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過敏性肺炎

(外因性アレルギー性肺胞炎)

執筆者:

Joyce Lee

, MD, MAS, University of Colorado School of Medicine

最終査読/改訂年月 2019年 9月
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過敏性肺炎は,環境性(しばしば職業性)抗原への感作および続発する過敏反応により引き起こされる咳嗽,呼吸困難,および疲労から成る症候群である。急性,亜急性,および慢性の形態が存在する;全てが急性の間質性炎症,ならびに長期曝露に伴う肉芽腫および線維化の発生を特徴とする。診断は病歴,身体診察,画像検査,気管支肺胞洗浄,および生検の組合せに基づく。短期治療はコルチコステロイドにより行う;長期治療は抗原回避であり,線維化がある場合はしばしば免疫抑制薬が使用される。

病因

300を超える抗原が過敏性肺炎の誘因として同定されているが,そのうち農業,鳥,および汚染水を通じて遭遇する抗原が症例の約75%を占める。

抗原は一般的にタイプおよび職業によって分類される(Professional.see table 過敏性肺炎の例 過敏性肺炎の例 過敏性肺炎は,環境性(しばしば職業性)抗原への感作および続発する過敏反応により引き起こされる咳嗽,呼吸困難,および疲労から成る症候群である。急性,亜急性,および慢性の形態が存在する;全てが急性の間質性炎症,ならびに長期曝露に伴う肉芽腫および線維化の発生を特徴とする。診断は病歴,身体診察,画像検査,気管支肺胞洗浄,および生検の組合せに基づく。短期治療はコルチコステロイドにより行う;長期治療は抗原回避であり,線維化がある場合はしばしば免疫抑... さらに読む 過敏性肺炎の例 );農夫肺はその基本型で,好熱性放線菌を含む干し草の塵埃を吸入することで引き起こされる。農業従事者における過敏性肺炎と慢性気管支炎には相当な重複が存在するが,農業従事者では慢性気管支炎の方がはるかに頻度が高く,これは喫煙状態に関係なく発生し,好熱性放線菌曝露に関連し,診断検査では過敏性肺炎と類似した所見がみられる。

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病態生理

循環血中の沈降抗体(抗原に感作された抗体)には,病因としての主要な役割はないと考えられ,またアレルギー歴(喘息および季節性アレルギーなど)も本疾患に対する素因ではない。喫煙は,おそらくは吸入抗原に対する肺の免疫応答を抑制することで,発症を遅延または回避させると考えられる。しかしながら,一旦疾患が確立すると,喫煙は疾患を悪化させる可能性がある。

過敏性肺炎は,病態生理が異なる他の疾患と臨床的に類似している。

症状と徴候

症状および徴候は,以下の発症様式によって異なる傾向がある。

  • 急性

  • 亜急性

  • 慢性

症状は,曝露した人のうちのごく少数に発現し,ほとんどの症例で曝露および感作から数週間から数カ月経過して初めて現れる。

急性過敏性肺炎

急性型は,すでに感作されている人が急性に高濃度の抗原に曝露することによって起こり,曝露後4~8時間に発熱,悪寒,咳嗽,両側性の締め付けるような胸の痛み(喘息で起こりうるような),および呼吸困難として現れる。食欲不振,悪心,および嘔吐を呈する場合もある。身体診察では,頻呼吸,吸気時のびまん性の捻髪音またはそれに近い断続性ラ音が聴取され,ほぼ全例で喘鳴を欠く。

慢性過敏性肺炎

慢性型は,低濃度の抗原に長期間曝露した人(鳥の飼い主など)に生じ,労作時呼吸困難,湿性咳嗽,疲労,および体重減少が数カ月から数年かけて現れる。身体所見はほとんどない;ばち状指がまれに生じるが,発熱はみられない。進行例では,肺の線維化により右心不全 肺性心 肺性心とは,肺動脈性肺高血圧症を引き起こす肺疾患に続発して右室拡大が生じる病態である。続いて右室不全へと至る。所見には,末梢浮腫,頸静脈怒張,肝腫大,胸骨近傍の挙上などがある。診断は臨床的に行い,心エコー検査による。治療は原因に対して行う。 肺性心は肺またはその血管系の障害により生じるもので,左室不全,先天性心疾患(例,心室中隔欠損症),または後天性弁膜症に続発した右室拡大は肺性心とは呼ばない。肺性心は通常慢性に経過するが,急性かつ可逆... さらに読む 肺性心 呼吸不全 呼吸不全の概要 急性呼吸不全は,酸素化障害,二酸化炭素排出障害,または両方の障害であり,生命を脅かす病態である。呼吸不全の原因は,ガス交換の障害,換気の減少,またはその両方がありうる。一般的な症候には呼吸困難,呼吸補助筋の使用,頻呼吸,頻脈,発汗,チアノーゼ,意識変容などがあり,無治療の場合最終的には意識障害,呼吸停止,および死に至る。診断は臨床的に行わ... さらに読む ,またはその両方の症候がみられる。

亜急性過敏性肺炎

亜急性型は,急性型と慢性型の間に位置し,数日から数週間にわたって咳嗽,呼吸困難,疲労,および食欲不振が現れることもあれば,慢性型の症状に急性型の症状が重なった形で現れることもある。

診断

  • 胸部X線および高分解能CT(HRCT)

  • 肺機能検査

  • 気管支肺胞洗浄

  • 組織学的検査および血清学的検査

過敏性肺炎の症状に合致し,職場,趣味活動,または家庭における曝露歴がある患者では,本疾患を強く疑う。胸部X線,HRCT,および肺機能検査をルーチンに行う。これらの検査により診断が確定しない場合は,気管支肺胞洗浄および肺生検が必要になることもある。鑑別診断は幅広く,環境性肺疾患 環境性肺疾患の概要 環境性肺疾患は,塵埃,アレルゲン,化学物質,ガス,または環境汚染物質などを吸入することで生じる。肺は絶えず外部環境に曝され,様々な環境負荷の影響を受けやすい。病理学的プロセスには,以下の肺の部位が関与する: 気道(例,職業性喘息,反応性気道機能不全症候群,毒素の吸入,大気汚染関連疾患,綿肺症において)... さらに読む サルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスは単一または複数の臓器および組織に生じる非乾酪性肉芽腫を特徴とする炎症性疾患であり,病因は不明である。肺およびリンパ系が侵される頻度が最も高いが,サルコイドーシスはどの臓器にも生じうる。肺症状は,無症状から咳嗽,労作時呼吸困難,および,まれであるが肺または他臓器の機能不全に至るまで様々である。通常まず肺病変をきっかけに診断... さらに読む サルコイドーシス ,閉塞性細気管支炎,結合組織疾患に伴う肺疾患,および他の間質性肺疾患などがある。

病歴上の手がかりには以下のものがある:

  • 繰り返す非定型肺炎

  • 新しい職場への移動または転居後に現れた症状

  • 温水浴槽,サウナ,プール,またはその他の貯留水源の使用,もしくは家庭または他の場所における汚染水への曝露

  • 鳥をペットとして飼育

  • 特定の状況下で症状が悪化,またその状況を回避することで症状が緩和

診察は,肺の異常音やばち状指が観察されることがあるものの,診断を下すには有用とならない場合が多い。

画像検査

画像検査は,通常,該当する病歴,症状,および徴候のある患者に対して行う。

胸部X線は,疾患の検出に対して感度も特異度も低く,また急性および亜急性の症例ではしばしば正常である。胸部X線では,通常は症状の存在時に網状または結節陰影がみられることがある。慢性型の胸部X線では,肺容量の減少および蜂巣肺を伴う上葉の網状または結節陰影がみられる可能性が高く,特発性肺線維症の所見と類似している。

高分解能CTは異常を示す可能性がはるかに高く,過敏性肺炎における肺実質の変化を評価するための標準的検査と考えられている。急性型および亜急性型で最も典型的なHRCT所見は,境界不明瞭な多量の小葉中心性小結節である。ときに,すりガラス陰影が主なまたは唯一の所見である場合がある。通常びまん性であるが,ときに二次小葉の辺縁は正常のことがある。閉塞性細気管支炎における所見と類似した局所的な透過性亢進領域が,一部の患者で際立った特徴として現れることがある(例,呼気HRCT上でエアトラッピングを伴うモザイク状陰影)。

慢性型では,肺線維化の所見(例,肺葉容積の減少,線状もしくは網状陰影,または蜂巣肺)がみられ,小葉中心性結節を欠くことがある。慢性型過敏性肺炎の非喫煙患者では,上葉に気腫がみられることもある。縦隔リンパ節腫脹はまれであり,過敏性肺炎をサルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスは単一または複数の臓器および組織に生じる非乾酪性肉芽腫を特徴とする炎症性疾患であり,病因は不明である。肺およびリンパ系が侵される頻度が最も高いが,サルコイドーシスはどの臓器にも生じうる。肺症状は,無症状から咳嗽,労作時呼吸困難,および,まれであるが肺または他臓器の機能不全に至るまで様々である。通常まず肺病変をきっかけに診断... さらに読む サルコイドーシス から区別する目安となる。

肺機能検査

肺機能検査 肺機能検査の概要 肺機能検査は,流量,肺気量,ガス交換,気管支拡張薬への反応,および呼吸筋機能を測定する検査である。 外来で利用できる基本的肺機能検査には以下のものがある: スパイロメトリー パルスオキシメトリー スパイロメトリーおよびパルスオキシメトリーは肺機能を生理学的に測定できるほか,鑑別診断を迅速に限定し,その後の追加検査または治療の戦略を考えるた... さらに読む は,過敏性肺炎の疑いがある症例における標準評価の1つとして行うべきである。この症候群は,閉塞性,拘束性,または混合パターンの気道変化を引き起こしうる。疾患が進行すると,拘束性障害(肺気量の減少),DLCOの減少,および低酸素血症が生じる頻度が高い。気道閉塞は急性型ではまれであるが,慢性型でみられることがある。

気管支肺胞洗浄

気管支肺胞洗浄の結果が過敏性肺炎の診断に特異的であることはまれであるが,慢性呼吸器症状および肺機能異常に対する診断評価のための1つの要素として使用されることが多い。洗浄液中のリンパ球が増加(> 60%)し,CD4+/CD8+比が < 1.0であることが,この疾患の特徴である(正常比 ± 標準誤差 = 2.3 ± 0.2);これとは対照的に,CD4+優位(比 > 1.0)のリンパ球増多は,よりサルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスは単一または複数の臓器および組織に生じる非乾酪性肉芽腫を特徴とする炎症性疾患であり,病因は不明である。肺およびリンパ系が侵される頻度が最も高いが,サルコイドーシスはどの臓器にも生じうる。肺症状は,無症状から咳嗽,労作時呼吸困難,および,まれであるが肺または他臓器の機能不全に至るまで様々である。通常まず肺病変をきっかけに診断... さらに読む サルコイドーシス に特徴的である。他の所見には,肥満細胞数 >1%(急性曝露後)ならびに好中球および好酸球の増加などがありうる。

リンパ球幼若化試験はin vitroの感作試験であり,金属への感作を検出する際に特に有用である。この試験は末梢血で行ってもよいが,気管支肺胞洗浄液で行うのがより望ましい。この試験では,患者のリンパ球を可能性のある抗原に感作させる。もしリンパ球が芽球へ変化し増殖すれば,これらのリンパ球が(それゆえまた患者も)その抗原に過去に感作されていたことがわかる。

肺生検

非侵襲的検査で診断が確定しない場合は肺生検が適応となる。所見は様々であるが,典型的には細気管支中心周囲(peribronchiolocentric)のリンパ球性肺胞炎,境界不明瞭な非乾酪壊死性肉芽腫,および器質化肺炎などがある。慢性型では間質の線維化がみられることもある。

その他の検査

診断に追加の情報が必要な場合,または間質性肺疾患の他の原因を検出するために,追加検査が適応となる。血清沈降抗体(疑いのある抗原に特異的な沈降抗体)は疾患の原因でありうる曝露物質を示唆する。しかしながら,血清沈降抗体の存在は感度も特異度も高くはない。抗体に対応する抗原の同定には,労働衛生専門家が空中生物学的および/または微生物学的に職場環境を詳しく評価する必要があるが,通常は,職場の評価には誘発抗原の既知の発生源(例,洗剤工場におけるBacillus subtilis)が参考にされる。

皮膚テストは役に立たず,好酸球増多はみられない。

予後

過敏性肺炎の病理学的変化は,早期に検出された場合や抗原曝露が除去された場合は,完全に可逆的である。急性型は,抗原を回避すれば自然軽快する;症状は通常数時間以内に軽減する。慢性型は予後がより複雑である:線維化は通常不可逆的であるが,抗原への曝露がなくなれば進行しない可能性がある。

治療

  • コルチコステロイド

急性または亜急性の過敏性肺炎の治療は,コルチコステロイドにより行い,通常プレドニゾン60mg,1日1回を1~2週間経口投与し,次の2~4週間にわたって20mg,1日1回まで漸減し,その後,週に2.5mgずつ減量し投薬を中止する。この投与計画で初期症状は軽減するが,長期的な転帰は変わらないようである。

慢性過敏性肺炎の治療は,通常プレドニゾン30~40mg,1日1回経口投与により行い,投与期間はより長く,用量は臨床反応に応じて漸減する。長期治療では,コルチコステロイドを減量するための薬剤(例,ミコフェノール酸モフェチル,アザチオプリン)が必要な患者もいる。

予防

過敏性肺炎の長期管理で最も重要となるのは,抗原への曝露を避けることである。環境を完全に変えることは,特に農業従事者などの労働者では非現実的であり,その場合,塵埃を制御する方法(かき混ぜる前に堆肥に水をかけて湿らすなど)またはエアフィルターもしくは防御マスクの使用が効果的であることがある。抗原となる微生物の増殖(例,干し草の中またはサトウキビの表面)を予防するために殺菌剤が使用されることがあるが,このアプローチの長期的安全性は証明されていない。湿った空調システムの大規模な掃除,湿っぽいカーペットの除去,および湿度を低く保つこともまた,一部の状況では効果的である。しかしながら,患者には,継続的に曝露が続く場合はこれらの方法では不十分である場合があることを伝えなければならない。

要点

  • 過敏性肺炎は,多様なアレルゲンによって誘発されうるIV型過敏反応である。

  • リスクのある患者で症状が矛盾しなければ,職業,趣味活動,および家庭における曝露歴を詳細に聴取すべきである。

  • 胸部X線,高分解能CT,および肺機能検査を行い,診断が不確実な場合は,気管支肺胞洗浄および生検を行う可能性もある。

  • 患者の多くは経口プレドニゾンで治療する。

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