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オウギ

執筆者:Laura Shane-McWhorter, PharmD, University of Utah College of Pharmacy
レビュー/改訂 2022年 1月
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オウギとは何ですか?

オウギは中国、モンゴル、朝鮮半島原産の多年生植物です。

オウギを支持する人たちは、オウギはアダプトゲンであると考えています。ハーブ療法におけるこの用語は、この物質がストレスに対する身体の反応を助け、正常な機能を回復させると考えられていることを意味しています。2020年と2021年には、COVID-19感染の有害な影響を軽減するためにオウギを使用した人もいますが、その使用の裏付けとなる科学的根拠はありません。

  • オウギの植物の根は他のハーブと組み合わせて、中国伝統医学の一環として何世紀にもわたり使用されています。

  • 2,000を超えるオウギの種類のうち、一般的にサプリメントに使用されているのは、Astragalus membranaceusAstragalus mongholicusの2種のみです。

  • オウギの別名には、黄耆(huáng qí)やミルクベッチ(milkvetch)があります。

  • オウギは液剤、カプセル、粉末、お茶として入手できます。

  • オウギには抗酸化物質が含まれており、これにより細胞の損傷を予防できる可能性があります。

サプリメントの概要も参照のこと。)

オウギについてどのような効能が主張されていますか?

このハーブについて数多くの健康上の便益が主張されており、例えば以下のものがあります。

  • 免疫系を高める(これが何を意味するのか、またどのようにしてそうなるのかは不明です)

  • がんを予防する

  • 血圧を下げる

  • 肝臓や腎臓を守る

  • 心疾患を予防し、治療する

  • 化学療法が原因の吐き気や嘔吐を軽減する

  • 糖尿病患者の血糖値を下げる

  • かぜやその他の上気道感染症を予防する

  • 疲労を緩和する

オウギには効果がありますか?

オウギを含め、一つの化合物が単独で、多様な健康上の便益を有する可能性は非常に低いでしょう。したがって、複数の便益を確認する科学的根拠が得られる可能性は非常に低いでしょう。

ヒトを対象とした試験において、オウギについて主張されている健康上の便益を示す科学的根拠は限られています。これらの試験のほとんどまたはすべてが小規模(参加者150人未満)であり、質も低いものです。これらの試験からオウギには、とりわけ以下のような便益がある可能性が示唆されています(多くの場合は標準治療と併用)。

  • 標準治療も受けている心不全患者において心機能を改善する(ただし、この効果が確認されていない科学的な証拠もあります)

  • 糖尿病患者において血糖値をコントロールする

  • 慢性腎臓病患者において腎障害の徴候を軽減する

  • B型慢性肝炎患者において感染症を予防する

  • 運動選手と脳卒中患者において疲労を軽減する

注射用のオウギは、がん患者において症状を緩和し、生活の質を改善する可能性がありますが、オウギの根の経口剤が同じ効果をもたらすことを示す科学的根拠は不足しています。

いずれのオウギの有益性を確認するにも、より大規模で適切にデザインされた、より長期の試験が必要です。

オウギの起こりうる副作用にはどのようなものがありますか?

多くの人はオウギに十分に耐えられます。しかしまれに、オウギの試験の参加者に発疹、頭痛、疲労、かゆみ、鼻水、吐き気、下痢などの軽い副作用が発生しています。市販のサプリメントに含まれていない一部のAstragalus属は、神経系に毒性を示す成分である「スワインソニン」を含んでいるため、有害な可能性があります。動物では、この成分が「ロコ草(locoweed)」中毒を引き起こしています。

  • ほとんどの人では、1日最大60g(約2オンス)の最長で4カ月間のオウギの摂取は安全なようです。しかし、これより高用量で摂取した場合や4カ月を超えてオウギのサプリメントを摂取した場合の安全性は、試験で評価されていません。(一般に、処方薬とは異なり、サプリメントの最適な用量に関する科学的根拠はほとんどありません。)

  • 妊婦や授乳中の女性、小児によるオウギの使用に関する研究は、このハーブがこれらの集団に安全かどうかを判断するには十分ではありません。

  • 主張されているようにオウギが免疫系の働きを高めるならば、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性硬化症などの自己免疫疾患の患者にとって問題となる可能性があります。

オウギにはどのような薬物相互作用がありますか?

  • オウギは免疫系の働きを高めることがあるため、免疫系の働きを抑制する薬剤(タクロリムスやシクロスポリンなど)の作用を弱める可能性があります。

  • オウギとその成分にはホルモンのエストロゲンと同様の作用をがあるため、エストロゲンを抑制するようにデザインされたがん治療の有効性を低下させる可能性があります。

  • オウギは血液の凝固を妨げると考えられるため、抗凝固薬を服用している人では出血のリスクが高まる可能性があります。

  • オウギは血圧を下げる薬を服用している人において、血圧を下げすぎる可能性があります。

  • オウギは利尿薬(尿を増加させる薬)の影響を増大させることがあります。

  • オウギは身体からのリチウムの排出を困難にする可能性があるため、オウギとリチウムの両方を摂取する人では危険な量のリチウムが蓄積する可能性があります。

推奨事項

オウギの健康上の便益は、ヒトを対象とした質の高い試験では確認されていません。

副作用の可能性を上回る有益性が確認されていないため、オウギの使用は推奨されません。

オウギはほとんどの人にとって安全と考えられていますが、以下が推奨されます。

  • 妊婦、小児、自己免疫疾患の人、肝疾患の人は、オウギを避けるべきです。

  • 授乳中の女性や特定の薬剤(免疫抑制薬、ホルモン療法、抗凝固薬、血圧の薬剤、リチウム、利尿薬など)を服用している人は、オウギを摂取する前に主治医に相談すべきです。

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