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脳卒中の概要

執筆者:

Elias A. Giraldo

, MD, MS, California University of Science and Medicine School of Medicine

医学的にレビューされた 2017年 2月
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脳卒中とは,神経脱落症状を引き起こす突然の局所的な脳血流遮断が生じる多様な疾患群である。脳卒中には以下の種類がある:

米国では,脳卒中は5番目に多い死亡原因となっており,成人における神経学的障害の原因としては最も頻度が高い。

脳卒中には脳の動脈系( Professional.see figure 脳の動脈系 脳の動脈系 脳の動脈系 ),すなわち前方循環系(内頸動脈の分枝)と後方循環系(椎骨および脳底動脈の分枝)のいずれかが関与する。

脳の動脈系

前大脳動脈は,前頭葉および頭頂葉の内側部と脳梁に血液を供給する。中大脳動脈は,前頭葉,頭頂葉,および側頭葉表層部の大部分に血液を供給する。前大脳動脈の分枝と中大脳動脈の分枝(レンズ核線条体動脈)は,基底核および内包前脚に血液を供給する。

椎骨および脳底動脈は,脳幹,小脳,後大脳皮質,および側頭葉内側部に血液を供給する。後大脳動脈は脳底動脈から分岐して,側頭葉(海馬を含む)および後頭葉の内側部,視床,ならびに乳頭体および膝状体に血流を供給する。

前方循環系と後方循環系はウィリス動脈輪で連絡している。

脳の動脈系

危険因子

脳卒中のリスク増大に最も大きく寄与する是正可能な因子を以下に示す:

是正できない危険因子としては以下のものがある:

  • 脳卒中の既往

  • 高齢

  • 脳卒中の家族歴

危険因子に関する参考文献

症状と徴候

脳卒中の初期症状は突然現れる。一般的には,対側四肢および顔面のしびれ,脱力,または麻痺;失語;錯乱;片眼または両眼の視覚障害(例,一過性黒内障);浮動性めまいまたは平衡および協調運動障害;頭痛などがみられる。

神経脱落症状は脳の病変部位を反映したものとなる( Professional.see table 主な脳卒中症候群 主な脳卒中症候群 主な脳卒中症候群 )。前方循環系の脳卒中は典型的には片側性の症状を引き起こす。後方循環系の脳卒中で生じる障害は片側性のこともあれば両側性のこともあり,意識障害が生じる可能性が高く,特に脳底動脈が侵された場合にその傾向が強い。

ときに全身症状または自律神経症状(例,高血圧,発熱)が生じる。

神経脱落症状よりも,その他の臨床像から脳卒中の病型が示唆される場合が多い。例えば以下のものがある:

合併症

脳卒中の合併症には,睡眠障害,錯乱,抑うつ,失禁,無気肺,肺炎,嚥下障害などがあり,嚥下障害は誤嚥,脱水,低栄養の原因となりうる。不動状態から血栓性疾患,デコンディショニング,サルコペニア,尿路感染症,褥瘡,および拘縮を来すことがある。

日常機能(歩く,見る,感じる,記憶する,考える,話すなどの能力)が低下することがある。

評価

評価の目的は以下の項目を明らかにすることである:

  • 脳卒中はいつ発生したか

  • 脳卒中は虚血性か出血性か

  • 緊急治療は必要かどうか

  • 脳卒中の再発を予防するための最善策は何か

  • リハビリテーションを行うか否か,またその方法

以下のうち1つでも該当する項目があれば,脳卒中が疑われる:

  • ある動脈支配領域の脳損傷と矛盾しない突然の神経脱落症状

  • 特に突然生じた重度の頭痛

  • 突然かつ原因不明の昏睡

  • 突然の意識障害

低血糖を除外するためにベッドサイドで血糖値を測定する。

脳卒中が疑われる場合は,出血性脳卒中と虚血性脳卒中を鑑別して頭蓋内圧亢進の徴候を検出するため,直ちに 脳画像検査 診断 虚血性脳卒中とは,局所的な脳虚血に起因して突然生じる神経脱落症状のうち,永続的な脳梗塞(例,MRIの拡散強調画像で陽性となるもの)を伴うものである。一般的な原因は(頻度の高い順に)太い動脈のアテローム血栓性閉塞;脳塞栓症(塞栓性脳梗塞);深部の細い脳動脈の非血栓性閉塞(ラクナ梗塞);および近位部の動脈狭窄に加えて動脈分水嶺領域の脳血流量を... さらに読む 診断 を行う必要がある。CTは頭蓋内出血に対する感度が高いが,前方循環系の虚血性脳卒中では,症状出現後最初の数時間は何の異常もみられないか,あっても微妙な変化に限られることがある。またCTでは,後方循環系の小さな脳卒中の一部が見逃される。MRIは頭蓋内出血に対する感度が高く,CTで見逃された虚血性脳卒中の徴候を検出できることがあるが,通常はCTの方がより迅速に施行できる。臨床的に疑われた脳卒中がCTで確認できない場合には,通常はMRIの拡散強調画像によって虚血性脳卒中を同定できる。

脳卒中が虚血性と出血性のどちらであるかを特定できたら,原因同定のための検査を行う。併存する急性の全身性疾患(例,感染症,脱水,低酸素症,高血糖,高血圧)についても評価を行う。脳卒中後には抑うつがよくみられるため,患者に抑うつがないかどうか尋ねる。摂食嚥下チームが嚥下困難の評価を行うが,ときに食道造影が必要になることがある。

治療

  • 状態の安定化

  • 一部の虚血性脳卒中に対する再灌流療法

  • 支持療法および合併症の治療

  • 脳卒中の再発を予防するための戦略

完全な評価を行う前に状態の安定化が必要になることがある。昏睡を含む意識障害のある患者(例,グラスゴーコーマスケール[Glasgow Coma Scale] 8)には, 気道確保 機械的人工換気の概要 機械的人工換気には以下の種類がある: 非侵襲的,様々な種類のフェイスマスクを使用する 侵襲的, 気管挿管を伴う 適切な手法の選択および使用には呼吸力学の理解が必要である。 気管挿管および機械的人工換気の適応は極めて多彩であるが( Professional.see table 気道管理が必要となる状況),一般には,気道の確保または十分な酸素... さらに読む が必要になることがある。頭蓋内圧亢進が疑われる場合は, 頭蓋内圧のモニタリング 頭蓋内圧モニタリング 重症患者のモニタリングは,直接観察および身体診察に基づき,患者の病状に応じた頻度で断続的に行われる。同時に,その他,機器を用いた持続的モニタリングも行われ,操作に特別な訓練および経験を必要とする複雑な機器を用いる。そうした機器のほとんどは,生理学的パラメータの測定値が設定値を超えると警報を発する。全てのICUにおいて,警報を確認する際には... さらに読む 脳浮腫を軽減するための処置 頭蓋内圧亢進 外傷性脳損傷(TBI)は,脳機能を一時的または恒久的に障害する脳組織の物理的損傷である。診断は臨床的に疑い,画像検査(主にCT)により確定する。初期治療は確実な気道確保,十分な換気,酸素化,および血圧の維持で構成される。損傷が重度の患者では,しばしば外科手術が必要となり,頭蓋内圧亢進の追跡および治療のためにモニターを設置し,頭蓋内圧亢進に... さらに読む 頭蓋内圧亢進 が必要になることがある。

具体的な急性期治療は脳卒中の病型により異なる。一部の虚血性脳卒中に対する 再灌流療法 急性脳卒中の治療 急性脳卒中の治療 (例,遺伝子組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター,血栓溶解療法,機械的血栓除去術)もその1つである。

急性期および回復期( Professional.see table 脳卒中合併症を予防および治療するための戦略 脳卒中合併症を予防および治療するための戦略 脳卒中合併症を予防および治療するための戦略 )には,支持療法を行い,併存する異常(例,発熱,低酸素症,脱水,高血糖,ときに高血圧)を是正し,合併症を予防および治療することが極めて重要であり,これらの対策により,臨床的な転帰に明らかな改善がみられる(1 治療に関する参考文献 脳卒中とは,神経脱落症状を引き起こす突然の局所的な脳血流遮断が生じる多様な疾患群である。脳卒中には以下の種類がある: 虚血性(80%):典型的には血栓または塞栓によって生じる 出血性(20%):血管の破裂によって生じる(例, くも膜下出血, 脳内出血) 明らかな急性脳梗塞の所見(MRIの拡散強調画像に基づく)を伴わない一過性(典型的には1... さらに読む 治療に関する参考文献 )。回復期には,誤嚥,深部静脈血栓症,尿路感染症,褥瘡,および低栄養を予防するための対策が必要になることがある。他動運動訓練(特に麻痺のある四肢の運動)と呼吸訓練を早期に開始することにより,拘縮,無気肺,および肺炎を予防する。

脳卒中後の抑うつに対して抗うつ薬が必要になることがあり,多くの患者ではカウンセリングが有益となる。

生活習慣の改善(例,禁煙)と薬物療法(例,高血圧に対するもの)によって危険因子を是正することが,脳卒中再発の遅延または予防に役立つ可能性がある。患者が有する危険因子に応じて,その他の脳卒中予防策を選択する。 虚血性脳卒中 脳卒中の長期的治療 脳卒中の長期的治療 を予防するための戦略としては,各種処置(例,頸動脈内膜剥離術,ステント留置術),抗血小板療法,抗凝固療法などが用いられる。

治療に関する参考文献

  • 1.Jauch EC, Saver JL, Adams HP Jr, et al: Guidelines for the early management of patients with acute ischemic stroke: A guideline for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association.Stroke 44 (3):870–947, 2013. doi: 10.1161/STR.0b013e318284056a.

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