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急速進行性糸球体腎炎(RPGN)

(半月体形成性糸球体腎炎)

執筆者:

Navin Jaipaul

, MD, MHS, Loma Linda University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 1月
本ページのリソース

急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は,顕微鏡的な糸球体半月体形成を伴い,数週間から数カ月以内に腎不全に進行する,急性腎炎症候群である。診断は病歴,尿検査,血清学的検査,腎生検に基づく。治療は,コルチコステロイドの単剤またはシクロホスファミドとの併用,ときに血漿交換による。

腎炎症候群の概要も参照のこと。)

RPGNは腎炎症候群の一種であり,病理診断により診断し,広範な糸球体半月体形成を伴い(すなわち,採取した糸球体の50%超に半月体が認められ,生検検体で観察される),無治療の場合,数週間から数カ月で末期腎臓病へと進行する。比較的まれな疾患で,糸球体腎炎患者の10~15%に生じ,好発年齢は20~50歳である。病型と原因は蛍光抗体顕微鏡検査および血清学的検査の所見を用いて分類される(例,抗GBM抗体,抗好中球細胞質抗体[ANCA]―Professional.see table 急速進行性糸球体腎炎の蛍光抗体顕微鏡検査に基づく分類)。

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急速進行性糸球体腎炎の蛍光抗体顕微鏡検査に基づく分類

病型

RPGN症例の割合

原因

1型:抗GBM抗体介在型

10%

抗GBM糸球体腎炎(肺出血を伴わない*)

グッドパスチャー症候群(肺出血を伴う)

2型:免疫複合体型

40%

感染後の原因:

結合組織疾患:

その他の糸球体症:

3型:pauci-immune型

50%

肺壊死性肉芽腫(例,多発血管炎性肉芽腫症)

腎限局性疾患(例,特発性半月体形成性糸球体腎炎)

4型:double-antibody型

まれ

1型および3型と同じ

*肺も罹患している場合,抗GBM糸球体腎炎はグッドパスチャー症候群と呼ばれる。

GBM = 糸球体基底膜;GN = 糸球体腎炎;RPGN = 急速進行性糸球体腎炎。

抗糸球体基底膜抗体型

抗糸球体基底膜(GBM)抗体型(1型RPGN)は,自己免疫性糸球体腎炎であり,RPGN症例の最大10%を占める。呼吸器の曝露(例,タバコの煙,ウイルス性上気道感染症)またはいくつかの他の刺激物に肺胞毛細血管のコラーゲンが曝されて抗コラーゲン抗体形成が誘発された際に起こりうる。抗コラーゲン抗体はGBMと交差反応し,補体を結合して細胞性炎症反応を腎および通常は肺で誘発する。

グッドパスチャー症候群という用語は,抗GBM抗体存在下での糸球体腎炎と肺胞出血の併発をさす。抗GBM抗体の存在下で肺胞出血を併発していない糸球体腎炎は,抗GBM糸球体腎炎と呼ばれる。腎生検組織の蛍光抗体染色法では線状のIgG沈着が示される。

免疫複合体型RPGN

免疫複合体型RPGN(2型RPGN)は,多数の感染症および結合組織疾患を合併し,さらにその他の原発性糸球体症も併発する。

蛍光抗体染色法では,非特異的な顆粒状免疫沈着が示される。この病態はRPGN症例の最大40%を占める。発生機序は通常不明である。

pauci-immune(微量免疫)型RPGN

pauci-immune(微量免疫)型RPGN(3型RPGN)は,蛍光抗体染色法での免疫複合体または補体沈着の欠如によって特徴づけられる。同病態は全RPGN症例の最大50%を占める。ほぼ全ての患者で抗好中球細胞質抗体(ANCA,通常は抗タンパク質分解酵素3-ANCAまたはミエロペルオキシダーゼ-ANCA)の上昇および全身性血管炎が認められる。

double-antibody型

double-antibody型(4型)RPGNは,1型および3型の特徴を有し,抗GBMおよびANCA抗体が存在する。まれである。

特発性RPGN

特発性症例はまれである。同病態には以下のいずれかの患者が含まれる:

  • 免疫複合体(2型と類似)を有するが,感染,結合組織疾患,糸球体疾患などの顕著な原因はない

  • pauci-immune型の特徴(3型と類似)を有するが,ANCA抗体が認められない。これはV型RPGNとも呼ばれる。

症状と徴候

臨床像は通常潜行性で,脱力,疲労,発熱,悪心,嘔吐,食欲不振,関節痛,および腹痛がみられる。一部の患者はPIGNに類似の症状を呈し,血尿を突然発症する。約50%の患者は浮腫を示すとともに,腎不全発症前の4週間以内に急性インフルエンザ様の病歴を有しており,通常,重度の乏尿がそれに続く。ネフローゼ症候群は,10~30%に認められる。高血圧は一般的ではなく,重症化することはまれである。抗GBM抗体病の患者は肺出血を伴う場合があり,喀血を呈するか,または胸部X線上でびまん性の肺胞浸潤の所見としてのみ検出可能な場合がある(肺腎症候群またはびまん性肺胞出血症候群)。

診断

  • 腎不全が数週間から数カ月にわたって進行

  • 腎炎性の尿沈渣

  • 血清学的検査

  • 血清補体価

  • 腎生検

診断は血尿および変形赤血球または赤血球円柱を認める患者の急性腎障害によって示唆される。検査は,血清クレアチニン,尿検査,血算,血清学的検査,腎生検などがある。診断は通常,血清学的検査および腎生検による。

血清クレアチニンは,ほぼ常に高値を示す。

尿検査では常に血尿が存在することが示され,赤血球円柱が通常存在する。Telescoped sediment(すなわち,多彩な成分を認める尿沈渣所見で,具体的には白血球,変形赤血球,白血球円柱,赤血球円柱,顆粒円柱,蝋様円柱,幅広円柱など)がよくみられる。

血算では貧血が通常存在し,白血球増多がよくみられる。

血清学的検査として抗GBM抗体(抗GBM抗体病),抗ストレプトリジンO抗体,抗DNA抗体またはクリオグロブリン(免疫複合体型RPGN)およびANCA価(pauci-immune[微量免疫]型RPGN)を行うべきである。

免疫複合体型RPGNが疑われる場合,低補体血症が一般に認められるため,補体測定が有用なことがある。

早期の腎生検は必須である。RPGNの全ての病型に共通する特徴は,糸球体上皮細胞の巣状の増殖であり,ときに多数の好中球が散在し,半月状の細胞塊(半月体)を形成してボーマン腔を充満し,糸球体全体の50%以上を占める。糸球体係蹄は通常,細胞が少なく虚脱したように見える。係蹄内または半月体が関与する壊死が生じる場合があり,最も顕著な異常であることがある。このような患者においては血管炎の組織学的な所見を探索すべきである。

蛍光抗体顕微鏡検査の所見は,各型で異なる。

  • 抗GBM抗体病(1型)においては,GBMに沿って線形または帯状に沈着したIgGが最も顕著であり,しばしばC3の線状,ときには顆粒状の沈着を伴う。

  • 免疫複合型RPGN(2型)では,蛍光抗体法でメサンギウムにびまん性で不規則なIgGおよびC3沈着が認められる。

  • pauci-immune(微量免疫)型RPGN(3型)においては,免疫染色と沈着は検出されない。しかしながら,蛍光パターンにかかわらずフィブリンが半月体内に生じる。

  • Double-antibody型(4型)RPGNでは,GBMが線状に染色される(1型と同様)。

  • 特発性RPGNでは,一部の患者は免疫複合体を有し(2型と同様),他の患者は免疫染色および沈着が認められない(3型と同様)。

予後

自然寛解はまれであり,未治療の患者の80~90%は6カ月以内に末期腎臓病へ進行する。予後は早期治療により改善する。

良好な予後因子には以下を原因とするRPGNがある:

好ましくない予後因子としては以下のものがある:

  • 年齢60歳以上

  • 乏尿を伴う腎不全

  • 血清クレアチニン高値

  • 糸球体の75%超で全周性の半月体

  • pauci-immune(微量免疫)型RPGN患者で,治療に反応しない

pauci-immune型RPGN患者の約30%は治療に反応せず,そのうちの約40%は透析を必要とし,33%は4年以内に死亡する。一方,治療に反応した患者で透析が必要となる割合は20%未満であり,約3%が死亡する。

double-antibody型のRPGN患者の腎予後は,抗GBM抗体病のみの患者と比較するとやや良好,pauci-immune型RPGN患者と比較すると不良のようである。

RPGNの発症後に腎機能が正常まで回復した患者では,主として糸球体に細胞増殖を主体とする組織学的変化が残存し,糸球体係蹄内または上皮細胞内の硬化はごくわずかであるか全くなく,間質の線維化は最小限である。

尿毒症による死亡が透析によって防がれた場合,死亡原因は通常感染または心臓性である。

治療

  • コルチコステロイド

  • シクロホスファミド

  • 血漿交換

治療は病型によって異なるものの,レジメンの厳密な検討はされていない。治療は早期に開始すべきであり,理想的には血清クレアチニンが5mg/dL未満で,生検で半月体形成が糸球体全体に及ぶか器質化半月体が認められることに加え,間質の線維化と尿細管萎縮が呈される前に開始する。腎障害がありクレアチニン値がより高い患者であっても,直ちに腎代替療法を施行する必要がない場合は,積極的に治療すべきである。これらの所見がより顕著になるにつれて治療の有効性は低下し,一部の患者(例,高齢者,感染症患者)においては有害な場合がある。

治療は病型によって異なるものの,レジメンの厳密な検討はされていない。

通常,コルチコステロイドおよびシクロホスファミドを投与する。免疫複合体およびpauci-immune型RPGNに対しては,コルチコステロイド(メチルプレドニゾロン1g,静注,1日1回,30分間,3~5日間に続いて,プレドニゾン1mg/kg,経口,1日1回)により,50%の患者で血清クレアチニン値の低下または3年以上の透析導入の遅延が得られる。

通常はシクロホスファミド1.5~2mg/kg,経口,1日1回を投与し,これはANCA陽性の患者で特に有益となりやすい;月1回のパルス療法は経口療法と比較して累積投与回数が少ないため,有害作用(例,白血球減少,感染)が少なくなる可能性があるが,その役割は確立されていない。抗GBM抗体病に対してはプレドニゾンとシクロホスファミドが典型的には血漿交換と同時に開始され,新規抗体形成を最小限に抑えるために継続される。特発性疾患患者は通常,コルチコステロイドおよびシクロホスファミドで治療されるが,効力に関するデータはほとんどない。

抗GBM抗体病では血漿交換(1日3~4Lの交換を14日間)が推奨される。免疫複合体型およびpauci-immune型ANCA関連RPGNで,診察時に肺出血または重度の腎機能障害(血清クレアチニン値5~7mg/dL超または透析依存)を呈する場合も血漿交換を考慮すべきである。血漿交換は,遊離抗体,完全な免疫複合体および炎症メディエータ(例,フィブリノーゲン,補体)を迅速に除去するため,効果的であると考えられている。

クレアチニン値が高い患者では,積極的な免疫抑制療法も有益となりうる。プレドニゾンおよびシクロホスファミドと併用するプラズマフェレーシスは,クレアチニン値が5~7mg/dLを上回っている場合でも,直ちに腎代替療法を施行する必要がない腎障害患者において有益であった(1)

リンパ球除去療法は,末梢のリンパ球を血液中から除去する方法であり,pauci-immune型RPGNに対して有益であると考えられるが,さらなる調査が必要である。

腎移植は全ての型で効果的であるが,疾患は移植腎において再発する場合があり,リスクは時間とともに低下する。抗GBM抗体病においては,移植前の少なくとも12カ月間は抗GBM価が検出限界未満であるべきである。pauci-immune型RPGN患者では,移植前の少なくとも6カ月間は疾患活動性が静止状態でなければならず,ANCA価は抑制される必要はない。

治療に関する参考文献

  • Levy JB, Turner AN, Rees AJ, et al: Long-term outcome of anti-glomerular basement membrane antibody disease treated with plasma exchange and immunosuppression.Ann Intern Med 134(11):1033-1042, 2001.

要点

  • 血尿と変形赤血球または赤血球円柱を伴う急性腎障害を呈する場合,特に亜急性の全身症状または非特異的症状(例,疲労,発熱,食欲不振,関節痛,腹痛)がみられる場合は,RPGNを考慮する。

  • 血清学的検査および早期の腎生検を施行する。

  • コルチコステロイド,シクロホスファミド,しばしば血漿交換による治療を早期に開始する。

  • 疾患活動性がコントロールされた後に腎移植術を考慮する。

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