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高リン血症

執筆者:

James L. Lewis III

, MD, Brookwood Baptist Health and Saint Vincent’s Ascension Health, Birmingham

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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高リン血症とは,血清リン濃度が4.5mg/dL(1.46mmol/L)を上回った状態である。原因には,慢性腎臓病,副甲状腺機能低下症,代謝性または呼吸性のアシドーシスがある。臨床的特徴は随伴する低カルシウム血症によるものと考えられ,テタニーが含まれる。診断は血清リン濃度の測定による。治療には,リンの摂取制限,および炭酸カルシウムなどのリン酸結合性制酸薬の投与がある。

病因

高リン血症の通常の原因は以下のものである:

  • 腎臓からのリン排泄の減少

進行した腎機能不全(GFR< 30mL/min)では,リン排泄が著しく抑制されて血清リン濃度が上昇する。偽性副甲状腺機能低下症 偽性副甲状腺機能低下症 低カルシウム血症とは,血漿タンパク質濃度が正常範囲内にある場合に血清総カルシウム濃度が8.8mg/dL(2.20mmol/L)未満であること,または血清イオン化カルシウム濃度が4.7mg/dL(1.17mmol/L)未満となった状態である。原因には,副甲状腺機能低下症,ビタミンD欠乏症,および腎疾患がある。症状としては,錯感覚,テタニーのほか,重度であれば痙攣,脳症,心不全などがある。診断には,血清アルブミン値で補正された血清カルシウム... さらに読む 副甲状腺機能低下症 副甲状腺機能低下症 低カルシウム血症とは,血漿タンパク質濃度が正常範囲内にある場合に血清総カルシウム濃度が8.8mg/dL(2.20mmol/L)未満であること,または血清イオン化カルシウム濃度が4.7mg/dL(1.17mmol/L)未満となった状態である。原因には,副甲状腺機能低下症,ビタミンD欠乏症,および腎疾患がある。症状としては,錯感覚,テタニーのほか,重度であれば痙攣,脳症,心不全などがある。診断には,血清アルブミン値で補正された血清カルシウム... さらに読む ,副甲状腺機能抑制状態(ビタミンAもしくはDの過剰または肉芽腫性疾患による高カルシウム血症のように)では,腎不全が存在しなくても腎臓からのリン排泄障害が生じることもある。

高リン血症はときに,腎排泄能を上回るほど大量の細胞内リンが細胞外腔にtranscellular shiftした結果生じる。このtranscellular shiftは,以下の病態で最もよく生じる:

高リン血症は,過剰なリンの経口投与や,ときにリン含有浣腸薬の過度の使用に伴って生じる可能性もある。

高タンパク血症(例,多発性骨髄腫 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫は,形質細胞の悪性腫瘍で,単クローン性免疫グロブリンを産生し,隣接する骨組織に浸潤し,それを破壊する。一般的な臨床像としては,骨痛および/または骨折を引き起こす溶骨性骨病変,腎機能不全,高カルシウム血症,貧血,繰り返す感染症などがある。典型的には,Mタンパク質(ときに尿中にみられ,血清中に認められない場合があるが,まれに全く認められない場合もある)および/または軽鎖タンパク尿,および骨髄中の過剰な形質細胞の証明が診断に必要で... さらに読む 多発性骨髄腫 またはマクログロブリン血症 マクログロブリン血症 マクログロブリン血症は,悪性の形質細胞疾患で,B細胞が過剰な量のIgM型Mタンパク質を産生する。臨床像としては,過粘稠,出血,繰り返す感染症,全身性リンパ節腫脹などがみられる。診断には,骨髄検査およびMタンパク質の証明が必要である。治療法としては,過粘稠に必要な血漿交換のほか,アルキル化薬,コルチコステロイド,ヌクレオシドアナログ,イブルチニブ,またはモノクローナル抗体による全身療法などがある。... さらに読む において),脂質異常症 脂質異常症 脂質異常症とは,血漿コレステロール,トリグリセリド(TG)値,もしくはその両方が高値であること,またはHDLコレステロールが低値であることであり,動脈硬化発生に寄与する。原因には原発性(遺伝性)と二次性とがある。診断は,総コレステロール,TG,および各リポタンパク質の血漿中濃度測定による。治療は食事の変更,運動,および脂質低下薬である。 (脂質代謝の概要も参照のこと。) 脂質測定値は連続的であるため,脂質濃度の正常値と異常値を区切る自然... さらに読む 脂質異常症 ,溶血,または高ビリルビン血症がある場合は高リン血症が見かけ上のもの(偽性)に過ぎない可能性がある。

病態生理

高リン血症は,慢性腎臓病患者において,血清中のカルシウム濃度とリン濃度の積が慢性的に55を上回る場合,軟部組織へのカルシウム沈着につながる可能性がある。皮膚の軟部組織の石灰化は,長期透析中の末期腎臓病患者における過度のそう痒の原因の1つである。カルシウムとリンの積が慢性的に上昇した透析患者では,血管石灰化も起こる;この血管石灰化は,脳卒中,心筋梗塞,および跛行などの心血管系合併症の主要な危険因子である。

症状と徴候

高リン血症患者のほとんどは無症状であるが,低カルシウム血症を併発していればテタニーなどの低カルシウム血症の症状 症状と徴候 低カルシウム血症とは,血漿タンパク質濃度が正常範囲内にある場合に血清総カルシウム濃度が8.8mg/dL(2.20mmol/L)未満であること,または血清イオン化カルシウム濃度が4.7mg/dL(1.17mmol/L)未満となった状態である。原因には,副甲状腺機能低下症,ビタミンD欠乏症,および腎疾患がある。症状としては,錯感覚,テタニーのほか,重度であれば痙攣,脳症,心不全などがある。診断には,血清アルブミン値で補正された血清カルシウム... さらに読む が出現しうる。慢性腎臓病患者では軟部組織の石灰化がよくみられる;この石灰化は,容易に触知できる皮下の硬い結節としてみられ,しばしば表層に搔爬痕を伴う。画像検査では,主要動脈を裏打ちする血管石灰化がしばしば示される。

診断

  • リン濃度が4.5mg/dL(1.46mmol/L)を上回る

高リン血症はリン濃度により診断される。病因が明らかでなければ(例,横紋筋融解症,腫瘍崩壊症候群,腎不全,リンを含有する緩下薬の過剰摂取)さらに評価を実施して,副甲状腺機能低下症や副甲状腺ホルモン(PTH)に対する末梢器官の不応症である偽性副甲状腺機能低下症 偽性副甲状腺機能低下症 低カルシウム血症とは,血漿タンパク質濃度が正常範囲内にある場合に血清総カルシウム濃度が8.8mg/dL(2.20mmol/L)未満であること,または血清イオン化カルシウム濃度が4.7mg/dL(1.17mmol/L)未満となった状態である。原因には,副甲状腺機能低下症,ビタミンD欠乏症,および腎疾患がある。症状としては,錯感覚,テタニーのほか,重度であれば痙攣,脳症,心不全などがある。診断には,血清アルブミン値で補正された血清カルシウム... さらに読む などを除外することが妥当である。タンパク質,脂質,およびビリルビンの血清中濃度を測定することによって,血清リン濃度の見かけ上の高値も除外すべきである。

治療

  • リン制限

  • リン吸着剤

  • ときに,食塩水による利尿または血液透析

進行した慢性腎臓病患者の治療の中心はリンの摂取制限であり,これは通常,リンを多量に含有する食物を避け,リン吸着剤を食事とともに服用することによって達成される。アルミニウム含有制酸薬は非常に効果的ではあるものの,アルミニウム関連の認知症および骨軟化症を引き起こす恐れがあるため,末期腎臓病の患者においてリン吸着剤として使用すべきではない。

リン吸着剤としては炭酸カルシウムおよび酢酸カルシウムがしばしば使用される。しかし,カルシウム含有吸着剤を使用している透析患者では,カルシウムとリンの積が過剰になることにより血管の石灰化が生じる可能性があるため,その使用には綿密なモニタリングが必要である。

カルシウムを含まないリン結合性ポリマーであるセベラマーは,透析患者に広く使用されており,800~2400mgを1日3回,食事とともに服用する。炭酸ランタンは,カルシウムを含有しない別のリン吸着剤であり,透析患者で使用される。炭酸ランタンは,500~1000mgを1日3回,食事とともに服用する。

スクロオキシ水酸化鉄は,多くの透析患者がもつ鉄への需要とリン酸結合剤を併せた薬剤である。スクロオキシ水酸化鉄は,500mgを1日3回,食事とともに服用する。

食塩水による利尿は,腎機能が正常な患者における急性高リン血症の症例で,リンの除去を促すために行われることがある。重度の急性高リン血症の症例では,血液透析によってリン濃度を下げることができる。

要点

  • 高リン血症の一般的な原因は,進行した腎機能不全であり,副甲状腺機能低下症と偽性副甲状腺機能低下症は原因としてそれほど一般的ではない。

  • 大半の患者は無症状であるが,低カルシウム血症が併存する患者はテタニーを呈する場合がある。

  • リンの摂取量を制限し,ときにリン吸着剤を使用することにより治療する。

  • 食塩水による利尿または血液透析が必要になる場合がある。

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