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硬膜外および硬膜下膿瘍

執筆者:

John E. Greenlee

, MD, University of Utah School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 1月

硬膜外膿瘍は,硬膜と頭蓋骨の間に膿が蓄積した状態である。硬膜下膿瘍は,硬膜とその下にあるくも膜の間に膿が蓄積した状態である。硬膜外膿瘍の症状としては,発熱,頭痛,嘔吐などのほか,ときに嗜眠,局所神経脱落症状,痙攣発作,昏睡などもみられる。硬膜下膿瘍の症状としては,発熱,嘔吐,意識障害のほか,一側脳半球の広範な障害を示唆する神経学的徴候の急速な出現などがある。診断は造影MRIまたは(MRIが可能でない場合は)造影CTによる。治療は外科的ドレナージおよび抗菌薬投与による。

脳感染症に関する序論も参照のこと。)

病因

頭蓋内硬膜外膿瘍および硬膜下膿瘍は,通常は副鼻腔炎(特に前頭洞,篩骨洞,蝶形骨洞)の合併症として生じたものであるが,耳の感染症,頭蓋外傷または手術,まれに菌血症からも発生することがある。病原体は,脳膿瘍を引き起こすもの(例,黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus],Bacteroides fragilis)と同様である。

5歳未満の小児では,通常は細菌性髄膜炎が原因である;小児期の髄膜炎は現在ではまれとなっているため,小児期の硬膜下膿瘍もまれである。

合併症

硬膜外膿瘍は,硬膜下腔に進展して硬膜下膿瘍を引き起こすことがある。硬膜外膿瘍と硬膜下膿瘍はともに,髄膜炎,皮質静脈血栓症,または脳膿瘍に進行しうる。硬膜下膿瘍は急速に広がり,一側脳半球全体に及ぶこともある。

症状と徴候

発熱,頭痛,嗜眠,局所神経脱落症状(急速に進行する障害から一側の脳半球に広く波及した病変が示唆される場合は,しばしば硬膜下膿瘍を示唆する),および痙攣発作が通常数日の間に進行する。

頭蓋内硬膜外膿瘍の患者はまた,前頭骨の骨膜下膿瘍および骨髄炎(Pott腫脹性腫瘍)を併発することがあり,硬膜下膿瘍の患者は髄膜刺激徴候を示すことがある。硬膜外および硬膜下膿瘍では,嘔吐および乳頭浮腫がよくみられる。

無治療の場合,急速に昏睡を来して死に至る。

診断

  • 造影MRI

硬膜外膿瘍または硬膜下膿瘍の診断は,造影MRIまたは(MRIが可能でない場合は)造影CTによる。血液および外科的検体で好気および嫌気培養を行う。

腰椎穿刺で有用な情報が得られることはほとんどなく,テント切痕ヘルニアを助長する可能性がある。髄膜刺激徴候を示す患者で頭蓋内硬膜外膿瘍または硬膜下膿瘍が疑われる場合(例,数日間の症状持続期間,局所神経脱落症状,または危険因子に基づいて)は,神経画像検査により腫瘤病変が除外されない限り,腰椎穿刺は禁忌である。乳児の場合,硬膜下穿刺により診断できることがあり,これにより圧迫を軽減しうる。

治療

  • 外科的ドレナージ

  • 抗菌薬

硬膜外または硬膜下膿瘍とその基礎にある副鼻腔内の液体に対し,緊急の外科的ドレナージを施行すべきである。

培養結果が出るまでにカバーすべき抗菌薬のスペクトラムは,脳膿瘍の治療に用いられる抗菌薬と同様であるが(例,セフォタキシム,セフトリアキソン,メトロニダゾール,バンコマイシン),幼児の場合は例外で,併発する髄膜炎に対して別の抗菌薬が必要になることがある( 急性細菌性髄膜炎に対する初期抗菌薬および 急性細菌性髄膜炎に対する一般的な抗菌薬の用量*)。

抗てんかん薬および頭蓋内圧の軽減が必要になることもある。

要点

  • 硬膜外膿瘍と硬膜下膿瘍は,髄膜炎,皮質静脈血栓症,または脳膿瘍に進行することがあり, 硬膜下膿瘍は急速に広がって一側脳半球全体に及ぶこともある。

  • 発熱,頭痛,嗜眠,局所神経脱落症状,および痙攣発作が通常は数日かけて現れる;嘔吐や乳頭浮腫もよくみられる。

  • 無治療の場合,急速に昏睡を来して死に至る。

  • 硬膜外膿瘍または硬膜下膿瘍の診断は,造影MRIまたは(MRIが可能でない場合は)造影CTによる。

  • 腰椎穿刺で有用な情報が得られることはほとんどなく,テント切痕ヘルニアを助長する可能性がある。

  • 硬膜外または硬膜下膿瘍とその基礎にある副鼻腔内の液体を可及的速やかにドレナージし,抗菌薬(例,セフォタキシム,セフトリアキソン,メトロニダゾール,バンコマイシン)による治療を行う。

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