およびぼろぼろに崩れた母趾の爪が写っている。手指の爪に点状陥凹と爪甲剥離症が認められ(右),診断として爪乾癬が示唆される。

左の写真には,肥厚およびぼろぼろに崩れた母趾の爪が写っている。手指の爪に点状陥凹と爪甲剥離症が認められ(右),診断として爪乾癬が示唆される。

© Springer Science+Business Media

膿疱性乾癬(足)
膿疱性乾癬(足)

この画像には,紅皮症性膿疱性乾癬患者の足底に生じた広範囲に散在する膿疱が写っている。

この画像には,紅皮症性膿疱性乾癬患者の足底に生じた広範囲に散在する膿疱が写っている。

Image courtesy of Karen McKoy, MD.

アロポー稽留性肢端皮膚炎
アロポー稽留性肢端皮膚炎

この写真には,アロポー稽留性肢端皮膚炎(限局型の膿疱性乾癬)患者の手指先端に生じた膿疱性病変が写っている。

この写真には,アロポー稽留性肢端皮膚炎(限局型の膿疱性乾癬)患者の手指先端に生じた膿疱性病変が写っている。

© Springer Science+Business Media

Inverse psoriasis
Inverse psoriasis

Inverse psoriasisでは,乳房下などの間擦部位に光沢のある紅色斑(ときに鱗屑を伴わない)が形成される。

Inverse psoriasisでは,乳房下などの間擦部位に光沢のある紅色斑(ときに鱗屑を伴わない)が形成される。

SCIENCE PHOTO LIBRARY

滴状乾癬
滴状乾癬

この写真には,滴状乾癬のある22歳男性の体幹に生じた多発性の局面が写っている。

この写真には,滴状乾癬のある22歳男性の体幹に生じた多発性の局面が写っている。

DR P.MARAZZI/SCIENCE PHOTO LIBRARY

乾癬性紅皮症
乾癬性紅皮症

この写真には,乾癬性紅皮症患者の体幹に生じたびまん性の紅斑が写っている。

この写真には,乾癬性紅皮症患者の体幹に生じたびまん性の紅斑が写っている。

SCIENCE PHOTO LIBRARY

掌蹠乾癬(手掌)
掌蹠乾癬(手掌)

この写真には,掌蹠乾癬患者の手掌に生じた不連続に分布する過角化局面が写っている。

この写真には,掌蹠乾癬患者の手掌に生じた不連続に分布する過角化局面が写っている。

SCIENCE PHOTO LIBRARY

掌蹠乾癬(足底)
掌蹠乾癬(足底)

この写真には,掌蹠乾癬患者の足底に生じた不連続に分布する過角化局面が写っている。

この写真には,掌蹠乾癬患者の足底に生じた不連続に分布する過角化局面が写っている。

SCIENCE PHOTO LIBRARY

掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症

この写真には,膿疱性乾癬患者の足に生じた紅色の斑および膿疱が写っている。

この写真には,膿疱性乾癬患者の足に生じた紅色の斑および膿疱が写っている。

Image courtesy of Karen McKoy, MD.

様々な乾癬の病型(乾癬の病型の表を参照)のうち,尋常性乾癬(局面型乾癬または慢性尋常性乾癬)が約90%を占めており,その病変は,銀白色の厚い鱗屑で覆われた,はっきりした紅色の丘疹または局面である。病変は徐々に出現し,自然にあるいは誘因の出現と消退に伴って,寛解と再発を繰り返す。

5~30%の患者で関節炎が発生し,生活に支障を来すことがあり(乾癬性関節炎),最終的に関節破壊を来すこともある。

乾癬が生命を脅かすことはまれであるが,患者の自己像に影響を及ぼすことがある。患者の外見のほかにも,広範な皮膚または頭皮の病変を治療したり,衣類や寝具を良好な状態に保つのにかなりの時間を要するため,生活の質に悪影響を及ぼす場合がある。

表&コラム
表&コラム

乾癬の診断

  • 臨床的評価

  • まれに生検

乾癬の診断は,大抵の場合,病変の臨床的な外観および分布に基づく。

鑑別診断としては以下のものがある:

生検が必要になることはまれであり,診断に至らない場合もあるが,臨床所見が古典的でない場合には生検を考慮してもよい。

病変の面積と病変が患者の生活の質に及ぼしている影響に基づいて,軽症,中等症,重症に分けられる。通常,軽症と判定するには,患部が体表面積の10%未満でなければならない。重症度については,より複雑なスコア判定システムが多数存在するが(例,Psoriasis Area and Severity Index),それらのシステムは主に研究目的で有用となる。

乾癬の治療

  • 外用療法

  • 紫外線療法

  • 全身療法

治療の選択肢は多岐にわたり,外用療法(例,コルチコステロイド,ビタミンD3誘導体,カルシニューリン阻害薬,タザロテン,ロフルミラスト,タピナロフ,皮膚軟化剤,サリチル酸,コールタール,アンスラリン)から紫外線療法,全身療法(例,メトトレキサート,経口レチノイド,シクロスポリン,生物学的製剤,低分子薬)までがある。

外用療法

コルチコステロイドは,外用薬を使用するのが通常であるが,小さな病変や難治性の病変には注射薬を使用することができる。(注意:コルチコステロイドの全身投与は膿疱性乾癬の増悪または発症を促進する可能性があるため,乾癬の治療に使用してはならない。)外用コルチコステロイドは1日2回使用する。コルチコステロイドは,密封性のポリエチレン素材で一晩覆うか,テープに含有させて使用するのが最も効果的である;日中は密封ではなく,コルチコステロイドのクリームを塗布する。コルチコステロイドの力価は病変の広さに応じて選択する。

病変が消退するにつれて,局所の皮膚萎縮,線条形成,および毛細血管拡張を最小限に抑えるため,コルチコステロイドの外用頻度を減らすか,より力価の弱いものを使用すべきである。理想的には,約2~3週間後から1~2週間(休薬期間として)にわたって,コルチコステロイドの代わりに皮膚軟化剤,ビタミンD3誘導体,またはカルシニューリン阻害薬を使用すべきであり,この代用により,コルチコステロイドの使用量を制限し,外用コルチコステロイドの有害作用(例,皮膚萎縮,毛細血管拡張,紫斑ができやすい状態,皮膚線条)のリスクを低減し,タキフィラキシー(ある薬剤を連続で投与した後にその薬剤に対する反応が減弱すること)を予防することができる。コルチコステロイドの外用は,患部が広い場合には,毎回大量(約30g)の塗布が必要になるため,費用が高くなる可能性がある。コルチコステロイドを長期間広範囲に外用すると,全身性の有害作用や乾癬の増悪を招くことがある。小さな病変,肥厚した病変,限局性の病変,および難治性の病変に対しては,力価の高いコルチコステロイドを密閉ドレッシングまたはフルドロキシコルチド含有テープを使用する;これらのドレッシングは,夜間貼付したままにして,翌朝交換する。コルチコステロイドの外用療法を中止した後にみられる再発は,しばしば他の薬剤を使用した場合より急速である。

ビタミンD3誘導体(例,カルシポトリオール[カルシポトリエン],カルシトリオール)は,角化細胞の正常な増殖および分化を誘導する外用薬であり,単独で使用することも,外用のコルチコステロイドと併用することもできる。患者に平日にはカルシポトリオールを,週末にはコルチコステロイドを塗布させる医師もいる。

カルシニューリン阻害薬(例,タクロリムス,ピメクロリムス)は,外用薬として使用でき,一般に良好な忍容性を示す。コルチコステロイドほど効果的ではないが,顔面および間擦部に生じた乾癬の治療においてコルチコステロイドの合併症を回避することができる。リンパ腫および皮膚がんのリスクを高めるかどうかは不明である。

タザロテンは外用レチノイドである。タザロテンは,単剤ではコルチコステロイドより効果が低いが,その角質溶解作用ゆえに,補助的な薬剤として有用である。典型的には,体幹および四肢に生じることがある厚い乾癬局面に使用されるが,顔面に使用することもできる。

ロフルミラストは,外用のホスホジエステラーゼ4(PDE-4)阻害薬である。顔面および間擦部位(例,殿部,鼠径部,腋窩)に対するコルチコステロイドを節減するための治療法として,特に有用である。

タピナロフは,外用のアリール炭化水素受容体(AhR)作動薬である。これも顔面および間擦部位に対するコルチコステロイドを節減するための治療法として有用である。

その他の補助的な外用療法としては,皮膚軟化剤,サリチル酸,コールタール,アンスラリンなどがある。

  • 皮膚軟化剤には,皮膚軟化剤のクリーム,軟膏,ワセリン,パラフィンなどがあり,さらに水素を添加した植物油(料理油)も含まれる。これらは鱗屑を減らす効果があり,1日2回に加えて入浴直後にも塗布すると最も効果的である。鱗屑の減少や透明性の上昇のために病変の赤みが強まることがある。皮膚軟化剤は安全であり,軽症から中等症の尋常性乾癬には一般に補助的に使用するべきである。

  • サリチル酸は,鱗屑を軟化させ,その除去を促進し,他の外用薬の吸収性を高める角質溶解剤である。頭皮用治療薬の成分として特に有用である;頭皮の鱗屑は非常に厚いことがある。

  • コールタール製剤は,抗炎症作用を有し,角化細胞の過剰増殖を減少させるが,その機序は不明である。軟膏または溶液は典型的には,夜間に塗布して朝に洗い落とす。コールタール製品はコルチコステロイドの外用と併用することができ,また,自然または人工のブロードバンドUVB(280~320nm)を徐々に増量しながら照射する治療と併用することもできる(ゲッケルマン療法)。シャンプーは5~10分放置してから洗い流すべきである。

  • アンスラリンは,増殖抑制作用と抗炎症作用を有する外用薬である。その作用機序は不明である。有効量は0.1%クリームまたは軟膏であるが,患者が耐えられれば1%まで増量する。アンスラリンは皮膚刺激を生じることがあり,間擦部には注意して使用すべきであり,また着色性もある。刺激と着色は,塗布後20~30分でアンスラリンを洗い落とすことで回避できる。リポソーム封入製剤を使用することでも,アンスラリンの欠点を一部回避できる場合がある。

他の薬剤の利用可能性および利便性を考慮すると,コールタールおよびアンスラリンの使用頻度は低くなっている。

光線療法

紫外線療法は,典型的には病変が広範囲に及んだ乾癬患者に用いられるが,効果が認められた様々な全身療法があることから,用いられることは減ってきている。作用機序は不明であるが,UVBはDNA合成を減少させ,全身性に軽度の免疫抑制を誘導する可能性がある。ソラレンと紫外線A波照射の併用療法(PUVA療法)では,光感作物質であるmethoxypsoralenを内服させた後,波長の長い(330~360nm)UVAを照射する。PUVA療法には増殖抑制効果があり,さらに角化細胞の分化を正常化するのにも役立つ。光の照射量は少量から始め,患者が耐えられる程度に応じて増量する。薬剤の用量やUVAの照射量が多すぎると,重度の熱傷を生じることがある。

この治療法は外用療法ほど汚れが生じず,数カ月続く寛解をもたらすこともあるが,治療を繰り返せば紫外線による皮膚がんや黒色腫の発生率が高まる可能性がある。レチノイドの内服を併用すれば(いわゆるRe-PUVA療法),必要な紫外線の量が減少する。ソラレンを用いないナローバンドUVB(311~312nm)療法は,PUVA療法と同程度の有効性を示す。エキシマレーザー療法は,波長308nmのレーザーを限局性の乾癬局面に照射する光線療法の一種である。

全身療法

メトトレキサートの内服は,生活に支障を来している重症乾癬,特に外用薬や紫外線療法(ナローバンドUVB療法またはPUVA療法)に反応しない重症の乾癬性関節炎や広範な乾癬性紅皮症または膿疱性乾癬に対して効果的な治療法である。メトトレキサートは,表皮細胞の急速な増殖を阻害すると考えられる。血液,腎臓,および肝臓の機能をモニタリングすべきである。メトトレキサート療法は,様々なレジメンがあるため,乾癬に対する使用経験が豊富な医師のみが行うべきである。

シクロスポリンは重症乾癬に使用することができる。シクロスポリンの使用は数カ月間(まれに最長1年)のコースに限定し,他の治療法と交代で使用すべきである。腎臓に影響を及ぼすほか,免疫系にも長期的な影響を及ぼす可能性があるため,より多く使用することはできない。

ミコフェノール酸モフェチルは,メトトレキサートやシクロスポリンで反応がみられない患者や,上記の薬剤で毒性が生じた患者において代替となる選択肢である。

レチノイドの全身投与(例,アシトレチン(acitretin),イソトレチノイン)は,尋常性乾癬,膿疱性乾癬(イソトレチノインの方が望ましい場合もある),角質増殖性の掌蹠乾癬の重症例および難治例に効果的となりうる。アシトレチン(acitretin)には催奇形性があり,体内に長期間とどまるため,女性が使用する場合は避妊が必須であり,女性患者には治療終了後少なくとも3年間は妊娠しないよう警告すべきである。イソトレチノインでも避妊は必要であるが,イソトレチノインは体内に1カ月以上とどまらない。長期の治療では,びまん性特発性骨増殖症(DISH)を来すことがある。

いくつかのクラスの生物学的製剤(治療用のモノクローナル抗体のこと)について,中等症から重症の尋常性乾癬の治療における効力が示されている(1, 2):

  • TNF阻害薬:エタネルセプト,アダリムマブ,インフリキシマブ,およびセルトリズマブ ペゴル(胎盤を通過しない)

  • インターロイキン(IL)23阻害薬:チルドラキズマブ,リサンキズマブ,グセルクマブ,およびウステキヌマブ(IL-12とIL-23の両方を標的とする)

  • IL-17阻害薬:セクキヌマブ,イキセキズマブ,およびブロダルマブ

アプレミラストは,尋常性乾癬の治療に用いられる経口低分子薬の PDE-4阻害薬であるが,市販後調査のデータによると,生物学的製剤より効果が低いことが示唆されている(3)。

デュークラバシチニブは,チロシンキナーゼ2(ヤヌスキナーゼ[JAK]ファミリーのメンバー)を阻害する経口低分子薬であり,乾癬の治療について効力が示されている(4, 5)。乾癬性関節炎の治療にときに使用されるJAK阻害薬であるトファシチニブは,皮膚に限局した乾癬にも効果的とみられているが(6),この適応でルーチンに使用されるようになるには,さらなる研究が必要である。

スペソリマブは,汎発性膿疱性乾癬の治療に使用されることがあるIL-36阻害薬である。

様々なモノクローナル抗体の特許が失効するにつれて,それらのバイオ後続品(バイオシミラー)が開発され,使用されるようになっている(7)。それらの薬剤の効力および毒性は基準品と非常に類似しており,成分のわずかな違いに臨床的な意味はない。

その他の免疫抑制薬(例,ヒドロキシカルバミド,6-チオグアニン)は安全域が狭く,難治性の重症乾癬のみに使用される。エファリズマブ(efalizumab)については,進行性多巣性白質脳症のリスクを高めるため,米国とカナダでは入手できなくなっている。

治療の選択

具体的な薬剤や併用療法を選択する際には,常に治療の有害作用を念頭に置いて,患者と密に協力することが必要である。単一の理想的な併用療法や薬剤の投与順序があるわけではないが,治療はできるだけ単純な形に留めるべきである。単独療法の方が好ましいが,普通に行われているのは併用療法である。乾癬に対する初回治療としては,コルチコステロイドやビタミンD3誘導体の外用などがある(単剤または併用のいずれか)。

ローテーション療法とは,長期連用による有害作用を軽減し,疾患が治療抵抗性となるのを回避することを目的として,1~2年で別の治療法に変更する方法である。連続療法とは,迅速なコントロールを得るためにまず強力な薬剤(例,シクロスポリン)を使用し,次いでより安全性の高い薬剤に変更する方法である。免疫抑制薬は,メトトレキサートやナローバンドUVBよりも病変の消失ないしほぼ消失を得られる頻度が高い。

軽症の尋常性乾癬は,皮膚軟化剤,角質溶解剤,タール,コルチコステロイドの外用,コルチコステロイドを節減するための外用薬(例,カルシニューリン阻害薬,PDE-4阻害薬,タピナロフ),ビタミンD3誘導体,またはアンスラリンの単独または併用により治療できる。適度の日光曝露は有益であるが,サンバーンにより増悪を来すことがある。

中等症から重症の尋常性乾癬は,外用薬と光線療法または全身投与薬剤との併用により治療すべきである。免疫抑制薬は,他の薬剤に反応しない中等症から重症の患者に使用する。

頭皮の局面は治療が難しいことで有名であるが,その理由は,全身療法に抵抗性で,頭髪により外用薬の塗布と鱗屑の除去が妨げられ,皮膚に紫外線が当たらなくなるからである。鉱油中で10%に調製したサリチル酸の懸濁液を就寝時に手または歯ブラシで頭皮に擦り込み,シャワーキャップで覆って(透浸力を高め,汚れを防ぐ目的),翌朝にタール(または他の)シャンプーで洗い落とす方法もある。日中は,より美容的に優れているコルチコステロイド溶液を頭皮に塗布することができる。これらの治療は,望まれる臨床的反応が得られるまで続ける。

治療抵抗性の皮膚または頭皮の斑状病変には,生理食塩水で病変の大きさと重症度に応じて2.5または5mg/mLに希釈したトリアムシノロンアセトニド懸濁液を病変内に浅く局所注射することで,反応が得られることがある。注射すると局所に皮膚萎縮が生じることがあるが,これは通常可逆的である。

頭皮乾癬の重症例では,免疫抑制薬(例,生物学的製剤,低分子薬)の全身投与による治療が必要になる場合がある。

各病型の乾癬に必要とされる特殊な治療については上述の通りである。

乾癬性関節炎については,関節破壊を予防するために全身療法で治療することが重要であり,メトトレキサートやその他の免疫抑制薬(例,TNF-α阻害薬)が効果的となりうる。

(American Academy of Dermatologyによる乾癬の診療ガイドラインも参照のこと。)

治療に関する参考文献

  1. 1.Sbidian E, Chaimani A, Garcia-Doval I, et al: Systemic pharmacological treatments for chronic plaque psoriasis: A network meta-analysis. Cochrane Database Syst Rev 12(12):CD011535, 2017.doi: 10.1002/14651858.CD011535.pub2

  2. 2.Armstrong AW, Read C: Pathophysiology, clinical presentation, and treatment of psoriasis: A review. JAMA 323(19):1945–1960, 2020.doi: 10.1001/jama.2020.4006

  3. 3.Armstrong AW, Puig L, Joshi A, et al: Comparison of Biologics and Oral Treatments for Plaque Psoriasis: A Meta-analysis. JAMA Dermatol 156(3):258–269, 2020.doi: 10.1001/jamadermatol.2019.4029

  4. 4.Armstrong AW, Gooderham M, Warren RB, et al: Deucravacitinib versus placebo and apremilast in moderate to severe plaque psoriasis: Efficacy and safety results from the 52-week, randomized, double-blinded, placebo-controlled phase 3 POETYK PSO-1 trial. J Am Acad Dermatol 88(1):29–39, 2023.doi: 10.1016/j.jaad.2022.07.002

  5. 5.Strober B, Thaçi D, Sofen H, et al: Deucravacitinib versus placebo and apremilast in moderate to severe plaque psoriasis: Efficacy and safety results from the 52-week, randomized, double-blinded, phase 3 Program fOr Evaluation of TYK2 inhibitor psoriasis second trial. J Am Acad Dermatol 88(1):40–51, 2023.doi: 10.1016/j.jaad.2022.08.061

  6. 6.Bachelez H, van de Kerkhof PC, Strohal R, et al: Tofacitinib versus etanercept or placebo in moderate-to-severe chronic plaque psoriasis: A phase 3 randomised non-inferiority trial. Lancet 386(9993):552-561, 2015.doi: 10.1016/S0140-6736(14)62113-9

  7. 7.Ruda RC, Kelly KA, Feldman SR: Real-world outcomes following switching from anti-TNF reference products to biosimilars for the treatment of psoriasis. J Dermatolog Treat 34(1):2140569, 2023.doi: 10.1080/09546634.2022.2140569

要点

  • 乾癬はよくみられる皮膚の炎症性疾患であり,遺伝要素といくつかの誘因(例,外傷,感染,特定の薬剤)がある。

  • 乾癬の最も一般的な皮膚所見は通常,銀白色の鱗屑で覆われた境界明瞭な紅色の丘疹および局面であるが,病変は他の頻度の低い乾癬の病型間で異なる。

  • 5~30%の患者では乾癬性関節炎が発生し,関節破壊および身体障害を来すこともある。

  • 診断は病変の外観および分布に基づく。

  • 外用療法(例,皮膚軟化剤,サリチル酸,コールタール製剤,アンスラリン,コルチコステロイド,ビタミンD3誘導体,カルシニューリン阻害薬,PDE-4阻害薬,タピナロフ,タザロテン)を考慮する(特に軽症例)。

  • 中等症から重症の乾癬に対しては,レチノイドやメトトレキサート,シクロスポリン,生物学的製剤(例,TNF阻害薬),低分子薬(例,デュークラバシチニブ)などの全身療法を考慮する。

  • 免疫抑制薬による全身療法に抵抗性を示す患者には,紫外線療法が代替となりうる。

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. Psoriasis Area and Severity Index (PASI): An online calculator to determine a patient's PASI score

  2. American Academy of Dermatology: Psoriasis Clinical Guidelines: Joint guidelines from the American Academy of Dermatology and the National Psoriasis Foundation

  3. National Psoriasis Foundation: A resource providing information about treatments and community support

quizzes_lightbulb_red
Test your KnowledgeTake a Quiz!
iOS ANDROID
iOS ANDROID
iOS ANDROID