妊娠する,避妊する,または妊娠を中絶するというカップルの決定は,母体の医学的な問題,妊娠に伴うリスク,社会経済的要因などの多くの因子により影響されうる。
避妊法はカップルの一方または両方が用いることができ,一時的に妊娠を防ぐことが可能である。永久的な避妊を目的とする手技もある(不妊手術)。中絶(妊娠を終了させる)は,避妊に失敗した場合または避妊法を用いなかった場合に考慮することができる。
米国における避妊法使用者の中で最も頻用されている方法(1)は以下のものである:
経口避妊薬(OC):19%
女性の永久的な避妊法(不妊手術):29%
男性用コンドーム:13%
男性の永久的な避妊法:9%
子宮内避妊器具(IUD):12%
抜去法(性交中断法):6%
プロゲスチン注射:3%
避妊用リングまたはパッチ:2%
皮下プロゲスチンインプラント:4%
リズム法(周期的な禁欲):2%
女性によるバリア法:< 1%
(一般的な避妊法の比較の表を参照のこと。)
使用開始後最初の1年での妊娠率(普通の使用の場合)は次の通りである:
性交に関連しない方法で利用者の関与を必要としないもの(IUD,皮下プロゲスチンインプラント,永久的な避妊法)では1%未満
性交に関連せず利用者の関与を必要とするホルモン薬による避妊法(経口避妊薬,プロゲスチン注射,経皮パッチ,腟リング)では約6~9%
性交に関連する方法で利用者の関与を必要とするもの(例,コンドーム,ペッサリー,リズム法,殺精子剤,抜去法)では10%超
妊娠率は使用開始の最初の1年間に高く,その後使用者が選択した避妊法により慣れるにつれ,低くなる傾向がある。また,女性の加齢にしたがい,妊孕性は低下する。妊娠を試みる生殖可能なカップルの妊娠率は,避妊法を用いない場合,1年後に約85%である。
コンドーム使用では妊娠率が非常に高いにもかかわらず,コンドーム(主にラテックス製および合成素材のコンドーム)は性感染症(STD)を防ぐことから,コンドームを性交中に常に装着すべきであると専門家は推奨している。最も重要なこととして,コンドームはHIVを防ぐのに役立つ。最も効果的な避妊のためには,コンドームと併用して他の避妊方法を用いるべきである。
避妊に失敗した場合,望まない妊娠を防ぐために緊急避妊が役立つことがある。緊急避妊は,通常の避妊法として用いるべきではない。
総論の参考文献
1.CDC: National Center for Health Statistics: Current Contraceptive Status Among Women Aged 15–49: United States, 2015–2017.NCHS Data Brief 327, December 2018.Accessed 5/6/20.