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ホジキンリンパ腫

(ホジキン病)

執筆者:

Carol S. Portlock

, MD, Weill Cornell University Medical College

最終査読/改訂年月 2018年 4月
本ページのリソース

ホジキンリンパ腫は,リンパ細網系細胞の限局性または播種性の悪性増殖であり,主にリンパ節組織,脾臓,肝臓,および骨髄に浸潤する。症状にとしては,無痛性のリンパ節腫脹のほか,ときに発熱,盗汗,意図しない体重減少,そう痒,脾腫,肝腫大などがある。診断はリンパ節生検に基づく。治療により,約75%の症例で治癒が得られ,化学療法のほか,放射線療法を併用する場合も併用しない場合もある。

米国では,毎年新たに約9000例がホジキンリンパ腫と診断されている。男女比は1.4:1である。10歳未満でのホジキンリンパ腫(HL)はまれで,15~40歳で最も多くみられ,60歳以上で2つ目のピークがみられる。

病態生理

ホジキンリンパ腫は,B細胞由来の細胞におけるクローン性転化から発生し,特徴的な二核性のリード-ステルンベルグ細胞がみられる。

原因は不明であるが,遺伝的感受性および環境的関連性(例,木工業などの職業;フェニトイン,放射線療法,または化学療法による治療歴;エプスタイン-バーウイルス,結核菌(Mycobacterium tuberculosis),ヘルペスウイルス6型,HIVによる感染症)が関与している。ある種の免疫抑制状態の患者(例,移植後に免疫抑制薬を服用している患者);先天性免疫不全疾患の患者(例,毛細血管拡張性運動失調症 毛細血管拡張性運動失調症 毛細血管拡張性運動失調症はDNA修復障害に起因し,高い頻度で液性免疫不全および細胞性免疫不全を引き起こす;それにより進行性小脳性運動失調,眼皮膚の毛細血管拡張,反復性の副鼻腔肺感染症が生じる。 (免疫不全疾患の概要および免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。) 毛細血管拡張性運動失調症は,液性免疫および細胞性免疫の複合不全が関与する,常染色体劣性遺伝の原発性免疫不全症である。推定発生率は出生児20... さらに読む クラインフェルター症候群 クラインフェルター症候群(47,XXY) クラインフェルター症候群は,2つ以上のX染色体に加えて1つのY染色体が存在する異常であり,表現型は男性となる。 (染色体異常症の概要も参照のこと。) クラインフェルター症候群は最も頻度の高い性染色体異常で,出生男児の約1/500に発生する。過剰なX染色体は60%の症例で母親由来である。胚細胞が精巣内で生存できないため,精子およびアンドロゲンが減少する。 患児は高身長で上下肢が不自然に長い傾向がみられる。しばしば小さく硬い精巣がみられ,約... さらに読む クラインフェルター症候群(47,XXY) チェディアック-東症候群 チェディアック-東症候群 チェディアック-東症候群は,貪食した細菌の溶解障害を特徴とする常染色体劣性のまれな症候群であり,反復性の細菌性呼吸器感染症および他の感染症,ならびに眼皮膚白皮症を引き起こす。 (免疫不全疾患の概要および免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。) チェディアック-東症候群は,食細胞の異常が関与する,常染色体劣性遺伝のまれな原発性免疫不全症である。この症候群はLYST(lysosomal... さらに読む ウィスコット-アルドリッチ症候群 ウィスコット-アルドリッチ症候群 ウィスコット-アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome)は,B細胞およびT細胞両方の異常に起因し,反復性感染症,湿疹,および血小板減少症を特徴とする。 (免疫不全疾患の概要および免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。) ウィスコット-アルドリッチ症候群は,液性免疫および細胞性免疫の複合免疫不全が関与する原発性免疫不全症である。 遺伝形式はX連鎖劣性である。ウィスコット-アルドリッチ症候群は,正... さらに読む );ある種の自己免疫疾患の患者(関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチ(RA)は,主に関節を侵す慢性の全身性自己免疫疾患である。RAは,サイトカイン,ケモカイン,およびメタロプロテアーゼを介した損傷を引き起こす。特徴として,末梢関節(例,手関節,中手指節関節)に対称性に炎症が生じ,結果として関節構造が進行性に破壊される(通常は全身症状を伴う)。診断は特異的な臨床所見,臨床検査結果,および画像所見に基づく。治療としては,薬物療法,理学療法,およびときに手術を行う。疾患修飾性抗リウマチ薬は症状のコ... さらに読む 関節リウマチ(RA) セリアックスプルー セリアック病 セリアック病は,遺伝的感受性を有する者に免疫を介して発生する疾患で,グルテン不耐症によって引き起こされ,粘膜炎症および絨毛萎縮が生じ,その結果,吸収不良を来す。症状としては通常,下痢や腹部不快感などがみられる。診断は小腸生検により行い,生検では特徴的であるが非特異的な病理的変化である絨毛萎縮が示され,この変化は厳格なグルテン除去食で消失する。 セリアック病は吸収不良を引き起こす疾患である。... さらに読む セリアック病 シェーグレン症候群 シェーグレン症候群(SS) シェーグレン症候群(SS)は,比較的よくみられる原因不明の慢性,自己免疫性,全身性,炎症性の疾患である。外分泌腺のリンパ球浸潤およびそれに続く二次的な分泌機能障害による,口腔,眼,およびその他の粘膜の乾燥を特徴とする。SSは様々な外分泌腺または他の器官に影響を及ぼすことがある。診断は,眼,口腔,および唾液腺の障害に関連する特異的な基準,自己抗体,ならびに(ときに)病理組織学的検査による。治療は通常,対症療法である。... さらに読む シェーグレン症候群(SS) 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデス(SLE)は,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー現象,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよびときに免疫抑制薬を必要とする。... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) )では,リスクがわずかに高い。

ほとんどの患者では緩徐に進行する細胞性免疫(T細胞機能)の障害もみられ,進行期には,一般的には細菌感染症に,まれに真菌,ウイルス,原虫感染症の発生につながる。進行期には液性免疫(抗体産生)が抑制される。しばしば感染症が死因となる。

症状と徴候

ほとんどのホジキンリンパ腫患者で無痛性の頸部または腋窩リンパ節腫脹がみられる。機序は不明であるが,アルコール飲料を摂取した直後に病変部位に疼痛がまれに生じ,それにより早期に診断が示唆されることがある。

他の症状は,一般に細網内系を通して隣接部位に拡がったときに現れる。通常の治療では,難治性の激しいそう痒が早期に生じることもある。全身症状としては,発熱,盗汗,食欲不振とその結果としての意図しない体重減少(過去6カ月で10%を超える体重減少)などがあり,これらの症状によって,深部のリンパ節(縦隔または後腹膜),内臓(肝臓),または骨髄への浸潤が示唆される場合がある。脾腫がしばしばみられるが,肝腫大はまれである。ペル-エブスタイン熱(数日間の高熱が数日から数週間の平熱または平熱以下の期間を挟んで規則的に繰り返す)が散見される。疾患の進行時に悪液質が多くみられる。

骨浸潤はしばしば無症状であるが,椎骨の造骨性病変(象牙椎)のほか,まれに溶骨性病変による疼痛や,圧迫骨折がみられることがある。頭蓋内,胃,および皮膚の病変はまれであり,これが認められる場合は,HIV関連ホジキンリンパ腫が示唆される。

腫瘍の腫瘤による局所圧迫により症状が現れることが多く,以下の症状がみられる:

脊髄を圧迫する硬膜外浸潤により,対麻痺が現れることがある。腫大したリンパ節が頸部交感神経および反回神経を圧迫すると,ホルネル症候群および喉頭麻痺を来すことがある。神経根の圧迫によって神経痛が生じる。

診断

ホジキンリンパ腫は通常,身体診察またはルーチンの胸部X線で疼痛を伴わないリンパ節腫脹または縦隔リンパ節腫脹が検出された患者で疑われる。伝染性単核球症 伝染性単核球症 伝染性単核球症は,エプスタイン-バーウイルス(EBV,ヒトヘルペスウイルス4型)により引き起こされ,疲労,発熱,咽頭炎,およびリンパ節腫脹を特徴とする。疲労は数週間から数カ月間続くことがある。気道閉塞,脾破裂,および神経症候群などの重症合併症がときに起こる。診断は臨床的に,またはEBVの血清学的検査により行う。治療は支持療法による。 (ヘルペスウイルス感染症の概要を参照のこと。)... さらに読む 伝染性単核球症 (EBV)やサイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス(CMV)感染症 サイトメガロウイルス(CMV)は,重症度に大きな幅のある感染症を引き起こす。伝染性単核球症に類似するが重度の咽頭炎を欠いた症候群がよくみられる。HIV感染患者とまれに臓器移植レシピエントやその他の易感染性患者において,網膜炎など重度の局所疾患が生じうる。新生児および易感染性患者では,重度の全身性疾患が発生することがある。臨床検査による診断は重症例において役に立ち,培養,血清学的検査,生検,抗原または核酸の検出などを行う。ガンシクロビルお... さらに読む などのウイルス感染症,トキソプラズマ症 トキソプラズマ症 トキソプラズマ症は,Toxoplasma gondiiによる感染症である。症状はないこともあれば,良性リンパ節腫脹(単核球症様疾患)から,易感染者における生命を脅かす中枢神経系疾患やその他の臓器の障害まで,様々である。AIDS患者およびCD4陽性細胞数が少ない患者では,脳炎が発生する可能性がある。先天性感染症では網脈絡膜炎,痙攣発作,および知的障害が起こる。診断は血清学的検査,病理組織学的検査,またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査に... さらに読む トキソプラズマ症 非ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫(NHL)は,リンパ節,骨髄,脾臓,肝臓,および消化管を含むリンパ細網部位におけるリンパ系細胞の単クローン性悪性増殖に起因する疾患の混成群である。通常は,初発症状として末梢のリンパ節腫脹がみられる。ただし,リンパ節腫脹は認められないが,循環血中に異常なリンパ球が認められる患者もいる。ホジキンリンパ腫と比べ,診断時に播種性である可能性が高い。通常は,リンパ節生検,骨髄生検,またはその両方に基づいて診断を下す。治療には,一... さらに読む 非ホジキンリンパ腫 ,または白血病 白血病の概要 白血病は,未成熟または異常な白血球の過剰産生が起きることで,最終的に正常な血球の産生が抑制され,血球減少に関連する症状が現れる悪性疾患である。 白血化は,自己複製能が少し制限された造血前駆細胞レベルで生じることもあるが,通常は多能性幹細胞の段階で発生する。異常な増殖,クローン性増殖,異常な分化,およびアポトーシス(プログラム細胞死)の低下... さらに読む によっても,同様のリンパ節腫脹がみられることがある。同様の胸部X線所見が肺癌,サルコイドーシス,または結核によって生じることもある(縦隔腫瘤の評価についてはProfessional.see page 診断 診断 縦隔腫瘤は様々な嚢胞および腫瘍に起因する;可能性が高い原因は,患者の年齢,および腫瘤の位置(前縦隔,中縦隔,または後縦隔)によって異なる。縦隔腫瘤は無症状のこともあれば(成人では一般的),閉塞性の呼吸器症状を引き起こすこともある(小児により多い)。検査にはCTおよび生検ならびに必要に応じた補助検査がある。治療は原因によって異なる。... さらに読む )。

胸部X線検査または身体診察で異常を認めた場合は,最も効果的な生検手技を選択するために胸部のCTまたはPETで確認すべきである。縦隔リンパ節腫脹のみが認められる場合は,縦隔鏡検査,胸腔鏡検査(VATS),またはチェンバレン手技(頸部縦隔鏡検査による接近が難しい縦隔リンパ節の生検を可能にする左前に限定した縦隔切開術)が適応となることがある。CTガイド下のコア針生検も考慮してよいが,穿刺吸引細胞診はホジキンリンパ腫の診断に不十分である場合が多い。

生検では,組織球,リンパ球,単球,形質細胞,および好酸球から成る特徴的に不均一な細胞浸潤物の中にリード-ステルンベルグ細胞(大型の二核細胞)が認められる。古典的ホジキンリンパ腫には4つの組織型があり(Professional.see table ホジキンリンパ腫の病理組織学的亜型(WHO分類) ホジキンリンパ腫の病理組織学的亜型(WHO分類) ホジキンリンパ腫は,リンパ細網系細胞の限局性または播種性の悪性増殖であり,主にリンパ節組織,脾臓,肝臓,および骨髄に浸潤する。症状にとしては,無痛性のリンパ節腫脹のほか,ときに発熱,盗汗,意図しない体重減少,そう痒,脾腫,肝腫大などがある。診断はリンパ節生検に基づく。治療により,約75%の症例で治癒が得られ,化学療法のほか,放射線療法を併用する場合も併用しない場合もある。 (リンパ腫の概要も参照のこと。)... さらに読む ホジキンリンパ腫の病理組織学的亜型(WHO分類) ),さらにリンパ球優位型という組織型もある。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の鑑別および古典的ホジキンリンパ腫とリンパ球優位型ホジキンリンパ腫の鑑別には,リード-ステルンベルグ細胞上の特定の抗原が役立つ場合がある。

一般に,白血球分画を含む血算,赤血球沈降速度(赤沈),LDH,腎機能検査,および肝機能検査を施行する。検査結果が異常となることがあるが,診断の決め手にはならない。

血算により,軽微な多形核白血球増多がみられることがある。リンパ球減少が早期に生じることがあり,これは予後不良因子である。約20%の患者に好酸球増多がみられ,血小板増多が認められることもある。貧血は,小球性貧血が多く,通常は疾患進行により現れる。進行期の貧血でみられる鉄再利用障害は,血清鉄の低値,鉄結合能の低下,血清フェリチン高値,および骨髄鉄の増加を特徴とする。ときに骨髄浸潤による汎血球減少症がみられるが,通常はリンパ球減少型で生じる。著しい脾腫の患者では,脾機能亢進症 脾機能亢進症 脾機能亢進症は,脾腫によって引き起こされる血球減少症である。 (脾臓の概要も参照のこと。) 脾機能亢進症は,ほぼあらゆる原因による脾腫から発生しうる二次的過程である(脾腫の一般的な原因の表を参照)。脾腫が生じると,赤血球に加えて,しばしば白血球および血小板に対する脾臓での機械的な補足および破壊が亢進する。これらの血球系が循環血中で減少すると,代償性の骨髄過形成が起こる。 脾腫が大きな特徴である;脾臓の大きさは,血球減少の重症度に相関する... さらに読む がみられることがある。血清アルカリホスファターゼ値の上昇が認められることがあるが,この上昇が必ずしも骨髄または肝臓への浸潤を示すとは限らない。白血球アルカリホスファターゼ,血清ハプトグロビン,およびその他の急性期反応物質の増加は,通常,活動性のホジキンリンパ腫から放出される炎症性サイトカインの存在を反映している。

胸部,腹部,および骨盤部のFDG-PET/CT検査は,ホジキンリンパ腫の病期診断に選択される画像検査である(以下参照)。FDG-PET検査を用いれば,骨病変がより高い頻度で検出される。FDG-PET/CT検査を行えない場合は,胸部,腹部,および骨盤部の造影CTを施行する。

その他の検査は所見に応じて施行する(例,脊髄圧迫の症状がある場合のMRI)。PET/CT画像が得られない場合は,通常は骨髄生検のみを施行する。その他の推奨される検査としては,その後の治療に備えた心駆出率の測定や肺機能検査がある。

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診断に関する参考文献

  • Cheson BD, Fisher RI, Barrington SF, et al: Recommendations for initial evaluation, staging, and response assessment of Hodgkin and non-Hodgkin lymphoma: The Lugano classification.J Clin Oncol 32(27):3059-3068, 2014.

病期分類

診断後は,病期を判定して治療の指針とする。一般的に用いられているAnn Arbor病期分類(Professional.see table ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫のAnn Arbor病期分類のCotswold改変版 ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫のAnn Arbor病期分類のCotswold改変版 ホジキンリンパ腫は,リンパ細網系細胞の限局性または播種性の悪性増殖であり,主にリンパ節組織,脾臓,肝臓,および骨髄に浸潤する。症状にとしては,無痛性のリンパ節腫脹のほか,ときに発熱,盗汗,意図しない体重減少,そう痒,脾腫,肝腫大などがある。診断はリンパ節生検に基づく。治療により,約75%の症例で治癒が得られ,化学療法のほか,放射線療法を併用する場合も併用しない場合もある。 (リンパ腫の概要も参照のこと。)... さらに読む ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫のAnn Arbor病期分類のCotswold改変版 )には,症状;身体所見;胸部,腹部,および骨盤部CTを含む画像検査とFDG-PETによる機能的画像検査の結果;ならびに選択された症例での骨髄生検 骨髄穿刺および骨髄生検 貧血では,赤血球の数が減少する(ヘマトクリットまたは赤血球ヘモグロビン量で測定する)。男性では,貧血はヘモグロビン さらに読む 骨髄穿刺および骨髄生検 所見が採用されている。病期分類に開腹は不要である。Ann Arbor病期分類のCotswold改変版では,腫瘍の大きさと病変の部位が予後因子として組み込まれている。

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いずれの病期でも,Aと明示されている場合は,全身症状が認められないことを意味する。Bと表示されている場合は,全身症状が1回以上認められたことを意味する。症状の有無は,治療への反応と相関する。巨大(bulky)病変は現在,CTで測定して7cmを超える病変と定義されている。

予後

古典的ホジキンリンパ腫では,治療後の5年無病生存は治癒とみなされる。5年以降の再発は非常にまれである。放射線療法の併用または非併用を問わず,化学療法を施行することで,患者の70~80%で治癒が得られる。再発の可能性増加は,男性,年齢45歳以上,進行した病期,および腫瘍性炎症の徴候(アルブミン低値,貧血,白血球増多,リンパ球減少)などの多くの因子に依存している。完全寛解に達しなかった患者または12カ月以内に再発した患者は予後不良である。

治療

  • 化学療法

  • 放射線療法

  • 手術

  • ときに造血幹細胞移植

IA期,IIA期,IB期,IIB期では,一般にドキソルビシン(Adriamycin),ブレオマイシン,ビンブラスチン,およびダカルバジン(ABVD)の短期化学療法レジメンと放射線療法 がんに対する放射線療法 放射線療法は,多くのがんで治癒を得られる可能性があり(がん治療の概要も参照),特に局所に限局しているがんや照射野内に完全に収まるがんでは,その可能性が高くなる。放射線療法を手術と併用する場合(頭頸部がん,喉頭癌,または子宮体がん),または化学療法および手術と併用する場合(肉腫,乳癌,食道癌,肺癌,または直腸癌)には,治癒率が向上するとともに,従来の外科的切除と比較して限局的な手術が可能となる。放射線療法は,手術または化学療法の後(アジュ... さらに読む またはより長期の化学療法コース単独による治療を施行する。このような治療により,約80%の患者が治癒する。縦隔に巨大病変を有する患者では,化学療法の期間を長くしたり,異なる種類の化学療法を用いたりするとともに,典型的に放射線療法も施行する。

IIIA期およびIIIB期では,通常ABVD併用化学療法単独による治療を施行する。IIIA期の患者で75~80%,IIIB期の患者で70~80%の治癒率が達成されている。

IVA期およびIVB期では,ABVD併用化学療法が標準レジメンであり,70~80%の患者で完全寛解が得られる;5年で無病状態の患者は50%を超えている。その他に効果的な薬剤としては,ニトロソウレア系薬剤,イホスファミド,プロカルバジン,シスプラチンまたはカルボプラチン,エトポシドなどがある。その他の併用療法は,ブレオマイシン,エトポシド,ドキソルビシン(Adriamycin),シクロホスファミド,ビンクリスチン(Oncovin),プロカルバジン,およびプレドニゾン(BEACOPPとして知られている);ならびにメクロレタミン,ドキソルビシン,ビンブラスチン,ビンクリスチン,エトポシド,ブレオマイシン,およびプレドニゾン(Stanford Vとして知られている)である。

Stanford Vでは,地固め療法としてinvolved field放射線療法が組み込まれている。治療の数サイクル終了後と治療完了時にPETを施行すべきである。中間評価のPETで陰性となる患者は予後良好であり,治療完了時点で全ての患者がPET陰性でなければならない。

寛解導入療法後に再発したか,治療に失敗した生理学的に適格な全ての患者に対して,末梢血幹細胞を用いた自家移植 造血幹細胞移植 造血幹細胞(HSC)移植は,造血器悪性腫瘍(白血病,リンパ腫,骨髄腫)および他の血液疾患(例,原発性免疫不全症,再生不良性貧血,骨髄異形成)で治癒をもたらす可能性がある手技で,急速に発展しつつある。HSC移植は,ときに化学療法に反応する固形腫瘍(例,一部の胚細胞腫瘍)に用いられることもある。(移植の概要も参照のこと。) HSC移植は,以下の機序によって寛解に導く: 骨髄破壊的前処置によって骨髄を再建する... さらに読む を考慮すべきである。ブレンツキシマブ ベドチン(抗体薬物複合体)や免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブおよびペムブロリズマブなどの新規治療薬が再発ホジキンリンパ腫のサルベージ治療として現在承認されている。これらのサルベージ治療で奏効が得られた患者では,自家移植を考慮してもよい。

治療の合併症

化学療法は,特にアルキル化薬(メクロレタミン,シクロホスファミド,プロカルバジン),ビンクリスチン,エトポシドなどの薬剤を使用した場合,治療後3~10年で発生する白血病のリスクを高める。化学療法および放射線療法は,いずれも悪性固形腫瘍(例,乳房,消化管,肺,軟部組織)のリスクを高める。縦隔放射線照射は,冠動脈硬化症 アテローム性動脈硬化 アテローム性動脈硬化は,中型および大型動脈の内腔に向かって成長する斑状の内膜プラーク(アテローム)を特徴とし,そのプラーク内には脂質,炎症細胞,平滑筋細胞,および結合組織が認められる。危険因子には,脂質異常症,糖尿病,喫煙,家族歴,座位時間の長い生活習慣,肥満,高血圧などがある。症状はプラークの成長または破綻により血流が減少ないし途絶した... さらに読む アテローム性動脈硬化 および心臓弁膜症 心臓弁膜症の概要 いずれの心臓弁も狭窄または閉鎖不全(逆流とも表現される)を起こす可能性があり,その場合,症状出現のかなり前から血行動態に変化が生じる。弁の狭窄または閉鎖不全は,個々の弁で独立して起こる場合が最も多いが,複数の弁膜症が併存する場合もあれば,1つの弁に狭窄と閉鎖不全が併発する場合もある。... さらに読む のリスクを高める。女性では,乳房の隣接リンパ節領域に対して放射線療法を受けた場合,約7年後から乳癌リスクが高まる。

治療後のサーベイランス

寛解導入療法の終了時点でPET陰性とならない患者には全例で生検を行うべきであり,残存病変が認められる場合は,追加の治療が必要である。寛解になれば,5年間にわたり再発の症候について患者を追跡すべきである。再発所見がみられた患者には,PET/CTまたはCT単独で画像検査を施行すべきである。無症状の患者におけるルーチンの計画的な画像検査は,もはや必須とみなされていないが,症状のない患者でも治療後1年および2年の時点でPET/CTを施行することが妥当である。治療後のサーベイランスのスケジュールについては,Professional.see table ホジキンリンパ腫の治療後のサーベイランス ホジキンリンパ腫の治療後のサーベイランス ホジキンリンパ腫は,リンパ細網系細胞の限局性または播種性の悪性増殖であり,主にリンパ節組織,脾臓,肝臓,および骨髄に浸潤する。症状にとしては,無痛性のリンパ節腫脹のほか,ときに発熱,盗汗,意図しない体重減少,そう痒,脾腫,肝腫大などがある。診断はリンパ節生検に基づく。治療により,約75%の症例で治癒が得られ,化学療法のほか,放射線療法を併用する場合も併用しない場合もある。 (リンパ腫の概要も参照のこと。)... さらに読む ホジキンリンパ腫の治療後のサーベイランス

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要点

  • ホジキンリンパ腫は,B細胞由来である。

  • 通常は,胸部X線または身体診察で検出された無痛性のリンパ節腫脹か,偶発的な縦隔リンパ節腫脹で診断に至る。

  • 生検で本疾患に特有な二核のリード-ステルンベルグ細胞がみられる。

  • 多剤併用化学療法とときに放射線療法を用いる場合の治癒率は全体で70~80%である。

  • ブレンツキシマブと免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブおよびペムブロリズマブは,ホジキンリンパ腫に対する治療の展望に急速な変化をもたらしている新規の治療法である。

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