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グッドパスチャー症候群

(グッドパスチャー症候群;抗GBM抗体病)

執筆者:

Marvin I. Schwarz

, MD, University of Colorado Denver

最終査読/改訂年月 2018年 12月
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グッドパスチャー症候群は,肺腎症候群 肺腎症候群 肺腎症候群とは,びまん性肺胞出血と糸球体腎炎の併発である(これらはしばしば同時に発生する)。原因はほぼ常に自己免疫疾患である。診断は血清学的検査,ならびにときに肺生検および腎生検による。治療には典型的には,免疫抑制薬とコルチコステロイドおよび細胞傷害性薬剤の併用が含まれる。 肺腎症候群は,ある特定の疾患単位ではなく,特異的な鑑別診断および特定の一連の検査を要する症候群である。... さらに読む の亜型であり,血中の抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)によって引き起こされる肺胞出血 びまん性肺胞出血 びまん性肺胞出血は持続性または再発性の肺出血である。数多くの原因があるが,自己免疫疾患が最も一般的である。患者の多くは呼吸困難,咳嗽,喀血,および胸部画像検査において新しい肺胞浸潤影を呈する。疑いのある原因に対して診断検査を行う。治療は,自己免疫性の原因をもつ患者に対しては免疫抑制薬によって行い,また必要があれば呼吸補助を行う。... さらに読む びまん性肺胞出血 および糸球体腎炎 糸球体疾患の概要 糸球体疾患の重要な特徴はタンパク尿であり,ネフローゼレベル(3g/日以上)となることも多い。 糸球体疾患は,以下のような所見を主に伴って現れるような尿の変化に基づいて分類される: ネフローゼレベルのタンパク尿,およびネフローゼ型の尿沈渣所見(nephrotic urine sediment;脂肪円柱,卵円形脂肪体を認めるが,細胞と細胞円柱... さらに読む から成る自己免疫症候群である。グッドパスチャー症候群は,遺伝的感受性を有する喫煙者に最も多く発生するが,炭化水素への曝露およびウイルス性呼吸器感染症もまた誘因となる可能性がある。症状は,呼吸困難,咳嗽,疲労,喀血,および血尿である。グッドパスチャー症候群は喀血または血尿のある患者において疑われ,血中または腎生検の検体中に抗GBM抗体が存在することにより確定される。呼吸不全または腎不全を発症する前に治療が開始されれば,予後は良好である。治療には,血漿交換,コルチコステロイド,およびシクロホスファミドなどの免疫抑制薬などがある。

病態生理

抗GBM抗体はIV型コラーゲンのα3鎖の非コラーゲン(NC-1)ドメインを標的にしており,IV型コラーゲンは腎および肺の毛細血管の基底膜内に最も高濃度に生じる。

環境性曝露(喫煙,ウイルス性の上気道感染症,および炭化水素溶剤の吸入が最も一般的であり,肺炎は比較的頻度が低い)により,遺伝的に感受性のある個人(最も顕著なのは,HLA-DRw15,HLA-DR4,およびHLA-DRB1アレルを有する個人)において,肺胞毛細血管の抗原が血中の抗体に曝される。血中の抗GBM抗体は基底膜に結合し,補体と結合し,細胞媒介性炎症反応を誘発し,糸球体腎炎,肺毛細血管炎,またはその両方を引き起こす。

症状と徴候

喀血が最も顕著な症状である;しかしながら,肺胞出血がある患者に喀血が生じないこともあり,胸部X線上の浸潤影のみである場合もあれば,浸潤影に加えて呼吸窮迫,呼吸不全,またはその両方を呈することもある。

その他の一般的な症状としては,以下のものがある:

  • 呼吸困難

  • 咳嗽

  • 疲労

  • 発熱

  • 体重減少

  • 血尿

最大で患者の40%に肉眼的血尿を認めるが,肺出血は週単位から年単位で腎症状に先行しうる。

徴候は長期にわたって変化し,聴診においては,澄んだ肺音から断続性ラ音および類鼾音まで様々である。一部の患者では腎不全による末梢浮腫および貧血による蒼白がみられる。

診断

  • 血性抗GBM抗体検査

  • ときに腎生検

遺伝子組換え型またはヒトのα3鎖のNC-1ドメインを利用して,間接蛍光抗体法,または可能な場合は直接法である酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)により,血清抗GBM抗体の検査を行う。この抗体が存在すれば,診断が確定される。抗好中球細胞質抗体(ANCA)検査が(周辺型[peripheral pattern]で)陽性となるのはグッドパスチャー症候群の患者の25%のみである。

抗GBM抗体がない患者に糸球体腎炎の徴候(尿検査で血尿,タンパク尿,赤血球円柱を認める,腎機能不全,またはこれらの所見の組合せがある)を認める場合,診断確定のために腎生検が適応となる。グッドパスチャー症候群およびその他全ての肺腎症候群 肺腎症候群 肺腎症候群とは,びまん性肺胞出血と糸球体腎炎の併発である(これらはしばしば同時に発生する)。原因はほぼ常に自己免疫疾患である。診断は血清学的検査,ならびにときに肺生検および腎生検による。治療には典型的には,免疫抑制薬とコルチコステロイドおよび細胞傷害性薬剤の併用が含まれる。 肺腎症候群は,ある特定の疾患単位ではなく,特異的な鑑別診断および特定の一連の検査を要する症候群である。... さらに読む の原因を有する患者において,生検標本に半月体形成を伴う急速進行性の巣状分節性壊死性糸球体腎炎が認められる。腎組織または肺組織の蛍光抗体染色は,典型的に糸球体毛細血管または肺胞毛細血管に沿ったIgGの線状沈着を示す。IgGの沈着は,糖尿病 糖尿病(DM) 糖尿病(DM)はインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらす。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および霧視などがある。晩期合併症には,血管疾患,末梢神経障害,腎症,および易感染性などがある。診断は血漿血糖測定による。治療は食事療法,運動,および血糖値を低下させる薬剤により,薬剤にはインスリンお... さらに読む または細線維性糸球体腎炎 細線維性糸球体腎炎とイムノタクトイド糸球体症 細線維性糸球体腎炎とイムノタクトイド糸球体症は,病理学的にはアミロイドではないミクロフィブリルまたは微小管構造物が腎臓のメサンギウムおよび基底膜に沈着する病態と定義される,まれな疾患である。 細線維性糸球体腎炎とイムノタクトイド糸球体症は関連疾患と考える専門家もいる。これらの疾患は腎生検の約0.6%で発見され,男女差なく発生し,これまで10歳以上の患者で報告されている。診断時の平均年齢は約45歳である。機序は不明であるが,免疫グロブリン... さらに読む 細線維性糸球体腎炎とイムノタクトイド糸球体症 (fibrillary glomerulonephritis[肺腎症候群の原因となるまれな疾患])の患者の腎でも起こるが,これらの疾患における抗体のGBMへの結合パターンは非特異的であり,線状には生じない。

予後

グッドパスチャー症候群はしばしば急速に進行し,迅速な認識および治療が行われなければ,致死的となりうる。呼吸不全または腎不全を発症する前に治療が開始されれば,予後は良好である。長期的な病態は,診断時の腎障害の程度に関連している。緊急透析を必要とする患者および,生検標本で > 50%の半月体形成がみられる患者(しばしば透析が必要となる)の生存期間は,腎移植 腎移植 腎移植は最もよく行われる実質臓器移植である。(移植の概要も参照のこと。) 腎移植の主な適応は以下の通りである: 末期腎不全 絶対的禁忌としては以下のものがある: 移植片の生着を危うくしかねない併存症(例,重度の心疾患,悪性腫瘍),これらは徹底的なスクリーニングにより検出可能 さらに読む を行わなければ通常2年未満である。

喀血は疾患の早期発見につながるため,予後良好の徴候である可能性がある;少数派であるANCA陽性患者の方が治療に対してよく反応する。少数の再発例がみられ,喫煙の継続および呼吸器感染に関連する。末期腎臓病で腎移植を受ける患者では,移植腎に疾患が再発する可能性がある。

治療

  • 血漿交換

  • コルチコステロイドおよびシクロホスファミド

肺出血および呼吸不全を有する患者の救急救命では気道管理が鍵となる;気管挿管 気管挿管 人工エアウェイを必要とする患者の多くは,気管挿管によって管理可能である。経口気管挿管は,一般的には喉頭鏡による直視下で行われるが,経鼻気管挿管よりも通常手早く施行できるため無呼吸および重症(critically ill)の患者で選択され,経鼻気管挿管は意識があり自発呼吸を行っている患者または経口挿管を避けるべき状況にのみ用いられる。 (呼吸停止の概要および気道確保および管理も参照のこと。)... さらに読む および機械的人工換気 機械的人工換気の概要 機械的人工換気には以下の種類がある: 非侵襲的,様々な種類のフェイスマスクを使用する 侵襲的,気管挿管を伴う 適切な手法の選択および使用には呼吸力学の理解が必要である。 気管挿管および機械的人工換気の適応は極めて多彩であるが(Professional.see table 気道管理が必要となる状況),一般には,気道の確保または十分な酸素化もしくは換気の維持が困難であることを示す徴候が臨床的または臨床検査により認められる場合に,機械的人工換... さらに読む は,動脈血ガス測定値が境界値であり切迫した呼吸不全の症候がある患者に推奨される。著しい腎障害がある患者は透析 腎代替療法の概要 腎代替療法(RRT)は,腎不全患者において内分泌機能以外の腎機能を代替する治療法であり,ときに特定の中毒にも用いられる。RRTの方法としては,持続的血液濾過および血液透析,間欠的血液透析,腹膜透析などがある。いずれの方法でも,透過膜を介した透析および濾過によって溶質を交換し,血液から水分を除去する。... さらに読む または腎移植 腎移植 腎移植は最もよく行われる実質臓器移植である。(移植の概要も参照のこと。) 腎移植の主な適応は以下の通りである: 末期腎不全 絶対的禁忌としては以下のものがある: 移植片の生着を危うくしかねない併存症(例,重度の心疾患,悪性腫瘍),これらは徹底的なスクリーニングにより検出可能 さらに読む を必要とすることがある。

治療は,抗GBM抗体除去のため,4Lの置換液を用いた血漿交換を2~3週間にわたり毎日または隔日で行い,また新たな抗体の生成を防ぐため,コルチコステロイド(通常,メチルプレドニゾロン1gを20分かけて静注,1日1回または隔日で3回分)に続いてプレドニゾン(1mg/kg,経口1日1回を3週間,その後20mg,経口1日1回に減量し6~12カ月)およびシクロホスファミド(2mg/kg,経口または静注1日1回を6~12カ月)を併用する。肺機能および腎機能の改善が停止した場合は,用量を漸減することがある。

シクロホスファミドによる重度の有害作用が生じた患者またはシクロホスファミドによる治療を拒否する患者の一部で,リツキシマブが使用されることがあるが,グッドパスチャー症候群の患者におけるこの薬剤の効果は研究されていない。

要点

  • グッドパスチャー症候群の患者では,肺胞出血および糸球体腎炎が併発することもあれば,どちらかが単独でみられることもある。

  • 肺所見は軽度または非特異的なことがある。

  • 抗GBM抗体に対する血清学的検査を行う。

  • 患者に糸球体腎炎があれば腎生検を行う。

  • 臓器不全が起こる前に,いつでも可能な時にグッドパスチャー症候群の診断および治療を行う。

  • 血漿交換,コルチコステロイド,およびシクロホスファミドにより治療する。

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