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単純性(非中毒性)甲状腺腫

(甲状腺機能正常(euthyroid)甲状腺腫)

執筆者:

Jerome M. Hershman

, MD, MS, David Geffen School of Medicine at UCLA

最終査読/改訂年月 2016年 7月

甲状腺機能の概要も参照のこと。)

単純性(非中毒性)甲状腺腫はびまん性または結節性の非癌性甲状腺肥大であり,甲状腺機能亢進症,甲状腺機能低下症,および炎症を伴わない。重度のヨウ素欠乏症である場合を除き,甲状腺機能は正常で,明らかに腫大した圧痛のない甲状腺以外は患者は無症状である。診断は臨床的に行い,甲状腺機能が正常であることを確認する。治療は原因に対して行うが,極めて大きい甲状腺腫では外科的部分切除を要する場合がある。

単純性(非中毒性)甲状腺腫は最も一般的な種類の甲状腺腫大であり,思春期,妊娠中,および閉経期にしばしば認められる。これらの時期での原因は通常不明である。既知の原因としては以下のものがある:

  • 内因性の甲状腺ホルモン産生不足

  • 甲状腺ホルモンの合成を阻害する物質を含む食べもの(甲状腺腫誘発物質,例,キャッサバ,ブロッコリー,カリフラワー,キャベツ)の摂取(ヨウ素欠乏が一般的な国にみられる)

  • 甲状腺ホルモン合成を減少させうる薬剤(例,アミオダロンまたは他のヨード含有化合物,リチウム)の使用

ヨウ素欠乏症は北米ではまれであるが,世界的には依然として甲状腺腫の最も頻度の高い原因である(地方病性甲状腺腫と呼ばれる)。代償性の甲状腺刺激ホルモン(TSH)のわずかな上昇が生じ甲状腺機能低下症を防ぐが,TSH刺激は甲状腺腫の形成をもたらす。刺激と退縮の周期が繰り返され,非中毒性結節性甲状腺腫が形成される。しかし,ヨードが十分にある地域でみられる大半の非中毒性甲状腺腫の真の病因は不明である。

症状と徴候

患者にはヨード摂取不足や,食物性甲状腺腫誘発物質の過剰摂取歴が認められる場合があるが,これらの現象は北米ではまれである。病初期の甲状腺腫は典型的には軟らかく,左右対称で平滑である。後期になると,多発性結節や嚢胞が生じることがある。

診断

  • 甲状腺の放射性ヨード摂取率

  • 甲状腺シンチグラフィー

  • 甲状腺超音波検査

  • サイロキシン(T4),トリヨードサイロニン(T3),およびTSHの各値

病初期には,甲状腺の放射性ヨード摂取率は正常または高値を示し,甲状腺シンチグラフィーは正常である。甲状腺機能検査の結果は通常正常である。橋本甲状腺炎を除外するため甲状腺抗体を測定する。

地方病性甲状腺腫では,血清TSHはわずかに上昇し,血清T4は正常低値またはわずかに低値である場合があるが,血清T3は通常,正常範囲内であるかまたはわずかに上昇している。

甲状腺超音波検査は癌を示唆する結節の有無を判定するために行われる。

治療

  • 原因により異なる

ヨード欠乏地域では,ヨード補充塩,年1回のヨード化油の経口投与または筋肉内投与,水や農作物,家畜用飼料へのヨード添加などによってヨード欠乏性甲状腺腫を予防している。甲状腺腫誘発物質の摂取をやめさせるべきである。

他の例として,甲状腺ホルモンにより視床下部-下垂体系を抑制することにより,TSH産生(したがって甲状腺刺激)を阻害する方法がある。TSHを完全に抑制する用量のl-チロキシン(血清TSHに応じて100~150μg/日を経口投与)が若年患者では有用である。

非中毒性結節性甲状腺腫の高齢患者ではl-チロキシンは禁忌であり,その理由はこのような甲状腺腫が縮小することはまれであり,自律性の領域を有するためl-サイロキシン療法が甲状腺機能亢進症を引き起こしうることによる。

巨大な甲状腺腫では,呼吸や嚥下障害の予防に十分な大きさまで甲状腺を縮小させるため,または美容上の問題を解決するために,ときに手術または131Iが必要となる。

要点

  • 甲状腺機能検査は通常正常である。

  • 原因がヨウ素欠乏症である場合は,ヨード補充が効果的な治療である。

  • l-チロキシンの投与によるTSH産生の阻害は,若年患者において甲状腺の刺激を停止させ,甲状腺腫を縮小させるのに有用である。

  • 巨大な甲状腺腫には手術または131Iが必要となる場合がある。

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