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ヘルペスウイルス感染症の概要

執筆者:

Kenneth M. Kaye

, MD, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 2月
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ヒトに感染するヘルペスウイルスとしては,8つの型が存在する( ヒトに感染するヘルペスウイルス)。初回感染後,全てのヘルペスウイルスは特定の宿主細胞内に潜伏し続け,その後再活性化することがある。ヘルペスウイルスは宿主外では長時間生存できないため,通常は伝播には濃厚な接触が必要となる。不顕性感染を有する人において,このウイルスは症状を引き起こすことなく再活性しうる;このような症例では,無症候性にウイルスが排出され,感染症が伝播しうる。

エプスタイン-バーウイルス(EBV)とヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8―カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス[KSHV]としても知られる)は,特定の悪性腫瘍を引き起こすことがある。突発性発疹は,ヘルペスウイルス6(およびときに7)により引き起こされる小児疾患である。

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ヒトに感染するヘルペスウイルス

一般的な名称

別称

典型的な臨床像

単純ヘルペスウイルス1型

ヒトヘルペスウイルス1型

歯肉口内炎,角結膜炎,皮膚ヘルペス,性器ヘルペス,脳炎,口唇ヘルペス,ウイルス性髄膜炎,食道炎*,肺炎*,肝炎*,†

単純ヘルペスウイルス2型

ヒトヘルペスウイルス2型

性器ヘルペス,皮膚ヘルペス,歯肉口内炎,新生児ヘルペス,ウイルス性髄膜炎,播種性感染症*,肝炎*,†

水痘帯状疱疹ウイルス

ヒトヘルペスウイルス3型

水痘,帯状疱疹,播種性帯状疱疹*

エプスタイン-バーウイルス

ヒトヘルペスウイルス4型

伝染性単核球症,肝炎,脳炎,上咽頭癌,ホジキンリンパ腫,バーキットリンパ腫,リンパ増殖症候群*,口腔毛状白板症*

サイトメガロウイルス

ヒトヘルペスウイルス5型

CMV単核球症,肝炎,先天性巨細胞封入体症,肝炎*,網膜炎*,肺炎*,大腸炎*

ヒトヘルペスウイルス6型

突発性発疹,発熱を伴う中耳炎,脳炎

ヒトヘルペスウイルス7型

突発性発疹

カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス

ヒトヘルペスウイルス8型

急性疾患の原因としては知られていないが,カポジ肉腫*およびAIDS関連非ホジキンリンパ腫(滲出性リンパ腫として胸腔,心膜腔,または腹腔で主に増殖する)において原因的役割を果たす

多中心性キャッスルマン病との関連もある

*易感染性宿主において。

まれに免疫能が正常な宿主において皮膚病変を伴わない劇症肝炎を引き起こす。

ヘルペスウイルスの薬物治療

ヘルペスウイルスに対して活性を示す薬剤としては,アシクロビル,cidofovir,ファムシクロビル,fomivirsen,ホスカルネット,ガンシクロビル,イドクスウリジン,ペンシクロビル,トリフルリジン,バラシクロビル,バルガンシクロビル,ビダラビンなどがある ( ヘルペスウイルス感染症の治療に用いられる薬剤)。

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ヘルペスウイルス感染症の治療に用いられる薬剤

薬剤

活性

用途

有害作用

アシクロビル

HSV 1型(HSV-1),HSV-2,VZV,およびEBV に対して活性あり(力価の高い順)

CMVに対してごくわずかな活性あり

経口または静注(単純ヘルペス脳炎の場合と同様に,血清中薬物濃度を高くする必要があるときは静注が適応となる)

経口:少ない

静注:まれにアシクロビル結晶の析出による腎毒性;易感染性患者において,TTP/HUS

cidofovir

HSV-1,HSV-2,VZV,CMV,EBV,KSHV,アデノウイルス,HPV,ヒトポリオーマウイルス(JCおよびBKウイルス)など広いスペクトルのウイルスをin vitroで阻害する

静注:一般にCMVに対して使用されるが,腎毒性のため使用が制限される

重大な腎毒性

ファムシクロビル(ペンシクロビルのプロドラッグ)

アシクロビルに類似した抗ウイルススペクトルを有する(アシクロビルに耐性の株はファムシクロビルにも耐性)

経口:アシクロビルと同様に性器ヘルペスおよび帯状疱疹に効果的であり,アシクロビルよりも経口投与後の生物学的利用能が高い(このことはVZV感染症において理論的に重要である)

少ない

fomivirsen

CMVに対して強力な活性あり(アンチセンスオリゴヌクレオチドはCMVタンパク合成を阻害する)

硝子体注射:HIV感染症患者および他の治療に耐性があるCMV網膜炎

眼圧上昇,コルチコステロイドに反応するぶどう膜炎

ホスカルネット

EBV,KSHV,ヒトヘルペスウイルス6型,アシクロビル耐性(またアシクロビル感受性)HSVおよびVZV,ならびにガンシクロビル耐性(またガンシクロビル感受性)CMVに対して活性あり

いくらかの抗HIV活性あり

静注:CMV網膜炎の治療および進行を遅らせることに関してはガンシクロビルと同様の効力あり

ホスカルネットを十分な水分補給なしで投与した場合,最大3分の1の患者に腎毒性,電解質異常

ガンシクロビル

CMVを含む全てのヘルペスウイルスに対してin vitro活性を有するが,アシクロビル耐性のHSV株はガンシクロビルに対しても交差耐性がある

典型的にはCMVに対する第1選択薬

HIV感染患者およびCMV網膜炎患者の両方に使用される

静注製剤:最も頻用されている

経口:生物学的利用能は6~9%にすぎず,標準用量(1g,1日3回)で1日当たり12カプセルの服用が必要になるため,有用性は限られている。

主に,骨髄抑制,特に好中球減少に対してはときに治療を要する*

イドクスウリジン

HSV-1,HSV-2,VZV,ワクシニア,およびCMVに対して活性あり

点眼:全身毒性が強いため,単純ヘルペス角結膜炎の眼科局所治療に限られている。

眼瞼の刺激,疼痛,羞明,そう痒,炎症,または浮腫

まれにアレルギー反応

ペンシクロビル

HSV-1,HSV-2,VZV,CMV,およびEBVに対して活性あり

外用(クリーム):成人における口唇ヘルペスの再発時の治療に使用される

紅斑

トリフルリジン(トリフルオロチミジン)

HSV-1およびHSV-2に対して活性あり

点眼:HSV-1およびHSV-2による初感染時の角結膜炎ならびに再発時の角膜炎または潰瘍に対する眼科治療

(骨髄抑制作用のため全身投与はできない)

眼の刺痛感,眼瞼浮腫

より頻度は低いが,点状角膜炎,アレルギー反応

バラシクロビル(アシクロビルのプロドラッグ)

抗ウイルス活性のスペクトルはアシクロビルと同様

経口:生物学的利用能がアシクロビルの3~5倍

アシクロビルの有害作用と同様

現在の推奨量よりも高用量のバラシクロビルを投与された一部の進行したHIV感染患者および移植レシピエントにおいてTTP/HUS

バルガンシクロビル(ガンシクロビルのプロドラッグ)

ガンシクロビルと同様

経口:450mgの錠剤2錠を1日1回,または12時間毎に服用(経口ガンシクロビルよりも生物学的利用能が高い)

ガンシクロビルと同様

ビダラビン(アデニンアラビノシド,are-A)

HSV感染症に対して

神経毒性があるため,静注製剤はもはや使用されていない

眼科用製剤:HSV-1およびHSV-2による急性角結膜炎および再発時の表在角膜炎に対して効果的である

流涙,刺激,疼痛,および羞明を伴う表在性点状角膜炎

*重度の好中球減少(< 500好中球/μL)がみられる場合は,以下のいずれかが必要である:

  • 顆粒球コロニー刺激因子または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子による骨髄刺激

  • ガンシクロビルの中止

  • 薬剤の減量

バラシクロビルは,進行したHIV感染患者および移植のレシピエントでは慎重に使用すべきである。

CMV = サイトメガロウイルス;EBV = エプスタイン-バーウイルス;HPV = ヒトパピローマウイルス;HSV = 単純ヘルペスウイルス;KSHV = カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス;TTP/HUS = 血栓性血小板減少性紫斑病および溶血性尿毒症症候群;VZV = 水痘帯状疱疹ウイルス。

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