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男性性機能の概要

執筆者:

Irvin H. Hirsch

, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2019年 6月
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男性性機能は主に以下の4つの要素で構成される:

  • 性欲

  • 勃起

  • 射精

  • オルガスム

性機能障害とは,これら要素のいずれかの問題により,性交に関与する関心または能力が阻害された状態である。多くの薬剤と多数の身体および精神障害が性機能を障害する。

性欲

性欲は性機能のうち意識が関与する要素である。性欲減退は,性的興味の欠如として,あるいは性的思考(自然に生じるものや性的刺激に対する反応)の頻度および強度の低下として顕在化する。性欲はテストステロン濃度の影響を敏感に受けるほか,一般的な栄養,健康,および薬剤からも強く影響を受ける。

性欲減退を来す可能性が特に高い病態として,性腺機能低下症 男性性腺機能低下症 性腺機能低下症は,関連する症候,精子産生の欠乏,またはそれらの両方を伴うテストステロンの欠乏と定義される。精巣の疾患に起因する場合(原発性性腺機能低下症)と,視床下部-下垂体系の疾患に起因する場合(続発性性腺機能低下症)がある。どちらも先天性の場合と,加齢,疾患,薬剤,その他の因子による後天性の場合がある。さらに,いくつかの先天的な酵素欠... さらに読む 慢性腎臓病 慢性腎臓病 慢性腎臓病(CKD)とは,腎機能が長期にわたり進行性に悪化する病態である。症状は緩徐に現れ,進行すると食欲不振,悪心,嘔吐,口内炎,味覚異常,夜間頻尿,倦怠感,疲労,そう痒,精神的集中力の低下,筋収縮,筋痙攣,水分貯留,低栄養,末梢神経障害,痙攣発作などがみられる。診断は腎機能検査に基づき,ときに続いて腎生検を施行する。治療は主に基礎疾患... さらに読む 慢性腎臓病 うつ病 抑うつ障害群 抑うつ障害群は,機能を妨げるほど重度または持続的な悲しみ,および興味または喜びが減退することにより特徴づけられる。正確な原因は不明であるが,おそらくは遺伝,神経伝達物質の変化,神経内分泌機能の変化,および心理社会的因子が関与する。診断は病歴に基づく。通常,治療は薬物療法,精神療法,またはその両方,および電気痙攣療法から成る。... さらに読む などがあり,男性の糖尿病 糖尿病(DM) 糖尿病(DM)はインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらす。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および霧視などがある。晩期合併症には,血管疾患,末梢神経障害,腎症,および易感染性などがある。診断は血漿血糖測定による。治療は食事療法,運動,および血糖値を低下させる薬剤により,薬剤にはインスリンお... さらに読む 患者は最大25%が性腺機能低下症の定義を満たす可能性がある。

性欲減退を引き起こす可能性がある薬剤としては,弱いアンドロゲン受容体拮抗薬(例,スピロノラクトン,シメチジン),前立腺癌 前立腺癌 前立腺癌は通常腺癌である。典型的には,腫瘍の増殖によって血尿や疼痛を伴う閉塞が引き起こされるまで,症状はみられない。診断は直腸指診または前立腺特異抗原測定によって示唆され,経直腸的超音波生検によって確定される。スクリーニングについては議論があり,意思決定の共有が行われるべきである。大部分の前立腺癌患者の予後は,特に癌が限局または局在する場... さらに読む の治療に使用される黄体形成ホルモン放出ホルモン作動薬(例,リュープロレリン,ゴセレリン,ブセレリン)および拮抗薬(例,デガレリクス),前立腺癌の治療に使用される抗アンドロゲン薬(例,フルタミド,ビカルタミド),前立腺肥大症 前立腺肥大症(BPH) 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia:BPH)は,前立腺尿道周囲部が良性腺腫として増大した状態である。症状は下部尿路閉塞の症状である(尿勢低下,排尿遅延,頻尿,尿意切迫,夜間頻尿,残尿,終末時滴下,溢流性または切迫性尿失禁,完全尿閉)。診断は主に直腸指診と症状に基づき,膀胱鏡検査,経直腸的超音波検査,尿流... さらに読む の治療に使用される5α還元酵素阻害薬(例,フィナステリド,デュタステリド),一部の降圧薬,ほぼ全ての中枢神経系作用薬(例,選択的セロトニン再取り込み阻害薬[SSRI],三環系抗うつ薬,抗精神病薬)などがある。SSRIまたは三環系抗うつ薬による性欲減退は,ときにブプロピオンまたはトラゾドンの追加により可逆的となる。

勃起

勃起は特定の心理的および/または触覚刺激に対する神経血管性反応である。より高次の皮質入力と仙髄の副交感神経反射弓が勃起反応を調整する。神経出力は,前立腺の後外側面を横断する海綿体神経を介して伝達される。これらの非アドレナリン非コリン作動性神経は陰茎の血管構造に終止しており,そこで一酸化窒素を放出する。一酸化窒素が陰茎動脈の平滑筋細胞内に拡散して,サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)の産生を増加させる結果,動脈が弛緩して,より多くの血液が陰茎海綿体に流入するようになる。海綿体が血液で充満するにつれ,海綿体の内圧が上昇することで,周囲の細静脈が圧迫されるため,静脈の閉塞と静脈流出量の減少がもたらされる。流入血液量の増加と流出血液量の減少によって海綿体内圧がさらに上昇することで,最終的に勃起が成立する。勃起能力には多くの因子が影響を及ぼす(勃起障害 勃起障害 勃起障害とは,性交を行うのに十分な勃起を達成または持続できない状態である。大半の勃起障害は血管,神経,精神,または内分泌疾患に関連したものであり,さらに薬剤使用も原因となりうる。評価は典型的には基礎疾患のスクリーニングとテストステロン濃度の測定である。治療選択肢としては,ホスホジエステラーゼ阻害薬の服用,プロスタグランジンの尿道内または海... さらに読む を参照)。

射精およびオルガスム

射精は交感神経系によって制御されている。男性付属器(例,陰茎,精巣,会陰,前立腺,精嚢)におけるαアドレナリン受容体の神経刺激により,精巣上体,精管,精嚢,および前立腺が収縮する結果,精液が後部尿道まで送られる。その後,骨盤底筋の律動的な収縮により,蓄積された精液が律動的に射出される。これと同時に,膀胱頸部が閉鎖することで,膀胱への逆行性射精が防止される。選択的セロトニン再取り込み阻害薬とα遮断薬は,これらの部位での受容体阻害により,射精を遅延または阻害する可能性がある。

オルガスムとは,一般的には射精と同時に脳に生じる快感のことである。無オルガスム症(anorgasmia)は,陰茎感覚の低下(例,神経障害によるもの)に起因する身体的現象の場合と,精神障害または向精神薬に起因する神経心理学的現象の場合がある。

射精障害

射精障害とは,精液量が減少しているか,精液が射出されない状態である。射精障害は逆行性射精が原因の場合があるが,これは糖尿病の男性でみられるほか,膀胱頸部手術または経尿道的前立腺切除術の合併症として発生することもある。また射精障害は交感神経遮断が原因の場合もあり,これは手術由来(例,後腹膜リンパ節郭清術)か薬剤由来(例,グアネチジン,フェントラミン,フェノキシベンザミン[phenoxybenzamine],チオリダジン)のいずれかである。前立腺全摘除術(前立腺に加えて精嚢および所属リンパ節も除去する)では,精嚢および前立腺の除去により精液産生が止まるため,射精は一切みられなくなる。

早漏

早漏は,男性またはそのパートナーが望むよりも早く射精が起き,そのことでカップルに苦痛が生じている状態と定義されている。通常は疾患ではなく,性的経験の不足,不安,その他の心理学的因子が原因である。表面麻酔薬,セックス療法,三環系抗うつ薬,および選択的セロトニン再取り込み阻害薬でうまく治療することができる。

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