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閉塞性睡眠時無呼吸症候群

執筆者:

Kingman P. Strohl

, MD, Case School of Medicine, Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2019年 2月
本ページのリソース

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は,睡眠時に生じ呼吸停止(10秒を超える無呼吸または低呼吸と定義される)を引き起こす部分的または完全な上気道閉塞エピソードから成る。症状としては,日中の過度の眠気,不穏状態,いびき,反復性覚醒,起床時の頭痛などがある。診断は睡眠歴および睡眠ポリグラフ検査に基づく。治療は,持続陽圧呼吸療法(CPAP),口腔内装置,および難治例では手術による。治療を行えば予後は良好である。ほとんどの症例は未診断かつ未治療のままであり,しばしば高血圧,心房細動およびその他の不整脈,心不全,ならびに過度の眠気による自動車およびその他の事故に起因する外傷や死亡に関連する。

リスクのある患者では,睡眠により上気道の開存性が不安定になり,上咽頭または中咽頭もしくはその両方が部分的または完全に閉塞する。

閉塞性睡眠時低呼吸は,呼吸がないわけではないが,減弱している場合に生じる。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の有病率は成人で2~9%である;この病態は十分認識されておらず,症状のある患者でさえ未診断であることが多い。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は男性で4倍多く,肥満患者(すなわち,BMI[body mass index] > 30)で7倍多い。重症OSA(無呼吸-低呼吸指数[AHI] > 30/時)は中年男性の死亡リスクを上昇させる。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は,日中の過度の眠気(ときに覚醒中の眠気と呼ばれる)の原因として最多であり,自動車衝突事故,雇用の喪失や性機能障害のリスクを高める。ベッドパートナーおよび同室者,および/または同居者も睡眠困難に陥る可能性があるため,こうした人々との関係にも悪影響を及ぼすことがある。

未治療OSAの長期的な心血管系の続発症には,コントロール不良の高血圧心不全,および心房細動(カテーテルアブレーション後にも生じる)およびその他の不整脈などがある。OSAは非アルコール性脂肪肝炎のリスクも高めるが,これは夜間の間欠的な低酸素症による可能性が高い(1)。

総論の参考文献

  • 1.Musso G, Cassader M, Olivetti C, et al: Association of obstructive sleep apnoea with the presence and severity of non-alcoholic fatty liver disease.A systematic review and meta-analysis. Obes Rev 14:417–431, 2013.

病因

閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する解剖学的な危険因子には以下のものがある:

  • 短いか後退した下顎のために「混み合っている」中咽頭

  • 舌根部および扁桃の肥大

  • 丸い頭部および短い首

  • > 43cm超(17インチ超)の首周囲径

  • 咽頭側壁の肥厚

  • 副咽頭側方の間隙にある脂肪組織

解剖学的危険因子は肥満患者によくみられる。

その他危険因子として同定されているものには,閉経後であること,加齢,および飲酒または鎮静薬の使用などがある。症例の25~40%にOSAの家族歴があり,おそらく換気ドライブまたは頭蓋顔面構造に影響を与える遺伝因子を反映している。ある家系員のOSAのリスクは,家系の患者数に比例する。

先端巨大症甲状腺機能低下症,およびときに脳卒中がOSAの原因または寄与因子となることがある。OSA患者で比較的高頻度に生じる疾患には,高血圧脳卒中糖尿病高脂血症胃食道逆流症,夜間狭心症,心不全,および心房細動またはその他の不整脈などがある。

肥満は閉塞性睡眠時無呼吸症候群および肥満低換気症候群の共通の危険因子であるため,この2つの病態は併存することが多い。

上気道閉塞に対抗する吸気努力により,発作的な吸気,ガス交換の減少,正常な睡眠構築の乱れ,および睡眠からの不完全なまたは完全な覚醒を来す。これらの因子が相互作用し,低酸素症,高炭酸ガス血症,ならびに睡眠の分断化による合併症および死亡をもたらす(1)。

OSAは,睡眠に関連する上気道抵抗上昇に伴う症候群である。酸素飽和度低下を引き起こさない,より軽症の病態には以下のものがある:

  • 吸気時雑音を生じるが睡眠覚醒を伴わない上気道の気流抵抗の上昇

  • 上気道抵抗症候群(呼吸努力関連覚醒[RERA]により止む漸増性のいびきを特徴とする)

上気道抵抗症候群の患者は,典型的にはOSA患者より若年で肥満度が低く,原発性のいびき症患者よりも日中の眠気をよく訴える。頻回に覚醒が生じるが,無呼吸および低呼吸の厳密な基準は満たさないことがある。いびき症および上気道抵抗症候群の症状,診断評価,および治療は,その他の点では閉塞性睡眠時無呼吸症候群と同様である。

病因論に関する参考文献

  • 1.Zinchuk AV, Jeon S, Koo BB, et al: Polysomnographic phenotypes and their cardiovascular implications in obstructive sleep apnoea.Thorax 73(5):472–480, 2018.doi: 10.1136/thoraxjnl-2017-210431.

症状と徴候

大きな激しいいびきは閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者の85%で報告されているものの,いびきがみられる人のほとんどは閉塞性睡眠時無呼吸症候群ではない。閉塞性睡眠時無呼吸症候群のその他の症状としては以下のものがある:

  • 睡眠中の息詰まり,喘ぎ,または鼻鳴らし

  • 浅くて休息感の得られない睡眠

  • 熟睡できない

患者の大半は(症状が睡眠中に生じるため)これらの症状に気づかないが,ベッドパートナー,同室者,または同居者により知らされる。咽頭痛または口腔乾燥で目が覚める患者もいる。起床時の頭痛は一般的な症状である。

覚醒しているときには,患者は過度の眠気,疲労,および集中力の低下を感じることがある。睡眠愁訴の頻度および日中の眠気の程度は,イベントまたは睡眠からの覚醒の回数とあまり相関しない。

診断

  • 症状による基準

  • 睡眠検査

危険因子,症状,またはその両方が同定できる場合,閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断が疑われる。

リスク評価には,STOP-Bang,Berlin質問票およびエプワース眠気スケール(Epworth Sleepiness Scale)などの検査前質問票を用いることができる。しかしながら,これらの質問票は特異度が低いため,診断ツールとしては偽陽性率が高い(1, 2)。STOP-BANGおよびBerlin質問票はエプワース眠気スケールと比べて検査前予測値の特異度が高い(3)。

診断基準は,日中の症状,夜間の症状,および睡眠モニタリングから成り,睡眠モニタリングでは1時間に5回を超える低呼吸および/または無呼吸エピソードがあり症状を伴うもの,または1時間に15回を超える無呼吸エピソードがあり症状を伴わないものが記録される。具体的には,症状に関しては,次のうち1つ以上を認めるべきである:

  • 日中の眠気,意図しない睡眠エピソード,休息感の得られない睡眠,疲労,または睡眠の継続困難

  • 息こらえ,喘ぎ,または息詰まりによる覚醒

  • 患者の睡眠中の大きないびき,呼吸の中断,またはその両方をベッドパートナーが報告

患者およびベッドパートナー,同室者,または同居者の全てから問診を行うべきである。日中の過度の眠気の鑑別診断は広範囲に及び,以下のものが挙げられる:

以下に該当する全ての患者で,詳細な睡眠歴を聴取すべきである:

  • 年齢が約65歳以上

  • 日中の疲労,眠気,または睡眠の継続困難を訴える

  • 過体重

  • コントロール不良の高血圧(OSAによって引き起こされるまたは悪化することがある),心房細動もしくはその他の不整脈,心不全(OSAの原因となりうる),脳卒中,または糖尿病

いびきのみを報告する患者の大半では,他の症状や心血管系のリスクがなければ,閉塞性睡眠時無呼吸症候群の広範な評価は不要である。

症状および併存疾患に基づいて患者を臨床グループに分類する研究は,OSAに対する個別アプローチにつながるため,現在注目を集めている領域である。(4–6)

身体診察では,鼻閉,扁桃肥大,および咽頭構造の評価,ならびに甲状腺機能低下症および先端巨大症の臨床的特徴の同定などを行うべきである。

睡眠ポリグラフ検査は,閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断を確定しOSAの重症度を定量化するのに最適である。睡眠ポリグラフ検査では,プレチスモグラフィーで呼吸努力,流量センサーで鼻および口の気流量,オキシメトリーで酸素飽和度,脳波検査で睡眠構築,顎筋電図(筋緊張低下をみる),ならびに急速眼球運動の発生を評価するための眼電図などを持続的に測定する。睡眠ポリグラフ検査は,睡眠段階,無呼吸および低呼吸の出現ならびに持続時間を記録し,それらの分類に役立つ。また患者をビデオ撮影し,心電図モニタリングを使用して不整脈が無呼吸エピソードに同期して起こるかどうかを判定する。その他に評価するものには,四肢の筋活動(レストレスレッグス症候群および周期性四肢運動障害などの,睡眠覚醒の非呼吸性の原因を評価するため)および体位(無呼吸は仰臥位でのみ起こりうる)などがある。

無呼吸‐低呼吸指数(AHI)は,睡眠中に起きた無呼吸および低呼吸のエピソード総数を睡眠時間で割って得られるもので,睡眠中の呼吸障害を表すのに用いられる一般的な簡易尺度である。AHI値は異なる睡眠段階毎に計算が可能である。

呼吸障害指数(RDI)は類似の尺度で,呼吸努力に関連した特定の覚醒エピソード(呼吸努力関連覚醒またはRERAと呼ばれる)の回数に,睡眠1時間当たりの無呼吸および低呼吸エピソードの回数を加えたものを表す。

覚醒指数(AI)は睡眠1時間当たりの覚醒回数であり,脳波モニタリングを用いれば計算することができる。覚醒指数は無呼吸-低呼吸指数または呼吸障害指数と相関しうるが,無呼吸および酸素飽和度低下エピソードの約20%は覚醒を伴わないか,あるいはその他の覚醒原因が存在する。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断には無呼吸-低呼吸指数 > 5である必要があり,AHI > 15は中等度の睡眠時無呼吸を,> 30は重度の睡眠時無呼吸を示唆する。隣室でも聞こえるほどの大きないびきでは,無呼吸-低呼吸指数 > 5である可能性が10倍増加する。覚醒指数および呼吸障害指数は,患者の症状と中程度にしか相関していない。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の診断には携帯式の診断ツール(自宅での睡眠検査)を使用することが増えてきている。携帯式モニターは,心拍数,パルスオキシメトリー,呼吸努力,体位,および鼻の気流量を測定できるため,患者の自己申告の睡眠時における呼吸障害を適切に評価でき,それによりAHI/RDIを推測できる。携帯式診断ツールはしばしば,患者のリスクを計算する質問票(例,STOP-Bang,Berlin質問票)とともに用いられる(検査の感度および特異度は検査前確率に依存する)。携帯式ツールを用いる場合,併存する睡眠障害(例,レストレスレッグス症候群)は除外されない。異なる睡眠段階および体位の変更に伴うAHI/RDI値を測定するには,睡眠ポリグラフのフォローアップ検査が引き続き必要となることがあり,手術または陽圧呼吸療法以外の治療が検討されている場合には,これが特に重要である。

臨床的な疑いに基づき,甲状腺刺激ホルモンの測定を行ってもよい。他の補助検査(例,上気道の画像検査)で,ルーチンに推奨されるほどの診断精度をもつものはない。

診断に関する参考文献

  • 1.Chung F, Yegneswaran B, Liao P, et al: STOP questionnaire: A tool to screen patients for obstructive sleep apnea.Anesthesiology2008;108:812–821, 2008.

  • 2.Netzer NC, Stoohs RA, Netzer CM, et al: Using the Berlin Questionnaire to identify patients at risk for the sleep apnea syndrome.Ann Intern Med 131(7):485–491, 1999.

  • 3.Luo J, Huang R, Zhong X, et al: STOP-Bang questionnaire is superior to Epworth sleepiness scales, Berlin questionnaire, and STOP questionnaire in screening obstructive sleep apnea hypopnea syndrome patients.Chin Med J (Engl)127(17):3065–3070, 2014.

  • 4.Keenan BT, Kim J, Singh B, et al: Recognizable clinical subtypes of obstructive sleep apnea across international sleep centers: a cluster analysis.Sleep 41(3):zsx214, 2018.doi: 10.1093/sleep/zsx214

  • 5.Kim J, Keenan BT, Lim DC, et al: Symptom-based subgroups of Koreans with obstructive sleep apnea.J Clin Sleep Med 14(3):437–443, 2018.doi: 10.5664/jcsm.6994.

  • 6.Ye L, Pien GW, Ratcliffe SJ, et al: The different clinical faces of obstructive sleep apnoea: a cluster analysis.Eur Respir J 44(6):1600–1607, 2014.doi: 10.1183/09031936.00032314.

予後

効果的な治療が開始された場合の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の予後は極めて良好である。

未治療または未診断の閉塞性睡眠時無呼吸症候群は,睡眠不足による認知障害をもたらす可能性があり,これが事故,特に自動車事故による重度の損傷または死亡につながりうる。眠気のある患者には,自動車の運転,重機の操作,またはその他意図しない睡眠エピソードが生じると危険である活動に従事することのリスクについて警告すべきである。

有害作用として生じる過度の眠気は,失業や性機能障害など,家族に大きな影響を及ぼす可能性がある。

さらに,心停止などの周術期合併症はOSAによるものとされており,これはおそらくエアウェイ抜去後に麻酔を原因として気道閉塞が生じることがあるためと考えられる。それゆえ,患者はOSAであることを全ての手術前に麻酔医に知らせ,また,術前薬物治療を受ける際および回復期にCPAPを受けることを求めるべきである。

治療

  • 危険因子の管理

  • CPAPまたは口腔内装置

  • デバイスに反応しない解剖学的狭窄または疾患に対して,手術または神経刺激

治療の目的は,低酸素エピソードおよび睡眠分断化エピソードを減少させることである;治療は患者および障害の程度に合わせて調整する。治癒は,症状が解消するとともにAHIが閾値(通常10回/時)以下に低下することと定義される。

治療は危険因子および閉塞性睡眠時無呼吸症候群そのものの両方に対して行う。具体的な閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療法としては,持続陽圧呼吸療法(CPAP),口腔内装置,気道の外科手術などがある。

危険因子の管理

初期治療は,肥満,飲酒および鎮静薬の使用,甲状腺機能低下症,先端巨大症,ならびにその他の慢性疾患など,閉塞性睡眠時無呼吸症候群の是正可能な危険因子の至適管理を目標とする。適度の減量(15%)を行うことで臨床的に有意な改善をみることがあるものの,大半の患者,特に疲労困憊している患者または眠気のある患者にとって減量は極めて困難である。病的肥満(BMI > 40)の患者においては,肥満外科手術により症状およびAHIの改善がしばしばみられる;しかしながら,手術による減量の程度ほど顕著な改善はみられない可能性がある。肥満外科手術をするか否かにかかわらず,減量をOSAの治療法とみなすべきではない。

持続陽圧呼吸療法

経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)は,日中の眠気を自覚するOSA患者の大半に対する第1選択の治療である;眠気のない患者では遵守がより低い。CPAPは上気道で虚脱する可能性のある部位に陽圧をかけることで,上気道の開存性を改善する。効果的な陽圧の範囲は,典型的には3~15cmH2Oである。疾患の重症度は陽圧の必要量と相関しない。多くのCPAP装置が,CPAPの効果をモニタリングし,規定のアルゴリズムに従って圧を自動的に調整する。臨床的に明らかな改善がみられなければ,CPAPの効果を再検討し,患者に別の睡眠障害(例,上気道閉塞)または合併症がないか再評価すべきである。必要であれば,繰り返しの睡眠ポリグラフ検査によるモニタリングを行いながら手動で圧を設定することも可能である。AHIが改善するか否かにかかわらず,CPAPは認知障害を低減し生活の質を改善するのに加え,血圧を低下させる可能性がある。CPAPを離脱すると,数日にわたって症状が再発するが,急性病態に対する治療のための短期的な中断は通常よく耐えられる。治療期間は確立されていない(1–4)。

経鼻的CPAPの有害作用としては,乾燥および鼻の刺激感(症例によっては加温加湿した空気の使用で軽減される)やサイズの合わないマスクによる不快感などがある。

患者の遵守に限界があるため,経鼻的CPAPによる治療が失敗する頻度は高い。呼吸覚醒閾値が低く,それに伴う覚醒の増加および不規則な呼吸の傾向が高い非肥満患者では,上記の有害作用に加えて長期的CPAPのアドヒアランスが低い(5)。

肥満低換気症候群の患者では,1回換気量を増やすため,吸気補助(二相性陽圧換気[bilevel positive airway pressure])を用いてCPAPを増強できる。

口腔内装置

口腔内装置は下顎を前出させるように,または少なくとも睡眠中の下顎後退を予防するように設計されている。舌を前方に引き出すよう設計された装置もある。いびきおよび軽症から中等症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療にこれらの装具を使用することが受け入れられつつある。口腔内装具とCPAPを比較した研究では,軽症から中等症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群において同等性が示されているが,費用対効果を検討した結果はない。

手術

上気道閉塞に関わる扁桃腺肥大および鼻茸などの解剖学的因子を矯正するための外科的手技(anatomic procedure[解剖学的手技]と呼ばれる)を検討すべきである。巨舌症または小顎症に対する手術も1つの選択肢である。解剖学的狭窄が同定されれば,手術が第1選択の治療である。しかしながら,狭窄がない場合に手術を第1選択の治療として支持するエビデンスは乏しい。

口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)が最も一般的に使用される手技である。この手術ではアデノイド切除を含め,口蓋弓から披裂喉頭蓋ひだにかけての粘膜下組織の切除などを行い,上気道の拡大を図る。CPAPを手術までのつなぎの治療として用いた1つの研究で,UPPPがCPAPと同等の効果をもつことが証明されたが,治療介入の直接的な比較は行われていない。病的肥満,または解剖学的な気道の狭小化を認める患者では,UPPPが奏効しない可能性がある。さらに,UPPP後はいびきが消失するため,睡眠時無呼吸が気づかれにくくなる。このような症状がみられない閉塞は,外科的介入前に生じるものと同程度に重症の無呼吸エピソードを引き起こしうる。

補助的外科手技には,舌正中切除術,舌骨前方移動術,および上下顎前方移動術などがある。上下顎前方移動術は,ときにUPPPで治癒しない場合に第2段階の手技として提案される。至適な多段階アプローチは不明である。

気管切開はOSAに対する最も効果的な治療法であるが,これは最後の手段として行われる。これは閉塞部位をバイパスするものであり,最重症患者(例,肺性心がある患者)に対して適応となる。

舌下神経刺激

上気道刺激療法(upper airway stimulation)はnonanatomic procedure(非系統的手技,すなわち部分刺激)である。上気道刺激療法では,植込み型器具を用いて舌下神経の枝を活性化する。この治療法は,CPAP療法に耐えられない中等症から重症の高度に選択された患者において成功する可能性がある(6)。

補助的治療

補助的治療が一般的に用いられるが,閉塞性睡眠時無呼吸症候群の第1選択の治療としての効果は証明されていない。

CPAPを効果的に使用しているOSA患者の残存する眠気に対しては,モダフィニルが使用できる。

酸素投与は血液の酸素化を改善するが,有益な臨床的影響は予測できない。また,酸素は一部の患者で呼吸性アシドーシスおよび朝の頭痛を引き起こす。

いくつかの薬剤(例,三環系抗うつ薬,テオフィリン,ドロナビノール,アトモキセチン+オキシブチニンの併用)が試用されているが,効力が低い,治療係数が低い,または結果を再現した研究がないといった理由から,ルーチンに推奨することはできない(7, 8)。

いびき用にOTCで販売されている鼻腔拡張用具および喉スプレーは,OSAに対する便益を証明するには研究が不十分である。

レーザーを用いた口蓋垂形成術,口蓋垂用のスプリント,およびラジオ波による組織焼灼は,閉塞性睡眠時無呼吸症候群を伴わない患者の大音量のいびきの治療として奨励されている。これらによりいびきの音量は一時的に小さくなる可能性があるが,効果は数カ月から数年かけて減衰する。

患者の教育および支援

説明を受けている患者および家族は,気管切開を含む治療戦略にうまく取り組むことができる。患者支援団体は,有益な情報を提供し,時宜を得た治療およびフォローアップを効果的に支援する。

治療に関する参考文献

  • 1.McEvoy RD, Antic NA, Heeley E, et al: CPAP for prevention of cardiovascular events in obstructive sleep apnea.N Engl J Med 375(10):919–931, 2016.doi: 10.1056/NEJMoa1606599

  • 2.Gottlieb DJ, Punjabi NM, Mehra R, et al: CPAP versus oxygen in obstructive sleep apnea.N Engl J Med 370(24):2276–2285, 2014.doi: 10.1056/NEJMoa1306766

  • 3.Chirinos JA, Gurubhagavatula I, Teff K, et al: CPAP, weight loss, or both for obstructive sleep apnea.N Engl J Med 370(24):2265–2275, 2014.doi: 10.1056/NEJMoa1306187

  • 4.Pépin JL, Tamisier R, Barone-Rochette G, et al: Comparison of continuous positive airway pressure and valsartan in hypertensive patients with sleep apnea.Am J Respir Crit Care Med 182(7):954–960, 2010.doi: 10.1164/rccm.200912-1803OC

  • 5.Zinchuk A, Edwards BA, Jeon S, et al: Prevalence, associated clinical features, and impact on continuous positive airway pressure use of a low respiratory arousal threshold among male United States veterans with obstructive sleep apnea.J Clin Sleep Med 14(5):809–817, 2018.doi: 10.5664/jcsm.7112

  • 6.Woodson BT, Soose RJ, Gillespie MB, et al: Three-year outcomes of cranial nerve stimulation for obstructive sleep apnea: The STAR Trial.Otolaryngol Head Neck Surg154(1):181–188, 2016. doi: 10.1177/0194599815616618

  • 7.Taranto-Montemurro L, Messineo L, Sands SA, et al: The combination of atomoxetine and oxybutynin greatly reduces obstructive sleep apnea severity: A randomized, placebo-controlled, double-blind crossover trial.Am J Respir Crit Care Med Nov 5, 2018.doi: 10.1164/rccm.201808-1493OC

  • 8.Carley DW, Prasad B, Reid KJ, et al: Pharmacotherapy of apnea by cannabimimetic enhancement, the PACE Clinical Trial: Effects of dronabinol in obstructive sleep apnea.Sleep 41(1):zsx184, 2018.doi: 10.1093/sleep/zsx184

要点

  • 肥満,上気道の解剖学的異常,家族歴,特定の疾患(例,甲状腺機能低下症,脳卒中),およびアルコール摂取または鎮静薬の使用は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)のリスクを高める。

  • 典型的に,患者にはいびきがあり,睡眠は疲れが取れず休息感がなく,またしばしば日中の眠気および疲労を感じる。

  • いびきがみられる個人のほとんどはOSAではない。

  • OSA患者に発生する頻度が比較的高い疾患には,高血圧,脳卒中,糖尿病,胃食道逆流症,非アルコール性脂肪肝炎,夜間狭心症,心不全,および心房細動またはその他の不整脈などがある。

  • 診断の確定は睡眠ポリグラフ検査により行い,合併症のない睡眠時無呼吸症候群の場合は自宅での睡眠検査を用いることができる。

  • 是正可能な危険因子を管理し,ほとんどの患者を持続陽圧呼吸療法および/または気道を開通するよう設計された口腔内装置により治療する。

  • 気道狭窄を引き起こす異常がある場合,または難治性の場合は手術を考慮する。

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