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特発性間質性肺炎の概要

執筆者:

Joyce Lee

, MD, MAS, University of Colorado Denver

最終査読/改訂年月 2016年 4月
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特発性間質性肺炎(IIP)は,類似した臨床的および画像的所見を共有する原因不明の肺間質の疾患群であり,主に肺生検における病理組織パターンにより区別される。組織学的に8つのサブタイプに分類され,その全てが程度の異なる炎症および線維化を特徴とし,いずれも呼吸困難を引き起こす。診断は,病歴,身体診察,高分解能CT,肺機能検査,および肺生検に基づく。治療はサブタイプによって異なる。予後はサブタイプにより異なり,極めて良好なこともあるが,不良な場合はほぼ常に致死的である。

IIPの8つの組織学的亜型を頻度の高い順に示す:

これらのサブタイプは,程度は異なるが,いずれも間質の炎症および線維化を特徴とする(1)。全て呼吸困難を引き起こし,高分解能CT(HRCT)上でびまん性異常所見,および生検で炎症,線維化,またはその両方がみられる。しかしながら,サブタイプによって臨床的特徴が異なり( 特発性間質性肺炎の主要な特徴),治療に対する反応が異なるため,鑑別することが重要である。

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特発性間質性肺炎の主要な特徴

疾患

最も罹患しやすい人

前駆症状

胸部X線所見

高分解能CT所見

CTの鑑別診断

組織学的パターン

特発性肺線維症

> 50歳の男性でより頻度が高い (> 60%が喫煙者)

慢性(> 12カ月)

容量減少および蜂巣肺を伴う肺底部優位の網状陰影

末梢,胸膜下,および肺底部の網状蜂巣状陰影

牽引性気管支拡張または気管支拡張

構造の変形

石綿肺

結合組織疾患

過敏性肺炎

通常型間質性肺炎

剥離性間質性肺炎

男性により多い,30~50歳 (> 90%が喫煙者)

亜急性から慢性(数週間から数年)

すりガラス陰影

ほとんどの症例で,下肺野,末梢優位

すりガラス陰影

網状線状影

過敏性肺炎

Pneumocystis jirovecii

肺炎

呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患

サルコイドーシス

剥離性間質性肺炎

非特異性間質性肺炎

女性により多い,通常40~60歳(< 40%が喫煙者)

亜急性から慢性(数カ月から数年)

すりガラス陰影および網状陰影

末梢,肺底部,左右対称性

網状陰影

多様なすりガラス陰影

不規則な線状影

特発性器質化肺炎

剥離性間質性肺炎

過敏性肺炎

特発性肺線維症

非特異性間質性肺炎

特発性器質化肺炎

全年齢,特に40~50歳 (< 50%が喫煙者)

亜急性(< 3カ月)

両側性の斑状硬化像

気管支周囲

斑状硬化像,結節,またはその両方

細気管支肺胞上皮癌

好酸球性肺炎

リンパ腫

感染

非特異性間質性肺炎

サルコイドーシス

血管炎

器質化肺炎

呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患

やや男性に多い,30~50歳(> 90%が喫煙者)

亜急性(数週から数カ月)

気管支壁の肥厚

すりガラス陰影

びまん性パターン

気管支壁の肥厚

小葉中心性結節

斑状すりガラス陰影

剥離性間質性肺炎

過敏性肺炎

非特異性間質性肺炎

感染

呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患

急性間質性肺炎

全年齢

突発性(1~2週)

進行性のびまん性すりガラス陰影

びまん性の硬化像,すりガラス陰影,しばしば小葉は正常

後に牽引性気管支拡張

急性好酸球性肺炎

急性呼吸窮迫症候群

静水圧性肺水腫

肺炎

びまん性肺胞傷害

リンパ性間質性肺炎

多くは女性,全年齢

慢性(> 12カ月)

網状陰影

結節

びまん性パターン

小葉中心性結節

すりガラス陰影

隔壁および気管支血管束の肥厚

壁の厚い嚢胞

ランゲルハンス細胞組織球症

癌性リンパ管症

サルコイドーシス

リンパ性間質性肺炎

Idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis(特発性胸膜肺実質線維弾性症)

性差なし,平均年齢は57歳

慢性(> 12カ月)

両側性肺尖部の不規則な胸膜肥厚

胸膜下の濃い硬化像

牽引性気管支拡張

構造の変形

上葉の容量減少

過敏性肺炎

非特異性間質性肺炎

石綿肺

結合組織疾患

サルコイドーシス

放射線肺障害

薬剤性肺障害

Pleuroparenchymal fibroelastosis

*頻度の高い順に列挙している。

喫煙歴は不明。

参考文献

  • 1.Travis WD, Costabel U, Hansell DM, et al: An Official American Thoracic Society/European Respiratory Society Statement: Update of the International Multidisciplinary Classification of the Idiopathic Interstitial Pneumonias. Am J Respir Crit Care Med 188 (6):733–748, 2013.

症状と徴候

症状および徴候は通常,非特異的である。咳嗽および労作時呼吸困難は典型的であるが,発症および進行様式は様々である。一般的な徴候には頻呼吸,胸郭の拡張制限,両側肺底部における吸気終末の捻髪音,ばち状指などがある。

診断

  • 高分解能CT(HRCT)

  • 肺機能検査

  • ときに外科的肺生検

IIPは,説明のつかない間質性肺疾患のある全ての患者で疑われるべきである。臨床医,放射線科医,および病理医は,個々の患者の診断を決定するため情報を交換し合うべきである。可能性のある原因( 間質性肺疾患の原因)は系統立てて評価する。診断率を最大限に高めるため,以下の基準に従って病歴を聴取すべきである:

  • 症状の持続期間

  • 肺疾患,特に肺線維症の家族歴

  • 喫煙歴(ほとんどが現喫煙者または喫煙歴がある場合に起こる疾患もあるため)

  • 現在および過去の薬歴

  • 家族構成員を含む,家庭および職場環境の詳細な情報

業務の内容,有機物および無機物への曝露( 間質性肺疾患の原因)などを含め,職歴を経時的に全て列挙したリストを入手する。曝露の程度,曝露の期間,曝露から発症までの潜伏期間,および保護具の使用の有無を明らかにする。

胸部X線を行うと,典型的には異常がみられるが,所見には多様な型を鑑別できるほどの特異性はない。

生理学的障害の重症度を評価するため,しばしば肺機能検査が行われるが,多様な型の鑑別には役立たない。典型的な結果は拘束性パターンであり,肺気量および拡散能の低下を伴う。低酸素血症が運動時によくみられ,安静時にも存在しうる。

HRCTは,気腔を間質性疾患から区別でき,最も有用かつ常に行われる検査である。この検査により,病変の原因,程度,および分布を評価することができ,これにより基礎疾患または併存疾患(例,潜在性の縦隔リンパ節腫脹,癌,気腫)を発見できる可能性が高まる。HRCTは仰臥位および腹臥位で行うべきであり,また末梢気道(small airway)の病変を際立たせるため,呼気下のダイナミック画像も撮影すべきである。

結合組織疾患,血管炎,または環境性曝露を示唆する臨床的特徴がみられる患者に対して,臨床検査を行う。対象となる検査には,抗核抗体,リウマトイド因子,結合組織疾患に対するその他のより特異度の高い血清学的検査(例,RNP,SSA,SSB,scl70,Jo-1),過敏症検査パネル(細菌性,真菌性,および動物性の頻度の高い抗原に対する抗体検査をまとめたもの),抗好中球細胞質抗体,および抗基底膜抗体などがある。

気管支鏡下の経気管支生検は,サルコイドーシスおよび過敏性肺炎などの特定の間質性肺疾患の鑑別に役立つが,この生検法ではIIPの診断に十分な組織を得られない。気管支肺胞洗浄は一部の患者における鑑別診断の絞り込みに有用であり,またこれにより疾患の進行および治療への反応に関する情報が得られる。しかしながら,多くの間質性肺疾患患者の初期臨床的評価およびフォローアップに関して,この手技が有用であるというエビデンスは確立されていない。

病歴およびHRCTから診断がつかない場合,診断確定のため外科的肺生検が必要である。胸腔鏡下手術(VATS)により複数部位の検体を得るのが望ましい。

治療

  • 疾患によって異なる

  • しばしばコルチコステロイド

  • ときに肺移植

治療は疾患によって異なる ( 特発性間質性肺炎の治療および予後*)。疾患の進行が加速する可能性を回避するため,また呼吸器系の併存症を制限するため,常に禁煙が推奨される。

コルチコステロイドは通常,特発性器質化肺炎リンパ性間質性肺炎,および非特異性間質性肺炎に推奨されるが,特発性肺線維症には推奨されない。

特定の末期患者に肺移植が推奨されることがある。

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特発性間質性肺炎の治療および予後*

疾患

治療

予後

特発性肺線維症

ピルフェニドンまたはニンテダニブ;肺移植

死亡率:5年間で50~70%

剥離性間質性肺炎

禁煙

死亡率:5年間で5%

非特異性間質性肺炎

コルチコステロイド単独,または免疫抑制療法(例,アザチオプリン,ミコフェノール酸モフェチル)との併用

死亡率:大きく幅があるが,一般に特発性肺線維症に比べ予後良好。純粋に細胞性の例(まれ)では,極めて低い。

特発性器質化肺炎

コルチコステロイド

完全回復率:> 65%

再発:多い

死亡率:死亡はまれ

呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患

禁煙

死亡率:死亡はまれ

急性間質性肺炎

支持療法

死亡率:< 6カ月で60%

リンパ性間質性肺炎

コルチコステロイド

よくわかっていない

Idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis(特発性胸膜肺実質線維弾性症)

適切な治療法は不明;しばしばコルチコステロイド

60%の症例で疾患が進行

*頻度の高い順に列挙している。

要点

  • 特発性間質性肺炎には,8つの組織学的亜型がある。

  • 症状,徴候,および胸部X線所見は非特異的である。

  • IIPの初期診断は主に病歴およびHRCTに基づいて行う。

  • 臨床的評価およびHRCTで診断がつかない場合は,外科的肺生検を行う。

  • 治療はサブタイプによって異なる。

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