Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

硬膜外および硬膜下膿瘍

執筆者:

John E. Greenlee

, MD, University of Utah Health

最終査読/改訂年月 2019年 1月
患者さん向けの 同じトピックページ はこちら

硬膜外膿瘍は,硬膜と頭蓋骨の間に膿が蓄積した状態である。硬膜下膿瘍は,硬膜とその下にあるくも膜の間に膿が蓄積した状態である。硬膜外膿瘍の症状としては,発熱,頭痛,嘔吐などのほか,ときに嗜眠,局所神経脱落症状,痙攣発作,昏睡などもみられる。硬膜下膿瘍の症状としては,発熱,嘔吐,意識障害のほか,一側脳半球の広範な障害を示唆する神経学的徴候の急速な出現などがある。診断は造影MRIまたは(MRIが可能でない場合は)造影CTによる。治療は外科的ドレナージおよび抗菌薬投与による。

病因

頭蓋内硬膜外膿瘍および硬膜下膿瘍は,通常は 副鼻腔炎 副鼻腔炎 副鼻腔炎はウイルス,細菌,もしくは真菌性感染症またはアレルギー反応による副鼻腔の炎症である。症状としては,鼻閉,膿性鼻汁,顔面痛または顔面の圧迫感などのほか,ときに倦怠感,頭痛,発熱もみられる。急性ウイルス性鼻炎を想定した治療には,蒸気吸入および血管収縮薬の局所薬または全身投与などがある。細菌感染が疑われる場合の治療は,アモキシシリン/クラブラン酸またはドキシサイクリンなどの抗菌薬を,急性副鼻腔炎には5~7日間,慢性副鼻腔炎には最長6週... さらに読む 副鼻腔炎 (特に前頭洞,篩骨洞,蝶形骨洞)または 中耳炎 中耳炎(慢性化膿性) 慢性化膿性中耳炎は,長期間持続する化膿性の鼓膜穿孔が生じて慢性の排膿(6週間以上)がみられる病態である。症状としては,伝音難聴を伴う痛みのない耳漏などがある。合併症には,耳のポリープの発生,真珠腫,および他の感染症などがある。治療として,1日数回の外耳道の完全な洗浄,肉芽組織の慎重な除去,外用コルチコステロイドおよび抗菌薬の投与が必要である。抗菌薬の全身投与および手術は,重症例にのみ実施する。... さらに読む 中耳炎(慢性化膿性) の合併症として生じたものであるが,その他の耳の感染症,頭蓋外傷または手術,まれに菌血症からも発生することがある。病原体は, 脳膿瘍 病因 脳膿瘍は脳内に膿が蓄積した状態である。症状としては,頭痛,嗜眠,発熱,局所神経脱落症状などがある。診断は造影MRIまたはCTによる。治療は抗菌薬に加えて,通常はCTガイド下穿刺吸引術または外科的ドレナージによる。 (脳感染症に関する序論も参照のこと。) 脳膿瘍は,脳の炎症領域が壊死に陥り,その周囲を神経膠細胞と線維芽細胞が被膜で覆うことによって形成される。膿瘍周囲の浮腫は,膿瘍そのものと同様に,頭蓋内圧を亢進させることがある。... さらに読む 病因 を引き起こすもの(例,黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus],Bacteroides fragilis)と同様である。

合併症

硬膜外膿瘍は,硬膜下腔に進展して硬膜下膿瘍を引き起こすことがある。硬膜外膿瘍と硬膜下膿瘍はともに,髄膜炎,皮質静脈血栓症,または脳膿瘍に進行しうる。硬膜下膿瘍は急速に広がり,一側脳半球全体に及ぶこともある。

症状と徴候

発熱,頭痛,嗜眠,局所神経脱落症状(急速に進行する障害から一側の脳半球に広く波及した病変が示唆される場合は,しばしば硬膜下膿瘍を示唆する),および痙攣発作が通常数日の間に進行する。

無治療では急速に昏睡に陥って死に至り,硬膜下膿瘍では特に急速である。

診断

  • 造影MRI

硬膜外膿瘍または硬膜下膿瘍の診断は,造影MRIまたは(MRIが可能でない場合は)造影CTによる。血液および外科的検体で好気および嫌気培養を行う。

乳児の場合,硬膜下穿刺により診断できることがあり,これにより圧迫を軽減しうる。

治療

  • 外科的ドレナージ

  • 抗菌薬

硬膜外または硬膜下膿瘍とその基礎にある副鼻腔内の液体に対し,緊急の外科的ドレナージを施行すべきである。

培養結果が出るまでにカバーすべき抗菌薬のスペクトラムは, 脳膿瘍の治療に用いられる抗菌薬 治療 治療 と同様であるが(例,セフォタキシム,セフトリアキソン,メトロニダゾール,バンコマイシン),幼児の場合は例外で,併発する髄膜炎に対して別の抗菌薬が必要になることがある( 急性細菌性髄膜炎に対する初期抗菌薬 急性細菌性髄膜炎に対する初期抗菌薬 急性細菌性髄膜炎に対する初期抗菌薬 および 急性細菌性髄膜炎に対する一般的な静注抗菌薬の用量 急性細菌性髄膜炎に対する一般的な静注抗菌薬の用量* 急性細菌性髄膜炎に対する一般的な静注抗菌薬の用量* の表を参照)。

抗てんかん薬の投与と頭蓋内圧の軽減が必要になることもある。

要点

  • 硬膜外膿瘍と硬膜下膿瘍は,髄膜炎,皮質静脈血栓症,または脳膿瘍に進行することがあり,硬膜下膿瘍は急速に広がって一側脳半球全体に及ぶこともある。

  • 発熱,頭痛,嗜眠,局所神経脱落症状,および痙攣発作が通常は数日かけて現れる;嘔吐や乳頭浮腫もよくみられる。

  • 無治療の場合,急速に昏睡を来して死に至る。

  • 硬膜外膿瘍または硬膜下膿瘍の診断は,造影MRIまたは(MRIが可能でない場合は)造影CTによる。

  • 腰椎穿刺で有用な情報が得られることはほとんどなく,テント切痕ヘルニアを助長する可能性がある。

  • 硬膜外または硬膜下膿瘍とその基礎にある副鼻腔内の液体を可及的速やかにドレナージし,抗菌薬(例,セフォタキシム,セフトリアキソン,メトロニダゾール,バンコマイシン)による治療を行う。

患者さん向けの 同じトピックページ はこちら
家庭版で同じトピック をみる
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
ANDROID iOS
TOP