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マールブルグおよびエボラウイルス感染症

執筆者:

Matthew E. Levison

, MD, Drexel University College of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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マールブルグとエボラウイルスは2種類の糸状のフィロウイルスであるが,出血熱および毛細血管漏出を特徴とする臨床的に類似した疾患を引き起こす。エボラウイルス感染症は,マールブルグウイルス感染症より,わずかに伝染力が強い。

エボラウイルスの分離株は以下の5種に分類されている:

  • ザイールエボラウイルス

  • スーダンエボラウイルス

  • タイフォレストエボラウイルス(かつてのコートジボワールエボラウイルス[タイフォレストはコートジボワールにある])

  • ブンディブギョエボラウイルス

  • レストンエボラウイルス(アジアに存在するが,ヒトの疾患は引き起こさない)

マールブルグおよびエボラウイルス感染症の直近のアウトブレイクは,サハラ以南の中央および西アフリカから発生した。過去のアウトブレイクは,まれで散発的であり,これらの流行が封じ込められたのは,一部には孤立した地域で発生したためであった。流行時の他地域への拡散は,通常アフリカから戻った旅行者によってもたらされてきた。しかしながら,1967年には,ドイツおよびユーゴスラビアで,輸入されたミドリザルの組織に曝露した研究所職員の間で小規模なマールブルグ出血熱のアウトブレイクが発生した。

2013年の12月に,大規模なエボラウイルスのアウトブレイクがギニア(西アフリカ)の農村地域で始まり,その後ギニアの人口の密集した都市部,ならびに隣接するリベリアおよびシエラレオネへと広がった。アウトブレイクが最初に確認されたのは2014年3月である。何千人もの感染者が発生しており,致死率は約59%である。感染した旅行者がエボラウイルスを欧州および北米へ拡大させた。2016年の最初の数カ月間,エボラの症例が続発した;シエラレオネでは2016年3月ついにエボラ終息が宣言され,同年5月にはギニアが,同年6月にはリベリアが続いた。2017年には,コンゴの僻地で小さなアウトブレイクが報告された。WHOは2017年7月2日にこのアウトブレイクの終息を宣言した(1 総論の参考文献 マールブルグおよびエボラウイルスは,出血および多臓器不全を引き起こす,致死率の高いフィロウイルスである。診断は,酵素結合免疫吸着測定法,PCR,または電子顕微鏡検査による。治療は支持療法による。アウトブレイクを封じ込めるために厳重な隔離および検疫処置が必要である。 マールブルグとエボラウイルスは2種類の糸状のフィロウイルスであるが,出血熱および毛細血管漏出を特徴とする臨床的に類似した疾患を引き起こす。エボラウイルス感染症は,マールブルグ... さらに読む )。2018年5月にはコンゴで別のアウトブレイクが発生し,2018年6月の時点でまだ継続している(2 総論の参考文献 マールブルグおよびエボラウイルスは,出血および多臓器不全を引き起こす,致死率の高いフィロウイルスである。診断は,酵素結合免疫吸着測定法,PCR,または電子顕微鏡検査による。治療は支持療法による。アウトブレイクを封じ込めるために厳重な隔離および検疫処置が必要である。 マールブルグとエボラウイルスは2種類の糸状のフィロウイルスであるが,出血熱および毛細血管漏出を特徴とする臨床的に類似した疾患を引き起こす。エボラウイルス感染症は,マールブルグ... さらに読む )。

マールブルグウイルスおよびエボラウイルスの伝播

初発症例の大半は,サハラ以南アフリカの非ヒト霊長類への曝露が関与している。マールブルグウイルスはコウモリで同定されており,コウモリに曝露した人(例,鉱山または洞窟内で)で症例が発生しているものの,正確な媒介生物および病原体保有生物は把握されていない。エボラウイルスのアウトブレイクは,感染のあった地域における野生動物の肉(ブッシュミート),またはコウモリ肉の入ったスープの摂取と関連付けられている。エボラおよびマールブルグウイルス感染症は,感染した動物の組織を扱った後にも発生している。

フィロウイルスは,伝染性が高い。ヒトからヒトへの伝播は,感染した症状のある人,またはまれに非ヒト霊長類の体液(唾液,血液,吐瀉物,尿,糞便,汗,母乳,精液)と皮膚または粘膜が接触することで発生する。ヒトは,症状を発症するまで伝染力をもたない。生き残った患者では,効果的な免疫応答が発生するまで症状および徴候が持続する。典型的には,生き残った患者はウイルスを完全に排除し,ウイルスを伝播しなくなる;しかしながら,エボラウイルスは一部の免疫を免れた部位(眼,脳,精巣)に残り続ける可能性がある。このような部位に残ったウイルスが再度出現し,晩期後遺症または再発を引き起こすことがある。

感染者の精液を介したマールブルグウイルスの伝播は,臨床症状の回復から最長7週間後の事例が報告されている(3 総論の参考文献 マールブルグおよびエボラウイルスは,出血および多臓器不全を引き起こす,致死率の高いフィロウイルスである。診断は,酵素結合免疫吸着測定法,PCR,または電子顕微鏡検査による。治療は支持療法による。アウトブレイクを封じ込めるために厳重な隔離および検疫処置が必要である。 マールブルグとエボラウイルスは2種類の糸状のフィロウイルスであるが,出血熱および毛細血管漏出を特徴とする臨床的に類似した疾患を引き起こす。エボラウイルス感染症は,マールブルグ... さらに読む )。エボラウイルスでは,エボラから回復した男性の63%において,1年以上にわたり精液中に遺伝物質が認められた。しかしながら,生きたエボラウイルスが残存していて,感染を拡大させる能力を保っているかどうかを検査で判断することはできない。とはいえ,この感染症の症状が最初に現れてから500日以上が経過した後にパートナーにウイルスを感染させた男性の症例が報告されており,このことは感染力のあるウイルスが残存して他者に伝播する可能性があることを示唆している。エボラは,精液への性的接触やその他の接触によって伝播する可能性がある(4 総論の参考文献 マールブルグおよびエボラウイルスは,出血および多臓器不全を引き起こす,致死率の高いフィロウイルスである。診断は,酵素結合免疫吸着測定法,PCR,または電子顕微鏡検査による。治療は支持療法による。アウトブレイクを封じ込めるために厳重な隔離および検疫処置が必要である。 マールブルグとエボラウイルスは2種類の糸状のフィロウイルスであるが,出血熱および毛細血管漏出を特徴とする臨床的に類似した疾患を引き起こす。エボラウイルス感染症は,マールブルグ... さらに読む )。

エアロゾル感染が推定されているが,起こりうるとしても,おそらくまれである。

アウトブレイク時の感染は主にヒトからヒトへの伝播であり,感染者の血液,分泌物,その他の体液,または臓器との濃厚接触に起因する。会葬者が遺体と直接接触する埋葬儀式が感染伝播に重要な役割を果たしてきた。

総論の参考文献

  • 1. CDC: Ebola: 2017 Democratic Republic of the Congo, Bas Uélé District.2017.Accessed 4/26/18.

    2. CDC: Ebola: 2018 Democratic Republic of the Congo, Bikoro.Accessed 7/5/18.

  • 3. WHO: Fact Sheet: Marburg virus disease.2018.Accessed 7/5/18.

  • 4. Bausch DG, Crozier I: The Liberia Men's Health Screening Program for Ebola virus: Win-win-win for survivor, scientist, and public health.Lancet Glob Health 4 (10):e672–673, 2016.doi: 10.1016/S2214-109X(16)30207-8.Epub 2016 Aug 30.

症状と徴候

マールブルグウイルス感染症とエボラウイルス感染症の症状は非常によく似ている。

2~20日間の潜伏期の後,発熱,筋肉痛,および頭痛がみられ,しばしば腹痛,悪心,および上気道症状(咳嗽,胸痛,咽頭炎)を伴う。羞明,結膜充血,黄疸,およびリンパ節腫脹も起こる。そのすぐ後に嘔吐および下痢が起こることがある。せん妄,昏迷,および昏睡を来すことがあり,これらは中枢神経系の障害を示す。

出血症状は最初の数日以内に始まり,具体的には点状出血,斑状出血,穿刺部位周囲および粘膜からの明らかな出血などがある。斑状丘疹状皮疹は主として体幹にみられ,5日目前後に発生する。

以下の病態から重度の循環血液量減少を来すことがある:

  • 下痢および嘔吐による過度の体液喪失

  • 毛細血管漏出に起因する低アルブミン血症および血管内スペースからの体液喪失

電解質喪失により,重度の低ナトリウム血症,低カリウム血症,および低カルシウム血症を来すことがある。不整脈が生じることもある。

発症後2週目には,解熱が起こり患者は回復に向かうか,または致死的な多臓器不全を発症する。回復は長期化し,再発性肝炎,横断性脊髄炎,および精巣炎を併発することがある。致死率は25~90%である。

エボラウイルス感染症からの回復後に,眼病変(例,小児における重度の白内障)が発生することがある。ある成人では,感染後の回復期に重度の急性ぶどう膜炎が片眼に発生した。

エボラウイルスは中枢神経系に残り,やがて再発を引き起こす可能性がある。

症状と徴候に関する参考文献

  • 1. Jagadesh S, Sevalie S, Fatoma R, et al: Disability among Ebola survivors and their close contacts in Sierra Leone: A retrospective case-controlled cohort study.Clin Infect Dis 66 (1):131–133, 2018.doi: 10.1093/cid/cix705.

診断

  • CDCのガイドラインに沿った評価および検査

  • 血液検体の酵素結合免疫測定法(ELISA)および逆転写PCR(RT-PCR)

出血傾向,発熱,初期のフィロウイルス感染症と一致するその他の症状があり,流行地域への旅行歴のある患者では,マールブルグまたはエボラウイルス感染症が疑われる。CDCは,流行地域から帰った旅行者を評価するアルゴリズムおよびガイドラインを発行している( Algorithm for Evaluation of the Returned Travelerおよび Think Ebola: Early recognitionを参照)。マールブルグウイルスが疑われる場合も,同様のアプローチを利用できる。

WHOも西アフリカにおける2014年のエボラアウトブレイクに関するガイドライン( WHO Ebola situation reports: Archive)を発行している。

症例は公衆衛生当局に相談すべきであり,それにより以下の全ての管理面で支援を得ることができる:

  • 診断を続行すべきかどうかの判断

  • 検査検体の搬送の手配

  • 選択施設への運搬や適応があれば新規治療法の利用などの治療

  • 接触者の追跡

臨床検査には,血算,ルーチンの血液生化学検査,肝機能および凝固検査,尿検査などがある。診断検査には,ELISAやRT-PCRなどがある。ゴールドスタンダードは,感染組織(特に肝臓)または血液の電子顕微鏡検査により,特徴的なウイルス粒子を検出することである。

治療

  • 支持療法

  • 薬物療法

支持療法として以下を行う:

  • 血液量および電解質バランスを維持する

  • 欠乏している凝固因子を補充する

  • 侵襲的処置を最小限に抑える

  • 鎮痛薬の使用などにより症状を治療する

コンゴ東部で現在発生しているエボラウイルス感染症の流行の最中,複数の薬剤が検討されている。2つのモノクローナル抗体REGN-EB3およびmAb-114は,ウイルス量の少ない患者(感染後数日以内に治療が開始されたことを示唆する)において治癒率約90%という極めて高い効果を示した。ワクチン未接種の無治療患者における致死率が70%を超えると推計されているのと比べると,この成績は,エボラウイルス感染症に対する過去の治験薬(ZMapp,レムデシビル)の成績より有意に大きな改善である。今後は,コンゴでの現在のアウトブレイクにおける全てのエボラウイルス感染症患者に対してREGN-EB3およびmAb-114が投与されることになる。

これら2つのモノクローナル抗体かその他の薬剤がマールブルグウイルスを中和することが証明されるまでは,マールブルグ感染症に対する効果的な治療法は存在しないままとなる。

予防

いくつかのワクチンについて臨床試験が実施されており,抗ウイルス薬も開発中である。コンゴで発生している現在(2018年春)のアウトブレイクでは,1つのエボラワクチンが使用されているが,ルーチンに使用できるようになる時期は不明である。このワクチンは,2016年末に西アフリカでエボラのアウトブレイクが発生した際に限定的な規模で使用され,効果を示した。

感染拡大を防止するため,エボラまたはマールブルグウイルス感染の可能性がある症状のある患者は,専用の隔離施設に収容しなければならない。公立病院の標準的な集中治療室(ICU)は隔離に適さない。特殊な隔離施設では,液体流出物および呼吸器分泌物を完全に管理できる。

患者と接触するスタッフは,呼吸用のガスを内部に格納した防護服で全身を覆わなければならない。患者と接触したスタッフが防護服を脱ぐ際には,熟練したスタッフが介助しなければならない。マスク,ゴーグルまたはフェイスシールド,ガウン,および手袋の装着および脱衣に関するプロトコルに従わなければならない(CDCの Sequence for Donning Personal Protective Equipmentを参照)。

器具類の徹底した滅菌処理,病院閉鎖,および地域教育により,過去の流行期間は短縮している。

遺体も含めて,疑わしい全症例の厳重な隔離および特殊管理を要する。

マールブルグウイルスおよびエボラウイルスは精液中に残存し,性感染する恐れがあるため,WHOは,次のいずれかが起こるまで感染者とそのセックスパートナーは全ての種類の性行為を控えるか,コンドームを毎回正しく使用することを推奨している:

  • このウイルスに対する検査が2回陰性になるまで

  • 検査が利用できない場合は,発症から12カ月経過するまで

要点

  • エボラとマールブルグウイルスは異なるウイルスであるが,いずれも類似した出血熱を引き起こす;アウトブレイクは主に,感染した体液への接触を介するヒトからヒトへの伝播により永続する。

  • 2013~2014年のエボラウイルスのアウトブレイクは,主にヒトからヒトへの伝播によるものであり,血液,分泌物,その他の体液,または感染者もしくは死体の臓器との濃厚な接触に起因している。

  • 出血傾向,発熱,その他の該当する症状を有し,流行地域への旅行歴のある患者では,マールブルグまたはエボラウイルス感染症を疑う。

  • 感染の可能性のある患者は専用の隔離施設で隔離し,この患者を看護する職員を保護するため厳重な措置を講じる。

  • エボラワクチンは現在開発中である。

  • 公衆衛生当局とともに診断,管理,および感染予防について計画を立てる。

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