甲状腺結節を有する患者へのアプローチ

執筆者:Laura Boucai, MD, Weill Cornell Medical College
Reviewed ByGlenn D. Braunstein, MD, Cedars-Sinai Medical Center
レビュー/改訂 修正済み 2024年 2月
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甲状腺結節は甲状腺内部の良性または悪性の腫瘍である。一般的にみられ,加齢に伴い増加傾向を示す。

甲状腺機能の概要も参照のこと。)

報告されている甲状腺結節の発生率には,評価方法による幅がみられる。中高年では触診により約5%で結節が判明する。超音波検査および剖検研究の結果から,高齢者の約50%に結節が存在することが示唆されている(1)。結節の多くは,他疾患に対する頭頸部の画像検査で偶然発見される。

総論の参考文献

  1. 1.Haugen BR, Alexander EK, Bible KC, et al.2015 American Thyroid Association Management Guidelines for Adult Patients with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer: The American Thyroid Association Guidelines Task Force on Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer. Thyroid 2016;26(1):1-133.doi:10.1089/thy.2015.0020

甲状腺結節の病因

結節の大半は良性である。良性の原因としては以下のものがある:

  • 過形成によるコロイド甲状腺腫

  • 甲状腺嚢胞

  • 甲状腺炎

  • 甲状腺腺腫

悪性の原因としては以下のものがある:

甲状腺結節の評価

病歴

甲状腺結節は大半が無症状であるが,ときに疼痛を伴ったり,頸部に圧迫症状を引き起こしたりすることもある。疼痛は甲状腺炎または嚢胞内への出血を示唆する。無症候性の結節は,悪性の場合もあるが,通常は良性である。嚥下困難,呼吸困難,嗄声などの圧迫症状がみられる場合,結節が悪性である可能性が高まる。

甲状腺機能亢進症の症状(例,動悸,耐暑性低下,体重減少,振戦)は機能の亢進した腺腫または甲状腺炎を示唆する一方,甲状腺機能低下症の症状(例,耐寒性低下,体重増加,疲労感)は橋本病を示唆する。

甲状腺癌の危険因子としては以下のものがある:

  • 甲状腺照射歴(特に乳児期または小児期における)

  • 年齢55歳以上

  • 女性(1)

  • 甲状腺癌または多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴

  • 孤立性結節または甲状腺腫

  • 嚥下困難

  • 発声障害

  • サイズの増大(特に,急速な成長または甲状腺の抑制療法施行中の成長)

  • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)高値

女性であることは甲状腺癌の危険因子であるが,男性,特に高齢男性では進行の速い甲状腺癌である可能性が比較的高い。

身体診察

甲状腺癌を示唆する徴候としては,石様硬または周囲構造への固定,頸部リンパ節腫脹,嗄声(反回神経麻痺による)などがある。

臨床検査

臨床検査による甲状腺結節の初期評価では以下の検査を行う:

  • TSH

TSHが低値(甲状腺機能亢進症と一致する所見)の場合は,放射性ヨウ素摂取率の測定とシンチグラフィーを行う。放射性核種の摂取率が上昇している(ホット)結節が悪性であることはほとんどない。

甲状腺機能検査で甲状腺機能亢進症が示唆されない場合は,甲状腺超音波検査による結節の評価が次のステップとなる。

甲状腺画像検査

超音波検査は,結節のサイズ判定と以下の疑わしい超音波所見の検出に有用である:

  • 低エコー

  • 内部の著明な血管分布

  • 不整な境界

  • 結節の縦径が横径より大きい

  • 不整な巨大石灰化

  • 微細点状の砂粒状微小石灰化(甲状腺乳頭癌)

  • 高密度かつ均一な不整石灰化(甲状腺髄様癌)

Thyroid Imaging Reporting and Data System(TI-RADS)は,主に超音波所見に基づく甲状腺癌のリスク層別化システムである。TI-RADSの分類は結節の大きさ,エコー輝度,組成,形状,辺縁,および高エコー点に基づくものであり,穿刺吸引細胞診の施行時期を決定するのに有用である(2)。

疑わしい特徴を有する1cm超の結節(TI-RADS 5)または中等度に疑わしい特徴を有する1.5cm超の結節(TI-RADS 4)に対しては,超音波ガイド下で行う穿刺吸引細胞診(FNA)が良性結節を悪性結節と鑑別する上で選択すべき手技である。一般に,1cm未満の結節と全体が嚢胞性の結節にはFNAは推奨されない。

穿刺吸引細胞診

別の有用なリスク層別化ツールとして,甲状腺細胞診ベセスダシステムがある。FNAで採取した検体の細胞診により,良性病変(ベセスダII)を悪性疑い(ベセスダV)または悪性(ベセスダVI)病変と鑑別できることがある。細胞診で診断がつかない病変(ベセスダIIIまたはIV)(3)に対しては,遺伝子変異および再構成を検索するFNA検体の分子遺伝学的分析か,甲状腺髄様癌の検査としてカルシトニンの測定を行うことにより,診断上十分な情報が得られて,至適な情報に基づく治療の推奨が可能になることがある。

評価に関する参考文献

  1. 1.Lim H, Devesa SS, Sosa JA, Check D, Kitahara CM.Trends in Thyroid Cancer Incidence and Mortality in the United States, 1974-2013. JAMA 2017;317(13):1338-1348.doi:10.1001/jama.2017.2719

  2. 2.Tessler FN, Middleton WD, Grant EG, et al.ACR Thyroid Imaging, Reporting and Data System (TI-RADS): White Paper of the ACR TI-RADS Committee. J Am Coll Radiol 2017;14(5):587-595.doi:10.1016/j.jacr.2017.01.046

  3. 3.Ali SZ, Baloch ZW, Cochand-Priollet B, Schmitt FC, Vielh P, VanderLaan PA.The 2023 Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology. Thyroid 2023;33(9):1039-1044.doi:10.1089/thy.2023.0141

甲状腺結節の治療

  • 甲状腺ホルモン

  • ラジオ波焼灼術

  • 甲状腺切除術

  • 放射性ヨウ素

悪性結節の治療については甲状腺癌で考察されている。

治療は原因疾患を対象とし,細胞診の結果に応じて行う(1)。

橋本病や甲状腺機能低下症を伴う甲状腺腫の他の原因がみられる患者の良性結節は,甲状腺機能を正常化させる用量でサイロキシンを補充することで,安定化または縮小することがある。甲状腺機能低下症を伴わない小さな良性結節(通常は1.5cm以下)については,サイロキシンによるTSH抑制で効果的な結節縮小が得られる症例は半数以下であり,めったに行われない。悪性結節の治療にサイロキシンは使用されない。

周囲の頸部組織を圧迫している大きな良性結節は,ラジオ波焼灼術の施行後に縮小することがある。

甲状腺の部分切除または全摘は,増大を続ける結節や圧迫症状を引き起こしている結節の治療に効果的である。

中毒性(甲状腺ホルモンを産生し,症候性の甲状腺機能亢進症を引き起こす)結節は,甲状腺機能亢進症のコントロールと結節の縮小を目的として放射性ヨウ素で治療してもよい。

甲状腺癌によるものではなく,圧迫症状を引き起こしておらず,甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症のいずれも伴っていない結節については,頸部診察を定期的に行いつつ,結節の増大が疑われた場合に超音波検査を再施行することにより,安全に経過を追跡することができる。

治療に関する参考文献

  1. 1.Haugen BR, Alexander EK, Bible KC, et al: 2015 American Thyroid Association Management Guidelines for Adult Patients with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer: The American Thyroid Association Guidelines Task Force on Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer.Thyroid 26(1): 1–133, 2016.doi: 10.1089/thy.2015.0020

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