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高リン血症

執筆者:

James L. Lewis, III

, MD, Brookwood Baptist Health and Saint Vincent’s Ascension Health, Birmingham

最終査読/改訂年月 2016年 4月
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高リン血症とは,血清リン濃度が4.5mg/dL(1.46mmol/L)を上回った状態である。原因には,慢性腎臓病,副甲状腺機能低下症,代謝性または呼吸性のアシドーシスがある。臨床的特徴は随伴する低カルシウム血症によるものと考えられ,テタニーが含まれる。診断は血清リン濃度の測定による。治療には,リンの摂取制限,および炭酸カルシウムなどのリン酸結合性制酸薬の投与がある。

リン濃度の異常の概要も参照のこと。)

病因

高リン血症の通常の原因は以下のものである:

  • 腎臓からのリン排泄の減少

進行した腎機能不全(GFR< 30mL/min)では,リン排泄が著しく抑制されて血清リン濃度が上昇する。偽性副甲状腺機能低下症,副甲状腺機能低下症,副甲状腺機能抑制状態(ビタミンAもしくはDの過剰または肉芽腫性疾患による高カルシウム血症のように)では,腎不全が存在しなくても腎臓からのリン排泄障害が生じることもある。

高リン血症はときに,腎排泄能を上回るほど大量の細胞内リンが細胞外腔にtranscellular shiftした結果生じる。このtranscellular shiftは,糖尿病性ケトアシドーシス(体内の総リン不足にもかかわらず認められる),挫滅損傷,非外傷性横紋筋融解症,および重篤な全身感染症や腫瘍崩壊症候群で生じる頻度が最も高い。高リン血症は,過剰なリンの経口投与や,ときにリン含有浣腸薬の過度の使用に伴って生じる可能性もある。

高タンパク血症(多発性骨髄腫もしくはマクログロブリン血症),高脂血症,溶血,または高ビリルビン血症がある場合は高リン血症が見かけ上のもの(偽性)に過ぎない可能性がある。

病態生理

高リン血症は,進行した慢性腎臓病を有する患者および透析患者において二次性副甲状腺機能亢進症や腎性骨異栄養症の発生に極めて重要な役割を担っている。

高リン血症は,慢性腎臓病患者において,血清中のカルシウムとリンの積が慢性的に55を上回る場合に,軟部組織へのカルシウム沈着に至る恐れがある。皮膚の軟部組織の石灰化は,長期透析中の末期腎臓病患者における過度のそう痒の原因の1つである。カルシウムとリンの積が慢性的に上昇した透析患者では,血管石灰化も起こる;この血管石灰化は,脳卒中,心筋梗塞,および跛行などの心血管系合併症の主要な危険因子である。

症状と徴候

高リン血症患者のほとんどは無症状であるが,低カルシウム血症を併発していればテタニーなどの低カルシウム血症の症状が出現しうる。慢性腎臓病患者では軟部組織の石灰化がよくみられる;この石灰化は,容易に触知できる皮下の硬い結節としてみられ,しばしば表層に搔爬痕を伴う。画像検査では,主要動脈を裏打ちする血管石灰化がしばしば示される。

診断

  • リン濃度が4.5mg/dL(1.46mmol/L)を上回る

高リン血症はリン濃度により診断される。病因が明らかでなければ(例,横紋筋融解症,腫瘍崩壊症候群,腎不全,リンを含有する緩下薬の過剰摂取)さらに評価を実施して,副甲状腺機能低下症や副甲状腺ホルモン(PTH)に対する末梢器官の不応症である偽性副甲状腺機能低下症などを除外することが妥当である。タンパク,脂質,およびビリルビンの血清中濃度を測定することによって,血清リン濃度の見かけ上の高値も除外すべきである。

治療

  • リン制限

  • リン吸着剤

  • ときに,食塩水による利尿または血液透析

進行した慢性腎臓病患者の治療の中心はリンの摂取制限であり,これは通常,リンを多量に含有する食物を避け,リン吸着剤を食事とともに服用することによって達成される。アルミニウム含有制酸薬は非常に有効ではあるものの,アルミニウム関連の認知症および骨軟化症を引き起こす恐れがあるため,末期腎臓病の患者においてリン吸着剤として使用すべきではない。リン吸着剤としては炭酸カルシウムおよび酢酸カルシウムがしばしば使用される。しかし,カルシウム含有吸着剤を使用している透析患者では,カルシウムとリンの積が過剰になることにより血管の石灰化が生じる可能性があるため,綿密なモニタリングが必要である。カルシウムを含まないリン結合性ポリマーであるセベラマーは,透析患者に広く使用されており,800~2400mgを1日3回,食事とともに服用する。透析患者では,カルシウムを含有しない別のリン吸着剤である炭酸ランタンが用いられる。炭酸ランタンは,500~1000mgを1日3回,食事とともに服用する。スクロオキシ水酸化鉄は,多くの透析患者がもつ鉄への需要とリン酸結合剤を併せた薬剤である。スクロオキシ水酸化鉄は,500mgを1日3回,食事とともに服用する。血液透析である程度のリンは除去できるが,多くの末期腎臓病患者が上記のような食餌療法を行わずに顕著な高リン血症を避けられるほどの効果はない。

食塩水による利尿は,腎機能が正常な場合の急性高リン血症の症例において,リンの除去を促すために行われることがある。重度の急性高リン血症の症例では,血液透析によってリン濃度を下げることができる。

要点

  • 高リン血症の通常の原因は,進行した腎機能不全である;副甲状腺機能低下症および偽性副甲状腺機能低下症は,それほど一般的な原因ではない。

  • 大半の患者は無症状であるが,低カルシウム血症が併存する患者はテタニーを呈する場合がある。

  • リンの摂取量を制限し,ときにリン吸着剤を使用することにより治療する。

  • 食塩水による利尿または血液透析が必要になる場合がある。

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