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呼吸リハビリテーション

執筆者:

Jessica Bon Field

, MD, MS, University of Pittsburgh School of Medicine;


Andrea R. Levine

, MD, University of Maryland School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 3月
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呼吸リハビリテーションとは,慢性呼吸器疾患を有する患者の機能を改善し,生活の質を高めるために,運動,教育,行動療法を用いることである。

慢性呼吸器疾患の多くの患者にとって,内科的治療は,疾患の症状および合併症を部分的に軽快させるに過ぎない。呼吸リハビリテーションの包括的プログラムにより,以下のようなかなりの臨床的改善がもたらされる可能性がある:

  • 息切れが減る

  • 運動耐容能が高まる

  • それほど程度は大きくないものの入院回数が減る

しかしながら,このプログラムで生存率が改善するわけではない。

適応

以前は,呼吸リハビリテーションは重度の 慢性閉塞性肺疾患 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,毒素の吸入(しばしばタバコ煙)に対する炎症反応によって引き起こされる気流制限である。比較的まれな原因として,非喫煙者におけるα1-アンチトリプシン欠乏症および様々な職業曝露がある。症状は数年かけて発現する湿性咳嗽および呼吸困難であり,一般的な徴候には呼吸音の減少,呼気相の延長,および喘鳴などがある。重症例で... さらに読む 慢性閉塞性肺疾患(COPD) (COPD)に限って行われていた。しかしながら, 間質性肺疾患 間質性肺疾患の概要 間質性肺疾患は,肺胞中隔の肥厚,線維芽細胞の増殖,コラーゲン沈着,および(疾患が進行した場合は)肺線維化を特徴とする,多様な疾患の集合である。間質性肺疾患は様々な基準によって分類しうる(例,急性か慢性か,肉芽腫性か非肉芽腫性か,原因がわかっているか不明か,肺原発性か全身性疾患に続発するものか,喫煙歴があるかないか)。... さらに読む (ILD), 嚢胞性線維症 嚢胞性線維症 嚢胞性線維症は,主に消化器系と呼吸器系を侵す外分泌腺の遺伝性疾患である。慢性肺疾患,膵外分泌機能不全,肝胆道疾患,および汗の電解質濃度の異常高値を引き起こす。診断は,新生児スクリーニング検査で陽性と判定された患者または特徴的な臨床的特徴を認める患者において,汗試験を行うか,嚢胞性線維症の原因遺伝子変異を2つ同定することによる。治療は,積極... さらに読む 嚢胞性線維症 (CF), 気管支拡張症 気管支拡張症 気管支拡張症とは,慢性の感染および炎症によって引き起こされる太い気管支の拡張および破壊である。一般的な原因は嚢胞性線維症,免疫異常,および反復性の感染であるが,一部の症例は特発性とみられる。症状は慢性咳嗽および膿性痰の喀出であり,一部の患者では発熱および呼吸困難も伴う。診断は病歴および画像検査に基づき,通常は高分解能CTを必要とするが,通... さらに読む 気管支拡張症 喘息 喘息 喘息は,様々な誘発刺激により引き起こされ,部分的または完全に可逆的な気管支収縮を生じさせる気道のびまん性炎症疾患である。症状および徴候には,呼吸困難,胸部圧迫感,咳嗽,および喘鳴などがある。診断は病歴,身体診察,および肺機能検査に基づく。治療には誘発因子の制御および薬物療法があり,吸入β2作動薬および吸入コルチコステロイドが最も多く用いら... さらに読む ,および 肺癌 肺腫瘍の概要 肺腫瘍は以下の場合がある: 原発性 別の部位からの転移 肺の原発性腫瘍は以下の場合がある: 悪性(Professional.see table 原発性悪性肺腫瘍の分類) さらに読む 患者への有益な効果を示唆するエビデンスが増えている。 肺移植 肺移植および心肺同時移植 肺移植または心肺同時移植は,呼吸機能不全または呼吸不全があり,最適な医療にもかかわらず死亡リスクが残る患者における選択肢の1つである。 最も頻度が高い肺移植の適応は以下のものである: COPD 特発性肺線維症 嚢胞性線維症 さらに読む および 肺容量減少手術 肺容量減少手術 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の管理には,COPDの慢性安定期の治療および増悪時の治療がある。 慢性安定期COPDの治療は,以下の手段により増悪を予防し,肺および身体の機能を改善することを目標とする。 禁煙 薬物療法 酸素投与 さらに読む を受ける患者においても,呼吸リハビリテーションを術前および術後のいずれに行った場合でも有益な効果がみられた。

COPD患者を対象にした研究の示唆するところによると,呼吸リハビリテーションはCOPDが重症化(すなわち,気流閉塞が悪化)する前に開始すべきであり,これは疾患重症度と運動能力にあまり相関はないと考えられるためである。それに加えて,より軽症の患者でも有益な効果が得られる可能性の高い側面として,呼吸困難の減少,運動耐容能の改善,筋力の改善,コンディショニング,心肺生理機能の改善,動的過膨張の軽減,および呼吸リハビリテーションに伴う心理的効果がある( 1 参考文献 呼吸リハビリテーションとは,慢性呼吸器疾患を有する患者の機能を改善し,生活の質を高めるために,運動,教育,行動療法を用いることである。 慢性呼吸器疾患の多くの患者にとって,内科的治療は,疾患の症状および合併症を部分的に軽快させるに過ぎない。呼吸リハビリテーションの包括的プログラムにより,以下のようなかなりの臨床的改善がもたらされる可能性がある: 息切れが減る 運動耐容能が高まる... さらに読む )。

禁忌

禁忌は相対的なもので,患者の運動レベルを高める試みを困難にする併存疾患(例,未治療の狭心症,左室機能障害)などがある。しかしながら,これらの併存疾患は,呼吸リハビリテーションプログラムの他の要素の利用を妨げるものではない。

合併症

呼吸リハビリテーションには,身体活動および運動から予測できるもの以上の合併症はない。

手技

呼吸リハビリテーションは以下の総合的プログラムの一環として実施するのが最もよい:

  • 運動トレーニング

  • 教育

  • 心理社会的評価および行動評価

呼吸リハビリテーションは,医師,看護師,呼吸療法士,理学療法士,作業療法士,および心理士またはソーシャルワーカーから成るチームによって行われる。内容は個別化し,個々の患者の需要に合わせて調整すべきである。呼吸リハビリテーションは,疾患のどの段階から始めることも可能であり,目標は疾患による負担および症状を最小化することとする。

運動トレーニングとして,有酸素運動ならびに呼吸筋および四肢の筋力トレーニングを行う。四肢の筋力トレーニングおよびインターバルトレーニングの両方を行うことを支持するエビデンスが増えている。

吸気筋トレーニング(IMT)は,呼吸リハビリテーションの重要な要素の1つである。IMTは,装置を用いて患者の最大吸気圧の何十%かの負荷をかけ,呼吸筋の筋力を強化する。単独で用いた場合,IMTは呼吸困難を軽減する可能性があるが,運動耐容能および日常生活動作を改善するかどうかは不明である。とはいえ,従来の呼吸リハビリテーション運動にIMTを併用することで,日常生活動作において臨床的に意味のある呼吸困難の軽減が認められ,歩行距離が改善する。

神経筋電気刺激療法(NMES)は,装置を使って特定の筋肉に経皮的に電気刺激を与え,収縮を誘発することで筋力を高める治療である。NMESは,循環器への需要を最小化し,呼吸困難(しばしば典型的な運動トレーニングへの参加を妨げる)を引き起こさないため,重度の肺疾患の患者に効果的な可能性がある。そのため,神経筋電気刺激療法は著しいデコンディショニングがある患者または呼吸不全の急性増悪がある患者に特に適している。

教育には多くの要素がある。禁煙の必要性についてのカウンセリングは重要である。呼吸法の指導(口すぼめ呼吸により,呼気がすぼめられた唇に当たり,呼吸数が減少し,その結果エアトラッピングが少なくなるなど)および身体エネルギーを上手く使うための原理の説明が役に立つ。薬剤を正しく使用することおよび 終末期ケア 臨死患者 臨死患者は,他の患者とは異なるニーズがある可能性がある。彼らのニーズを満たすために,臨死患者はまず特定されなければならない。死亡の前に,患者は3種類の一般的な機能低下の軌跡の1つをたどる傾向がある: 着実な進行性機能低下の限定的期間(例,進行性のがんに典型的) 着実に進行性ではないことがある,重度の機能障害の長期的な不確定期間(例,重度の... さらに読む を計画することを含め,治療に関する説明を行うことが必要である。

心理社会療法には,患者の社会活動への全面的参加を妨げる抑うつ,不安,および恐怖に関するカウンセリングならびにフィードバック【訳注:成果を評価して行動を修正できるようにアドバイスをしたり支援すること】がある。行動修正戦略および自己管理の強調は,呼吸リハビリテーションの要となる要素である。このような戦略として,目標設定および問題解決,意思決定,薬剤のアドヒアランス,ならびに決められた運動および身体活動の維持を促す手法などがある( 1 参考文献 呼吸リハビリテーションとは,慢性呼吸器疾患を有する患者の機能を改善し,生活の質を高めるために,運動,教育,行動療法を用いることである。 慢性呼吸器疾患の多くの患者にとって,内科的治療は,疾患の症状および合併症を部分的に軽快させるに過ぎない。呼吸リハビリテーションの包括的プログラムにより,以下のようなかなりの臨床的改善がもたらされる可能性がある: 息切れが減る 運動耐容能が高まる... さらに読む )。

最適な維持戦略は不明であるが,呼吸リハビリテーションの有益な効果を維持するためには,運動プログラムへ参加し続けることが不可欠である。

参考文献

  • 1.Rochester CL, Vogiatzis I, Holland AE, et al: An Official American Thoracic Society/European Respiratory Society Policy Statement: Enhancing Implementation, Use, and Delivery of Pulmonary Rehabilitation.Am J Respir Crit Care Med192:1373–1386, 2015.doi: 10.1164/rccm.201510-1966ST.

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