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大動脈弁逆流症

(大動脈弁閉鎖不全症)

執筆者:

Guy P. Armstrong

, MD, Waitemata Cardiology, Auckland Valvular Disorders

最終査読/改訂年月 2018年 6月
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大動脈弁逆流症(AR)は,大動脈弁の閉鎖不全により,拡張期に大動脈から左室に向かって逆流が生じる病態である。原因としては,弁変性および大動脈基部拡張(二尖弁の合併を含む),リウマチ熱,心内膜炎,粘液腫様変性,大動脈基部解離,結合組織疾患(例,マルファン症候群),リウマチ性疾患などがある。症状としては,労作時呼吸困難,起座呼吸,発作性夜間呼吸困難,動悸,胸痛などがある。徴候としては,脈圧増大や拡張早期雑音などがある。診断は身体診察および心エコー検査による。治療は外科的な大動脈弁置換術または修復術である。経皮的な弁置換術が現在評価されている。

病因

ARは急性(非常にまれ)の場合と慢性の場合がある。

急性大動脈弁逆流症の主な原因は次の通りである:

成人の慢性大動脈弁逆流症の主な原因は次の通りである:

まれに大動脈弁逆流症は,血清反応陰性脊椎関節症(強直性脊椎炎 強直性脊椎炎 強直性脊椎炎は,代表的な脊椎関節症であり,体幹骨,末梢の大関節,および指の炎症,夜間の背部痛,背部のこわばり,脊柱後弯症の増強,全身症状,大動脈炎,心伝導異常,ならびに前部ぶどう膜炎を特徴とする全身性疾患である。診断には,X線上で仙腸関節炎を示す必要がある。治療は,NSAIDおよび/または腫瘍壊死因子拮抗薬もしくはIL-17阻害薬ならびに関節の柔軟性を維持する理学療法による。... さらに読む 強直性脊椎炎 反応性関節炎 反応性関節炎 反応性関節炎は,しばしば感染(通常は泌尿生殖器または消化管感染)により誘発されるとみられる急性の脊椎関節症である。一般的な臨床像としては,下肢を侵す傾向がある様々な重症度の非対称性の関節炎(手指,足趾,またはその両方のソーセージ状変形を伴う),全身症状,付着部炎,腱炎,角質増殖または痂皮化を伴う小胞性病変(膿漏性角化症[keratoderma blennorrhagicum])といった粘膜皮膚の潰瘍などがある。診断は臨床的に行う。治療は... さらに読む 反応性関節炎 乾癬性関節炎 乾癬性関節炎 乾癬性関節炎は脊椎関節症の1つであり,皮膚または爪に乾癬のある人に生じる慢性の炎症性関節炎である。乾癬性関節炎は非対称性であることが多く,病態によっては遠位指節間関節が侵される。診断は臨床的に行う。治療には疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)と生物製剤を使用する。 乾癬性関節炎は乾癬患者の約30%に発生する。AIDS患者では有病率が高い。HLA-B27アレルまたは他の特異的な一部のアレルを有する患者,および家族内で,リスクが高い。乾癬性... さらに読む 乾癬性関節炎 ),関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチ(RA)は,主に関節を侵す慢性の全身性自己免疫疾患である。RAは,サイトカイン,ケモカイン,およびメタロプロテアーゼを介した損傷を引き起こす。特徴として,末梢関節(例,手関節,中手指節関節)に対称性に炎症が生じ,結果として関節構造が進行性に破壊される(通常は全身症状を伴う)。診断は特異的な臨床所見,臨床検査結果,および画像所見に基づく。治療としては,薬物療法,理学療法,およびときに手術を行う。疾患修飾性抗リウマチ薬は症状のコ... さらに読む 関節リウマチ(RA) 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデス(SLE)は,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー現象,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよびときに免疫抑制薬を必要とする。... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) (SLE),潰瘍性大腸炎 潰瘍性大腸炎 潰瘍性大腸炎は,大腸粘膜を侵す炎症性かつ潰瘍性の慢性疾患で,ほとんどの場合に血性下痢を特徴とする。腸管外合併症が発生することがあり,特に関節炎がよくみられる。結腸癌の長期リスクが非罹患者と比較して高くなる。診断は大腸内視鏡検査による。治療はメサラジン,コルチコステロイド,免疫調節薬,生物製剤,および抗菌薬のほか,ときに手術である。 (炎症性腸疾患の概要も参照のこと。) 潰瘍性大腸炎は通常,直腸から始まる。直腸に限局することもあれば(潰瘍... さらに読む 潰瘍性大腸炎 と関連する関節炎,梅毒性大動脈炎,骨形成不全症 骨形成不全症 骨形成不全症は,骨のびまん性の異常な脆弱性を生じる遺伝性のコラーゲンの障害であり,ときに感音難聴,青色強膜,象牙質形成不全,関節の過可動性を伴う。診断は,通常,臨床的に行う。治療には,一部の病型に対して成長ホルモン,およびビスホスホネートが含まれる。 骨形成不全症には4つの主な病型がある: I型(常染色体優性) II型(常染色体劣性) III型(常染色体劣性) さらに読む 骨形成不全症 ,大動脈弁上狭窄またはdiscrete型大動脈弁下膜型狭窄症,高安動脈炎 高安動脈炎 高安動脈炎は,大動脈,その分枝,および肺動脈を侵す炎症性疾患である。主に若年女性に発症する。病因は不明である。血管の炎症によって動脈の狭窄,閉塞,拡張,または動脈瘤を生じることがある。患者には,四肢の間(両側の肢の間または同じ側の腕と下肢の間)に非対称性の脈もしくは血圧測定値の不一致,四肢の跛行,脳灌流量の減少による症状(例,一過性視覚障害,一過性脳虚血発作,脳卒中),および高血圧もしくはその合併症がみられることがある。診断は,大動脈造... さらに読む 高安動脈炎 ,バルサルバ洞破裂,先端巨大症 巨人症と先端巨大症 巨人症および先端巨大症は,ほぼ常に下垂体腺腫を原因とする成長ホルモン過剰分泌による症候群(hypersomatotropism)である。骨端線閉鎖以前であれば,結果として巨人症が生じる。閉鎖後であれば結果は先端巨大症となり,独特の顔貌およびその他の特徴をもたらす。診断は臨床的に行い,頭蓋および手のX線撮影,ならびに成長ホルモンの測定を実施する。治療には原因腺腫の切除または破壊がある。... さらに読む 巨人症と先端巨大症 巨細胞性動脈炎 巨細胞性動脈炎 巨細胞性動脈炎は,胸部大動脈,大動脈から派生する頸部の大型動脈,および頸動脈の頭蓋外分枝を主に侵す。リウマチ性多発筋痛症の症状がよくみられる。症状および徴候には,頭痛,視覚障害,側頭動脈の圧痛,咀嚼時の顎筋の痛みなどがある。発熱,体重減少,倦怠感,疲労もよくみられる。赤沈亢進およびC反応性タンパク値の上昇が典型的にみられる。診断は臨床的に行い,側頭動脈生検により確定する。高用量コルチコステロイドおよび/またはトシリズマブ,ならびにアスピ... さらに読む によって発生する。粘液腫様変性によるARは,マルファン症候群 マルファン症候群 マルファン症候群は結合組織の異常から成り,結果として眼,骨格,および心血管系の異常を来す(例,大動脈解離につながる上行大動脈の拡張)。診断は臨床的に行う。治療には,上行大動脈の拡張を遅らせるための予防的β遮断薬投与,および予防的大動脈手術などがある。 マルファン症候群の遺伝形式は常染色体優性である。基礎的な分子生物学的異常は,ミクロフィブリルの主要成分であり細胞の細胞外基質への固定を助ける糖タンパク質フィブリリン-1( さらに読む マルファン症候群 エーラス-ダンロス症候群 エーラス-ダンロス症候群 エーラス-ダンロス症候群は,関節過可動性,皮膚の過弾力性,および広範な組織脆弱性を特徴とする遺伝性のコラーゲンの障害である。診断は臨床的に行う。治療は支持療法による。 遺伝形式は通常,常染色体優性であるが,エーラス-ダンロス症候群は不均一性である。様々な遺伝子変異が様々なコラーゲンの量,構造,または形成に影響を与える。変異は,コラーゲン(例,I型,III型,V型)またはコラーゲン修飾酵素(例,コラーゲンを切断するプロテアーゼであるリジン... さらに読む エーラス-ダンロス症候群 の患者で発生することがある。

病態生理

大動脈弁逆流症(AR)では,左室に左房からの血液に加えて拡張期に大動脈から逆流した血液も流入するため,左室の容量負荷が生じる。

症状と徴候

慢性大動脈弁逆流症は,典型的には長年をかけて無症状で経過するが,進行性の労作時呼吸困難,起座呼吸,発作性夜間呼吸困難,および動悸が潜行性に生じる。

心不全の症状は客観的な左室機能の程度とあまり相関しない。胸痛(狭心症)は,冠動脈疾患(CAD)の合併がない患者では約5%でしかみられないが,生じる場合は特に夜間に多い。異常が生じた大動脈弁は細菌が定着しやすいため,心内膜炎 感染性心内膜炎 感染性心内膜炎は,心内膜の感染症であり,通常は細菌(一般的にはレンサ球菌またはブドウ球菌)または真菌による。発熱,心雑音,点状出血,貧血,塞栓現象,および心内膜の疣贅を引き起こすことがある。疣贅の発生は,弁の閉鎖不全または閉塞,心筋膿瘍,感染性動脈瘤につながる可能性がある。診断には血液中の微生物の証明と通常は心エコー検査が必要である。治療... さらに読む 感染性心内膜炎 (例,発熱,貧血,体重減少,塞栓現象)を発症することがある。

徴候は重症度と急性か否かにより異なる。急性大動脈弁逆流症の徴候は,心不全および心原性ショックを反映するもので,典型的には頻脈,四肢冷感,断続性ラ音,血圧低下などがある。I音は通常聴取されず(大動脈圧と左室拡張期圧が等しいため),III音がよく聴取される。AR雑音はARが高度であっても聴取されない場合があるが,Austin Flint雑音は一般的に聴取される。

慢性ARでは,進行に伴い拡張期血圧が低下する一方で収縮期血圧が上昇する結果,脈圧が増大する。時間の経過とともに,左室拍動が拡大して振幅が増大し,位置が下外側に偏位して,収縮期に胸骨左縁全体が陥凹することにより,左胸郭の揺動が生じることがある。

ARの後期には,心尖部または頸動脈で収縮期振戦(スリル)を触知できることがあり,これは一回拍出量が大きく,大動脈の拡張期圧が低いことに起因する。

聴診所見には,正常なI音と鋭いまたは打ち付けるような強いII音(分裂はない)があり,これは大動脈の弾性反跳(elastic recoil)の増大に起因する。AR雑音はしばしば印象に残らない。雑音は吹鳴様で高調な漸減性の拡張期雑音であり,II音の大動脈弁成分(A2)の直後から始まり,第3または第4肋間胸骨左縁で最強となる。この雑音は,患者に前傾姿勢をとらせ,呼気終末で息を止めたさせた状態で,膜型の聴診器を使用することにより最もよく聴取される。後負荷を増大させる手技(例,蹲踞,等尺性ハンドグリップ)により音量が増大する。ARが軽度の場合,雑音は拡張早期にしか聴取されないことがある。左室拡張期圧が非常に高い場合には,大動脈圧と左室拡張期圧が拡張期のより早期に等しくなるため,この雑音は持続時間が短縮する。

その他の異常音として,前方への駆出性雑音と後方への逆流性雑音(to and fro),I音の直後に生じる駆出音,大動脈駆出血流による雑音などがある。腋窩の近くまたは左胸郭の中央で聴取される拡張期雑音(Cole-Cecil雑音)は,左室において左房からの充満とARによる充満が同時に起こることで大動脈雑音とIII音が融合することで生じる。心尖部で聴取される拡張中期から後期のランブル(Austin Flint雑音)は,左室への急速な逆流によって心房血流のピーク時に僧帽弁尖の振動が生じるために起こると考えられ,この雑音は僧帽弁狭窄の拡張期雑音に類似する。

その他の徴候はまれであり,感度および特異度は低いか不明である。視診で認められる徴候として,頭部の動揺(de Musset徴候),爪床の毛細血管の拍動(Quincke徴候,弱く圧迫したときに最もよくみられる),口蓋垂の拍動(Müller徴候)などがある。

触診で認められる徴候としては,急速に上下する容量の大きな脈拍(打ち付けるような脈,水槌脈,虚脱脈[collapsing pulse])と頸動脈(Corrigan徴候),網膜動脈(Becker徴候),肝臓(Rosenbach徴候),および脾臓(Gerhard徴候)の拍動などがある。血圧に関する所見としては,膝窩動脈での収縮期血圧が上腕血圧より60mmHg以上高いこと(Hill徴候)や腕の挙上による拡張期血圧の15mmHgを超える低下(Mayne徴候)などがある。聴診で認められる徴候としては,大腿動脈の拍動部で聴取される鋭い音(ピストル射撃音またはTraube徴候)や,大腿動脈圧迫部の遠位での収縮期雑音と近位での拡張期雑音(Duroziez徴候)などがある。

診断

  • 心エコー検査

次の所見は高度の大動脈弁逆流を示唆する:

  • カラードプラ心エコー検査でジェット幅が左室流出路径の65%を超える

  • 縮流部(vena contracta:異常弁口の下流で逆流径が最小になる部分)が6mmを上回る

  • 腹部大動脈にて全拡張期の逆行血流を認める(重症ARに特異的)

  • 逆流量が60mL/拍を上回る

  • 逆流率が50%を超える

高度ARの存在下で次の所見を認める場合には,左室の代償不全(とそれによる手術の必要性)が示唆される:

  • 収縮末期左室容積が60mL/m2を超える

  • 収縮末期左室径が50mmを超える

  • 左室駆出率が50%未満である

心エコー検査 心エコー検査 この写真には,心エコー検査を受けている患者が写っている。 この画像には,4つの心腔全てと三尖弁および僧帽弁が示されている。 心エコー検査では,超音波を利用して心臓,心臓弁,および大血管の画像を描出する。この検査は心臓壁の厚さ(例,肥大または萎縮)や運動の評価に役立ち,虚血および梗塞に関する情報が得られる。収縮機能や左室拡張期の充満パターンの評価に利用できることから,左室肥大,肥大型または拘束型心筋症,重症心不全,および収縮性心膜炎の評価... さらに読む 心エコー検査 では,左室不全に続発する肺高血圧症の重症度評価,疣腫または心嚢液貯留(例,大動脈解離の場合)の検出,および予後に関する情報の収集も可能である。縮窄は二尖弁と関連しており,超音波プローブを胸骨切痕に置くことで検出できる。経食道心エコー検査では,大動脈の拡張と弁の解剖学的構造をより詳細に描出でき,これは外科的修復を考慮している場合に特に有用となる。大動脈が拡大している場合は,胸部大動脈の全体を評価するために同期CTまたはMRIが推奨される。MRIは,心エコー検査で至適な画像が得られない場合に左室機能およびARの程度を評価する上でも役立つ可能性がある。

心電図検査および胸部X線を施行すべきである。

進行性の慢性AR患者では,胸部X線で心拡大および大動脈基部の突出を認めることがある。ARが高度の場合には,肺水腫および心不全の徴候も認めることがある。ARが確認されているが症状は不明瞭な患者における運動耐容能および症状の評価には,運動負荷試験が有用となりうる。

重症のAR患者では,約20%が有意な冠動脈疾患(CAD)を有し,冠動脈バイパス術の同時施行が必要となる可能性があるため,たとえ狭心症が存在していなくても,手術前に冠動脈造影を施行すべきである。

大動脈二尖弁患者の第1度近親者は,20~30%が同様の疾患を有することから,心エコー検査によるスクリーニングを行うべきである。

予後

治療

  • 大動脈弁置換術または修復術

  • ときに血管拡張薬,利尿薬,および硝酸薬

大動脈弁逆流症の機序に大動脈基部拡張が関与している場合,アンジオテンシン受容体拮抗薬により進行が遅延する可能性があることから,高血圧を合併する患者には,アンジオテンシン受容体拮抗薬が望ましい薬剤である。

手術的介入は外科的な大動脈弁置換術または(頻度は低くなるが)修復術である。経皮的な治療選択肢も開発中である。大動脈弁位生体弁には手術後3~6カ月間の抗凝固療法でよいが,機械弁では生涯にわたりワルファリンによる抗凝固療法が必要になる。直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)は無効であり,使用してはならない(人工弁置換患者に対する抗凝固療法 人工弁置換患者に対する抗凝固療法 いずれの心臓弁も狭窄または閉鎖不全(逆流とも表現される)を起こす可能性があり,その場合,症状出現のかなり前から血行動態に変化が生じる。弁の狭窄または閉鎖不全は,個々の弁で独立して起こる場合が最も多いが,複数の弁膜症が併存する場合もあれば,1つの弁に狭窄と閉鎖不全が併発する場合もある。... さらに読む も参照)。

手術適応がない患者には,心不全治療が有益となる。大動脈内バルーンポンプの挿入は,拡張期のバルーン拡張によりARが増悪することから,禁忌である。β遮断薬は代償性頻拍を遮断し,拡張期を延長してARを増悪させるため,慎重に使用すべきである。

介入の基準を満たさない重症AR患者は,6~12カ月毎に身体診察と心エコー検査による再評価を行うべきである。

大動脈弁逆流症患者の心内膜炎に対する抗菌薬の予防投与は,弁置換術を受けた患者を除き,もはや推奨されていない(表口腔外科・歯科処置または気道に対する処置の施行時に推奨される心内膜炎予防 口腔外科・歯科処置または気道に対する処置の施行時に推奨される心内膜炎予防* 口腔外科・歯科処置または気道に対する処置の施行時に推奨される心内膜炎予防* の表を参照)。

介入開始基準:

以下の場合は介入の適用である:

  • ARが高度で症状を引き起こしている場合

  • ARが高度で左室機能障害(駆出率 < 50%,左室収縮末期径 > 50mm,左室拡張末期径 > 65~75mmのいずれか)を引き起こしている場合

ときに,上行大動脈径が55mm超(マルファン症候群および大動脈二尖弁の患者では50mm超)まで拡張した場合には,ARが重症化する前に介入が行われる。

他の適応で心臓手術を施行する場合,ARが中等症または重症であれば,大動脈弁に対する同時介入の適応となる。

要点

  • 急性ARの主な原因は,感染性心内膜炎と上行大動脈の解離であり,成人の慢性ARで最も一般的な原因は,大動脈弁または大動脈基部の変性である。

  • 急性ARは,心不全および心原性ショックの症状を引き起こすが,ARの徴候を認めない場合もある。

  • 慢性ARは,典型的には長年をかけて無症状で経過し,その後は進行性の労作時呼吸困難,起座呼吸,および発作性夜間呼吸困難が生じる。

  • 典型的な聴診所見としては,正常なI音に続いて,鋭いまたは打ち付けるようなII音と吹鳴様で高調な漸減性の拡張期雑音が聴取される。

  • 急性ARには,速やかな大動脈弁置換術または修復術が必要となる。

  • 慢性ARには,症状または左室機能障害が発生した場合に大動脈弁置換術または修復術が必要となり,外科手術の基準を満たすが適応とならない患者には,心不全治療が有益となる。

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