(糸球体疾患の概要 糸球体疾患の概要 糸球体疾患の重要な特徴は タンパク尿であり,ネフローゼレベル(3g/日以上)となることも多い。 糸球体疾患は,以下のような所見を主に伴って現れるような尿の変化に基づいて分類される: ネフローゼレベルのタンパク尿,およびネフローゼ型の尿沈渣所見(nephrotic urine sediment;脂肪円柱,卵円形脂肪体を認めるが,細胞と細胞円... さらに読む も参照のこと。)
腎炎症候群は糸球体の炎症(糸球体腎炎)の臨床像であり,あらゆる年齢で起こりうる。原因は年齢によって異なり(糸球体疾患の年齢と臨床像による分類 糸球体疾患の年齢と臨床像による分類 の表を参照),機序は原因によって異なる。本症候群は以下の場合がある:
急性(血清クレアチニン値が長くとも何週間の内に上昇する)
慢性(腎機能不全が何年にもわたり進行することがある)
腎炎症候群はさらに以下の場合がある:
原発性(特発性)
続発性
急性糸球体腎炎
感染後糸球体腎炎 感染後糸球体腎炎(PIGN) 感染後糸球体腎炎は感染後に起こり,通常はA群β溶血性レンサ球菌の腎炎惹起性菌株による。診断は病歴と尿検査によって示唆され,補体値低値およびときに抗体検査によって確定される。予後は極めて良好である。治療は支持療法による。 ( 腎炎症候群の概要も参照のこと。) 感染後糸球体腎炎(PIGN)は 腎炎症候群の一種で,5~15歳の小児における糸球体疾患の最も一般的な原因であり,2歳未満の幼児ではまれであり,40歳以上の成人では少ない。... さらに読む は,急性糸球体腎炎のプロトタイプであるが,その病態は他の糸球体症や,結合組織疾患あるいは血液学的悪液質などの全身性疾患に起因する場合がある(糸球体腎炎の原因 糸球体腎炎の原因
の表を参照)。
急速進行性糸球体腎炎 急速進行性糸球体腎炎(RPGN) 急速進行性糸球体腎炎は,顕微鏡的な糸球体半月体形成を伴い,数週間から数カ月以内に腎不全に進行する,急性腎炎症候群である。診断は病歴,尿検査,血清学的検査,腎生検に基づく。治療は,コルチコステロイドの単剤またはシクロホスファミドまたはリツキシマブとの併用,ときに血漿交換による。 ( 腎炎症候群の概要も参照のこと。) 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は 腎炎症候群の一種であり,病理診断により診断し,広範な糸球体半月体形成を伴い(すなわち,採... さらに読む (RPGN)は,炎症性(半月体形成性)糸球体腎炎の二次的な続発症に起因する急性糸球体腎炎であり,それには多くの原因がある。RPGNは病理診断により診断する。
慢性糸球体腎炎
慢性糸球体腎炎は,急性糸球体腎炎と類似の特徴を有するが,緩徐に発生し,軽度から中等度のタンパク尿を引き起こすことがある。具体例として以下のものがある: